「歌と劇:プロフェシー」

9. 翌日、さびれたデパートの中

イベントの準備が進められる中、警察は付近の警備を、エフ・ビー・エルの職員はテロを警戒していることになっている。


ドコデーモス、ドチラーノン、アティラーノン入場


ドチラーノン : どうしてこんな無謀なことをしたのですか?

アティラーノン : こうでもしないと、お母様は絶対にあたしがここへ来ることを許さなかったはずです。

ドチラーノン : 私はあなたを災いから遠ざけるために、あなたがここへ来ることを許さなかったのです。

アティラーノン : どうしてお母様はあんな予言者の言うことなんか信じるの?あの人って陰険で気味が悪くて、あたし嫌いよ!それに、島の伝説には災いなんてことはどこにも書いてないのよ。

ドチラーノン : いいえ違います。予言によればあなたはここで災いに巻き込まれるのです。伝説なんか信じても良いことは何もございません。

ドコデーモス : まあ、よいではないか。何かがあっても予言者はきっと災いからおまえを守ってくれるであろう。

アティラーノン : まさか、予言者がここに来ているの?

ドコデーモス : それだから、私達はこのイベントを中止にせずにいるんだ。そうでなければ、力ずくでもおまえを島に連れて帰っていたところだぞ。何があろうともあの予言者が何とかしてくれるはずだ。おまえは心ゆくまでイベントを楽しめばいい。

ドチラーノン : それでも私は心配ですよ。

ドコデーモス : おまえは時々心配しすぎで困るなあ。

ドコデーモス、ドチラーノン退場


アティラーノン : あの予言者がここに来ているなんて。まったく気分が悪いわ。あたしに災いが降りかかるとしたら、あの予言者の他にないわ。あのいやらしい目でみられるだけで、あたしは我慢が出来なくなるのよ。


予言者入場


予言者 : これは姫様。こんなところにおいででしたか。

アティラーノン : 何をしに来たの?あなたはあたしを災いから守らないといけないのだから、こんなところにいてはいけないのでしょ。早くどこかへ行っておしまい。

予言者 : 姫様、未来の王様に向かってそんなヒドイ言い方は慎まれたほうが良いのではございませんか?

アティラーノン : それはどういうこと?あなたが未来の王様ですって?どう考えてもあなたにはそんな資格はありませんわ。

予言者 : 島の伝説ではそういうことになっているかと思われますがねえ。それに私の予言によってもそれは確実なのでございます。「夢みた人」は今姫様の目の前にいるのかも知れませんよ。

アティラーノン : まあ!勘違いも甚だしいわ!あなたが「夢みた人」であるはずないんですから。

予言者 : 伝説が姫様の思い描いたとおりであることはありませんよ。いずれにしても私が「尻尾が迷路になっているイヌ」をくい止めれば王様は私の望んだものを何でもくださるともうしておいでだ。

アティラーノン : あなた、何をしようというの?あなたの思い通りになんかならないのよ!

予言者 : それは島の伝説が決めることではございませんか?姫様は「夢みた人」のために歌えば良いのです。そうすればあなたの目の前に「夢みた人」が現れますよ。さあ、もうそろそろステージの用意は出来そうですよ。姫様の愛の歌を未来の王様にしっかりとお聞かせください。


予言者退場


アティラーノン : どうしましょう!これはあの予言者の罠だったのね。ばあや!ばあや!どこにいるの?このイベントは中止しないといけないのよ!ばあや!

      こんな時にばあやはどこに行ったの?ばあや!ばあや!ああ、どうしましょう。どうしましょう…。


アティラーノン退場