"Technogia"完成記念インタビュー・アンド・オマケコーナー
十二曲目:Castle of the Eastについて
ミドル・ムスタファ-----なんだか変わった曲ですねえ。でもあなたの曲はいつも変わっているからいつもの曲でもありますけどね。
Little Mustapha-----なんか良く解らない感想だなあ。でもこの曲にはフレットレス・ムスタファがゲストミュージシャンとして参加しているんだよ。
ミドル・ムスタファ-----フレットレス・ムスタファっていうのはあなたのことでしょ?
Little Mustapha-----キミはなんでも知っているんだねえ。
ミドル・ムスタファ-----だって前からフレットレス・ギターを自分で作って弾いてたじゃないですか。
Little Mustapha-----まあ、そうだけどね。微妙な音程を出せるフレットレス・ギターを使うと面白い効果があるかと思って入れてみたんだけど、なんだかチューニングが狂っているだけにも聞こえてしまうよね。
ミドル・ムスタファ-----その点で変わっている曲に聞こえたのかも知れませんけどね。
Little Mustapha-----もっと細かいことを言うと、ホントにチューニングが狂ったギターで演奏していることもこれまでにあったんだけどね。気にする人は気にするし、気にしない人は気にしないから良いんじゃない。
ミドル・ムスタファ-----なんだか、良く解らない開き直り方ですよ。
Little Mustapha-----音楽に聞こえたらそれでイーんです。
十三曲目:Side by Sideについて
Little Mustapha-----「怒涛の脚韻」シリーズだよ。
ミドル・ムスタファ-----なんですかそれは?
Little Mustapha-----そんなシリーズはないんだけどね、ほぼ全部同じ韻を踏んで歌詞の行が終わってるんだ。しかも韻を踏まない行は中途半端な感じで曲を不自然にしているしね。
ミドル・ムスタファ-----それは良いことなんですか?
Little Mustapha-----さあ、どうだろう?でもこの曲は作るのが妙に楽しかったなあ。曲と歌詞が同時進行でできるのは滅多にないことだしね。とくに不自然な部分が思い浮かんだ時はニヤニヤしてしまったよ。
ミドル・ムスタファ-----ヘンなところに喜びを感じるんですね。でも多くの人はその辺に気付かないと思いますよ。
Little Mustapha-----それがまた良いところなんだよ。ヘンな曲を聴いているのに誰も気付かなかったら、それはヘンな曲じゃないということだしね。
ミドル・ムスタファ-----じゃあ、これはヘンな曲じゃないんですか?
Little Mustapha-----これはヘンな曲だよ。
ミドル・ムスタファ-----なんか意味が解りませんよ。
十四曲目:Gate of the Empire
ミドル・ムスタファ-----なんかスゴイですね。
Little Mustapha-----これは特にヘンな曲かな。
ミドル・ムスタファ-----これは解りやすくヘンな曲ですよ。でも不思議と安心して聴けますね。
Little Mustapha-----構造が簡単だからね。難しいことを説明すると長くなるからやめるけど、メロディーの全ての音に基本的な「ドミソ」のコードをつけているんだ。だから理論的なコード進行というものはほとんどないんだけど。なんとなくダイナミックな感じだよね。
ミドル・ムスタファ-----それはギターとかの音のせいじゃないですか?
Little Mustapha-----それもあるけどね。実は最初にピアノでこの曲を弾いた時はもっと「不思議ちゃん」な感じの曲になると思ってたんだけど。弾き方とか音色で色々変わるのかなあ。最後の方には普通のコード進行もあって、そこではソフトな感じになるはずだったけど。
ミドル・ムスタファ-----あなたの普通はかなりひねくれてますけどね。
Little Mustapha-----正直なコード進行じゃ真の爆音は奏でられない、ということだよ。
ミドル・ムスタファ-----それも今考えたでしょ?
Little Mustapha-----うん。
十五曲目:It was Cloudy Yesterday
Little Mustapha-----「盛り上がったので好きなように弾く」シリーズのアルトサックス編だよ。
ミドル・ムスタファ-----またヘンなシリーズが出てきましたねえ。
Little Mustapha-----録音が全部終わったけどまだなんとなく弾き足りないなあ、という調子のいい時に適当に録音することがあるんだけど、そういうのはなかなか上手くいかないんだよね。他にベースソロ編もあったけど、アルトサックス編は結構上手くいったから風の音を加えて収録してみたんだ。それにメロディーが"Smashing the Computer"だしね。
ミドル・ムスタファ-----そういえば、そうですね。それにしてもずいぶん強風ですね。
Little Mustapha-----あれはシンセを使って自分で作った音なんだけど。自分で作った音色の中で唯一使えるものかな。ちょっと設定を変えるともう少し穏やかな風になるけど。今回は荒涼とさせてみたんだ。
ミドル・ムスタファ-----それは例の「作り話」の内容と関連してるんですか?
Little Mustapha-----良くわかんない。
ミドル・ムスタファ-----わかんないんですか!?
十六曲目:Novelizationについて
ミドル・ムスタファ-----このタイトルはなんなんですか?「作り話」のなかの作り話ということでしょうか?
Little Mustapha-----なんというか、何かを小説化する時の頭の中の様子を小説化した感じかな。
ミドル・ムスタファ-----良く分かんないですが、複雑な内容なんですか?
Little Mustapha-----そんなこともないよ。タイトルはなんとなく後から付けたからね。今回から生演奏になったベースを生かせる感じの曲ということでこんな曲になったんだ。だから歌の内容はあってないようなものだね。
ミドル・ムスタファ-----ちょっとそれはヘンですよ。今回はサントラ的な作りになってるはずなのに、勝手な曲を入れるのは問題じゃないですか?
Little Mustapha-----それは問題なしだよ。そういう曲は「地底から来たバンド」が演奏してるってことにすれば、なんでも出来るんだから。
ミドル・ムスタファ-----それはひどいなあ。
十七曲目:the Technologiaについて
ミドル・ムスタファ-----これはアルバムタイトルと同じタイトルだから今回のメインの曲となるんですかねえ。
Little Mustapha-----それは違うよ。こっちは「the」がついてるでしょ。アルバムタイトルにはついてないけど。沢山使われているフレーズは二曲目の「Ewevinak」とほとんど同じだし、あのフレーズはシーズン1の象徴的なものだからね。まあこの曲は重要な曲ではあるんじゃない?
ミドル・ムスタファ-----「じゃない」って聞かれても。それよりもシーズン1ってタイトルにもついてましたけど、続編があるんですか?
Little Mustapha-----もちろん。もうすでに地底の世界ではテレビドラマシリーズのシーズン3の制作が始まってるんだよ。
ミドル・ムスタファ-----いや…。地底の話はまた後で…
Little Mustapha-----それだけじゃなくて、シーズン1と2の内容をまとめた映画まであるんだからね。この曲の途中に入るのはその映画からのサンプリングなんだよ。
ミドル・ムスタファ-----そんなあ…。まあいいですよ。そういうことにしておきましょう。
Little Mustapha-----(どうも信じてないらしいなあ。)
十八曲目:from Nowhere to Nowhere
Little Mustapha-----さっきの話とちょっと関連してるけど、これはだんぜんピアノ向けの曲だね。
ミドル・ムスタファ-----さっき、っていつですか?
Little Mustapha-----そんなの忘れたけど、ピアノで弾くのとバンドの演奏じゃ雰囲気が全然違うとかいうやつだよ。
ミドル・ムスタファ-----ああ、あれ。それで、どうして無理矢理バンドアレンジで作ったんですか?
Little Mustapha-----できてしまったものはしょうがないからねえ。編曲には苦労したけどね。もっと自由に演奏できる部分を沢山作るべきだったけど、ほとんど音符にしてしまったから、ちょっと不自然でもあるけどね。
ミドル・ムスタファ-----そういえば、今回はアドリブソロとかがあって、これまでの「全部譜面にする」シリーズとはちょっと違うんですねえ。
Little Mustapha-----まあね。全部譜面にするシリーズだと曲調が限られてしまう恐れがあるからね。ロックンロールみたいな曲を全部譜面にして演奏したら気持ち悪いでしょ。ああいう音楽は自由な部分が沢山あるから良く聞こえるんだし。頑張って全部譜面にして質を悪くしたんじゃ意味がない、ということに気付いたんだよ。
ミドル・ムスタファ-----でもこの曲は書きすぎたんでしょ?
Little Mustapha-----まあ、気にしない。
十九曲目:New World From Old Worldについて
ミドル・ムスタファ-----こういうのをブラスと一緒に演奏するってめずらしいですねえ。
Little Mustapha-----まあ、他にないわけではないけどね。それにラッパの伴奏を入れることによって「どこにでもありそうな曲」にならずにすんでいる気もするよ。残念なことにこの曲だけギターの音が予定とちょっと違ってるんだよね。もしかしてセッティングを間違えたのかな?
ミドル・ムスタファ-----そんなことは知りませんよ。もっと準備は念入りにやった方がいいですよ。
Little Mustapha-----この曲は演奏するのが楽しみな感じだったからねえ、そういう時には大抵こういうミスをするんだよね。さらに、最近は音がヘンでもパソコンで修正すればいいや、とか思ってしまうからいけませんです。
ミドル・ムスタファ-----「いけませんです」とかいったって、直らないものは直りませんから。しっかりしなさい!
Little Mustapha-----でも、何回もミキシングし直してなんとかそれなりになったんだから。…というか、なんでキミはボクに説教してるんだ?
ミドル・ムスタファ-----えっ?あっ、ホントだ。なんだか知らないけど私の中に母親的な本能みたいなものが芽生えてきたというか…。これはなんなんでしょうか?
Little Mustapha-----ちょっと気味が悪いからやめてくれよ!
二十曲目:Flama Bullについて
Little Mustapha-----全身が炎に包まれた猛犬フラマ・ブルが現れたら気を付けろ!もしも炎が赤かったら、それは災いのしるし。もしも炎が青かったらそれはガスコンロの炎!
ミドル・ムスタファ-----なんだそれは?
Little Mustapha-----いや、実はねえこのフラマ・ブルというのはLittle Mustapha's Black holeの幻のマスコットなんだ。
ミドル・ムスタファ-----めずらしいですねえ。あなたは思いついたら何でもやるのに。
Little Mustapha-----もうほとんど公開間近だったんだけど、ちょうど戌年だったんだよね。だからほとんど完成していたフラマ・ブルの絵を年賀状に使っちゃったんだ。もったいないことをしちゃったなあ。
ミドル・ムスタファ-----別にそれぐらいはいいんじゃないですか?
Little Mustapha-----それがダメなんだよ。私生活とLittle Mustapha's Black holeがごっちゃになってしまうとボクらの生きている現実世界に大きな矛盾が発生するんだ。
ミドル・ムスタファ-----なんで?
Little Mustapha-----なんで、って。そこまではまだ考えてないけどね。それよりも、曲の話をした方がいいんじゃないの?
ミドル・ムスタファ-----そうですよ。あなたがヘンなことを言い始めるから。
Little Mustapha-----まあね。この曲のタイトルはなかなか決まらなかったんだよね。元々このアルバムの曲は一曲目から「Technologia 1、Technologia 2…」というふうにする予定だったから。結局それはやめにして普通に曲名をつけることにしたんだけど。それで曲名が決まらないで困っている時にたまたまハードディスクのなかにフラマ・ブル、というか年賀状の絵を見つけて、これはいけるということになってね。
ミドル・ムスタファ-----でも私生活とLittle Mustapha's Black holeを区別するんだったら、それもダメなんじゃないですか?
Little Mustapha-----それは大丈夫。年賀状のイヌは炎が描かれていないし、フラマ・ブルという名前も付いてないからね。もしかすると「作り話」の中ではフラマ・ブルが重要な役割を持つようになるかも知れないよ。…でも、そんなことを今決めてしまうと行き詰まっちゃうから、今の発言は撤回します。
ミドル・ムスタファ-----どうでもいいですけどね。
二十一曲目:Epicについて
Little Mustapha-----こういう曲もラッパでやると雰囲気が違っていいよね。表彰式みたいで。
ミドル・ムスタファ-----確かにいつもと同じだけど何かが違うといった感じですねえ。
Little Mustapha-----それはさておき、今回はベースも自分で演奏ということでベースから始まる曲が多くなっているんだよね。これまで打ち込みのベースでできなかった雰囲気が出せるから、これまでできなかった分を一気にやっているという感じだけど。でもベースから始まる時って、なぜかスゴイ緊張してしまってすごくリズム音痴なベースになってしまうんだよね。
ミドル・ムスタファ-----まあ、打ち込みの良さもあれば生演奏の良さもありますからね。
Little Mustapha-----いいことを言うねえ。でもボクの場合はあまりにもひどい時はパソコンでリズムを修正したけどね。これはどっちの「良さ」になるんだろうね。
ミドル・ムスタファ-----さあ…。「コンピューターの良さ」ですか?
Little Mustapha-----それはTechnologiaのよさなのさ!
ミドル・ムスタファ-----…。
二十二曲目:Communist Dance Partyについて
ミドル・ムスタファ-----タイトルといい、曲調といい解りやすく三曲目のダンスパーティーの対極ですねえ。
Little Mustapha-----この曲は制作開始した頃に作られたものなんだよ。作られたというか、8小節のドラムとベースのループだけを作っただけなんだけど。その時はまだベースも持ってなかったからね。音楽的にはかなりスランプな時で、そういう時にはループに合わせて適当にピアノとかギター弾いてアイディアが浮かぶのを待つんだけど、これはあまり役には立たなかったねえ。
ミドル・ムスタファ-----それをなんで収録したんですか?
Little Mustapha-----制作の最後の方に三曲目の"Democratic Dance Party"が出来上がって、それを聞いていたらCommunistバージョンも作るしかないと思ったんだよ。そこで思い出したのが、このダークな感じのループだったんだ。Communistとダークな感じというのはステレオタイプ的な考え方ではあるけどね。三曲目と正反対のダンスパーティーならこれでいいかな、ということだけど。曲の中身は最初とかなり違ってるけどね。
ミドル・ムスタファ-----でもタイトルに反してこれはかなり自由な感じですよね。ギターソロが長いですし。
Little Mustapha-----たまには自分がまだギターを弾けるということを確認しないといけないからね。
ミドル・ムスタファ-----人に聴かせる曲で確認しないでくださいよ。
Little Mustapha-----まあ、それもそうだね。それよりも、この曲のギターはこれまでメインで使っていたアームの付いたギターを使ってないんだよね。この曲の録音の前に本格的に壊れてしまって。アームが無いと長いソロは間が持たないからどうなることやら、と思っていたんだけど、無ければ無いなりに工夫すればなんとかなるかも知れない、ということだね。
ミドル・ムスタファ-----確かに、色々頑張ってヘンな音を出してますよねえ。それにしても、あなたは大事にしてるものを良く壊しますよねえ。何でですか?
Little Mustapha-----そんなことは知らないよ。まあ、元々が安物というところもあるけどね。でもこの曲の録音で気付いたけどメインで使っていた壊れた安物ギターはやっぱりそれなりの音しかしてなかったんだよね。アーム無しでもそこそこなギターで録音したら、音はかなり良くなったからね。
ミドル・ムスタファ-----へえ、そんなモンですか?
Little Mustapha-----そんなモンですよ。
ミドル・ムスタファ-----ということで、やっとのことで完成記念インタビューが終われそうです。
Little Mustapha-----ちょっと、まだ一曲残ってるよ。
ミドル・ムスタファ-----えっ?でもアレはボーナストラックだからどうでもいいんじゃないですか?発表はGoldの方だけでしょ?
Little Mustapha-----そうだけど、SilverとGoldの内容を別々にするのがめんどうだから、ここでは一緒でいいんだよ。
ミドル・ムスタファ-----そんなことをしていると後でややこしくなったりしませんか?
Little Mustapha-----まあ、いいから。
ということで
二十三曲目:the King of Garbage (Industrealistic MIX)について。
ミドル・ムスタファ-----これは以前のアルバムで保留中の作品として公開されたものですよねえ。
Little Mustapha-----公開というか予告という感じだったけどね。録音の作業自体はあの後すぐに終わってたんだけど、公開の機会がなくてねえ。オリジナルのミックスとはちょっと違うから「Industrealistc MIX」になってるんだ。オリジナルはもう少しショボイよ。
ミドル・ムスタファ-----ショボイなら別にいいですけど。それにしてもこれは難解な歌詞ですねえ。なんの歌なんですか?
Little Mustapha-----鏡のむこうにいる生ゴミ王の歌だよ。
ミドル・ムスタファ-----それはなんとなく解りますが。
Little Mustapha-----時々鏡に映る自分が自分に見えないことってあるでしょ?
ミドル・ムスタファ-----いや、ないですよ!
Little Mustapha-----まあ、ここはあるとしようよ。それで、その鏡に映った自分は本来の自分よりも優れていたり、劣っていたり、格好良かったり、悪かったりするけど、それは全部、自分ではなくて生ゴミ王なんだということだよ。
ミドル・ムスタファ-----全然解らないですけど。
Little Mustapha-----鏡の中に映る自分の姿に本来の自分とは違う何かを見つけてしまうと、何かおかしな事が起きるかも知れない、ということだよ。
ミドル・ムスタファ-----それでも解らないですよ。
Little Mustapha-----だから、例えば自分で気付かなかった自分の中の残虐な部分を鏡の中の自分に見つけたら、それを素直に自分の姿として受け入れるべきかとか、そういうことなんだけど。
ミドル・ムスタファ-----それはどうなんですかねえ?
Little Mustapha-----どうなんですかって、言ってもねえ。それじゃあキミは鏡をみて自分の容姿に自信を持ったり、逆に自信をなくしたりするだろ?
ミドル・ムスタファ-----そんなことはありませんよ。
Little Mustapha-----いやいや、ここはあると仮定してさ…
まだまだ続きますが、最新アルバムとは関係ないことが続くのでこの辺で終わりとさせていただきます。(生ゴミ王)