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#158 「あっちとこっち」 2014-10-14 (Tue)

 なんてことだ。いつの間にか私の青春がなくなっている。正確にいうと私の青春の場所がなくなっている。というか、青春とは関係なく好きな場所がなくなっているという事で良いのでしょうか。

 コレでは意味が解らないですが、わかりやすく言うと昔から良く買いに行っていた中古CD屋さんがなくなっていたのです。CDを買おうと思ったのは久々なのでいつなくなったのか解りませんが、ビルの中のその場所に行くと、何もない空間に大量のガチャガチャが設置されている悲しい風景になっていました。


 まだ別の店が入っていないということはつい最近店じまいしたのだと思いますが、いきなりなくなっているのは少し寂しいのです。私の青春といったら言い過ぎなのですが、駅ビルの中にあるその店は帰りに寄るのにはちょうど良かったですし、何よりも私のアーティスト名* のネタ元でもある 3 Mustaphas 3 のアルバムに出会ったのもその店でした。


 しかしCDが売れない売れないって大騒ぎしてる時代ですし、中古CDも同様に売れてなさそうですし、そういうのは仕方がないのかな、とも思いますが。とにかく買いたいCDがあってその店に行ったので別の店を探すしかありません。


 でもそこで気付く、なくなった方の店の偉大さというものもあったりなかったり。


注 *:Little Mustaphaはハンネじゃないよ、アーティストネームだよ。

今や古本屋で中古CDの時代

 懐かしさとちょっとした喪失感を感じながら、しばらく歩いて最近流行の中古チェーン店。「中古チェーン店」って書くとチェーン店が中古みたいですが、そうではなくて中古のものを色々と扱うチェーン店という事なのですが。テレビでCMとかもしちゃう大手の古本チェーン店。

 こっちの店は主にゲームソフトを買うためには来ていたのですが、音楽の中古CDを買うとなるとどうしても問題になる事が一つあるのです。

 今回のように買うCDが決まっているのならそれほど問題でもありません。目的のものを探して無かったのでそれで終わりで良いのですけど。でもせっかく来たので何か面白そうなものを買っていきたいと思うのが音楽好き、あるいはジャケ買い好きとしては当然のことなのです。

 なので、やっぱり問題点は問題なのです。


 なくなった方の中古CD屋さんとこの店の違いは流れている音楽の種類です。なくなった方のあっちの店もそこそこ大きいチェーン店なのですけど、音楽専門という感じですし店員もそれなりに硬派。なので店員のチョイスでかかっている店内の音楽もそれなりというか、そういう店に買いに来る人が安心できる感じがしたのです。

 ところが、こっちの店はというと、入った瞬間ずっこけるというか。ターゲットにしている客層に合わせているので、主に中高生向けな歌謡曲なんです。別に歌謡曲がダメだと思っているワケではないのですが、あっちの店で流れていたような曲との明らかな温度差は一体何なのか?と思ってしまうほど、何かが違うのです。

ジャケ買いには集中力がいるんだ

 ジャケ買いといっても適当にCDのジャケットを見て面白そうなら買うとか、そういう簡単なものではなかったりします。ただ買うのではなくて「当たり!」を見つけて初めてジャケ買いが成功なのです。

 「当たり!」とはその時の気分にピッタリのCDだったとか、これまで知らなかった面白い音楽に出会えたとか、そういう感じです。適当に選んでそういうものに出会える確率は高くありません。ジャケットというのはそのCDの内容や雰囲気を表しているはずですし、そうなっているのが良いCDだとも思います。

 自分が求めている音楽を見つけるにはジャケットから音楽性を感じ取らないといけないのです。こんな書き方をすると大げさですが、今何が聴きたいのか?ということを意識しながらCDを選ぶと、どれをジャケ買いすべきかが解ってきたりしますし「当たり!」も多いのです。

 しかし、こっちの店にはその集中力を持続させるのを困難にするものがあるのです。

問題は聴かせ方かな

 この話の流れだと、中高生向け歌謡曲全否定な感じになってきますが、そんな事を書いたら大変な事になるので、違いますということにしておきます。(厳密に言うとパターン化されてるとさえ思える歌詞の展開とか、そういうのは気になりますけど。)

 あっちの店とこっちの店のBGMで何が違うのかというと、統一感があるか、ないかという事だと思うのです。なくなった方のあっちの店では一枚のCDをずっと流していました。時には私の苦手なタイプの音楽だったりすることもあったのですが、同じCDの中の曲で同じアーティストの曲なら気にしないようにしていると、そのうち気にならなくなるのです。声が同じだったり曲調とかが似ていることが多いので、意識して聴かないでいるとそのうちただの環境音になってしまうというか、そんな感じだと思いますが。

 それに比べるとこっちの店は正反対で一曲ごとに違うアーティストで、曲の間にナレーションが入るとか。さらに曲が一分ぐらい(ワンコーラスというのか)で次の曲に変わってしまったりします。違う雰囲気の曲が流れてくるだけでも気になりますし、それがすぐに終わってまた次の曲となると気にしないわけには行かなくなります。

 そこで流れていたのはこっちの店専用に作られた音楽番組ふうBGMなので、CDの宣伝も兼ねているのかも知れません。ということは文字どおりの意味でのBGM(バック・グラウンド・ミュージック)とは正反対の、聞かせるための音になっているということみたいです。


 さっき書いたようにジャケ買いには自分の求めている音楽のイメージを持って臨まないといけないのですが、こうやって短い時間に違う曲を何曲も聴かされているのではそういう雰囲気はなくなってしまいます。

 そして、極めつけがたまに流れる「本を売るなら○○○♪」という楽しげなあれ。CDのジャケ買いは諦めてDVDとかゲームソフトのコーナーへ行くことになるのです。

それで何なのか?とか

 そんな感じなのですが、だからといってたまにはジャケ買いしたいし、他にまともなCDの店は近所にないのでこっちの店を使わざるを得ないのです。対策としては耳栓をしていくとか、携帯プレーヤで自分の好きな音楽を聴くとか、そんなことで良いのかも知れません。

 ただ、わざわざここにこういう内容を書いたのは、こっちの店のBGMにずっと違和感を感じていたからです。それはジャケ買いする時だけに限らず、行くたびになぜか「何でだろう?」という気分になっていました。

 それで、今回二つの店を比べながらちょっと考えて解ったのが「ちょっとずつ大量に聞かせるやり方」というのが問題なのかとも思ったのです。宣伝としてはそれで効果的なのかも知れませんが、音楽を聴くということを考えると何か間違っているような気もするのです。

 最近はサビを覚えてもらったら勝ちという感じだったり、聴く人もサビだけ聞けたら良いようなところもあるのですが。でも音楽はもっと色々と奥が深いものですし、とりあえず沢山買ってもらいたいというようなやり方は音楽ではやって欲しくないとか。私の心に引っかかっていたのはそんな事なのかも知れません。

 良い音楽を見つけて、それをゆっくり何度も聴くというのは時代に合ってないのかとも思ってしまいますが、そういうことは決してなくて、良いものは良いのでそういうものを見つけられるような環境がもっと沢山あるべきだとも思った(というかあっちの店復活して欲しい。電車に乗ってジャケ買いしに行くの面倒だし。)ということなのです。


 それとは関係なく、そろそろ本とかCDとか置く場所がなくなってきたので、売りにいかないといけなくなりそうです。

 ということで、あっちの中古CD屋さんがなくなってしまったので、寂しいついでに大特集というか感想文を書いてみたのですが。

 儲からないものはしょうがないのでCD屋さんとかもどんどんなくなっているようですし、ちょっと残念な感じです。ネットで通販は楽で、マニアックなCDも簡単に見つかったりします。だけどやっぱり大量のCDの中からお宝的なものを発見するというのも一つの楽しみでもありますしね。

 これ以上CD屋さんがなくならないように、みなさんたまにはCD屋さんに行きましょう。というか、これはそんな主張をする特集じゃなかった気がしますが。まあ良いか。


 次回は何になるのか?という感じですが、実はもうすぐ10月31日な気もするので、何か考えないといけないのかも知れません。でも去年はサボったので、今年もサボるかも知れませんけど。


 どうぞお楽しみに!