Black-holic50回記念なんですが、前々回から変な神様が暴走しているので「シークレットの続きです。
-----三回目なので、前回までのあらすじ。(リミックス風)-----
封筒を持って、私は神様パワーでキミをオカマっぽいコンビニ店員にしてやる。その真偽を確かめるために私の手にしている地図は、私を薄暗い方へアメリカンな倒置法をオカマっぽいコンビニ店員にしてやる。「神様。今回はのっけからパワー全開ですね」中にはいると勝手に空いたり閉まったりする人間なんてそんなもの。「我が輩は神様である。名前はまだない」「あっ、すいません。・・・なかなかいいですよねえ、その企画。モーターで動かしてるんだぞ。どうだ凄いだろ」私が余計な心配をして盛り上がっていると、男はズボンのポケットから財布を取り出すと中から小銭を一枚出して賽銭箱に投げ入れた。「凄いだろ、と言われてもどの部分に驚いていいのか迷ってしまいますよ」何が不満なのかは知らないが、ニヤニヤしながら私のほうを見ていた。「神様。一生のお願いです。どうか私に、春風のいたずらを・・・」「なんなんだよ、いったい?!」
あっけにとられている私に反して、変な神様は満足そうな笑みを浮かべている。いったい、外にいる男が神様にお願いした「春風のいたずらとは」何なのだろうか?男が去っていった今、それを知るのはこの変な神様のみ。
私の疑問を察したのかどうかは知らないが、神様が話し始めた。
「面白いですね、あの人は。チラリズムですよ。いやあ、実に面白いですよ」
「何でもいいですけど、どうしてあの人は願い事を声に出してたんですか?」
「それは、あれだな。『声に出して読みたい日本語』に載ってたからだな」
「うそつき!そんなの載ってるわけないですよ」
「本当にそう思うのか?どうせ読んでないんだろ?」
「ん?まあそうだけど」
「まあ、それはいいとして。あの男はヘッドフォンしてただろ?それで、自分の声に気付かなかったんだな。きっとよっぽど『春風のいたずら』を望んでたんだろう。思わず願い事を声に出してしまったのに、大音量で音楽を聴いていたからそれに気付かなかったんだねえ。ちなみにあの男、アイアンメイデンのTシャツを着ていたけど、聴いていた音楽はアユだぞ」
「えっ!?ホントですか?…それじゃああのTシャツはいったい…」
「ほらほら、だんだん面白くなってきただろ?」
「うーん。かなり微妙ではありますが、面白くなってきましたねえ」
「そうか、それは良かった。でも、あの男が『春風のいたずら』を目にすることは無いだろうねえ。可愛そうに」
「可愛そうにって。その願いを叶えるのが神様の仕事じゃないんですか?」
「神様には叶えられる願い事と、そうでないことがあるんだよ。前に言わなかったっけ?」
「聞いたような気もしますが、それは多分違う神様ですよ。まあどうでもいいか。それよりも、どうして『春風のいたずら』は叶えられないんですか?」
「考えてもみたまえ。人間が『春風のいたずら』に遭遇できるのは一生のうち何回あると思ってるんだね?」
「さあ、十回ぐらい?」
「ダメだなあ。人間が『春風のいたずら』に遭遇できるのは平均で一回よりも少ないんだぞ。多くの人間が『春風のいたずら』に遭遇できずに一生を終えるということだ」
「そうなんですか?私なんかもう何度も…」
「本当にそう思うのかな?もしかするとキミの言っているのは『春風のいたずら』ではなくて『北風のいたずら』じゃないのか?」
「そう言われると、そんな気もするなあ…」
「キミ、『春風のいたずら』と『北風のいたずら』では大違いだぞ。北風の吹く冬場には服の生地も厚めのものになるから、少しもヒラヒラ感が無いんだ。それじゃあ、全然良くないよねえ」
「まあ、そうですかねえ。どっちでもいいけど」
「ところでキミ。私はキミに、魂と引き替えに『春風のいたずら』に遭遇させてやろうと思うんだがね。どうだ?」
「嫌ですよ。そんなことは、さっきの人に言ってくださいよ」
「そうなの?でもちょっとは、いいかもって思ったでしょ?」
「思いません!」
「何だ残念」
それほど残念そうな顔はしていませんでしたが、神様はそのまま黙ってしまいました。こんな時には「私の言うことが聞けないのならキミをオカマっぽいコンビニ店員にしてやる」とか言うに決まっているのですが、今は何も言わずに何かを待っているような感じです。そこが私にはまた恐ろしかったりするのですが、私もこの後起こる何かを待つしかなさそうでした。
これって、また次回に続くってこと?