青い部屋で、全ては思い出の暗がりに消えて行く。どんな感情も埃臭く、どんな言葉も色あせている。ほとんど忘れらていた記憶が甦ることがあっても、それは他の記憶と同様に新鮮さを失っているものである。そんな中で明確な色彩を失わないものを見つけることはたやすいことであると思っていた。そして、そういうものを何度も見つけてきた。しかし、手が触れたとたん、それは色彩を失ってしまう。それは空気の臭いのしない、乾燥しきった空間へと放たれるのである。外から見れば、そこでは全てが美しい。その中のものは決して外の世界に出すことができない。それらは、あるべき場所にあってこそ美しいものだから。

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