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#181 「感じを感じる」 2018-08-09 (Thu)

どんな感じですか?どんな感じですか?(ボブ・ディラン)


 テレビや雑誌なんかを見ていると、時々これまであまり目にしなかったような日本語の表現が出てきたりします。そういう言葉はどこか不自然に思えるのですが、大抵の場合はしばらくすると忘れられるか、いつの間にか普通の表現として使われるようになるか。

 そんな中で、最近気になっているのが「サイズ感」です。

 名詞に「感」をつけて「○○である感じ」という表現は私も時々使ったりするのですが、「サイズ」というのはそういう風に使う単語ではないです。なぜ「感」がついているのか?気にし始めたら気になって仕方がない。

 とうことで、緊急特集!「サイズ感」とはなんなのか?

 最近は気になることがあったらとりあえずネットで検索するのが正しい解決方法でもあるので、さっそく「サイズ感」で検索してみることに。

 検索結果の最初の方はファッションに関する記事が多いようです。つまり、お洒落の決め手は「サイズ感」ということみたいですが。でも内容を読んでみると「サイズ感」と書かれている場所を「サイズ」に置き換えても意味が伝わるような気もしなくもない。

 もしかして、「サイズ感」という言い方が流行っているので、流行に敏感でないといけないファッション記事としてはどうしても「サイズ感」を使いたい、ってことなのではないか?と思ったりします。

 これでは、そのうち忘れられてしまう変な日本語表現みたいなことと一緒です。でもなぜか気になって仕方ない「サイズ感」なので、ファッション記事内の「サイズ感」は私が気になっている「サイズ感」とは違うという事になるかも知れません。


 「サイズ感」で検索して解らなかったので、今度は「サイズ」と「感」に分けて考えてみたいと思います。最初に書いたように名詞に「感」をつけただけで、一般的でない表現でもある程度伝わることはあります。たとえば「ガッカリ感」と書けばガッカリした感じですし。こういうのはもともとが感情を表す言葉なので、意味が二重になっているだけでもあります。

 そうでない「感」に何があるかというと、代表的なものに「責任感」という言葉があります。


 辞書にも載っている「責任感」という言葉ですが、こっちの方が「サイズ感」での「感」の使い方に似ている気がするので、「責任感」と「サイズ感」を比べて見ると「サイズ感」の秘密が解るかも知れません。


 「責任」と「責任感」が違う意味なのは実際に使ってみるとすぐに解ります。まずは「ある」をつけてみます。

  • 私に責任がある。
  • 私には責任感がある。

一つ目は責められるべき人で、二つ目はなんとなくしっかりした人って感じがします。これはかなり意味が違ってきます。

 それでは「サイズ」だとどうなるのか。

  • 私にサイズがある。
  • 私にはサイズ感がある。

これはかなり難しい日本語になってしまいました。

 色々と深読みして意味を考えてみると、一つ目は服を買いに行ったりした時に、私にあうサイズの服がある、という意味にとれなくもないです。

 二つ目はさらに難しいのですが、一つ目と同様にあうをつけるとどうなるか。「私にあうサイズ感」とはどういうことか。


 もしかして、これでは埒があかないということなのでしょうか。でも、ここでもう一度「責任」の方を考えてみます。

 「責任がある」と「責任感がある」では、なぜか「責任感のある」人の方がしっかりした人のように思えてしまいました。しかし、実際には責任感はあってもいざとなった時に自分の責任を認めない人だっているかも知れません。反対に「責任がある」と言った場合、言い訳せずに責任を認めたということでは、こっちのほうがしっかりした人だということが出来ます。

 つまり「感」をつける事によって、実際にそうではなくても、そのように思える、というような意味が出てくるといえます。


 これを「サイズ」に当てはめてみると「感」をつけて「サイズ感」にすると、実際にはピッタリのサイズじゃなくても、その人にとって合っているようなサイズという意味になるのです。

 この考えは思わぬところで検証の機会がありました。これを書いている今は丁度夏休み。夏休みといえば「大魔神」です。なんで?と思う人もいるかも知れませんが、夏休みは巨大な物が登場する映画をテレビで放送していますよね。

 実際に先日「大魔神」をやっていたのですが。怒り狂う巨大な大魔神が暴れ回るシーン。あれこそが「サイズ感」です。

 本当は中に人間が入っていて、大きさも人間サイズのはずなのですが、映画の中で見ると巨大に見える。サイズは人間でもサイズ感は大魔神。そういうことに違いないのです。


 昔の特撮映画は特に気合いが入っていた感じもあるので、映画の中では常にサイズ感がある、あるいはサイズ感が合っていると思えるのですが、その後のテレビのウルトラマンシリーズなどでは、時々サイズ感がおかしい時がありました。

 巨大な物は下から見上げるような角度で撮影するとサイズ感がありますし、動きもユックリに思える方が巨大なサイズ感ですが、怪獣プロレスと揶揄されるようになってきたウルトラマンは格闘シーンを見せたいがために、動きも見る角度も人間サイズでサイズ感が合っていないということもありました。

 「大魔神」や「ウルトラマン」で考えるのはあまりにも巨大すぎないか?ということもあるかも知れませんが、ここでもう一つ例をあげると、大型テレビなどがあります。

 また大きいものか?ということでもありますが、逆に考えると小型のものでも同じ事がいえるので、どちらでも良いのです。

 どういう事かというと、大型テレビを買おうと思って、家電量販店に行ったとします。最初は40インチぐらいで良いとか思っていたのに、店に行くとどうにも小さく見える。それで思い切って50インチを買ったら、部屋に置くととてつもなく巨大で後悔するとか。

 これは解りやすくサイズ感の問題だと思います。


 結局「サイズ感」とは感覚的なサイズということになってしまって、もしかしてこんな大げさな感じで考える必要もなかったのではないか?という気もしてきましたが。

 でも問題は解決したわけではなかったりするのです。なぜなら、それはカタカナだから!


 何を言っているのか?という感じかも知れませんが、誰もがサイズ感のサイズを"size"だと思っているに違いないのですが、本当にそうなのでしょうか?

 カタカナの単語というのは外国語の読み方をそのままカタカナにしたものだったり、時には外国語の読み方とぜんぜん違うけど、それが定着していたり。さらには、同じ意味の日本語があるのに、わざわざ英語にしてそれをさらにカタカナ読みで言ったりとか。

 最近よく目にする「ダイバーシティ」という言葉も、私は最近までお台場で某テレビ局がやっているイベントだと思っていましたし。(厳密にいうと、お台場にある施設の名前がまさに「ダイバーシティ」ですが。)

 それはともかく、カタカナというのは誤解を招きやすいのです。そして「サイズ感」の「サイズ」は本当に"size"なのか。これは気になってきたので「サイズ」あるいは「サイ」(複数形にしてサイズになる?)と発音出来そうな綴りで検索。

 するとなんと「PSY・S」を発見!知っていたような知らなかったような、懐かしいのかそうでもないのか、解らない事になってきました。

 もしかして「サイズ感」って、こういうどっちつかずな感覚のことを言うのか?とも思ってしまいましたが、これは私に限ったことで、人によって「PSY・S」良く知ってたり、全然知らなかったり、懐かしかったり、今でも良く聴くだったりしますし、これに関しては「サイズ感」ではないと思われます。


 ただし、気を付けないといけないのは「サイズ感」の「サイズ」は普通の「サイズ」でしたが、世の中にはカタカナで我々を煙に巻こうとする人が沢山いるということです。これまで日本語だった商品にかっこよさそうなカタカナの名前をつけたら売れたとか。まあ、商売は普通の物をいかに良く見せるかというところが肝心ですし、それでも良いのかも知れません。

 でもこれが政治に関することだったりすると、放っておくと大変な事になるかも知れないのです。すでにニュースなどで、どうして日本語にしないのか?というカタカナ用語が沢山使われていますが、そういうカタカナの中に意味を知らない言葉があったらそのままにしていてはいけません。

 どういう意味なのか、そしてそれが外国語っぽいものなら同じ読み方で別の意味だったりしないかとか、そういうところまで徹底検証するべきです。(実際に「○○ファースト」とかいうアレ、"first"か"fast"かどっちかと聞かれると迷ったりしませんか?)

 あるいは、そういうことが面倒なので、全部日本語にしてくれ!と文句を言うべきでしょう。


 というか「サイズ感」の話だったのですが、急に話がそれて違和感ですけど。この「違和感」の「感」を別にすると「違和」なのですが、元々は「違和」という言葉に「感」を付けたものだったんですね。今では「違和感」という言葉の方が良く使われると思いますが、「サイズ感」も同じように辞書に載ったり「サイズ」よりも一般的になったりするのでしょうか?

 どうでもイイですけどね。

 ということで、急に気になってしまったので大特集された「サイズ感」でした。結論というワケではないですが、サイズ感ってなんだ?って思った時には「サイズ感とは大魔神だ!」ということで良いのではないかと思われます。


 そして、次回の大特集は何か?ということですが、夏ですし何かあるのか?というと、解りませんが。ご期待下さい。