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#090 「私はあなたのブギーマン」 2006-10-31 (Tue)

 みなさま、いつもいつもこんなくだらないサイトへやって来てくれてありがとうございます。

 2006年10月31日で「新・Little Mustapha's Black hole」は3周年です。「新」じゃない頃からだともう何年やってるか忘れました。私自身、何でこんなに続くのか理解できませんが、ちょっとやそっとじゃ辞めない気もしますし、なぜか急にやる気をなくして、そのままゾンビサイトになってしまうかも知れません。

 いずれにしても、一般的な「こういうサイト」の寿命をはるかに上回って、もしかするとご長寿サイトになってるかも知れない「新・Little Mustapha's Black hole」の3周年記念パーティーが開かれるのか?

 というか、もうすでにLittle Mustaphaを始めとするLittle Mustapha's Black holeの主要メンバーがLittle Mustaphaの部屋に集まって何かを始めています。酒のニオイが部屋に充満していることは言うまでもありません。

ミドル・ムスタファ-----もう諦めた方が良いんじゃないですか?

Little Mustapha-----いやいや、こうやってこの電話を見つめていたら絶対に何かが起こるんだよ。

ニヒル・ムスタファ-----だいたい、このネタについてこれる人はいないと思うぜ。

Little Mustapha-----そんなふうに読者に気をつかっていたらこんなに長くやってられないよ。今日は3周年記念なんだから、ボクはやりたいようにやらせてもらうよ。

ミドル・ムスタファ-----そんなことを言われても。私たちがこうやって集まっていると、電話が鳴ってもいないのに留守番電話に謎のメッセージが残されていたり、恐ろしい殺人鬼がやって来る、っていうことを知っている人ってほとんどいませんよ。

Little Mustapha-----おっ、いいねえ。ついてこられない読者向けに説明満載で喋ってくれたねえ。

Dr.ムスタファ-----それに、謎のメッセージを再生したあとに電話が炎上したこともあったしな。バッテリーがソ○ー製なんじゃないのか?

ニヒル・ムスタファ-----先生、ちょっとした時事ネタなんかどうでもいいでしょ。

ミドル・ムスタファ-----そうですね。それは今回と関係ないことですから。

Dr.ムスタファ-----良いじゃないか。ちょっとはいろんな事を知ってる感じでも。

Little Mustapha-----おいおい、みんな。ちゃんと電話を見ててくれよ。ボクがまばたきした瞬間に電話に異変が起きてるかも知れないんだから。

Dr.ムスタファ-----そんなふうに見てるから、何にも起きないんだよ。予期せぬ出来事は予期せぬ時に起きるんだから。

ニヒル・ムスタファ-----何を当たり前のことを言ってるんだよ。

ミドル・ムスタファ-----解りました。あと10分だけ。10分だけ電話をみんなで監視しましょう。それ以後は普通に3周年記念パーティーにしましょう。

Little Mustapha-----10分だけ?

ニヒル・ムスタファ-----それでも長すぎだよ。

Little Mustaphaたちが電話を見つめ始めてから二分ぐらいたった時のことです。電話の呼び出し音が鳴りました。ちょっとビックリして一同ピクッとなりましたが、恥ずかしいのでお互い気付かないふり。

ニヒル・ムスタファ-----おい、電話だぜ。

Little Mustapha-----そうみたいだね。

ミドル・ムスタファ-----出なくて良いんですか?

Little Mustapha-----出てみようか?

Dr.ムスタファ-----電話なんだから出なくちゃダメだろ?

Little Mustapha-----まあ、そういわれるとそうだねえ。


Little Mustaphaが電話のボタンを押して、なぜかハンズフリー・モードで電話に出ました。どうしてそうするのか?そうした方が話が進めやすいからです。


(電話)-----もしもし。Little Mustapha君か?

ミドル・ムスタファ-----あっ、その声はニコラス刑事さん!

Little Mustapha-----誰それ?

Dr.ムスタファ-----おいおい、また忘れたのか?ついこの前もここに来てただろ!?

Little Mustapha-----ああ、あの人!

ニコラス刑事-----いい加減に私のことも覚えてくれよ。

Little Mustapha-----ああ、これは失礼。飲んでる時に覚えたことは、次の日には知らないことだから。

ニコラス刑事-----なんだそれ?そんなことはどうでもいいんだよ。キミ達は3周年ということで、全員集合してるんだろ?

Little Mustapha-----そうですけど、それが何か?今回はあなたに出てこられると話がややこしくなるから、あまり変な事を言われると困るんですよねえ。

ニコラス刑事-----まあ、そう言うなよ。私はねえ、捜査の途中ですごいことに気付いたんだよ。

一同(ニコラス刑事除く)-----すごいこと!?

ニコラス刑事-----いやいや、そんなに解りやすく驚かれても困るなあ。そんなことより、私の気付いたすごいことだけどねえ。これまで謎の留守番電話のメッセージとか殺人サンタとか、いろいろ変なことがキミ達の周辺で起こっただろ?

ミドル・ムスタファ-----ええ、まあ。

ニコラス刑事-----私はその犯人を見つけたんだよ。

Little Mustapha-----本当ですか!?

ニコラス刑事-----本当だとも。犯人はねえ。Little Mustapha君。キミなんだよ。

Little Mustapha-----ちょっと!いい加減なこと言わないでよ。ボクだってこれまで危険な目にあってるんだからね。そんなことはあり得ないでしょ。

ニコラス刑事-----まあまあ。人の話は最後まで聞かないといかんぞ。厳密に言うと、犯人はキミではないもう一人のキミなんだよ。

ミドル・ムスタファ-----なんだか謎めいていますよ。

ニコラス刑事-----そうなんだ。これはとっても謎めいた話なんだよ。Little Mustapha君が変な曲を作ったり、くだらない物語を書いたり、気持ち悪い絵を描くことによって生命を得たもう一人の残忍なLittle Mustapha君がいるんだよ。

一同(ニコラス刑事除く)-----???

ニコラス刑事-----つまりだねえ。その犯人はLittle Mustapha君が何かを創作することによって生きているLittle Mustapha君の分身ということなんだよ。だからLittle Mustapha君が創作をやめれば、その分身も消えてなくなる。でもそうなるのが嫌だからその分身はなんとかしてキミに創作を続けさせようとしているんだ。そして、最後にはLittle Mustapha君の肉体を乗っ取って自分のものにしようと…。

Little Mustapha-----ちょっと待ってよ。それどっかで聞いたことあるんだけど。

ミドル・ムスタファ-----そうですねえ。私も知ってますよ。その話。

ニコラス刑事-----あれ?知ってたの?何だつまらない。さっき「ダークハーフ」っていう映画を見てたらキミ達のことを思い出してね。面白そうだから電話したんだけど。ネタがばれてたら仕方がないなあ。それじゃあこれから「超能力学園Z」見るから、この辺で失礼するよ。じゃあね!


電話が切れる。


ニヒル・ムスタファ-----なんだよ、今のは?

ミドル・ムスタファ-----ホントですよ。刑事のくせに、仕事してるの一度も見たことありませんよ。

Little Mustapha-----ホントにねえ。盛り上がるかと思ったのに。

マイクロ・ムスタファ-----みなさん、ちょっと良いですか?

一同(マイクロ・ムスタファ除く)-----なんだ、キミいたの?!

マイクロ・ムスタファ-----ええ、まあ。例によって喋る機会を逸していました。

Dr.ムスタファ-----それで、何か解ったのか?

マイクロ・ムスタファ-----今のニコラス刑事さんの話。あながち間違いでもない気がするのです。

ニヒル・ムスタファ-----でも、アレはパクリだぜ。

ミドル・ムスタファ-----そうですよ。パクリはまずいですよ。

マイクロ・ムスタファ-----そうじゃないんです。

Little Mustapha-----じゃあ、「超能力学園Z」のほう?

マイクロ・ムスタファ-----全然違います。…これは、ミステリーなんですよ。そう、ミステリーなんです。

ミドル・ムスタファ-----またそれですか?

マイクロ・ムスタファ-----そうじゃなくて、ミステリーなんです。この短い間にミステリーが起こって、その留守番電話に何者かがメッセージを残しているんです。そこのランプが点滅してるの、そうでしょう?

Little Mustapha-----うわっ、ホントだ!変な電話で気を抜いたとたんに謎のメッセージが録音されてるよ!

ニヒル・ムスタファ-----いや、まだ謎のメッセージと決めつけるのは良くないぜ。

ミドル・ムスタファ-----そうですよ。ただ電話機が故障しているだけかも知れませんから。

Little Mustapha-----そういわれると、そうだけどねえ。…これ、聞いた方が良いのかなあ?

Dr.ムスタファ-----なんだか今日はやけに慎重じゃないか?

Little Mustapha-----なんか毎回適当に留守電の再生ボタンとか押しちゃうから、それで話がややこしくなるんじゃないかと思ってね。

ニヒル・ムスタファ-----適当に押そうが、慎重に押そうが、録音されてる内容に変わりはないぜ。

ミドル・ムスタファ-----それは一理ありますねえ。

マイクロ・ムスタファ-----いや、待ってください。私はLittle Mustaphaの意見に賛成です。もしも私たちがこれまで冷静な状態で謎のメッセージを聞くことができていたら、その時にはなにかとてつもない…。

Little Mustapha-----まあ、どっちにしろ録音されてる内容は一緒なんだから、聞いてみようか。


Little Mustaphaが再生ボタンを押すと例によって変な口調で電話機が喋り出す。


留守番電話-----ゴゴ・ゴジ・ゴジュウ・ゴ・フン。イッ・ケンデス。ピー!

メッセージ-----「ちょいと、あなた達!何なんですの?またあたくしに黙ってパーティーですの?もういい加減にしないとあたくしは他に移籍しますわよ。それから、いろいろ言いたいことは沢山あるんですけど。あたくしのブログはいつになったら出来るんですの?あたくしはメガネをかけてずっと待っているんですからね。それにあたくしのシングル曲を作り直してくれたのには感謝しているんですけど、そろそろ新曲を出さないと今年の紅白には間に合いませんわ!あなた方は、いろいろなことに対してあたくしに謝罪したり、あたくしにひれ伏したりしないといけないんですから、これを聞いたらすぐに私の豪邸に電話するんですのよ!あたくしの豪邸の電話番号は666の…」

留守番電話-----ピー!メッセイジ・オワリ。


Little Mustapha-----またこれだねえ。

ミドル・ムスタファ-----この調子だと、また恐怖のメッセージが録音されるかも知れませんねえ。

マイクロ・ムスタファ-----みんさん、ちょっと良いですか。

Little Mustapha-----あんまり良くない。

マイクロ・ムスタファ-----そんなこと言わずに聞いてくださいよ!

Dr.ムスタファ-----そんなに興奮しなくてもいいだろ。

マイクロ・ムスタファ-----こう考えることは出来ませんか?このメッセージを残したのは多分プリンセス・ブラックホールですねえ。彼女は毎回我々に対して不満を抱いているようなメッセージを残しています。それでも我々は彼女に対して何もしません。まあこれは我々が彼女の連絡先を知らないということが原因なのですが。でもそれによって、彼女の不満や怒りが恐怖のメッセージというものに形を変えてあとから録音されるとしたら。…女性の復讐心が謎のメッセージの犯人を生み出しているのだとしたら、それはとてつもない…

Little Mustapha-----いや、そんなことはないよ。彼女は意外とサバサバした性格だよ。

ミドル・ムスタファ-----何で知ってるんですか?

Little Mustapha-----なんとなく想像で。

ニヒル・ムスタファ-----なんだよそれは!

Little Mustapha-----とにかく彼女は悪い人じゃないよ。

ミドル・ムスタファ-----妙に自信ありげですねえ。

Little Mustapha-----そうだよ。これに関しては自信ムナゲだよ。

Dr.ムスタファ-----そうなのか?やけに自信ギャランドゥだな。

Little Mustapha-----ん…。まあ、どうでもいいけど。とにかく彼女にはこれまでここに現れたような恐怖の殺人鬼を生み出すほどの想像力はないと思うんだよね。

マイクロ・ムスタファ-----それは私も同じ意見です。それから私が思うにはプリンセス・ブラックホールさえも誰かの想像の産物ではないのかと思うのです。それだけではありません。もしかすると私たちも、それから私たちが生きているこの世界、そしてこの宇宙全体が誰かの想像の中に存在しているとしたら、それは何かとてつもない…

Little Mustapha-----ということで、話はまとまったみたいだから、話題を変えようか?

ニヒル・ムスタファ-----全然まとまってないよ!

Dr.ムスタファ-----でもまあ、難しい話よりは良いんじゃないか?

ミドル・ムスタファ-----先生がそんなことじゃだめでしょ。でもせっかくの3周年パーティーなんだから、ややこしい話もナンですけどねえ。

Little Mustapha-----ほら、やっぱり話がまとまってきたじゃん。

マイクロ・ムスタファ-----それより、私の話は…

 その頃、ハロウィンの仮装行列で浮かれる商店街には、人気女子アナのウッチーがリポートに…、やって来ていませんでした。

ミドル・ムスタファ-----それで、話題を変えるって何にするんですか?

Little Mustapha-----みんなは気付いていないのか?今日が何の日か。

Dr.ムスタファ-----それは3周年の日だろ?

ニヒル・ムスタファ-----それと同時にハロウィンでもあるんだぜ。

Dr.ムスタファ-----そんなことは誰でも知ってる!

ニヒル・ムスタファ-----ホントは知らなかったんだろ?

Dr.ムスタファ-----何を言ってるんだ!こう見えても私は結構欧米化されたライフスタイルをだな…

Little Mustapha-----まあまあ。そんなことより、今日がハロウィンってことは次に来るのはアレだってことだよねえ。

Dr.ムスタファ-----ああ、終業式か?

ニヒル・ムスタファ-----先生は小学生か!欧米化されたライフスタイルならクリスマスだろ。

Dr.ムスタファ-----ああ、そうか。

Little Mustapha-----ということでねえ。今年はサンタに何をリクエストする?

ミドル・ムスタファ-----もうそんな季節ですか。なんかアッという間ですねえ。

ニヒル・ムスタファ-----そんなふうにしみじみ言ってないで、そろそろやめといた方が良いんじゃないか?毎年、サンタにプレゼントをもらおうとしてるから恐怖の殺人サンタがやって来るんだぜ。

Little Mustapha-----ボクも始めはそう思ったんだけどねえ、去年のクリスマスのこと覚えてる?

ミドル・ムスタファ-----ボクは酔っ払ってて良く覚えてませんねえ。

Dr.ムスタファ-----私もだ。

ニヒル・ムスタファ-----オレも。

マイクロ・ムスタファ-----私もです。

Little Mustapha-----そうなんだよねえ。ボクも全然覚えてないんだけど、恐ろしいことになっていたことは確かだよねえ。それでもボクらは何事もなく、こうして無事でいられるんだから。

ミドル・ムスタファ-----それと、殺人サンタと何か関係があるんですか?

Little Mustapha-----ボクが考えるに、そろそろ殺人サンタもネタ切れなんだよ。今年はボクらがサンタに何をリクエストしようと殺人サンタはやってこないよ。多分今年は「恐怖のジェイソン・サンタvsゾンビ・サンタ」とかになるはずだよ。本物のサンタはちゃんとここにやって来るよ。

Dr.ムスタファ-----それはずいぶんとアメリカナイズドな考え方だな。

ニヒル・ムスタファ-----なんだよそれは。どっちかって言うと「ハリウッド的な」だろ。

Dr.ムスタファ-----どっちも一緒さね。

ミドル・ムスタファ-----どうでも良いですけど、今年こそは私たちの望むプレゼントが手に入るということですか?

Little Mustapha-----ボクの計算ではそうなるね。

ミドル・ムスタファ-----計算って何を計算したんですか?

ニヒル・ムスタファ-----そんなことはどうでもいいのさ。それよりも、ホントに望むものがもらえるなら今年こそはショットガンをもらわないとな。

ミドル・ムスタファ-----お言葉ですけど、モデルガンくらいそろそろ自分で買ったらどうですか?

ニヒル・ムスタファ-----そういうキミだっていまだに野球盤が欲しいんだろ?

ミドル・ムスタファ-----まあ、そうですけどね。

Little Mustapha-----サンタにもらえるものはサンタにもらった方がいい、ということだね。じゃあ、先生は今年は何にする。

Dr.ムスタファ-----そりゃ反重力リアクターに決まってるだろ。

Little Mustapha-----おっ、いいねえ。みんな初心に返ってホントに欲しいものをリクエストしてるな。じゃあボクはアルトサックス、もしくは最新のテレビゲーム機。でもトゥームレイダーが出来ない機種はダメだから、アレか、アレになるなあ。それか、もしくはぶら下がり健康器かな。

ミドル・ムスタファ-----ぶら下がり健康器って、なんでそんなの欲しいんですか?

Little Mustapha-----腰が痛いのって辛いじゃん。

ミドル・ムスタファ-----まあ、そうですけど。アレでホントに治るんですか?

Little Mustapha-----知らないけど、面白そうだしさ。まあ第一希望はアルトサックスだからね。どうしても。それで、マイクロ・ムスタファはどうなの。また「横溝正史全集」でいいの?

マイクロ・ムスタファ-----みなさん、ちょっと待ってください!

ミドル・ムスタファ-----またですか?

ニヒル・ムスタファ-----今度は何がとてつもないことになるんだ?

マイクロ・ムスタファ-----そうじゃなくて、電話!電話を見てくださいよ!

一同(マイクロ・ムスタファ除く)-----あっ!

 その頃、ハロウィンということでホラー映画を一晩中上映している映画館に人気女子アナの内屁端がリポートに…、来ていませんでした。

ミドル・ムスタファ-----また留守電のランプが点滅してますよ。

Little Mustapha-----だから言ったんだよ。この電話から目を離すなって。

ニヒル・ムスタファ-----そんなこと言ってないだろ。

Little Mustapha-----そうだっけ?

ミドル・ムスタファ-----それより、どうするんですか?この留守電のメッセージを聞くんですか?

Little Mustapha-----怖いからやめとく?

ミドル・ムスタファ-----まあ、それもありですかねえ?

マイクロ・ムスタファ-----いや、そんなことはありません。みなさんも知ってるでしょう?ここに謎のメッセージを残していく何者かは、我々が何をしようと我々にそのメッセージを聞かせることが出来るんですよ。前にもあったじゃないですか。電話を使わずにどこからともなく聞こえてくる謎のメッセージというのが。これは我々への挑戦状なのです。これを聞かなければ聞かないで、このメッセージを残した相手はますます調子に乗るだけです。もし我々がこのメッセージを無視してダラダラしていたら、その時には何かとてつもない…。

Little Mustapha-----じゃあ、聞いてみようか。


 Little Mustaphaが留守電のボタンを押す。


留守番電話-----ゴゴ、シチジ、ニフン。イッケンデス。ピー!

(電話)-----おいおい、なんで電話に出ないんだよ。Little Mustapha君達に面白い映画を教えてやろうと思ってるのに。さっき見た「超能力学園Z」は最高だったぞ。今度また機会があったらみんなで見たいな。そうだクリスマスなんかはどうだ?どうせまたみんなそこに集まってグタグタしてるんだろ?今年のクリスマスは「超能力学園Z」で決まりだな。あとそれから、すごいことを聞いたんだけど。これまでそこに来てた殺人サンタって…」

留守番電話-----ピー!メッセイジ、オワリ。


Little Mustapha-----なんだ。またニコラス刑事さんだよ。

ミドル・ムスタファ-----あの人も困った人ですねえ。

ニヒル・ムスタファ-----またここに来るとか言ってなかったか?

Little Mustapha-----まあ、来るなら来るでね。人が多い方が楽しいから。


その時、Little Mustaphaの家の玄関の呼び鈴が鳴る。


ミドル・ムスタファ-----あれ、誰か来ましたよ。

Little Mustapha-----ホントだ、誰か来たねえ。

ニヒル・ムスタファ-----来たねえ、じゃなくて出なくて良いのか?

Little Mustapha-----だって、どうせセールスマンだよ。まあ、そんなに言うなら一応出てみるけど。


Little Mustaphaが玄関へ向かう。


Dr.ムスタファ-----あいつは、アレがノックしても心の扉は開かないヤツなんだよ。

ミドル・ムスタファ-----なんですか、それ?

Dr.ムスタファ-----いやね。こういうこともたまには言っておかないとな。

ニヒル・ムスタファ-----なんだよそれ!


Little Mustaphaが玄関から戻ってくる。


ミドル・ムスタファ-----なんでした?

Little Mustapha-----なんか矢文が届いてた。

一同(Little Mustapha除く)-----矢文!?

Little Mustapha-----そうなんだよ。この矢は先が円いゴムになってるでしょ。これを見事に玄関先のピンポーンに命中させたってことかな。すごいよね。

ミドル・ムスタファ-----それはそうですけど、矢文ってことは何かメッセージがあるんじゃないですか。果たし状とか。

Little Mustapha-----そんなことを言われても、ボクはレコーディング中のため出演できないけど。

ニヒル・ムスタファ-----そんな小ネタはどうでも良いから。手紙は着いてたんだろ?

Little Mustapha-----まあ、ついてることはついてたけど。

Dr.ムスタファ-----じゃあ、読んでみたらいいじゃないか。

Little Mustapha-----じゃあ、そうしましょうか?


Little Mustaphaが矢文についていたメッセージを読み上げる。


「みなさま、これであたくしの実力がおわかりになったでしょう?今回はただ先端がゴムの矢で呼び鈴を押しただけですけど、あなた方が態度を改めない場合はあたくしが、今度は本物の矢であなた方を一人ずつ消していきますから、そのおつもりで。脅しなんかじゃありませんのよ。あたくしを甘く見ると酷いことになるんですからね。今度のクリスマスパーティーにあたくしを呼ばなかったりしたら、あなた達はもうおしまいですからね。あたくしへ連絡先は…」


ミドル・ムスタファ-----連絡先はどこになってるんですか?

Little Mustapha-----それがインクがにじんでて読めないんだよ。ほら。

ミドル・ムスタファ-----ホントですねえ。

Dr.ムスタファ-----それじゃいかんだろ。これを書いたのはあのプリンセス・ブラックホールだろ?このままじゃ我々は殺されてしまうぞ。

ニヒル・ムスタファ-----まさか、本気でそんなことはしないだろ。

Little Mustapha-----そうだよ。人を殺したら殺人だからね。

ミドル・ムスタファ-----それって同じことを二回言ってるだけですよ。

Little Mustapha-----えっ、なにが?

ミドル・ムスタファ-----なにがじゃなくて。それより、どうするんですか。今年はクリスマスにサンタ呼ぶのやめますか?

Little Mustapha-----やめることはないでしょ。今年こそは望みのプレゼントがもらえるんだから。

Dr.ムスタファ-----背に腹は変えられない、ということか。

ニヒル・ムスタファ-----どこが背でどこが腹か良く解らないけど、まあそんな脅迫状に怯えてるようじゃプレゼントは手に入らないからな。

ミドル・ムスタファ-----というか、なんとかプリンセス・ブラックホールを招待すれば問題なしですよ。

マイクロ・ムスタファ-----ちょっと待ってください!

Dr.ムスタファ-----なんだ?今日はやけに話に割って入ってくるなあ。

マイクロ・ムスタファ-----みなさんは気付きませんか?

ミドル・ムスタファ-----気付きませんよ。

マイクロ・ムスタファ-----プリンセス・ブラックホールはさっきもその矢文を射るためにこの家のすぐ近くまで来ていたということですよねえ。それから、これまでのクリスマスやその他のパーティーの時にも、彼女はそのことを知りながら決して自分からこの家にやって来て、パーティーに加わることはしませんでした。

Little Mustapha-----だって、呼んでないからね。

マイクロ・ムスタファ-----問題はそこなんですよ。毎回一方的な電話をかけてきたり、今回は矢文で一方的な要求をするにもかかわらずプリンセス・ブラックホールは招待されていないという理由だけで、ここにやって来ることはないのです。

ミドル・ムスタファ-----まあ、そうですねえ。電話ではあんなに偉そうなのに、いきなりここにやって来てパーティーに割り込んできたりしませんねえ。

Little Mustapha-----なんでだろう?

マイクロ・ムスタファ-----それは彼女が招待されていないからです。招待されない限り彼女はこの家に入れないのです。

Dr.ムスタファ-----まるでドラキュラだなあ。

ニヒル・ムスタファ-----まさかプリンセス・ブラックホールが吸血鬼だとでもいうのか?

マイクロ・ムスタファ-----いや、私もそうは思いません。この矢文は、文面とは違った意味での警告なんです。これから我々がしようとしていることへの警告です。

Little Mustapha-----飲み過ぎるなってこと?

ミドル・ムスタファ-----違いますよ!

マイクロ・ムスタファ-----サンタにプレゼントをリクエストすれば、サンタは夜中に部屋の中までやって来てプレゼントをおいていくことになります。それはつまりサンタを家に招待するのと同じことなのです。招待する時点で我々の運命は決まったも同然です。

Little Mustapha-----つまり、今年は吸血サンタがやって来るってこと?

マイクロ・ムスタファ-----解りませんが私はそんな気がするんです。

ミドル・ムスタファ-----それは困りましたね。

Dr.ムスタファ-----今年こそはプレゼントがもらえると思ったのになあ。

Little Mustapha-----いやいや。まだ諦めちゃダメだよ。いつものように慎重に調べて本物のサンタに手紙が届くようにしておけば、吸血サンタなんか来るわけないじゃないか。

ニヒル・ムスタファ-----いつものように、って。毎年手紙がちゃんと本物のサンタのところに届かないからオレ達は危険な目にあってるんだぜ。

Little Mustapha-----まあ、そうだけどね。今年はちゃんと調べるから。

マイクロ・ムスタファ-----みなさん、ちょっとまってくださいよ。せっかく私が説明したのにみなさんは全然理解していない。手紙は出してはいけないんですよ。

Little Mustapha-----そんなこと言っても、マイクロ・ムスタファだって「横溝正史全集」が欲しいんでしょ?

マイクロ・ムスタファ-----まあ、そうですけど。

ミドル・ムスタファ-----それなら決まりですね。今年もサンタを呼びましょう。

Dr.ムスタファ-----それなら、万が一に備えて私が吸血サンタ対策を考えておこう。

ニヒル・ムスタファ-----また変な電撃銃とか使うのか?

Little Mustapha-----いやいや、ドラキュラには「ニンニク臭」が効くよ。

一同(マイクロ・ムスタファ除く)-----アハハハ!

マイクロ・ムスタファ-----(きっと今年も恐ろしいことが起きるに違いない。)

一同(マイクロ・ムスタファ除く)-----おいおい、マイクロ・ムスタファ君。キミも笑え!笑うのだ!

 このように、Little Mustaphaの部屋はいつものように意味不明な盛り上がりを見せています。そして、これだけ長く時間をかけて今年のクリスマス・スペシャルの予告をしてしまいました。予告といっても、まだ話は出来ていませんが。上手くいけば面白くなって、そうでない時はダラダラ長いクリスマス・スペシャルです。