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#011 「ザ・マグニフィシェント・セブン」 2004-01-11 (Sun)

 あれまあ、もう一月だあ。年が明けて初めてあうときには何かお決まりの挨拶があったはずだけど、まあいいか。もうみなさん聞き飽きてるでしょうから。でも、今回の中身は新年らしいですよ。今年は、かの七福神の面々を招待して、新春特別インタビューをお送りする予定です。新年の更新が遅れたのもこのためです。なにしろ、七福神さん達は年明けが一番忙しいそうですから、今日も予定を過ぎてもなかなかやって来ません。ここに来るときはきっとすごい演出で登場するのかも知れません。なにしろ神様ですから。

 それでは、七福神さん達が到着するまで、七福神について少し調べてみましょう。もうみなさんご存じかも知れませんが、七福神とは、大黒天、恵比須、毘沙門天、弁財天、布袋、福禄寿、寿老人の七人の神様をひとまとめにしたもの。寿老人の代わりに吉祥天がはいることもあるそうです。寿老人はけっこう微妙な立場みたいですねえ。福禄寿と芸風がかぶってるのが原因らしいです。

 私は今までずっと勘違いしていたんですけど、七福神はいろんな宗教からおめでたい神様を集めたもののようです。いいとこ取りでいい感じです。私はそろそろサンタクロースも入れた方がいいんじゃないかとも思いましたが、彼は神様ではなくて聖人なので七福神には入れませんね。残念。

 それでは、七福神についてもう少し・・・うわぁ!何ですかあなた達は!?



「我々は七福神だ」

「あなた達が七福神?黙って人の部屋にあがってきたら驚くじゃないですか。音楽とか煙とか出してから登場してくださいよ。神様なんでしょ」

「いかにも神様だが。なんで音楽や煙が必要なんだ?キミはイメージだけで物事を考えてるからそんなことを言うんだな。音楽や煙は人が勝手に考え出したものだよ。私らは今みたいに普通に登場するんだ」

「そうなんですか、まあいいか。それにしてもあなた達、顔色悪いですねえ。顔色というか、人相が悪い。大丈夫なんですか?」

「ああ、これなら気にせんでくれ。私らは酒ばっかり飲んでるから、たいていこんな顔してるんだ。特に新年はいつもの三倍は飲むなあ。それで二日酔いってわけだ」

「なんだか、イメージと違うなあ」

「さっきも言ったようにイメージだけで物事を・・・」


「はいはい、解りましたよ。それじゃあインタビューを始めますから。まずは大黒天さんから」

-----資料によると、大黒天さんはインド出身だそうですね?

大黒天-----それがどうしたって言うんだ!

-----うわ、なんで起こるんですか。

大黒天-----出身地と今の状況は何の関係もない!

-----大黒天さん、今なんかで悩んでるんですか?まあ、いいや。それじゃあ、出身地のことはやめて、その背負ってる袋と小槌ですけど。その袋には何が入ってるんですか?まさか子供にあげるプレゼントじゃないですよね。

大黒天-----うん?これか?これは不要なものを入れる袋だ。キミは知ってるかどうか解らないが、この小槌を振れば何でも出てくるんだ。調子に乗っていろんなものを出し過ぎた時はこの袋に入れて持ち帰るんだ。どうだ便利だろ?大型だから沢山はいるぞ。

-----そうなんですか。ところでその小槌はやっぱり「打ち出の小槌」だったんですか?

大黒天-----打ち出の小槌?そんなもんは知らないけど、これはただの神様の小道具だよ。神様は道具なんか使わなくてもいろんな物を出せるんだけどな、何か持ってないと様にならないから。

-----それじゃあ、イメージだけ考えるなっていうのと矛盾している、気がしますけど。

大黒天-----なんだと。キミも失礼なことをいうなあ。キミ、知ってるのか?私は元々破壊の神だったんだぞ!キミが失礼なことばかりいってると、破壊の神の本領発揮しちゃうぞ。

-----いやいや、それは困りますよ。私のせいで世界がめちゃめちゃになったら困りますから。・・・そうか、だから出身地を聞かれたくなかったんですね。それでも、めでたい神様になれたのはやっぱりその小道具のおかげですかねえ。イメージ戦略ってやつですね。いやあ、やっぱり勉強になります。それじゃあ、大黒天さんは怖いからそろそろ次にいきましょう。次は恵比須さん。

-----恵比須に「さん」を付けると私はおかしな漫画家を想像してしまうのですが、まあいいか。あっ、怒らないでくださいよ、私は悪気があってこんなことを言ってるんじゃないですから。思いついたらいいたくなっちゃうんですよ。神様なら解ってくれますよね。

恵比須-----私もギャンブルは好きだけどな。まあ、あんな漫画家と一緒にされちゃ気分は良くないなあ。

-----いやあ、失礼しました。でも神様はギャンブルなんかするんですか?

恵比須-----私だけじゃないよ。神様は賽銭箱の中の金で競馬やら競艇やらをやるんだ。なぜだか知ってるか?人間ていうのは神様にとんでもないお願いばっかりするだろ。そんな願いを叶えるのは神様の力だけではどうにもならないことが多くてな。それで金で解決って訳だよ。競馬に勝てばその金で望みの物を買ってあげられるんだ。ただし、お賽銭にそれなりの金額入れないとだめだけどな。

-----それなりじゃないとどうなるんですか?

恵比須-----たとえば十円を入れた者がいたら、他にも十円を入れた者を何人か集めて一枚の馬券を買うんだ。まあそれだけもらえる物も少なくなるけどな。どっちにしろ予想が外れれば何にも戻ってこない。

-----へえ、なんだかほとんど犯罪に近いですねえ。

恵比須-----何をいってるんだ。こっちは少しももうけてなどいない。予想を楽しんでるだけだ。それに、訳のわからん願い事をする方が悪い。

-----そうですよねえ。あなたは漁師さんの神様ですからね。でもその竹竿で何か釣れるんですか?なんだか適当に作ったような感じですけど。

恵比須-----ふふふふっ。そう見えるかね。これは実はカーボンなんだよ。あんまり現代風の竿だと違和感があると思ってね、竹っぽくしてるんだ。

-----へえ、そうですか。それじゃあ今度も大漁ですね。・・・でも恵比須さんが大漁でもあんまり意味がありませんよね。

恵比須-----いいじゃないか。釣りは趣味でやってるんだから。

-----たまには仕事もしてくださいよ・・・。それじゃあ、次。

-----毘沙門天さん。あなた、どこか具合でも悪いんですか?

毘沙門天-----何でだ?

-----なんだか、おなかが痛いような顔をしてますよ。トイレなら使ってください。部屋を出てすぐの扉ですから。

毘沙門天-----これは憤怒の表情だ。最近は疲れてきてうまく表情が作れなくなっただけだ。神様はおなかを壊したりはしない。それにトイレなんか使わないんだ。

-----でもなんだかつらそうですよ。笑いたいときには笑ってもいいですよ。誰にも言いませんから。

毘沙門天-----笑ってる暇などあるか。私は悪者を追い払うのに忙しいんだ。

-----そうでしたね。毘沙門天さんは普段、帝釈天を守ってるんでしたね。家は柴又のほうなんですか?

毘沙門天-----あれは帝釈天をまつっているところだ。私はそんなところには住んでない。

-----なんだ、そうなんですか。・・・あれ、でもあなたがここにいるってことは、今頃帝釈天はかなり無防備なんじゃないですか?

毘沙門天-----あっ、しまった!

(毘沙門天退室)

-----行っちゃいましたね・・・。じゃあ、次にいきましょうか。

-----弁財天さん。今日はあの琵琶は持ってないんですか?

弁財天-----あんな重い物、持ってくるのが面倒ですわ。それに、あたくしにはあのような小道具は必要ありませんのよ。あたくしの美貌と神様のオーラだけで十分ですわ。

-----あの・・・あなたもしかしてプリンセス・ブラックホールじゃあないですよね?

弁財天-----なんですの、それ?

-----いやあ、あなたとよく似た喋り方をする人を知っているもんで、もしかしたらと思いましてね。まあ、気にしないでください。

弁財天-----そんなことを言われたら、気にしていないものも気になってしまいますわ。でもいいですわ。許して差し上げます。

-----そうですか、良かった。そういえば、Little Mustaphaはギターが上手くなりたいって、あなたにお願いしたことがあるみたいですよ。確か、あなたは音楽とかの芸事の神様なんでしょう?

弁財天-----そうですわよ。それにその方はギターが弾けるようになったんでございましょう?

-----まあ、弾けるようにはなりましたけど。彼が望んだのは、もっと上のレベルらしいんですけど。

弁財天-----そんなことは無理な話ですわ。それにその方がギターを弾けるようになったのも、勝手に練習をしたからなんですのよ。あたくしはなんにもしていませんわ。そんなお願いをいちいち聞いてたら面倒で仕方ありませんわ。それに、そういうお願い事をかなえると世の中は音楽家だらけになってしまうのよ。まったく、ひどい話じゃございません?Little Mustaphaみたいな人は楽器が弾けると女の子にもてると思いこんでいるに決まっていますわ。

-----はあ、そうなんですか。彼にそう伝えておきます。それじゃあ、どんなお願いなら聞いてもらえるんでしょうかねえ。

弁財天-----あたくしはお願い事なんか聞きませんわ。あたくしはいつもお金をきれいにしているんですの。あなた、銭洗い弁天って知りません?

-----お金をきれいにするって、なんだか銀行強盗が喜びそうですね。

弁財天-----まあ、銀行強盗だなんて。なんてことをおっしゃるの?!あたくしは世の中のためを思ってやっているんですのよ。お金には汚れた心がつきものですから、それをあたくしがきれいにして差し上げようってことなんですのよ。それなのにあなたは、銀行強盗だなんて。あたくし、あなたに何が起きても知りませんからね。

-----ちょっと、それは困りますよ。このとうり謝りますから・・・。

弁財天-----プン!

-----プンって、それ・・・。弁財天さんはすねてしまったようなんで、布袋さんのインタビューに移りたいと思います。


-----布袋さん、私はずっと気になってたんですけど、あなたは以前ここにやってきた神様じゃありませんか?

布袋-----ん?なんのことだ?

-----むかし、ここにいた太った神様ですよ。

布袋-----太ってるだと!私だって太りたくて太ってる訳じゃないよ。それに、太ってるだけで似てると言うな。多分その神様というのは疫病神の一種だな。私は滅多にこんな薄暗いところには来ないから。

-----あれは、疫病神だったんですか。それにしても太ってましたね。

布袋-----だから、デブというのはやめないか。これでも昔はもう少し痩せてたんだぞ。昔はひもじい思いをしていた人間がたくさんいたから、少しずつ私の食事を分け与えていたんだがな。今じゃそんな人はほとんどいないから、私は好きなだけ食べられる。だからこんなに太ってしまったんだ。いってみれば社会の生んだ悲劇というやつだ。

-----我慢すればいいじゃないですか。

布袋-----神様は我慢なんかしないんだ。私は気の済むまで食べるんだ。ところでキミ、いいのかね?

-----何がです?

布袋-----「布袋さんのインタビュー」なんて書いたら、検索して来た人ががっかりするぞ。布袋寅泰と勘違いして。

-----あなたがそんなこと言うと、よけいに検索ワードを増やすだけじゃないですか。まあ、いいですよ。そういう風にしてここに来た人たちは入ってきたとたんに出ていきますから。

布袋-----そうか、そうか。さすが疫病神に好かれるだけはあるな。アハハハ。

-----なんですか、その笑い方は。気分が悪いので次ぎいきます。

-----うわっ、なんですかその頭!

福禄寿-----ここに私の全てがある。ここに宇宙の全てがある。

-----???。おっと失礼しました、福禄寿さん。思っていたより頭が長いんで驚いてしまいましたよ。

福禄寿-----まあ、気にすることはない。私はこの頭だけで神様やってるようなもんだから。

-----そうですよねえ。その頭は何とも言えない威圧感がありますからねえ。でも、その頭の他には何かないんですか?

福禄寿-----特にはないかなあ。

-----ないって、神様の特別な力はないんですか?その頭だけじゃなんだか寂しいでしょう。

福禄寿-----この頭だけじゃだめだって言うの?

-----いやあ、そんなことはありませんけど。

福禄寿-----そんなくだらない質問ばっかりしてるなら私はもういくぞ。

(福禄寿退室)

-----意外と怒りっぽいんですねえ。まあ、次の寿老人さんは福禄寿さんと同じ芸風らしいから、寿老人さんにいろいろ聞きましょう。

-----寿老人さん、あなたは福禄寿さんと同じで長寿の神様みたいですね。あなた自身もずいぶんお歳を召された感じですが、それも神様の演出ですか?

寿老人-----あー・・・あー・・・。

-----あの、寿老人さん?

寿老人-----うー・・・うー・・・。

-----あのう、大丈夫ですか?寿老人さん?・・・まずいなこれは。

寿老人-----あー、あんた。今日の朝ご飯はまだかね?

-----え、なんですか?もう夜なんですけど。

寿老人-----夜?嘘言っちゃいけねえよ。あんた、早く朝ご飯持ってきてくれ。

-----もう、無理なようですね。それじゃあ、これで終了です。

 このように新春特別企画、七福神インタビューは失敗に終わりました。あの神様達は本当の神様だったのでしょうか?なんだか、また偽物にだまされたような気がします。


 それにしても、サンタの時は一人だったから良かったけど、七福神は七人もいるから絵を描くのが大変。大変なだけに仕上がり具合もばらばら。でも気持ち悪さは一貫しています。

 こんなことをして、罰当たりだと思われる方もいるかも知れませんが、私は七福神をサンタと同じくらいの人気者にしたいと思っているので、こういう方法もありだと思います。布教活動ともとれる立派なおこないです。ですから、これを読んだ神様のみなさまは私に何かいいことをしてください。よろしくお願いします。


 それでは、次回は神様の力で幸福を手に入れた私が、バラ色の人生フェアーです。


補足:ザ・マグニフィシェント・セブンとは七福神の英語訳ではありません。「七人の偉人」或いは「荒野の七人」という意味です。