「なあ、知ってる?」
「知らないよ」
「そうじゃなくてさ。全然いないじゃないか」
「そんなのは知ってるよ」
「そうだけどさ。ここら辺にいるんじゃないのかよ?」
「ネット情報ではそうだけどな」
「それホントにネットで見たのか?」
「ネットで調べたんだからあってるよ」
「じゃあ、そうなんだろうけどさ」
「とにかく、ネット情報なんだからあきらめないで探そうぜ」
「そうだな」
今年は暑いですね。昔じゃ考えられないぐらいバカみたいに暑いので、バカみたいな事が周りで起こっていても危うく気付かないところだったり。そんな夏が今年もやって来たのですが。せっかく夏なので私も望遠耳を使ってみようかと思ったのです。
遠くで交わされている世間話や秘密の話、さらには独り言だって、この望遠耳を使えば聞こえちゃうのです。今回も望遠耳を使って聞こえて来た様々な会話をここに掲載しようということです。
それでは、レッツ・望遠耳!
「ウフッ…。ウフフ…。あなた…。あなた…!…あなた!」
「ウワァ!?…なんだ?」
「あなた、暑すぎて溶けていたんじゃございません?」
「溶けてはいないけど…」
「それよりも、あなた。あすこをご覧になって」
「あすこ?」
「それを作れば、彼は来る」
「ん?」
「もう、あなたったら!」
「ああ、あのトウモロコシ。今年はあのベランダ、妙に緑が多いね」
「そうじゃないのよ、あなた。あのベランダにいるのは別の人。彼はもっと遠くからやって来るの」
「遠くって?」
「あの積乱雲が出来る場所よりも遙か遠くから。全ての魂が行き着く先」
「…どういうこと?」
「あなた、彼が来たらどうするの?」
「いやぁ…」
「彼が来たら捕まえてくれるの?」
「解んないけど…」
「あらやだ。危ないわねえ。ちゃんと前見て歩きなさいよ」
「ねえ、見て。あそこ。ほら。セミ」
「あ、ホントだ。あれはアブラゼミかな」
「セミはね。ホントは名前なんてないんだよ」
「でも、あれはアブラゼミ…」
「ミンミンゼミはミンミン鳴くからミンミンゼミでしょ?でもアブラゼミはアブラって鳴かないよ」
「そうだけど」
「だからね、アブラゼミはアブラゼミじゃないの」
「じゃあなんて名前なの?」
「あら、○○の奥さん」
「あら、□□の奥さん。ホントにねえ」
「ホントに。それより○○の奥さん、ちょっと聞いた?」
「あらやだ、またなんかあったの?」
「そうなのよ。△△さんちの中学生の息子さんいるでしょ?あの子がねえ、交通事故だって」
「あらやだ。ホントにねえ。最近アレよねえ」
「そうなのよ。みんなアレしてるでしょ。だからじゃないかって思ってるんだけど。よそ見して歩いてたらスマホと衝突ですって」
「ホントにねえ。みんなスマホスマホって。危険なの解ってるのにねえ」
「ホントに。どこからスマホが飛び出してくるか解らないものねえ」
「ねえ、ホントに」
「ホントに」
「ウワァ、危ない!…おい、ダメじゃないか。自転車ノリながらスマホなんか使って」
「うわ…、警察とかマジうざい」
「私は警察じゃなくてザ・ガードマンだ!おい、待ちたまえ…。うぬぬぬ…。なんたることか。ザ・ガードマンが守るべき一般市民に殺意を覚えるとは…」
「ジュィイイイジュィィイイジジジジジィィィイイイイ」
「なんだ、これは。うわ!耳に刺さる」
「ジュィィィイイイイイィィィ…、って名前」
「き、キミ…」
「はい、こちら現場の人気女子アナウッチーこと内屁端です!みなさん、ここがどこだか解りますかぁ?…違います。いつもの街なんて言わないでください。とあるスマホアプリのブームでいつもよりちょっとだけ人が多いいつもの街なんです!そのアプリとは一体なんなのでしょうか?…アッ、あそこにスマホを使っている人がいます。もしかするとそのアプリを使っているかも知れないので、話を聞いてみたいと思いまぁす!…人気女子アナのウッチーですが、少しお話をうかがってもよろしいですか?」
「はい、なんですか」
「今スマホを使ってらっしゃいますが、一体何のアプリを使っているのでしょうか?」
「ちょうど打ち合わせが終わったところだったんで、会社にメールしてました」
「そうですかぁ。それ以外に最近ハマってるゲームアプリはありませんか?」
「いやぁ、忙しくてゲームはちょっと…」
「そうですかぁ。それじゃあ、いったんスタジオにお返ししまぁす!…おいテメェ、なんでメールなんかやってんだ?」
「エェ?!」
「スマホしながら道を歩く時にはモンスター探しゲームやっててもらわないと、こっちは中継になんねえんだよ!」
「そんなこといっても…」
「次からはちゃんとやってもらわないと、どうなるか解ってんだろうな」
「はい、こちらウッチーのリコール社、社長のウッチーでぇす!…はい。…はい。新作アプリについてのご質問ですね。もちろん順調に開発は進んで、今は最終テスト段階なのです!公開されたら株価も一気に上昇して大注目間違いなしです!…はい、それでは期待していてください。以上、社長のウッチーでした!」
「なあ知ってる?」
「知らないよ」
「そうじゃなくてさ。なんか歩いてる人みんなスマホ使ってる気がするんだけど」
「あ、そういえばそうだな。やっぱりみんなも見つけられないからスマホで情報確認してるんじゃないか?」
「やっぱりそうだよな。全然いないもんな」
「大体そのネット情報ってどこから仕入れたんだ?」
「SNS だけど」
「お前そんなのやってたのか?」
「やってたのか、って。今時やってない方がおかしいぜ」
「なに言ってんだよ。敢えてやらないのがイケてるんだよ。だいたいオマエ、SNS とかやって誰かにフォローされたりしてるのか?」
「えーっと。まあ今のところ母ちゃんとネエちゃん。だけどフォローしてる人は50人ぐらいいるけどな」
「…。なんというか、それやめた方が良いんじゃないか?」
「ザ・ガードマン。仕事があります」
「ハッ、…マダム」
「部長。□□部長!」
「ん?!なんだ?」
「大丈夫ですか?なんかボーッとしてますけど」
「まあ、正直言うとダメそうなんだが。もう二ヶ月以上も不眠不休って感じだぞ。だいたいこのスマホゲームってなんなんだ?うちの会社はそんなもの扱ってなかっただろう」
「そんなものは解りませんけどね。儲かってるのかどうかも解らないのに吸収とか合併とかで規模だけは大きくなるのに社員は増えないし」
「本当だよ。おかげで私は退職願を書く暇もない」
「エッ?なんてこと言うんですか。今部長が辞めたら仕事するのボクだけになっちゃうじゃないですか」
「はい、こちらオットリ系新人女子アナの腹パンこと腹屁端です。先程、先輩のウッチーこと内屁端アナがせっかちすぎて失敗したリポートですが、腹パンがユックリペースで取材してみたところ、人気アプリを使っている人を見つける事が出来ました。それでは、早速インタビューしてみたいと思いまぁす」
「ウェーイ!ウェーイ!」
「あなたが人気アプリを使っている人でよろしかったでしょうか?」
「ええ、なんか、そんな感じみたいです」
「そのアプリは一体何が面白いのですか?」
「ゲームなんですけど、こうやって自分の足で動き回ってやるのが面白いと思います」
「それはとても面白そうです。そして、ここでやっているのには意味があるのでしょうか?」
「なんか、レアなキャラが見つかるって情報を入手したんでやって来ました」
「そうでうすか。そのレアなキャラは見つかったのでしょうか?」
「まだなんですけど。頑張って探したいと思います」
「そうですか。ありがとうございました」
「なあ、聞いたか?」
「今のテレビのヤツか?」
「そうだけどさ。もしかして、アレってスマホでやるのか?」
「なんかそんな気がするよな」
「でも普通の風景の中に写ってた写真もあっただろ?」
「そうだけどさ。アレって合成っぽいぜ」
「だとしたら、やっぱりスマホでやるってことだよな」
「そうだけど。それから、さっきインタビューされてた人って、去年の祭りの時の人と一緒じゃなかったか?」
「ああ、あのとりあえず学生みたいなヤツな。でもそれって、どういうことだ?」
「まあ、何て言うか。サクラというか、シコミってヤツだな」
「だったら更に怪しいが。とにかく今度スマホ持ってる人がいたら聞いてみようぜ」
「そうだな」
「ちょっと○○の奥さん!」
「あら△△の奥さん。息子さん大丈夫なの?さっき話し聞いてビックリしちゃったわよ、ホントに」
「ホントにアレなんだから。それなのに、さっきもまたスマホ、飛び出してきたのよ」
「ホントに?!恐いわねえ。なんでスマホが飛び出すのかしら」
「ホントにねえ。それじゃあ、また」
「あら、それじゃあ」
「□□部長!」
「なんだ?」
「なんかイヤな事に気がついてしまった気がするんですけど」
「なんだそれは。ハッキリ言いなさい」
「あのうちがやってるモンスター探しゲームって、スマホでモンスター捕まえるってヤツですよね」
「そうだが。それが?」
「だけど、捕まえるモンスターのリストの中にスマホが入ってるんですよ」
「なんだそれは?でも今更そんなのは直せないだろう?もう一部にはデモ版を配布してあるんだし」
「そうなんすよね。まあ大丈夫ですよね」
「リリースまでほとんど時間がないんだ。背に腹は代えられないってヤツだな。はぁ、やっぱり会社辞めたいなあ」
「あたしね、ホントは人じゃないの」
「人じゃない?」
「そう。私はセミの国から来た。セミの国から来て、セミの国には帰らない」
「うん」
「私の心はセミのよう。あなたの背中にくっついて、あなたと一緒に部屋に入るの。そうしたらね。私は飛ぶの」
「?」
「そう、こうやって。ビェエエー!ジェージェージェー!!ババババッサバサ!」
「ウワァ!!」
「私はね、いつだってセミ爆弾だよ」
「ウフッ…。ウフフ…。あなた…!あなた!」
「ウワァ…!なんだい?」
「ウフッ…。あなた最近居眠りが寝苦しそう」
「ああ、またウトウトしてたな。なんか、こんなに暑いし、セミがうるさいし」
「本当はそれだけじゃないのよ、あなた。恐怖はどこにでも潜んでいるの。あなたの見る夢が良い夢でも悪い夢でも、怪物はどこからでも現れるのよ」
「な、なんだか恐いじゃないか」
「ウフッ…。でもあなたが居眠りしている間にお客さまが沢山やって来て、でも店がやってないと思って帰ってしまったらどうなるかしら?」
「エッ?!もしかして店に客が来てたのか?」
「ほら、またそうやって。今時ウフギなんて食べに来る人なんかいませんよ、あなた」
「なんだ、良かった。もでうちもそろそろかき氷とか、冷やし中華とか始めた方が良いのかなあ」
「あなたったら。また心にもないことを言って」
「ああ、まあそうかな」
「ほら、あなたったら。ウフギを焼いたらお客さんが来るの。あの雲の彼方からやって来る人のように」
「それって、なんなんだ?さっきから」
「それを作れば、彼は来る」
「だから、恐いから…」
「なあ、知ってる?」
「なにが?」
「なんていうか、オレ達あきらめるの早くなってないか?」
「だって仕方ないだろう。モンスター捕まえるのスマホのアプリがないといけないし。ダウンロードすると通信料高くなっちゃうしさ」
「そうだよな。せっかくデジイチ持ってきたのにな」
「また駅前の居酒屋じゃしょうがないよな」
「せっかくだから料理の写真とか撮ってみようかな」
「居酒屋の枝豆なんてどこのだって一緒だぜ。ところでその一眼カメラどうしたんだ?」
「これ?ネエちゃんに借りてきた」
「ダメだなあ、そういうの。それは全然イケてないぜ」
「そんなこといってもなあ。オマエだってスマホの料金、母ちゃんに払ってもらってるんだろ?」
「うん、まあ…」
「イケてるオレ達になるにはどうすれば良いんだろうなあ…」
「なあ、ちょっとアレ」
「ん?」
「あそこのテレビでやってるやつ…」
「今日のビジネス最前線。お客様は、公開前から新作スマホアプリが話題のウッチーのリコール社の社長の内屁端さんです。内屁端さん、どうぞよろしく」
「よろしくお願いしまぁす!」
「まずお伺いしたいのは、今回の新作アプリを作ろうとしたきっかけですが。モンスターを捕まえるという、どう考えても二番煎じな内容でも敢えて作ったのにはどういう狙いがあったのでしょうか?」
「それはとっても良い質問だと思いまぁす。ご存知のとおり、我が社は昨年ヤメタイ商事との合併に成功しました。それによって困難と思われる事業にも積極的に取り組むことが出来るようになったのです」
「どうしてヤメタイ商事と合併してそれが可能になったのでしょうか?」
「ヤメタイ商事はリスクを冒さず利益も生まない絶対に安定した会社だったのです。その安定感があるうちはウッチーのリコール社も経営状況が悪化することはないのです!」
「…、そ、そうですか。では次に新作のアプリについてですが。ゲームアプリということ、でやはりターゲットは10代の子供達でしょうか?」
「表向きはそうなっていますが、実は流行っていればなんでもやらないと心配になってしまうような大人達がメインのターゲットになっていまぁす。そのために今ウッチーはあちこちに手を回してアプリの宣伝をしてもらうようにしています」
「最近よくある手段ですね。それではここで元女子アナでもある…」
「人気女子アナでぇす!」
「アッ、失礼しました。元人気女子アナでもある内屁端さんの女子アナ時代のハプニング映像集に行ってみたいと…」
「あの会社が出てくるとなんか起きそうな気がするよな」
「駅前の居酒屋で正解だよな」
「ホントだな」
「シュクツクシュクチュクシュクツクシュクチュクウォイーヨーイー!オィーヨーイー!ウォイーヨーウィ〜〜〜……」
「あ、それはツクツクボウシ。でも本当はシュクチュクウォイーヨーイー!かな」
「いまのはね。ツクツクボウシ。でもね、私が好きなのはアブラゼミ」
「はあ」
「部長!□□部長!」
「例のスマホゲームを委託していた会社ですが」
「どうした?今更問題か?」
「問題というか。ヤバいです」
「ヤバいって、どういうことだ?」
「その会社ですが、もぬけの殻です」
「あぁ…、なんでいつもこうなるかな。こうなったら受付の△△さんにも応援してもらうか」
「エッ?!部長。△△さんってこの前転職しましたよ」
「エーッ?!転職って?」
「なんかヘッドハンティングだって」
「ヘッドハンティングって。受付だぞあの人」
「マジ解んねえっすけど。モンスターとか全然出てこないっす」
「ハッ、そこの若者。それはもしかして『リアル・モンスター』じゃないか?」
「あっ、お巡りさん。なんすか、それ?」
「なんすか、って。そのスマホでやってるやつ。その前に私はお巡りさんじゃなくてザ・ガードマン」
「へえ。でも、これそんなアプリじゃないっすよ。人気がある古い方っす。新しいのはまだ出てないっすからね」
「ほう、そうなのか」
「それよりも、これ全然モンスター捕まえられないんすよね」
「どうして?」
「さっき野良猫がいたから捕まえようとしたんすけどね。どうやってもこの中に入れられないんすよ」
「野良猫は無理なんじゃないか?というよりも、現実世界のものは捕まえられないと思うんだが…。そんな事より、こんど出る『リアル・モンスター』は危険だからね。公開されてもインストールしてはいけないよ」
「そうっすね」
「あ!ゴーヤゴンだ!」
「ゴーヤゴンだ!」
「やっぱゴーヤゴン格好いいよなぁ!」
「スゲぇなあ!」
「格好いいなあ!」
「はい、子供達!良く出来ましたぁ!これを夕方のニュースで放送したら二番煎じモンスター探しゲームの『リアル・モンスター』が大人気であるという架空の情報が全国に広まるでしょう!」
「さすがは可愛い後輩のウッチーです!」
「ありがとうございます。先輩のウッチー社長。それでは、私はリポートの続きがあるのでこの辺で!」
「はい、頑張ってくださぁい!」
「あら、ちょっと、なんなのよ。全く危ないわねえ。またスマホが飛び出してきて。もうホントに」
「セミ取りでござる。セミ取りでござる!若者達よ。ゲームなんかよりセミ取りでござる!」
「なんすか、おじさん?」
「おお、若者よ。セミ取りは良いものだぞ」
「そうっすね。セミならスマホに入るっすかね?」
「スマホ?」
「スマホ知らないんすか?」
「私はセミ取り侍だからな」
「なんかサムライっぽいすよね」
「いかにも。拙者、セミ取り侍!」
「でもオレ、虫苦手なんで、無理っす。それじゃ」
「うむ」
「おや、おかしいな。この会社、前に来た時にはゴキゲンな受付がいたんだが。なぜか閑散とした雰囲気だ…」
「うわっ、マズいな。警察が来てる…」
「あぁ、ちょっと。ここの社員の方?」
「まあ、そうですが。どうして警察が?」
「私は警察じゃなくて、ザ・ガードマン」
「なんだ、良かった」
「あぁ、あなた良く見たら□□さん」
「キミとは会ったことがあったかな?」
「いや。これだけ長くやってるとその辺の細かいことは覚えてないんですが。奥様とは何度か話しているはずですが」
「そうか。まあそれはどうでも良いんだが。何か用かね?」
「ああ、そうでした。この会社がリリースしようとしている新作ゲームアプリは危険だから、リリースをやめるように、というメッセージを伝えに来ました」
「そんな事を言われても、そう簡単にはやめることはできないよ。もうすでに関係者には評価版を配ってしまったからね」
「エッ?!本当ですか?それじゃあ、すでにアプリを使っている人がいるんですか?」
「そうだが」
「社長には会えますか?」
「さあ、どうだろう?今私も探しているんだが、テレビ局の方に行くとか言って出て行ったきりでね」
「困ったなあ。すでに使われているのなら街の警備を優先させるべきか…。それでは、失礼します」
「ああ、どうも…。やっぱりこの会社、辞めたいなあ」
「はい、こちらオットリ系新人女子アナの腹パンこと腹屁端です。それでは今週も…もうパンパンで食べれないょ!腹パンの満腹グルメコーナー!…行ってみたいと思いまぁす。今日はいつもと趣向を変えて屋外でのリポートでよろしかったでしょうか?そして、今日お邪魔しているのは、夏真っ盛りということで夏祭りで盛り上がっている神社の前。沢山の出店が並んでいるのですが、この中になにか特別に美味しいものを出す店があるのではなかったでしょうか?ということで、今腹パンがめぼしい屋台を探しているのですが…。特にこれと言ったお店もないので、とりあえず前菜にチョコバナナを食べてみたいと思いまぁす!」
「はい、こちら人気女子アナのウッチーこと内屁端です!みなさん、スゴい事が起きました。なんと先輩である元人気女子アナ・ウッチーこと内屁端社長とのコネをフル活用して、話題の『リアル・モンスター』を公開前に手に入れる事が出来たのです!それでは早速、実況プレイに入りたいと思いまぁす!…さあ、始まりました。アッ、早速出てきました!みなさん!あそこをご覧ください。アプリを起動したらいきなりモンスターが現れました!巨大なネズミのようなモンスターです。アッ、そしてモンスターがこちらに気付いて近づいて来ます。これはもしかして襲われる、ということでしょうか?こういう場合は手持ちのモンスターで対抗することになると思うのですが、今のところまだモンスターを持っていません!仕方がないので、ここは女子アナの本領を発揮してウッチーがあのモンスターを捕まえたいと思いまぁす!…テメェ!ちっと来いや、コラァ!」
「ねえ、ヒグラシ。ヒグラシはどう?」
「ヒグラシ?涼しげだよね」
「ヒグラシはね。少し上品すぎるの。だからね、私はアブラゼミ。そこら中にいて、そこら中にセミ地雷。やだ、私。今日は喋りすぎ」
「いや、そんなことない…」
「キャッ!助けて!」
「あっ、なんだあれは?鳥のようなモンスターが彼女をさらっていく!」
「ビェージェービェーヴィー…」
「うわ。またスマホが飛び出してきた。マジで危ないっすけど。でもなんで角からスマホが飛び出してくんだ?…マジ解んねえっす」
「お巡りさん!助けて!」
「あ、若者が巨大なイモムシに襲われている!…と思ったら、さっき私のことをうざいとか言ったヤツか」
「助けて!」
「ウワァ…。若者とか、チョーうざい」
「なんですかそれ?助けてくださいよ!警察だろ!」
「残念でした。私はザ・ガードマン。無礼な若者は助けないことにした」
「ウワァ!待って!行かないで!」
「…フフフ。いい気味だ。…ハッ!しまった。ザ・ガードマンであるこの私の心に悪の心が芽生えているのか?!」
「おい、キミ。社長はどうした?」
「社長ですか。ついさっきまでテレビに出てましたよ。例のゲームアプリの宣伝、ずいぶん頑張ってますよね」
「そんな呑気なことを言っている場合ではないぞ。なんだか大変な事になってるらしくて、クレームが殺到しているんだよ」
「大変なことって?」
「なんだか知らないがモンスターがリアルだとか」
「だからリアル・モンスターって名前なんじゃないですか?」
「そうなんだが。でも怪我人がどうの、って。もしかして歩きスマホが原因…。あら?」
「なんですか?」
「今、窓の外を巨大な虫が横切ったような…」
「セミじゃないですか?」
「いや、そう言うのじゃなくてね。もっと大きいやつ。人も喰いそうな」
「ええ?!」
「はい、こちらは現場の腹パンこと腹屁端です。ただいま 10品目の関東名物大阪焼きを完食したところなのですが、ちょっと気になるものが目に入ってしまいました。これは気になって腹パン、まだまだ腹半分!食べないわけにはいかないようです。それでは、次の出店の料理。これは一見チョコバナナのようですが、なんとチョコレートに隠れている中身はゴーヤのようです。きっとビターな味わいになっていると思いますが、早速食べてみたいと思いまぁす…と、思ったらゴーヤが動き出しました!これは去年も見たような気がしないでしょうか?動き出したゴーヤが巨大化していきます。そしてツブツブが伸びて手足となって、その姿はまさしくゴーヤゴンでよろしかったでしょうか?ここは危険なのでひとまず退散したいと思いまぁす!」
「ちょっと、あんた。そこの偽警官!」
「なんですか?私はザ・ガードマン」
「そんなことはどうでもイイのよ。あんたね。私の占いの力があんたの邪悪な心を見抜いたのよ」
「な、なにを言っているのですか?私は正義の味方」
「この時代に正義もなにもあったもんじゃないわよ。どう?あんた私んところで働いてみる気はない?」
「そんな事は出来ません。私はマダムの…。アッ!あなたはもしやマダムの天敵の…!」
「あら、意外と鋭いじゃないのよ。それでどうなのよ」
「誰があなたなんかと」
「そう。じゃあしょうがないわね。あんたこれから何が起こっても私は助けたりしないからね。じゃあ、また」
「…なんてことだ。私の心に芽生えた悪の心を簡単に見抜くとは」
「はい、こちら現場のウッチーでぇす!話題沸騰のリアル・モンスター。まだ公開されていないにもかかわらず、なんと街中にモンスターがあふれかえっています!しかし、おかしな事に人々はモンスターから逃げ惑っています。ウッチーのように戦おうとする人はいないのでしょうか?これではリアル・モンスターの楽しさが半減してしまいます。…アッ、あそこにいるのは生意気な後輩の腹屁端ではないでしょうか?どうやら腹屁端もモンスターを恐れて隠れているようですが、あれでは頭隠して尻隠さず!先程はリポートで手柄を横取りしておいて、ウッチーに背中を見せるとはまだまだ甘ちゃん。ここはさっき戦って手下にしたジャイアントラットをけしかけてやりましょう!」
「こちらは現場の腹屁端ですが、いつの間にか街はモンスターだらけ。腹パン、ハラハラ、大ピンチ。アッ、そして背後から迫ってくる足音は…。ご覧ください!これは巨大なネズミのモンスターでよろしかったでしょうか?こうなったら仕方ありません。オットリ系女子アナとしては致命的ですが、女子アナの本性をあらわにして巨大ネズミを返り討ちにしてくれます」
「お巡りさん!お巡りさん!」
「なんだねキミは?私はお巡りさんだ」
「ええ、そうですよ。その格好はお巡りさん以外にはいませんから」
「いや、この街にはザ・ガードマンを名乗る男がいて、色々と紛らわしいのだ」
「それより、可憐な少女を見ませんでしたか?巨大なオバケみたいな鳥にさらわれてしまったのです」
「そんな事言ってもねえ。この状況が解らないのか?巨大なオバケみたいなのがそこら中にいるんだぞ」
「そうですが…。でも彼女を助けないと」
「その前に、なんでキミみたいなモッサリしたヤツが可憐な少女と一緒にいたんだ?」
「なんで、って。その…色々と込み入ってるのですが…」
「どうも怪しいぞ。キミの見た目からして、犯罪の臭いがするんだよ」
「別になにもしてないですよ。彼女はセミアイドル」
「セミアイドル?」
「セミアイドルの志加田マインさんです」
「シカダ・マイン?!」
「特技はセミの鳴き声と、セミ地雷とか…」
「まあ、どうでもイイが。その可憐なセミアイドルもそうだが、お巡りさんはこのモンスター達をなんとかしないといけないんだが。その鳥のオバケっていうのはどっちに飛んで行ったんだ?」
「あっちですが」
「つまり、このモンスター達が向かっているのと同じ方角というワケだな」
「そうです」
「そうか、もしかすると向こうに何かがあるのかも知れない。ついてきなさい。そのセミなんとかも見つかるかも知れん」
「アーッ!なんとウッチーがけしかけたモンスター、ジャイアントラットが腹屁端に倒されてしまいました!…ウッチーは めのまえが まっくらに なった!」
「アッ、そこにいるのはウッチー先輩じゃないですか。まさか、あのモンスターはウッチー先輩が?どうして可愛い後輩にそんなことをするのですかぁ?」
「女子アナたるもの、常に緊張感を持っていないといけないのです。それが出来ているのかどうかテストしてみただけでぇす!」
「そうですか。それも愛のある後輩いびりのうち、ということですね」
「そのとおりです。時に優しく、時に厳しく!」
「わかりました。それではこれからもご指導のほど、よろしくお願いします。それではグルメリポートの続きに行ってきたいと思います」
「…クソォ。今に見てろよ」
「部長!これって見たことないですか?」
「認めたくないが、そのようだな」
「そうですよね。全部リアル・モンスターに登場するはずの怪物達ですよ」
「しかし、なんで現実世界にいるんだ?」
「そんなの私が知るわけないですよ」
「そうだよな。私のいる会社では何が起きても驚かないと思っていたが、まだこんな事が起こるとは」
「怪物達、みんな同じ方に向かっていますけど、なんかあるんですかね」
「どうだろう?もしかして、あの広い公園に向かってるのか?とにかく行ってみよう」
「行くって?!食べられちゃいますよ」
「だが、行かないとあとあと大変な事になるぞ。世間からみたらあのモンスター達を作り出したのは私達って事になるんだから」
「エエッ?!でも、私達あのゲームに関して何か仕事してました?」
「してないけどな。ウッチーのリコール社というのはそういうところなんだよ。とにかく私は行くからな。キミは好きにしたまえ」
「待ってくださいよ。私も行きますよ」
「ウワァ、こら!危ないじゃないか!歩きスマホは…、いや。あれは歩きスマホではなくて、スマホだ。道路からスマホが飛び出してきた…」
「こちら現場の腹パンです!街に現れたモンスター達は人々を襲いながらみな同じ方向へと進んでいるようです。この先には大きな公園があるようなのですが、それと関係しているのでしょうか?一体この先には何があるのか。腹パンが先回りして確認したいところなのですが、モンスター達の動きが遅くなっているようです。さすがの腹パンもあの数のモンスターを相手には出来ないので、後ろからコッソリついていくしかなさそうです。そして…ギャァ…!腹パン一生の不覚!背後から迫ってきていた巨大なスマホに気付かずに、スマホに腰を攻撃されてしまいました。大ダメージで動くことが出来ません」
「はい!こちら現場のウッチーでぇす!どうやら後輩の腹屁端がやらかしてしまったようなので、ここは先輩として尻ぬぐいをしたいと思いまぁす!それでは、現場からウッチーが引き続きお届けします。なんと、先程からモンスター達を追いかけるようにして巨大なスマホが多数現れているのです。そして、モンスター達を背後から攻撃しているため、モンスターの進む速度が遅くなっているのだと思われます!…アッ、そして今驚くべき事が起きました!なんとスマホがモンスターを一匹吸い込んだのです!」
「部長、スマホまで登場しましたよ」
「これはつまり仕様どおりに作られているってことか?」
「そうですかね。でもなぜかスマホがモンスターを攻撃してるみたいですが」
「良く解らないな。でもその方が都合が良いかも知れないな。あの公園にモンスターが集まると、何か嫌な事が起きそうな気がするんだよ」
「なんでそんな事が解るんですか?」
「何年もこの街にいたらね。そういう勘が良くなってくるんだよ」
「変な話ですね」
「ああ、ホントにな」
「なんなのよ、あのスマホは!?…そうか、解ったわよ。忌々しい黒猫亭のマダムめ。だがそうはいかないよ!」
「クソ、ダメだ。スマホが危なくてモンスター達に近づけない。…これはもしかして私に邪悪な心が芽生えてしまったから、ザ・ガードマンとしての力が出せなくなっているのか?…いや、待てよ。私には元々そんな特別な力なんてなかったか。とにかくザ・ガードマンとして人々を助けないと」
「もうイイのよ、ザ・ガードマン」
「あっ、マダム!」
「あなたの仕事はもう終わり。あとは成り行きにまかせましょう」
「しかし、まだモンスター達があんなに…」
「みなさま!あちらをご覧ください!先程までスマホが優勢で次々とモンスター達が吸い込まれて行ったのですが、スマホの勢いが一気に衰えたようです。一体何が起きたのでしょうか?…アッ、あちらをご覧ください!あれはどこかで見たことがあるような…」
「はい!こちら地獄の女子アナ、横パンこと横屁端です!ただいま地上に召喚された横パンが用意したのはこちら!携帯ジャマーです!これは一体何かというと、電波を妨害して携帯を使えなくするものなのです。これがあればスマホなど取るに足りません。ご覧ください!モンスター達がスマホを次々に壊していきます!そして、我々の計画を遂行すべく再び公園の方へ向かっていきます!」
「もの凄い数が集まったな」
「アッ、お巡りさん!あそこ見てください」
「おお、あの空を飛ぶモンスターが足でつかんでいるのは…」
「マインさーん!」
「部長!見てください。空から女の子が!」
「何を言って…、あらホントだ。鳥のモンスターに捕まったまま、公園の真ん中に降りてきたな」
「全然動かないですけど、生きてるんですかね?」
「どうだろう?」
「それに、モンスター達はここに集まって何をするんでしょうか?」
「そういう時には仕様書を思い出せば良いんだよ」
「でも私達ほとんどそんなもの読んでないですよ」
「でもアレじゃないか。ゲームで悪いヤツらがやろうとするのは世界征服とかそういう事じゃないか?息子がやってるのはそんなのばっかりだぞ」
「ええ?リアル・モンスターってそんなゲームなんですか?似たようなゲームのパクりだから、もっと平和な内容だと思ったのに」
「みなさま!ついにこの時が来たのです!地上が我々のものになったら、横パンを地獄に置き去りにした憎き内屁端アナには思う存分復讐することになるでしょう。見てください!たった今、最後のモンスターが公園にやってまいりました。これからモンスター達の力を使って、巨大な地獄の門が開かれるのです!そして、これまで地上の誰もが見る事の出来なかった巨大な、とてつもなく巨大なモンスターがその門を通って現れることでしょう!」
「どうしよう、マインさんがモンスター達の中に。これじゃあ助けられないよ」
「うーむ。しかし、彼女は全く動かないが、それも心配だな」
「セミ取りでござる!セミ取りでござる!」
「なんですかあなたは?」
「私はセミ取り侍!案ずるなかれ。彼女は生きておる」
「はあ」
「おはようございます…。現場のウッチーですが、先程から辺りは静まりかえっているので、ウッチーも小声になってしまって、思わず朝の挨拶をしてしまいました。しかし、この静けさはなんでしょうか?まさしく嵐の前の静けさという感じです。…そして、みなさんあちらをご覧ください。夏の青空が一転して真っ黒な雲に覆われました。そして、その雲のなかにさらなる真っ黒な穴のようなものが…、それが次第に大きくなって行くではありませんか」
「あなた…。あなた…。ウフフッ…。あなた!…あなたったら!」
「ウワァ?!…なんだ?また居眠りしてたか」
「そうね、あなた。眠りは静寂。そして、静寂は何をもたらすのかしら?」
「何、って?」
「きっと夕立が降りますよ、あなた」
「ああ。今日は暑かったからね。そんな感じかな」
「もう、あなたったら。本当に夕立なんかが降ると思っているのかしら?」
「でも、なんだか曇ってきたぞ」
「降るのは悲しみと憎しみと、想像を絶する苦悩!」
「なんで、そんな恐いこというんだ?」
「ウフッ…。あなたったら。夏だもの。少しは良いじゃないですか。あなた…。あなた…!」
「こちらは腹パンこと腹屁端でよろしかったでしょうか。先程から空が真っ暗になって、さらにその真ん中のさらに暗く、黒い穴のようになっているその中に稲光が。音もなく黒い穴から稲光の光が漏れてくるのです。そうです。あれは、稲光がピカピカ。…繰り返します、ピカピカ。ピカピカです。そして辺りには静寂…」
「ビェエエー!ジェージェージェー!!ババババッサバサ!」
「あっ、あれはマインさんのセミ地雷!」
「みなさん、ご覧ください。なんとモンスター達の中に倒れていた少女が突然暴れ出したので、周りのモンスター達が大パニックになりました!まるで死んでいると思ったセミが生きていていきなり鳴きながら飛び立った時の、あれにそっくりです!」
「一体どうしたことでしょうか?この耳をつんざくようなセミの鳴き声、そしてバサバサという羽音。ギャー!…そして今横パンの頭上にもパニック状態のセミが飛んできて、なんと横パンは携帯ジャマーを落としてしまいました。これはマズい事になりそうなので、保身が第一の横パンはひとまず避難したいと思いまぁす!それではみなさん、またいつかお会いしましょう」
「みなさん、あちらをご覧ください。モンスター達がパニックになったと思ったら、さらにさっきの巨大なスマホが反撃に出たようで、モンスター達が消えていきます。そしてアッという間にモンスターはいなくなって、残ったのは巨大なスマホだけになりました!」
「なあ、知ってる?」
「知らないよ」
「そうじゃなくてさ。あのテレビでやってるヤツ。巨大なスマホってタブレットのことかな?」
「いや、スマホを大きくしただけじゃタブレットにはならないんじゃないか?」
「じゃあ、タブレットとスマホの違いってなんだ?」
「うーん…。なんだろう?」
「マインさん!大丈夫ですか?」
「…ほらね。私、セミ地雷。ビックリするとね。爆発するの」
「キミが可憐な少女か。いや、見事な活躍だったな」
「セミ取りでござる!セミ取りでござる!」
「あ、あなた…。セミ取り侍」
「姫様、出発の時間でござる」
「そうですか」
「エッ、ちょっと待って。マインさんをどこに連れて行くんですか?」
「私はセミの国から来た。セミの国から来て、セミの国には帰らない。…行きましょうセミ取り侍」
「…??だからどこに行くのか、って」
「まあまあ。行かせてあげなさい。セミというのは人間に飼われる生き物ではないんだよ」
「はあ…。というか彼女はセミじゃないと思いますが…」
「おい、望遠耳!」
「アッ、あなたは夏の使いのノグソ」
「なんかまたスゴい事になってたな」
「まあ、そうですけど。なんか最近は慣れて来ちゃったから、スゴいかどうかも解らなかったり」
「映画のCGみたいなもんか」
「その例えはビミョーですけど」
「それよりも、なんか草ばっかりだなこのベランダは。それにこのトウモロコシとか。キミはケビン・コスナーか?!」
「なんでトウモロコシが出てくるとみんなその発想になるんですか?だいたいそのスペースにどうやって野球場を作るんですか」
「まあ、野球場を作らなくても私がやって来たから良いだろう」
「何が『良い』なのか解りませんけど。それよりも、今年の夏は暑すぎると思うんですけど。もしかしてノグソさんがなんかしてるんじゃないですか?」
「私一人のせいにされても困るがな。いつも言っているように季節の変化というのは一人の力ではなくて、いろんな要素が絡み合ってできるものだからな。誰かがちょっとでも違う事をすると猛暑になったりもするし。でも今年はちょっと暑すぎるからな。実を言うと修正作業があるから、こんなところで油を売ってるヒマはなかったりしてな」
「だったら、早く修正してきてくださいよ」
「そんなつれない態度じゃ、修正作業も手抜きになっちゃうよ」
「エェ?!じゃあ、まあ頑張って修正してきてください。お願いします。とか、こんな感じで良いのかな」
「まあ、それで良いや。それじゃあ、行ってくるかな。…ああ、そういえば今公園に行くと巨大なスマホが落ちてるけど、もったいないから拾ってきたらどうだ?」
「いや、デッカいスマホはポケットに入らないからいらないですよ」
「それもそうか。それじゃあ、また」
「ぁなぁなぁなぁなぁなあなあなあなた…」
「ん?なんだ…。ヒグラシが鳴いてる…」
「ァナァナァナアナアナアナタ…」
「珍しいな。こんな時期に…」
「アナタ!」
「ウワァ!」
「ウワァ、じゃないですよあなた。ブツブツ寝言を言って。一体どんな夢を見ていらしたのかしら、あなた」
「いやあ、なんだか秋が来たような、そんな感じがしたけど。しかしまだまだ暑いねえ」
「そうよあなた。夏はそんなふうには終わらない。夜になってもベタッとして、ジトッとして。外に出たらいきなりセミ爆弾に襲われるのよ、あなた」
「セミ爆弾?」
「爆弾じゃダメかしら?」
「いやあ…」
「それじゃあ、セミ地雷?」
「どっちもイヤだけど」
「だけどね、あなた。避けられない事だってあるのよ」
「なにが…?」
「ビェエエー!ジェージェージェー!!ババババッサバサ!」
「ウワァ!」
ということで、今回の望遠耳はいかがでしたでしょうか。いつもと同じようで少し違う感じもあったかも知れませんが。でも私が望遠耳を使って近所の会話を立ち聞きしたのをそのまま掲載しているだけですからね。いつもと違うとか、違わないとかは関係ないんですよ。ホントに。
そして「それにしても、今年は暑いですねえ」とか書こうとしていたのですが、最近は夜になると一応気温が下がって過ごしやすかったり、なんとかバテずにやってますが。これも住む場所が違えばまた状況も違ったりするはずです。でもなんとなく自分の住んでいるところが暑いと他も暑いに違いないと思ったりとかはありますよね。
それと同時に自分の住んでいるところに大量のモンスターが発生したりしたら、他のところでも発生していると思ったりもしますが。もしそうならスマホでなんとかしてください。
それよりも、今回のネタ元になったあのゲームですが。私はあんまりやる気なし。といってもやっている人を侮蔑したりはしませんが。でも歩きながら操作するのは危険なのでやめましょう。
次回はちゃんとした大特集だと良いですね。どうぞお楽しみに。