Welcome to Strange World of Six Legged Woman
Little Mustapha

 どうしてこんなものを作ったの?と言われても作ってしまったものはしょうがない。パート1(当初はフェーズ1となっていた)を制作してから三年以上たって、なぜかパート2を作りたくなってしまいました。というより、パート1を作り直したくなって、作業していたらパート2のアイディアが出てきてしまったのです。パート1を作り直したくなったのは、前回の録音時のたった一カ所の致命的なミスを何とかしたかったのと、私の制作環境が以前に比べて格段によくなったことが主な理由。前回のミスが一カ所だったわけではなくて細かいミスは大量にあったのですが、まあそんなことはいいか。とにかく作ってしまったのです。それで、作ってしまったものはしょうがない、と言うことで発表されるわけです。演奏も音質も前回の発表の時よりはよくなっているはずです。
 Six Legged はパート3で完結(予定)なのですが、今回はパート2までしか制作されていないので、余った時間にサイドストーリーを収録しました。まあ、これは本編の制作でたまったストレスを発散させるために作ったようなものなので、荒削りで多少ヘヴィーでロッキンです。でも一応Six Legged の内容をふまえてあります。パート3はそのうち作る予定ですがいつになるかは解りません。なにせこのシリーズは作るのに大変な体力を使うもので・・・。

このシリーズのねらい

 Six Legged 本編のスコアは人数の足りないチープなオーケストラのために書かれています。オーケストラと言えば同じ楽器を持った人がたくさんいるものですが、Six Leggedでは各楽器に対する演奏者は一人になっています。それに楽器の種類もフルオーケストラに比べるとかなり少ないです。それによって、クラシックともポップスともつかない微妙なサウンドを作り上げているのです。こういう書き方をすると、なんだか実際に演奏者を招いて録音されたような感じですが、演奏しているのは全部私です。しかも、本物の楽器はギターだけで、後はシンセ音源の音です。それでも、管楽器はすべて、打ち込みではなくウィンド・シンセを使って生演奏を録音しました。打ち込みで演奏データを修正していくと、どうしても味気なくなってしまうものなので、多少演奏がまずくてもこの妙な緊張感を出すには生演奏しかないのです。

Six Legged について

 ミドル・ムスタファの未完の小説「六本足の女」を元にして作られたとされているけど、実際にそんな小説があるかどうかは誰にも解りません。私の知っている限りでその小説は、ある男が夜の闇の中で、あっちの世界からやってきた、足が六本ある女の怪物に出会うところまでかかれていると言うことです。後の話は私が勝手に考えました。

パート1について

 Encounter (遭遇)と題されたパート1には男が六本足の女と出会った一夜の出来事が描かれていることになっています。男が霧の立ちこめる夜道をさまよっていると、霧の向こうから六本足の女が現れます。顔立ちはギリシア風の美人で、二本の足で立ち残りの4本の足は手と一緒に体の横に広げられてユラユラしながら、妖しいフェロモンを放っています。男は恐怖のあまり逃げ出したいと思いながらも、なぜか六本足の女に魅力を感じていました。そうして、男がその場に立ちつくしていると、六本足の女がこういうのです。
「行きたい場所にお行きになって・・・云々」(詳細は面倒くさくて歌われなかった歌詞参照)
言い終わると六本足の女は煙のように消えてしまいました。男はこれが夢なのか現実なのか解らないまましばらく夜道をさまよい続けました。
 しばらくすると男は自分がベッドの中にいることに気づきました。時計を見るともう真夜中を過ぎていました。男は何かがおかしいと思い、起きあがって考えてみました。「時間が止まっている」男にはそう思えて仕方ありませんでした。
 この後も男の悪夢的一夜は続くのですが、なんだか考えるの面倒なので、あとはみなさんが考えてください。最後に男は六本足の女らしき人影を見つけてそれを追いかけて、一夜は終わりです。

パート2について

 パート2の副題は現時点ではまだ決まっていませんが、パート1の恐ろしい夜が明けた朝からです。パート2はおもに昼間の話です。昨夜のことを全て夢と決めつけてしまった男は、その日彼の恋人とともにデレデレしながら過ごすことになっていました。でも心のどこかで昨夜のことが夢ではなく現実に起きたことなのではないかという不安もありました。
 そのとおり、六本足の女は実在するのです!そして、男を自分のものにしてあっちの世界に連れ去ろうとしているのでありました。
 パート2では男の恋人の存在に気づき嫉妬した六本足の女が、あらゆる手段で男の気を惹こうとします。そして、その美しい顔の下に隠された本当の素顔が、あまりにもおぞましいその素顔が明らかになっていくのでーす。
 ちなみに、パート2はパート1の二倍の枚数のスコアを書きました。大変でした。

サイドストーリーについて

 サイドストーリーは、なんていうかおまけみたいなものなので、これを聴いて本編の内容を深読みすることも出来るし、独立した一つの曲として聴くことも出来ます。自由にやっているので、私としてはなかなかの出来になったと思っております。

今後のSix Legged について

 パート3の制作がいつ始まるか解りませんが、タイトルは決まっています。タイトルは「崩壊」です。きっと何かが崩壊します。楽曲自体が崩壊している可能性もあります。パート2までは少しポップすぎた感もあるので、すこしぐらい崩壊すべきかも知れません。崩壊した音楽を譜面の上で作り上げるというのは意外と難しいものなのです。ただ単にめちゃくちゃな音楽を作りたいのなら、楽器を弾けない人に演奏させればいいのですが計算されためちゃくちゃというのはふつうに聴ける音楽を作るよりも難しいのです。ですから、パート3が聴き易い内容に仕上がっていたら「ああ、妥協したんだな」と思ってください。まあ、パート2までが聴き易いのかどうかは私には解りませんが。