Apology試聴会には私(ミドル・ムスタファ)とLittle Mustaphaしか参加しませんでした。
以下は私とLittle Mustaphaのやりとりです。
「リミックスってこういうことなんですか?」
「まあ、それはどうでもいいじゃないか。ちゃんとDJ. Awful Mustaphaがリミックスしたんだから」
「そのDJ. Awful Mustaphaがあなただと言うことは多分みんな知ってますよ」
「えっ、そうなの。なんで解ったんだろう?秘密にしてたのに」
「そりゃ解りますよ。どんな物好きでもこんな曲をリミックスする人なんて・・・。」
「こんな曲ってどういう意味だ?」
「あっ失礼」
「確かにちょっと一般向けではないかもしれないけど」
「それにしても、どうしてこんなことをやろうとしたんですか?」
「実験と言ったらいいのかなあ。例えば、君は『今週のリミックス』は読んだ?」
「ええ、一応」
「あれは僕が書いたものだけど、あの文章は元々ある一つのテーマを元に作られた話を羅列したものだったんだ。それはそれでおもしろかったんだけど、さらにそれを切り刻んで編集し直すことによって、また違ったおもしろさが出てきているよねえ?」
「ええ、まあ一応」
「つまり、それは僕の曲にも当てはまるということだよ。僕はいつも何かのテーマを元に曲を作っているんだ。・・・僕の曲が解りづらいのはそのテーマの難解さのせいなんだけど・・・。それをまた編集し直したら、それはそれでおもしろいんじゃないかと思ってさ」
「へえ、そうなんですかあ」
「でも、今のは嘘だけどね」
「えっ、嘘なんですか」
「なんだかリミックスって言葉、格好いいじゃん。だから作ってみたんだよ」
「なんだ、やっぱり」
「それに、あれがいつまでたっても発売されないから新しい曲の制作に取り掛かれないんだよ」
「あれって何ですか?」
「あるソフトウェアなんだけど、僕はてっきりもう発売されてると思って新しいパソコンまで買ったのに、そのソフトがないから音楽用に買った新しいパソコンはほとんど使えない状態なんだ。それじゃあもったいないから別のソフトを買ってきてリミックスをやってみたんだ」
「そのソフトっていうのはオーディオファイルをつなぎ合わせて曲を作るやつですよね。確か、そういうソフトは嫌いなはずでしたよねえ」
「それは使い方によるよ。最近の作曲ソフトはできあいの素材から音を選んでつなぎ合わせるだけで曲が作れてしまうんだけど、そういうのを作曲というのかどうか、というのが疑問なんだ。それは曲を作ったというより組み立てたという方が正確だよねえ。ガンプラ感覚とでもいうのかなあ。僕の場合はほとんど自分で演奏したものを使っているから、これは作曲の延長だよね。まあドラム類だけはサンプリングCDのものだけど。曲のイメージが元の曲と全く違っても、使ってる素材は元の曲のものだから、同じ曲の別バージョン。つまりリミックスということなんだ」
「なんだかよく解りませんねえ」
「解らなくてけっこう。解る人はきっと解ってくれる。それが僕の信条だからね」
「その解る人っていうのはこの世に数えるほどしかいない気もしますけど・・・。あっ失礼」
「いや、いいんだ。それよりも、いま数えるほどって言ったよねえ。人はいくつまで数えることが出来るか知ってる?」
「さあ?知りません」
「ちょっと試してみようか?」
「何をですか?」
「人がいくつまで数えることが出来るか、だよ。じゃあ、始めるよ。1,2、3・・・」
こうして私はその日Little Mustaphaとともに数え続けることになりました。いくつまで数えたか覚えていませんが、人は意外とたくさん数えることが出来るということが解りました。これからは「数えるほど」という言葉を使うときには気をつけた方がいいでしょう。