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#065 「ザ・正しい日本語講座」 2005-11-05 (Sat)

 学校での授業の中で一番役に立っていないのは何か?と聞かれたらきっと「文法中心の英語の授業」と言うでしょう。しかもろくに英語を話せない教師が変な発音で教えるのだからいくら勉強しても英語が喋られるようになるはずがありません。でもみなさんは気付いているでしょうか。日本語、すなわち「国語」の先生も正しい日本語を話していません。

 学校では絶対に教えてくれない日本語の文法があります。教えてる教師もその存在に気付いていないので教えてくれないのは当たり前。実は日本語にも「定冠詞」があるのです。日本語でもある種の名詞の前には定冠詞「ザ」を付けなければいけなかったのです。最近になってやっと日本語の定冠詞の存在に気付いた人がでてきたようで、いろいろなところで定冠詞付きの日本語を目にすることが出来ます。しかし、ちゃんとした教育が出来ていなかったためでしょうか、その使い方を間違えている事がまれにあります。ということで今回はここで「ザ・日本語講座・定冠詞編」を開講したいと思います。

その1…「いつ定冠詞を使うのか」


 始めから難しい話です。しかし、これが解ればほとんど日本語の定冠詞をマスターしたも同然です。張り切って行きましょう。

 英語の場合でも、どの名詞に定冠詞を付けるのか迷うことが多いと思います。英語の教科書を見ても漠然としたことしか書いていませんし、文法的にこれを説明するとかなりの時間が必要です。英文法の専門書には冠詞だけを扱った本があるくらいなのでここでそれを説明することは不可能でしょう。でも英語のネイティブスピーカーはそんな事を勉強しなくてもどこで "the"を使うかちゃんと解っています。それは生まれてから言語を覚えていく過程で自然に身に付いたものだからです。つまり「習うより慣れろ」が定冠詞習得への近道ということのようです。

 しかし日本語の定冠詞は一般的には使われていません。これでは「慣れる」ことができません。正しく使うためにはどのような場面で定冠詞が使われているのか、実際に調べてみる必要がありそうです。以下に定冠詞を使った日本語の例を挙げてみます。(これらは実際に使われているものです。)


「ザ・温暖化」

「ザ・暴走族」

「ザ・泥棒」

「ザ・薬物」

「ザ・塩素」

「ザ・エイズ」


この例を見て何かに気付くでしょうか?多分これだけではピンと来る人は少ないはずです。しかし、これらの定冠詞付きの名詞の前に「ストップ」を付けてみるとどうでしょう?「ストップ・ザ・温暖化」「ストップ・ザ・薬物」と、どこかで聞いたフレーズになってきます。実際に上記の例はいずれも「ストップ」という単語と伴に使われていました。ここで「ザ」を付けるべき単語の定義が一つ明らかになりました。


止めたいものには「ザ」を付ける。


例えば、時間がなくて困っている時には「時間よ止まれ!」ではなく「ザ・時間よ止まれ!」が正解です。


 ところで、この止めたいものについている「ザ」ですが、これを付けないとどうなるでしょうか。「ストップ・温暖化」「ストップ・暴走族」としても意味は解ります。しかし、これでは「どうしても止めたい」という情熱とか信念とかが伝わってきません。ということでここで二つ目の定義。


強調したい名詞の前には「ザ」を付ける。


これは使い方によっては聞く側に予想以上の効果を与えられるかもしれません。例えば愛の告白とか、プロポーズとか。「ボ、ボクはザ・キミのことを、あ、愛しているんだ」とか「ボ、ボクとザ・結婚してください」とか。キザな台詞を考えなくても「ザ」を付けるだけで効果絶大です。

 このように日本語の定冠詞は適当に使えばなかなかいい感じだと言うことが解ってきたので、次はさらにつっこんだ文法的、言語学的な話をしていきたいと思います。

その2…「誤った発音について」


 ここで私たちが犯しがちな誤りについて書かなくてはなりません。みなさんは「その1」で挙げた例の中にいくつの間違いに気付いたでしょうか。みなさんは覚えていますか?母音の前では「ザ」は「ジ」と発音するんでしたねえ。ということで「ザ・温暖化」「ザ・塩素」「ザ・エイズ」は間違いです。母音の前なので「ジ」としなくてはいけないのです。そんなところは気にしなくても意味は解ると思うかも知れませんが、きっとアルフィーのファンは「ザ・アルフィー」というと「ザ、じゃなくてジだよ!」と怒るでしょう。私としてはどっちでもいいのですが。それから「薬物」というのも微妙に母音っぽい感じなのですが、もう半母音とかの扱いは忘れてしまったのでどうでもいいや。

 厳密に言うと「ザ」も「ジ」も正確な発音を表す文字としては不完全です。少し話はそれてしまいますが、"the"にも使われている"th"の発音を表すひらがなとカタカナを作って欲しいものです。多分、何かに濁点を付ければそれで済むはずなのですが。"b"と"v"に関してはある程度ひらがなとカタカナで表すことが出来ます。"bu"は「ブ」、"vu"は「ヴ」で表すことが出来るのです。"th"は何に濁点を付ければいいですかねえ?まあ、ここで考えても意味がないのでこれは宿題ということにしましょう。

その3…「あいまい母音の問題」


 母音の前では「ザ」ではなく「ジ」と発音するということは「その2」で勉強しました。つまり「ザ・温暖化」ではなく「ジ・温暖化」であり、「ザ・コ○ケ・エイコ」ではなく「ジ・コイ○・エイコ」となるのです。ここで例に挙げた「○イケ・エイコ」のような母音は特に問題なく区別することが出来るのですが、母音の数が少ない日本語を使う私は英語やその他の言語に特有の「あいまい母音」を認識するのが苦手です。

 ここで私たちは、何が母音で何が母音でないかを正確に把握する事を学ぶべきです。とは言っても母音の定義は人によってそれぞれ違います。それでもある程度までは理論的に区別することは出来るはずです。

 例えば「それは母音ではなくて太ってるだけ何じゃないの?」と私たちが思ってしまう場合、それは母音ではありません。それから母音か母音でないかの判断はB・W・Hの数値を比較することからも出来ます。或いはカップを知ることからも判断出来るかもしれません。胸囲100cmのAカップとかは明らかに母音ではありません。それはただ大きな人です。

 このように、私たちにとって苦手なあいまい母音の問題は意外と簡単に解決出来そうなのですが、やっかいなのが一つあります。シリコンの入った母音はどう考えればいいのでしょうか?それが本当に母音なのかそうでないのかを見分けられるようになるには何度もレンタルビデオ屋さんに足を運ばなくてはならないでしょう。言語の習得はそれだけ難しいということです。

(ここで「母音」を「ボオン」と読んでしまった方は意味が解らなかったでしょう。「ボオン」じゃなくて「ボイン」だからね。私も時々間違えるので念のために書いておきます。)

 このように今回は最近みだれにみだれているザ・日本語にザ・メスを入れてみたわけですが、みなさんには理解出来たでしょうか?言語というのは知れば知るほど解らなくなるものです。実際に私たちが使っているザ・日本語だって本当に理解出来ているのかどうか怪しいところです。こんな風にザ・言語についていろいろ書いていると、そのうち話がザ・哲学に行ってしまいそうなのでここであまり深く考えるのはやめにしておきます。でも人はザ・言葉で物事を考えるものです。頭に絵画的イメージを思い浮かべる時にもその前には必ずザ・言葉がありザ・単語があるものです。私は絵文字だらけのザ・携帯メールが送られてくるたびに思ってしまうのです。これまでに何千年もかけて進化してきたザ・人類の言語能力が最新の技術のために退化していくのだなあと。だってザ・絵文字ってザ・象形文字と同じ事ですから。このまま退化を続けていてはきっとザ・人類はザ・チンパンジーにザ・地球の支配者の座を奪われてしまうでしょう。これってザ・恐ろしい話。