「なあ、知ってる?最近渋谷にいる若い男のことをセンター・ガイっていうんだぜ」
「そんなの知ってるよ。最近ていうか、ずいぶん前からその呼び方はあるよ」
「へえ、そうなのか。でもまだ秋葉原に集まるデンキ・ガイというのはないよねえ」
「知らないけど、そんなのはどうでもいいんじゃないのか」
「いやいや、これは問題だよ。渋谷に集まる○○な若者は○○以外の呼び名があるのに、秋葉原に集まるオ○クはそのままオ○クじゃ、彼らも納得しないと思うよ」
「なんだそれ?キミはそんなことのためにボクを呼び出したのか?」
「まさか、そんなことはありませんよ。もっと重要な発表があるんですよ」
「なんだ。じゃあ無駄な話はやめて早くその重要な発表をしてくれよ。オレはこれから大事な仕事があるんだから」
「それじゃあ発表します。これからボクらが集合する時は必ず場所を地下街にしまーす!」
「おい!キミはまさか…。あれ?何だろうあの人達は?」
「あ、ホントだ。槍を持った背の高い人がこっちに向かってきますねえ。あれってもしかして『ヤリ・ガイ』じゃないですか!?」
「違うよ。マサイ族だよ!」
「ジャンボー!ジャンボー!」
「はいはい、親方。何ですか?」
「おいジャンボ。お前またあれ出しっぱなしじゃねえか。いったい何度言ったら解るんだ。ジャンボ」
「あれならさっきちゃんとしまいましたよ」
「嘘つくんじゃねえ。あれを使うのはオレかジャンボしかいねえじゃねえか。そんなことじゃ今月の給料払わねえぞ」
「わかりましたよ。その代わり、ボクのことをジャンボって呼ぶのやめてくれませんか?」
「なんでだよ!?もう慣れちゃったから今更変えられねえよ」
「調子でないんですよねえ。ジャンボっていうのは。だいたいボクは大きいわけでもないし」
「だいたい何でジャンボなんてあだ名が付いてるんだよ」
「何言ってるんですか。ボクがカラオケで尾崎を歌ったことが転じて転じて、さらに親方のオヤジセンスでジャンボになったんですよ」
「だって尾崎っていったらジャンボだろ」
「もうボクやめちゃいますよ」
「いやいやそれは勘弁してくれよジャンボ」
「あらいやだ。あなた、あすこをご覧になって。あなた、あなたってば!」
「ん!?なんだ?」
「あすこのおうちのかた、この寒いのに外に出てずっとたったまんまですのよ」
「あ、ホントだ。またあんな所で」
「あなたはあのかたが誰だかご存じですの?」
「あれは、あれだろ?何とかいう…。望遠耳とかいうのを使っていろんな会話を立ち聞きしてるんだろ」
「そうですのわよ。だからあたくしはあのかたが誰かって聞いてるんですのよ!」
「だから、望遠耳の人だろ?」
「もうあなたったら。ウブなんだから」
「ウブ?」
「あたくしはあの方がタフガイかどうかを聞いてるんですのよ」
「???。まあそうなんじゃないか。この寒いのにあんな所にじっとしてるなんて」
「お馬鹿さんねえ。あのかたはねえオク・ガイなんですのよ。ウフフッ」
「うん…。まあそうだねえ」
「もう。意地悪なんだから!」
またウフギ屋の女将に見付かってしまいました。この展開は明らかに「今週のミックスダウン」です。でも今回は結構忙しいので続きは次回ということで勘弁してください。今のところ結末は考えていません。というか毎回結末なんて考えずに始まってしまうんですけどね。それでは、私は望遠耳を使ってしばらく町中で交わされる変な会話を聞いていようかと思います。乞うご期待。
前回の「今週のミックスダウン」はこちら。