ジングルベルが鳴り響き
浮かれ沸き立つ街の夜の
影の中より現れる
数限りなき愛憎劇
胸に秘めたる憎しみは
やがて愛へと変わるのか
はたまたさらなる裏切りが
新たな悲劇を語るのか
というわけで、今年も×(ペケ)マスがやってきそうです。浮き足立っているみなさんに、今年もあまりステキでないお話を、ということです。
ブラックホールスタジオのみなさまへ。私は最近あることに気付きました。私のしてきたことは独善的なものかも知れません。私は今までそんなことに気付かずに、私の一方的な愛を世界の子供たちに押しつけようとしていたのかも知れません。それをあなた達は私に気付かせてくれたのです。あなた達が私のことをどのように思っているのか解りませんが、私は今年のクリスマスは是非ともあなた達と過ごしたいと、思っています。もしよろしければ私と一緒にクリスマスを祝いませんか?
あなた方の良き友達、サンタのおじさんより。
12/24 ブラックホールスタジオ
Little Mustapha(以下LM)-----こんな手紙が来たんだ。だから今日の復讐計画は中止ね。
ニヒル・ムスタファ(以下NM)-----なに言ってんだよ。こんな手紙信じるのかよ。
LM-----仕方ないよ。もう、ここに招いちゃったし。なんか酒もいっぱい持ってきてくれるって言ってたよ。
Dr.ムスタファ(以下DM)-----そんなことは許されんぞ。わしは今日のために超強力電撃銃を改良して、バッテリーで動くようにしてきたんじゃ。
ミドル・ムスタファ(以下MM)-----そんなのどこにあるんですか?
DM-----今は外に置いてある。何しろ車用のバッテリー20個も使うからなあ。ここまで持ってくるのは誰かに手伝ってもらわんと。
NM-----それは、改良とは言わないんじゃないの?
MM-----そうですよ。せめてブレーカーが落ちないぐらいの電圧で動くようにしてくれないと、改良にはならないですよ。
DM-----何を言ってるんだ。今回のは凄いんだぞ。直列つなぎなんだぞ!
LM-----直列でも並列でも、今年はそんなものは必要ないよ。今年はサンタのおじさんとサンタの国の地酒を飲みながら語り明かす会なんだから。それに、サンタのおじさんと仲良くなれば、年に一回じゃなくて毎日でもプレゼントがもらえるかも知れないぜ。
MM-----それは一理ありますねえ。
NM-----それでいいのか?ヤツは何年オレ達を裏切ってきたと思ってるんだ。それを思えば今さら和解なんて考えられないね。それに、その手紙の内容だけど。うさんくさいぜ。ヤツこそ何か企んでるのかも知れないぜ。
マイクロ・ムスタファ(以下McM)-----私はLittle Mustaphaの提案に賛成ですね。暴力は良くありませんよ。
一同-----なんだ、キミいたのか。
McM-----ええまあ。でも今日は早めに発言しましたよ。私の「非暴力の季節」という話の中で・・・
NM-----そんなことはどうでもいいけど、ヤツは去年銃を持って押し入ってきたんだぜ。そんなヤツに対して暴力は良くないなんて言えないよ。
MM-----押し入ってきたと言うより、招いたのはボク達でしたけどね。
LM-----サンタのおじさんはそんなに危険な人じゃないと思うけどね。銃って言うのはサンタのトレードマークみたいなもんだし。
NM-----トレードマーク?誰がそんなこと言ったんだよ。
LM-----今ボクが考えたんだけど。
DM-----まあ、どうでもいいじゃないか。ヤツがもしホントに心を入れ替えたのなら、わしらにはプレゼントの山だぞ。それに、もしヤツがまた銃を持ち出したりしても、こっちには超強力電撃銃があるしな。
NM-----まあ、しょうがないか。
なんだか解りませんが、今年のサンタのおじさん襲撃計画は中止になったようです。果たして、Little Mustapha達は目的のプレゼントを手に入れることが出来るでしょうか。彼らがなぜサンタのおじさんを襲撃しようとしているのか、また彼らはどんなプレゼントが欲しいのか、解らない人は前々回の「ディレクターズカット」を読めばすべて解ります。
そうこうしているうちに、ブラックホールスタジオの外には一台のタクシーが到着しました。中から出てきたのはサンタのおじさん。トナカイのそりはどうしちゃったんでしょうか。やっぱり空飛ぶトナカイのそりは作り話だったのでしょうか。
サンタのおじさんが大きな声で呼びかけます。「オーホッホッホッ。サンタのおじさんだよ!」
サンタのおじさん、いい加減にその芸風はやめにしたら。
MM-----あれ、もう来たみたいですよ。
LM-----あれ、もう来たの?早いなあ。まあいいか。それじゃあみんなにこやかにね。にこやかに頼むよ。
Little Mustaphaがサンタのおじさんを迎え入れる。
サンタのおじさん(以下St)-----オーホッホッホッ。メリークリスマス!
一同-----メリークリスマス・・・。
St-----おやおや?みなさん表情が硬いですよ。みなさんもっとにこやかに。
LM-----そうだよ、みんなにこやかに。
NM-----無理なこと言うなよ。オレはどうがんばってもにこやかにはなれないんだよ。
DrM-----わしも、笑うと気持ち悪いとか言われてねえ。どうも笑い方がスケベらしいんじゃ。
MM-----あなたはスケベなことを考えてるときしか笑いませんからねえ。
McM-----私は合格でしょう。こんなにニコニコしてますから。
NM-----それのどこがニコニコなんだよ。
McM-----えっ、そうですか。私の「笑顔の季節」では・・・
LM-----それよりも、サンタのおじさん。おみやげは?
St-----おう、そうじゃった。持ってきたぞ、サンタの国のサンタ酒。オーホッホッホッ。
LM-----うわあ、おいしそうだね。それにこんなに沢山。4リットルはあるね。
MM-----僕らはそんなものよりプレゼントが欲しいんですけど。
St-----プレゼント?残念だがプレゼントはもうないんじゃ。キミ達はもう大人じゃろ。わしは子供にしかプレゼントを渡さないんだよ。まあ、前もって手紙を送ってくれれば考えなくもなかったんじゃがのう。オーホッホッホッ。
これにはブラックホールのメンバー、全く納得がいきません。Little Mustaphaはおみやげの酒のことで頭がいっぱいなのでプレゼントのことはどうでも良くなっているようです。Little Mustapha以外のメンバーは別室に移動してなにやら内緒話を始めました。
NM-----どうも、あのサンタは怪しすぎるぜ。
MM-----そうですよねえ、あんなにいっぱい酒を持ってきて、なんだかLittle Mustaphaに気に入られようとしている感じもしますよ。
DrM-----それに、プレゼントなしとはどういうことじゃ。あれじゃあ、仲良くなったところでプレゼントなんかもらえんよ。何を言っても、キミはもう大人だからなあオーホッホッホッ、って言うに決まってるんじゃ。
MM-----でも、どうしてサンタのおじさんはここにやってきたんですかねえ。
NM-----絶対に何か企んでいるに違いないよ。きっと去年の仕返しをするつもりなんじゃないか。
DrM-----そうはさせんよ。こっちには超強力電撃銃があるんじゃ。
MM-----あれはどう考えても使えませんよ。
NM-----まあ、ここはLittle Mustaphaにならって非暴力作戦で行こうじゃないか。どうやらヤツは銃は持ってきていないようだぜ。武器を持ってないヤツに武器を使うのは卑怯なやり方さ。
DrM-----それじゃあ、どうするんだ?
MM-----それよりも、大事なことを忘れてますよ。サンタのおじさん、例の袋を持ってきてないですよ。あのプレゼントが詰まった袋。
NM-----そんなことは解ってるよ。キミはサンタのおじさんが配るプレゼントをどこから手に入れてる思う?
MM-----さあ、デパートで買ってくるんでしょうか?
DrM-----あまいなあ。キミはそれで本当にヤツに復讐するつもりがあるのかね。
NM-----あのプレゼントはサンタの国のサンタの家のサンタの部屋に勝手に湧いて出てくるんだぜ。
MM-----ええっ!本当ですか!
NM-----そんなに驚くこともないけど。
DrM-----それで、どうするんだ。プレゼントは。
NM-----オレ達がそのサンタの部屋に入り込めばいいのさ。そうだなあ、こういうのはどうだ?ヤツに酒をしこたま飲ませて歩けなくするんだ。それをオレ達がいい人のふりをして家まで送っていくんだ。どうせそこまで酔ってるんだから、家に着いたとたんヤツは眠っちまうに決まってる。そうなればサンタの家はオレ達のもんさ。どんなプレゼントも好きなだけいただけるってわけなのさ。
DrM-----なかなか素晴らしい案じゃないか。
MM-----でもそんなに簡単に酔わせることが出来ますかねえ?サンタのおじさんもかなり酒に強そうな感じでしたよ。
NM-----大丈夫だよ。ウィスキーをビールで割ったりワインで割ったものを特製カクテルだって言って飲ませればそのうちつぶれるよ。
MM-----じゃあそれでいきましょう。怪しまれないように私たちも楽しく飲んでいるふりをしましょうね。もちろん飲むのは軽く、ですけど。
McM-----みなさん、大事なことを忘れていませんか。
一同-----なんだ、キミいたのか。
McM-----私はあのサンタのおじさんは、昨年私たちが呼んだサンタのおじさんとは別人のような気がしてならないんです。私が昨年見たサンタのおじさんはもっと恐ろしい目をしていたような気がしたんですが。私の「非暴力の季節」で主人公は・・・
NM-----そんなことはどうでもいいよ。銃を持ってオレ達を殺そうとしてたんだぜ。恐ろしい目をしていて当然じゃないか。あんまり長い間ここにいたら怪しまれるから、そろそろ戻ろうぜ。
やはりここはブラックホール。何かが起きそうな予感がいたします。果たして、彼らの計画は見事成功するのでしょうか?
一方その間、居間ではLittle Mustaphaとサンタのおじさんが他のメンバーを差し置いて早くもおみやげの酒を飲み始めていました。サンタのおじさんもLittle Mustaphaに劣らず酒が好きなようです。もうすでに二人で2リットルは飲んでいるようです。
LM-----いやあ、サンタのおじさん、ボクはあなたとこうして一緒に酒を飲めて幸せだよ。ボクはなんだかあなたのことを誤解していたみたいだ。
St-----そんなこともないじゃろう。わしはキミの思ってるとおりつまらないサンタのおじさんだよ。オーホッホッホッ。
LM-----そんな、謙遜してもらっちゃ困りますよ。あなたは偉大なサンタのおじさんですよ。ボクはなんだか自分が情けなくなってきますよ。ところで、サンタのおじさん。今日はこんなに早くやってきて大丈夫なんですか。世界の子供達にプレゼントは渡してきたんですか?
St-----実を言うとな、今年はほとんどお呼びがかからなかったんじゃ。最近はわしの人気もがた落ちでなあ。子供達はわしを見ても少しも喜ばないんじゃ。それに、今の世の中、サンタと聞いて人々が想像するのはサンタの衣装を着たセクシーなギャルなんだよ。全く悲しいことじゃよ。オーホッホッホッ。
LM-----セクシーサンタですか。それはそれでボクはいいとも思いますけど。でもああいうセクシーサンタはなんにもくれませんからねえ。それどころか、取るだけとってどこかへ消えていってしまうんですよ。やっぱりサンタはプレゼントを配ってこそサンタですよ。
St-----いいことを言うねえ。そんなことを言ってくれるのはキミ達だけだよ。こんなことを言うのもなんだけどなあ、どうやら世界中でわしのことを信じてるのは、キミ達だけのようなんじゃ。だからこうしてやってきたんじゃけどな。他の人たちはわしのことを相手にしてくれないんじゃ。オーホッホッホッ。
LM-----誰からも相手にされないのはボクも同じです解りますよその気持ち。でも、サンタを信じているのがボクらだけだとは驚きだなあ。最近じゃ子供も夢を持たなくなったのかなあ。ボクらは何でも信じてますよ。信じてると言うより、公平な目で物事を見てるんです。そうすれば存在しているものは存在してる、存在してないものは存在してないと、ちゃんと解るようになるんです。始めから、無いと決めつけるのが一番良くないんです。
St-----なんだか、偉いことを言ってるんだか、でたらめなんだかよく解らないのう。ところで、さっきから気になっていたんじゃが、そこの電話のところが点滅してるのは留守番電話じゃないのか?オーホッホッホッ。
LM-----あれ、ホントだ。おかしいなあ、今日はずっと家にいたけど電話なんかかかってこなかったけどなあ。それよりもサンタのおじさん。その笑いは何とかなりませんか。
Little Mustaphaは立ち上がって留守番電話のボタンを押す。
留守番電話-----ゴゴ、ゴジ、ゴジュウゴ、フン、ピーッ「ちょいと、あなた方、今年もクリスマスパーティーを開いてるそうじゃないの。どうしてあたくしをお招きにならないの?あたくしのようなパーティーの花がなければ、そんなものはパーティーとは呼べませんわ。それとも、あたくしのシングル曲にアリスクーパー様の歌詞のパロディーを付け加えたことにあたくしが腹を立てていると思っていらっしゃるのかしら?それなら心配いりませんのよ。あたくしは分別のある大人ですから、そんなことで腹を立てるようなことはありませんのよ。それでは、これを聞いたらすぐにあたくしのところに電話するんですのよ。早くしないとあたくしはまたセレブの集まる他のパーティーのほうへ行ってしまいますわよ。それからあたくしのお屋敷の電話番号は、666の・・・」ピーッ。メッセイジ、オワリ。
St-----なんですか、その変なメッセージは?
LM-----あ、いや、関係ないんだ。多分いたずら電話じゃないかな・・・へへっ。それよりもみんなは何やってるんだ?早くしないと酒がなくなっちゃうよ。
そこへ悪事を企む他のメンバー達が、大量の酒を持って入ってきました。
MM-----メリークリスマス!
LM-----どうしたんだよ急に。それに何でそんなに酒がいっぱいあるんだ?
NM-----サンタのおじさんもキミみたいにたくさん飲みそうだから、オレ達で用意したってわけさ。
St-----そいつは素晴らしい。キミ達にこんなに親切にされるなんて、わしは感激じゃよ。オーホッホッホッ。
MM-----それじゃあ、みんなで乾杯しましょうか。
DrM-----サンタのおじさん。その笑いはやめないでくれよ。それがないとわしがしゃべってるのか、あんたがしゃべってるのか区別がつかないからのう。
St-----わかっとるよ。それじゃあ、乾杯といきますかな。さあ、グラスを持って。オーホッホッホッ。
一同-----カンパーイ!
ニヒル・ムスタファの計画はうまくいきそうです。サンタのおじさんはつがれる酒をどんどん飲んでいきます。でもサンタのおじさん、相当酒が強いらしく、つぶれるどころかさらに元気になっていいます。ここで諦めるわけにはいきません。サンタのおじさんがつぶれるまで、とニヒル・ムスタファたちは飲み続けていましたが、終いには彼らのほうが酔っぱらってきてしまいました。ブラックホールのメンバーとサンタのおじさんで、かなり話が盛り上がっています。多分、もう計画のことなど忘れているかも知れません。
DrM-----・・・というわけで、この実験が成功すれば我々が瞬間移動できる日もそう遠くないというわけじゃ。
MM-----へえ、そうなんですか。驚いちゃいますねえ。
NM-----そんなの嘘に決まってるじゃないか。どうしてキミはそんなふうに何にでも驚くんだ?
St-----まあ、いいじゃないか。夢のある話はいくらしても無駄にはならんのじゃよ。オーホッホッホッ。
LM-----ところで、サンタのおじさんは、その笑い方の他にはどんな笑い方をするの?たとえばギャグを聞いたときとか、違う笑い方するの?
NM-----いいところに気付いたな。オレもそろそろ違う笑い方が聞きたくなったんだけど。誰か面白いギャグを言える人いるか?
DrM-----わしは無理じゃ。
MM-----ボクも駄目です。
LM-----ボクは遠慮しておくよ。
NM-----それじゃあ、マイクロ・ムスタファだな。
McM-----ええっ、そうなっちゃうんですか?解りました。じゃあいきますよ。・・・
一同、黙ってマイクロ・ムスタファが口を開くのを待つ。
McM-----・・・ドリューバリモア!
ブラックホールのメンバーは大爆笑!でもサンタのおじさんは少しも笑いません。
St-----今のがギャグなのか?
MM----そうですよ。面白くありませんでした?
St----そうだなあ、面白いと言えば面白いかもしれんがなあ。それだったらわしにも出来るぞ。じゃあ、いくぞ・・・ミラジョボビッチ!
全員大爆笑
何が面白いのか解りませんが、ブラックホールスタジオの中はたいへん盛り上がってきました。この後もこのよく解らないギャグ合戦が続きました。全員かなり酔っぱらっているようです。そこへ電話の音が鳴り響きました。でも、誰も出ようとしません。
St-----電話ですよ。出なくていいのかね?
LM-----いいんだよ。これは留守番電話なんだから。出なくても機械が電話に出てくれる。それが留守番電話ってやつだからね。
しばらくすると、留守番電話が応答を始めました。電話機がおきまりの台詞を言った後、録音が始まります。スピーカーから抑揚のない暗い声が聞こえてきます。
電話の声-----ブラックホールの諸君、メリークリスマス。私が誰だか解るかね?私はサンタクロースだよ。フッフッフッ。キミ達には何のことだか解らないだろうが、そこにいるサンタは偽物だ。私が本当のサンタクロース。キミ達を裏切り続け、そしてこれからもづっとキミ達を苦しめ続けるサンタクロースなのだよ。今年こそはキミ達と対決できると思って楽しみにしていたんだがね、その偽サンタという邪魔が入ってしまってね、ホントに残念だよ。フッフッフッ。それでは、来年こそは決着を付けようじゃないか。それまでに私も銃の腕を磨いておくことにしよう。楽しみに待っていろよ。フッフッフッフッフッ・・・・
St-----なんだ、この電話は。わしを偽物あつかいしとるぞ。オーホッホッホッ。
MM-----それよりも、あの声聞きました?あの時と同じでしたよねえ。
DrM-----ああ、そうだ。電話が燃えたときの声と一緒じゃ。
(電話が燃えた時とはブラックホール再開記念パーティーの時です。「リブート」参照)
LM-----なんだか面白いことになってきたぞ。
McM-----これはミステリーですよ。ここにサンタのおじさんがいるのにもかかわらず、サンタを名乗る男から電話がかかってきた。そして、その声は以前にもここに電話をかけてきた男の声にそっくり。どちらが本物のサンタなのか、それともどちらも偽物なのか。それに昨年私たちのところへやってきたサンタは誰だったのか?どうも私には解らないことばかりです。
DrM-----なんだねキミは?
McM-----はあ、探偵の金田一です。
DrM-----探偵がここに何の用だ。
一同大爆笑です。どうやら完全に酔っぱらった彼らは金田一ごっこを始めてしまったようです。
LM-----金田一さん、ボクはサンタのおじさんの家系について調べてみたんですがねえ、どうやらサンタのおじさんはドリューバリモアと血縁関係にあるらしいんですよ。
NM-----それに、ミラジョボビッチも関わってるんじゃないか?
一同爆笑。
St-----そんなことはない、犯人はペネロペに決まってる。
McM-----それでは、つじつまが合いません。どれも、ディレクターN.T.とはなんの関わりもありませんからねえ。ボクはこの事件の裏には何か複雑な事情があるのだと思うんです。
DrM-----よし、解った!犯人はキミだ。マイクロ・ムスタファくん。キミは今日喋りすぎだ。
一同、また大爆笑。
ブラックホールは一晩中こんな感じで盛り上がっていました。本当にこれでいいのでしょうか。あの脅迫じみた電話について真剣に考えなくても大丈夫なのでしょうか。でも彼らにそんなことを考えられるわけはありません。あれだけの量の酒を飲んでまともにものを考えられる方がおかしいのです。彼らの訳の解らないパーティーは明け方まで続きました。そして、もう日が昇ろうとする頃になって、ブラックホールのメンバーはその場に横になって眠り始めました。起きていたのはサンタのおじさんだけです。サンタのおじさんは眠りについたLittle Mustapha達を見ながら、グラスに残っていた特製カクテルを飲み干すと、すっと立ち上がりました。
「キミ達のおかげで今年は楽しいクリスマスが過ごせたよ。それに、やる気も取り戻せたような気がするよ。キミ達のくだらなさに比べたら、わしはどんなに価値のあることをしているか確認できたしのう。オーホッホッホッ」サンタのおじさんは独り言のようにねているLittle Mustapha達に語りかけました。そして、サンタのおじさんが窓を開けると、外ではトナカイのそりがサンタのおじさんを迎えにやってきていました。サンタのおじさんがそりに乗り込むとトナカイのそりはふわりと宙に浮いて瞬く間に空高く登っていきました。
「オーホッホッホッ、オーホッホッホッ・・・」
サンタのおじさんの笑い声が明け方の街に虚しく響きます。
やっぱり、本物のサンタだったのでしょうか?それにこの話はどうなってしまうのでしょうか?それは来年のお楽しみ。来年には話が完結するかも知れませんが、もしかするとこのコーナー自体がなくなっていることもあり得ます。まあ、サンタを待つような気持ちで待っていてください。この話の結末はサンタの存在くらい怪しいものですから。それでは、また来年お会いしましょう。