Technólogia Vol. 1 - Pt. 35

Technologia

40. 密告者

 この20年後の世界で目覚めてから良く解らない事ばかり。それでもなんとなく理解したつもりになっていた蚊屋野だったが、今度はこの世界に最初からいた花屋にも堂中にも解らないことが起きている。これは困ったことである。
 しかし20年前の世界でも自分は全てを理解していたのか?と言われると良く解らない。当たり前だと思っていたからそうしていただけであって、なぜそうするのかと聞かれると答えられないようなことも沢山あった。それはつまり、世界には良く解らない事しかないということなのかも知れない。それに慣れているかどうかで感じ方も違ってくる。ただ、それだけのことだが、慣れていない事ばかりが起こるのは対処するのに余計に疲れるのでそろそろウンザリしてくる。
 今の蚊屋野にとっては全てが慣れないことに思える。部屋の扉が開いて二人の女性が食事を運んできただけでも、どこか違和感を感じずにはいられない。何がおかしいのかというと、それは多分その二人の服装な気がする。ここにいるのは予言者様のもとに集まった人達だ。いわば宗教団体のようなものだし、ここの人達はそういう人達が好むような服装をするのかも知れない。二人は予言者様の着ていたものに似たガウンのような和服のような服を着ているのだが、予言者様のと違って生地が薄手になっている。そのせいで体の線が際だって、妙になまめかしい。
 蚊屋野は二人の女性のうちの一人の胸が大きめなのには気付いていたし、その人が食事の用意をするのに動く度に、襟のところから胸の膨らみがチラチラ見え隠れしているのを見ないようにしながらも確認していた。そして、そこにさらに違和感を感じるのだった。果たして、ここにいる他の女性達はこんな格好をしていただろうか?
 ここの人達は自分達を利用しようとしている。どうしてそうするのか正確な理由は解らないが、蚊屋野と花屋が灰の影響を受けずに健康体であることもそのうちの一つだろう。とにかく、彼らは蚊屋野達を思いどおりに動かしたいと思っている。それだからこうして手厚くもてなされているのだと思うが。しかし、このままで良いのだろうか?
 それに、彼女たちの格好も気になる。もしかして彼女達は蚊屋野達を誘惑するためにこういう格好をしているのだろうか。このままでいても良い気もするが、それだとあとから面倒なことになりかねない。その前にちゃんと断っておかないといけない。そんな気がしてならない。
「あの、キミ達がここで何かをしてくれて、それでボクらが良い思いをしたとしても、それはボクらが望んだからではなくて、キミ達が勝手にしてくれることだから、それによってボクらが何かを強制させられるとか、そんなことはないからね」
蚊屋野が言うと、いきなり何を言い始めるのか?と女性達がポカンとして蚊屋野を見ている。
 もしかして、考えすぎだったのか。蚊屋野はマズいと思っていた。この人達はただ食事を持ってきただけで、着ている服もここの人達が普通に着ているものなのかも知れない。それに、ここに来た一人の胸が大きめなのもたまたまだったに違いない。
 それなのに、勝手に余計な事を考えて、それでそんな事はけしからんとか思って、勝手に拒んだりしてみたのだが。勝手に盛り上がったりした自分が恥ずかしくなって、顔が熱くなってくる。
 頭が真っ白になった蚊屋野が無意識のうちに一人の女性の胸の谷間を凝視しているのに気付いて、その女性は胸を隠すように襟のところを整えた。その動作を見た蚊屋野は自分がしていた事に気づいてさらにヤバいと思っていた。
「あの、なにか問題でも?」
胸が大きくない方の女性がすこし怯えたように聞いた。いきなり強い口調で話し始めたと思ったらすぐに顔を真っ赤にしてうつむいてしまった蚊屋野はかなり怪しい。それに彼女たちは蚊屋野がここの男達に一斉に飛びかかられてもビクともしなかった、という話も聞いていた。豪腕なのに変態っぽいとか、そんな蚊屋野が気味悪がられても仕方がない。なんだか、ここで一番怪しいのは予言者様でも住人でもなくて、蚊屋野自身のような気がしてくる。
「すいません。ちょっとした誤解だったみたい」
そんな事を言われても、食事を持ってきただけの彼女たちは混乱するだけだった。こういう時に堂中が助けてくれても良さそうなものだが、堂中も時々蚊屋野の事が理解出来ない。
「どうぞ、食事の用意を続けてください」
苦し紛れに言った蚊屋野だったが、もうなんだか意味が解らない。二人の女性も困ってはいたのだが、言われたとおりに食事の用意を続けた。
 慎重に、と思ってしたことなのに、とんでもないことになってしまった。だが蚊屋野のことなので、こういうこともこれまでになかったこともない。恥ずかしいとかそういうことは気にせずに、彼は目の前の事で気を紛らわせればそのうち平常心は取り戻せる。これまでそうだったように、今回もそれで上手く行くだろう。今は目の前に運ばれて来た食事に集中するのだ。
 蚊屋野達はここでは要人扱いなので、食事もそれなりに豪華である。ただし、この新しく作られた居住地では手に入る食糧も限られているため、品数は最低限という感じだった。しかし、最近は味のしない食糧とドブコーヒーの食事のが続いていたので、それなりに味の付いていそうなメニューは食欲をそそる。そのなかでも、味噌汁のようなスープ状のものが気になる。冬の初めの山の中を一日歩いた後には、そのスープのようなものから湯気が上がっているのがたまらなく美味しそうに見える。
 蚊屋野は食事が始まったらとりあえず最初にそのスープのようなものから手を付けようと思っていた。ところが、食事の用意がほぼ済むというところになって、二人の女性がそれぞれ蚊屋野と堂中の前に置いてあったスープの器を手に持って窓の方へ行くと、そこから外に向かって器の中身を捨ててしまった。
 どういうことか?と今度は蚊屋野と堂中がポカンとしてしまった。もしかして、さっき蚊屋野が変な事を言ったからこの二人の女性が怒ってこんな事をしたのか?と思ってしまったが、そうでもなさそうである。
 何をしているのかと、堂中が聞こうとしたのだが、女性の一人が口に人差し指を当てて黙るようにという仕草をした。そうしている間にもう一人の胸の大きい方の女性がドアのところに行って、外の様子をうかがってから中の方へ向き直って頷いた。
 それを見て胸の大きくない方の女性が話し出した。
「あのスープには眠り薬が入っていたのです」
「眠り薬?!」
女性の言葉を聞いて、蚊屋野と堂中がほぼ同時に言った。
「食事の後にすぐに眠ってしまえば、すぐに明日になってしまいますからね。彼らはあなた達に考える時間を与えたくないんです」
胸の大きくない方の女性が説明した。どうやら何か事情がありそうな感じだ。
「あなた方には何か別の考えがあるみたいっすね」
堂中が言うと彼女は堂中の方に軽く頭を下げてから話し出した。
「そうなのです。あなた方の助けが必要なのです。どうか手を貸してください」
言われた堂中は一度蚊屋野の方を見た。この話をどう思うか?という事のようだが、蚊屋野にはなんとも答えられない。いずれにしてもここの人達と隣の街の問題が片付かないと先には進めないのだし、いろんな話は聞いてみるべきだとも思っているが。蚊屋野はとりあえず頷いてみた。
「ここでは何が起きているんすか?まずはそれから聞かせてください」
堂中が聞くと女性はかしこまった感じで話し始めた。
「すでに聞いたと思いますが、私達は住んでいた街の方針に反対して街を出ました。そして、街を出た住民達がここに集まったのですが。しかし、ここは私達が理想としたものとはほど遠い場所になってしまいました。元いた街も、この場所も、権力や私欲に走った少数の人間達に管理されています。そして、このままでは争いは避けられないでしょう」
それだけでは何だか解らないが、さっき予言者様はそんな事が起きないみたいに言っていた。ここの人達が街の支配権を取り戻して、蚊屋野達がその先に進めるのならそれで結構ということでもあるのだが、暴力とかそういうのは避けたい。
「あの予言者様は交渉するだけで大丈夫、って言ってたけど」
蚊屋野が言ったが女性達はちょっと頷くような仕草をしてすぐに堂中の方を向いて先を続けた。
「予言者様の言うことは、時々間違っています。その、予言者様は…、その、私達の代表ではあるのですが…」
「どうやらあなた方は予言者様を信じてないみたいですね。…ああ、大丈夫っすよ。誰にも言わないし、ボクらだって信じるワケないっすからね」
堂中は一度蚊屋野の方を見た。確かにそのとおりなので蚊屋野も「うん」と頷いた。
 女性達は蚊屋野達が自分達の思ったとおりの人だと解って安心したようで、その目が少し明るくなったように思える。ただし蚊屋野の方はあまり見ない。どうも最初に言ったことが原因で蚊屋野は嫌われているようだ。
「良かった。やはりあなたはテクノーロジアの知識をお持ちでしたね」
テクノーロジアの知識ってなんだ?と思った蚊屋野だが。なんとなく推測すると、予言とか占いとかの呪いじみた事に対する科学的な技術とか知識とかそんな感じだろうか。女性の言葉に対する堂中の答えが「それほどでもないっすけど」だったので、それ以上の推測は出来そうもないが。
「数年前にさかのぼりますが、私達の街からは科学者がいなくなりました」
女性が先を続ける。
「厳密にいうと、いないこともなかったのですが。街を健全な状態で管理できる能力を持った科学者がいなくなったのです。あの街は科学者にとっては物足りないものだったのかも知れません。私達は彼らの元で学んでいました。それで彼らが出て行くのを止めようと思ったのですが、聞き入れてくれなかったのです。この街は充分に安定しているから、自分達が管理する必要がなくなったのだ、と言っていました」
話に熱が入り始めたところだったがそこで女性がハッと気付いて、話を止めた。
「あの、どうぞ食べながら聞いてください」
一応食事を運んでくる係としての役割は果たす、ということのようだ。蚊屋野達も空腹だったので言われるままに目の前に並べられた食事に手を付け始めた。
 女性がさらに続ける。
「彼らの言ったとおり、しばらくの間は街は健全な状態でした。でも上手く行っているのは見かけだけ。皮肉なことに、私達のような見習いの科学者の中に新しいシステムを作ろうとする者達が現れました。それぞれが自分の理想を掲げて街の代表になろうとしたのです。彼らを指導する科学者がいなくなって、タガが外れたというヤツですね。能力も知識もない人達なのに。次第に彼らは理想を忘れて権力だけを求めるようになったのです。そして、その頃に東京からの通達があったのです。科学者の見習いとして、私達は東京からの提案というのは街のためにならないのは解っていました。しかし、中には理屈抜きで権力だけを追い求める人もいました。そういう人達が今街の代表となっているのです。そして私達は街を出る決心をしたのですが、街を自分のものにしたいと思う科学者の見習い達は、より多くの住民を自分達のほうに取り込もうとして、予言者様を利用したのです」
確かに、予言のようなものを信じてしまいがちな人を騙すのは、中途半端な科学者にも簡単な事かも知れない。それに中途半端と言ってもそれなりに知識があるので、そういう科学者達は予言者様みたいな人よりもたちが悪かったりもする。彼ら以上の知識がない限り、彼らの言うことは正しく聞こえてしまうし。彼らが予言者様が正しいと言ったりすれば、他の住民達も信じるのかも知れない。
「街を出るのをためらった人達も多くて、私達についてきたのは住民の半分にも満たなかったのですが、それでも十分な数の人がここに集まりました。そして、この建物を建てたり周囲の道を整備したり。最初は自分達だけで生活できるようになれば良いのだと思っていたのですが、予言者様を裏で操る偽科学者達はそれだけでは満足できなくなったようなのです。もしかすると東京の後ろ盾のある元の街を恐れていたのかも知れませんが、衛兵を組織して、さらにはもとからあった道を壊したりもしました。そうしていつか街を自分達のものにしようと機会をうかがっていたのでしょう。そしてあなた方が現れた」
なんとなく理解出来てきた蚊屋野だったが、少し疑問に思うこともあった。
「でもあなた方も、その科学を学んでいたんでしょ?だったら、こうなる前になんとかならなかったのか…とか、そんな感じも…」
蚊屋野が言っている途中から女性達からの冷たい視線を感じて話しづらくなってきた。
「私達はまだ勉強を始めたばかりだったのです。偽の科学者になってしまった人達でさえ私達に指導する立場でしたから、私達が何かを言っても住民達は聞いてくれません。…とにかく、偽科学者達があなた方が来るのを知って、それを予言者様に伝えて、いつものように予言者様が側近に告げる。そうしているうちに、尾山があなた方のことを伝えるためにここへやって来る。あ、尾山というのはあの衛兵のリーダーのことです」
「それで、みんなが予言者様の力を信じるってわけっすね。実際にはボクらの持ってるモバイルの信号で人が来るのに気付いただけなのに」
「そうなのです。彼らは自分達だけで電波を使っているのです。小細工をして住民達のモバイルには電波を使わせないようにしているのですが、それを彼らは街の人間のせいにしています」
この女性は堂中の言うことには熱心に答える。
 それはともかく、もっと早くに偽の科学者達が蚊屋野達の到着に気付いていれば、あの山の衛兵達にも先に連絡が行って蚊屋野が殴られるようなこともなかったのだが。そんな事を考えると蚊屋野の目の下に黒く浮き上がったアザのところが痛くなってくる気がする。
「しかし、どうすれば争いを避けることができるんすか?」
堂中が聞くと女性の表情が少し曇ったように思えた。
「それは簡単なことではないかも知れません。街の人達は予言者様のことは何でも信じてしまいますし、それに尾山さんが。…彼は予言者様の親戚で彼が子供の頃から世話になっているので、予言者様の言うことは何でも聞いてしまうのです」
そんなに近い間柄なら、予言者様がインチキくさいってことには気付かないのか?と思った蚊屋野だったが、また冷たい視線を向けられそうなので何も言わなかった。しかし、あの尾山という大男が一番やる気になっているというのは問題だ。街の方にも彼のように灰の影響を受けていない人がいない限り、彼一人でも街を征服できるような気がする。
 ただ、そう単純な事でもないかも知れない。蚊屋野は前に通ったあの誰もいない街の真智野先生のことを思い出した。彼は蚊屋野達を脅すのに銃を使っていたのだ。そう言う武器はどこにでもあるワケではないが、誰かが持っていてもおかしくない。いくら腕力が強くてもそういう武器に対しては無力だ。それに、そういう武器が出てくれば争いは泥沼化していくに違いない。
 宗教、政治に武力と、それに何も知らないで騙される人々。規模は違ってもこういう問題はどの世界でも似たような感じになっているようだ。
「じゃあ、その尾山って人を説得してみたら良いのかな」
蚊屋野が言ってみたが、今度はそれほど冷たい視線を感じなかったのでホッとした。
「ええ、あなたなら出来るかも知れませんね」
ただし反応は素っ気ない。
「あの人は力が強くて乱暴に思えるかも知れませんが、本当は純粋で優しい人なんです」
気は優しくて力持ちというやつか。蚊屋野はそれをある表現の裏返しでもあると思っていたのだが、そういう事は今は考えない方が良いかも知れない。でも尾山という人が単純で騙されやすい人なんじゃないか?と少し思っていた。
 そんな事とは関係なく、堂中はこの話の中で気になるところがあるようだ。
「しかし、納得いかないんすけど。街をまとめていた科学者がいなくなるとか、街が東京の管理下になるとか。そんな事は不可能なはずっすよ。どちらもテクノーロジアのルールに違反してるっす」
「ええ、それは私達も解っていました。でもこのところ何かが変わっているような気がするのです。私にはここと前にいた街の事しか解らないのですが、それでも世の中が昔とは変わってきていると思っていました。もしかすると…」
「平山さん。そろそろ行かないと」
話の途中だったが、ドアのところで外の様子を窺っていた胸の大きい方の女性が小声で言った。外に誰かが来たので、こういう話をしているのがマズくなったようだ。それよりも、今まで喋っていた方の女性は平山さんと言うことがやっと解った。
「そうですね。盛山さん」
それで、あまり喋らなかった胸の大きい方の女性が盛山さんということのようだ。蚊屋野がこの二人の名前に何かを感じそうになっていたのだが、それはどうでも良い事である。平山さんはもっと事の詳細を話したい様子だったが、これ以上は無理だと解ると堂中の前に来て彼の腕を掴んだ。
「あなた達はスフィアを調べるために東京へ向かっているのでしょう?」
「そ、そうですが」
腕を掴まれたまま真っ直ぐ見つめられて堂中は少し困惑気味になっている。
「ならば絶対にここで争いに巻き込まれてはいけません。そして東京に行ってスフィアの事を調べてください。あんなものさえなければ、下らない争いなど起こらずに済むんです。あなた達がもっと世界を良く出来るはずなんです」
平山さんはずっと堂中の事ばかり見ているが「その件に関して重要なのは自分なのになあ」と蚊屋野は思っていた。
「平山さん、行かないと」
盛山さんに言われると平山さんは最後に「頼みましたよ」と堂中に念を押してから立ち上がった。そして二人の女性は部屋を出て行ったのだが、盛山さんは蚊屋野の事を一度睨み付けてから出て行った。
 別にイイさ。嫌われるのには慣れてるから。蚊屋野は心の中でつぶやいていた。
「なんか、さらにワケわかんないっすね」
堂中が独り言のように言った。ただし変な敬語ということは、独り言ではなくて蚊屋野に言ったに違いないが。とにかくワケが解らなくなっている。
 その前に蚊屋野達は何をすれば良いのだろうか。争わず誰も傷つけずにここの人達が元の街に戻って、そしてさらに東京との関係を絶って、街の運営も元どおりになる。それが一番良いのだろうが、そんなことは偶然上手く行かない限りは出来ない気がする。
「ボクらに味方する人がもっと沢山いればなあ」
「そうっすね」
蚊屋野と堂中は同じ意見だったが、恐らく頭の中で考えている事は全く異なるだろう。というよりも秀才で科学者タイプの堂中と、何年も大学四年生をやっていた自称文学青年が同じ事を考えているワケはない。この二人がこれから話し合って良い解決策を思い付けるのか解らない。しかし、思い付けるかどうかにかかわらず、明日になれば彼らは街に交渉をしに行かないといけないのだ。

 その頃、隣の部屋では何が起きていたのか。
 花屋は運ばれて来た食事を食べたのだが、その後に急に眠気に襲われてベッドに入って深い眠りに落ちた。こっちの部屋に食事を運んできたのは、ここで起きている問題に気付いていない人だったのだろう。ということは、やはり蚊屋野達に味方できるような人というのはほとんどいないという事でもある。
 とにかく、花屋は眠り薬入りのスープを飲んで眠くなって寝てしまったのだ。(どうでも良い事だが、この「眠り薬」という言い方は「睡眠薬」よりも予言者っぽい世界観を感じさせる。)
 花屋が寝てしまうとケロ君はやることがなくなって、それに近くに危険も感じなかったので花屋のベッドの横で一緒に眠っている。
 この夜のこの部屋だけはミョーに平和でスースーいう寝息が聞こえているだけだった。