「ワーイ!ワーイ!楽しいなぁ!嬉しいなぁ!夏休みって最高だぁ!ワーイ!ワーイ!」
これは、遠い夏の日の思い出…。いや、違う。確かに夏休みは嬉しかった。しかし、一番嬉しい気分なのは始まる直前で、始まってみれば、何か物足りないような気持ちで何もない休日を過ごすだけ。それでも、楽しみにしていた旅行の日がやって来れば気分は少し盛り上がるのだが、最後には貯まりに貯まった夏休みの宿題が全てを台無しにするのだ。
夏休みが楽しかったことなど一度もない。宿題のない幼稚園児だった頃でさえも。夏休みが終わればまた面倒な日常が始まると知って、憂鬱になっていたものである。
それでは、さっき聞こえて来た声はなんだったのだろうか。夏休みを謳歌する子供の声。
ブラインドの隙間から家の前の道路を見てみたが、そこには太陽に照りつけられるアスファルトが見えるだけ。今時の子供は夏休みになっても外を駆け回ったりはしないのだ。
ボンヤリと道路を眺めていると、日焼け防止のために全身を覆う服を着て、巨大なサンバイザーにマスクを着けたおばさんが自転車に乗って通り過ぎていった。日焼け防止の装備で少しも肌が見えないような状態だからそれが本当におばさんなのかは解らない。
もしかすると、装備を全て外したら、そこには何も見えなくて、実は透明人間だったということもあるかも知れない。
夏のおばさんはミステリアスである。
そんなことを思いながら窓際から離れる。するとまたあの子供の声が聞こえてきた。
これは外から聞こえて来る声ではない。かといって頭の中で聞こえる幻聴のようなものでもない。部屋のどこかで声がしている。
そう思った時に、このどこか懐かしいような響きを持った音がどこから出ているのかがハッキリとした。
それは望遠耳だった。街の中で交わされる会話をまるでそこにいるかのように立ち聞きすることが出来る望遠耳。
緊急事態宣言によって人々が街から消えた…と思って使っていなかったが、状況は良くなっていないどころか悪化しているのに、緩みきっている人々が街に出て来ている。彼らの声を聴いた望遠耳が私に向かって、使え!使え!と呼び掛けている。
久々に望遠耳を手にした私はそう思わずにはいられなかった。
「ウッポッパッポッ…。ウッポッパッポッ…。あなた…。ウフフッ…。あなた…。ウッポッパッポッ…」
「…ん?!なんだ?…なんか鳴ってなかったか?」
「あらやだ。あなた、また居眠りして」
「いや、なんか鳴ってたぞ。電子音みたいなの」
「そんなもの鳴ってませんよ、あなた。そんなことよりも、なんなのあれ?もったいぶってて、なんだか感じが悪いじゃないですか」
「感じ悪いって、何が?」
「何がって、解るでしょ?あなた。葉っぱも付かなければ花も咲かない。蔓だけが伸びるアサガオみたいなもの」
「ああ、あそこのベランダの。あれはもったいぶってるんじゃなくて、栄養が足りないんじゃないか?」
「そうじゃないのよ、あなた。最近はなんだって電子化されているんですからね。もっと広い視野を持たないとダメなのよ。そんなことだからお店に人が来てチャイムが鳴ったのに気付かなかったりするんですよ、あなた」
「チャイム?!…なんだ、やっぱり鳴ってたんじゃないか。電子音が。もう、早く言ってくれなきゃ…」
「ウフフフ…ッ!あなた。また騙されて。誰もお店になんか来ませんよ」
「なんだ、そうなのか…」
「ホントにねえ。こんな時くらい、うちにもお客さんが来てくれたって良いのにねえ。あなた…」
「どんな時だってウフギを食べるぐらい自由にさせて欲しいって感じだな」
「まあ、あなたったら。そんなことだからいつまで経っても気付かないのよ。うちは元から無観客開店。ウッポッパッポッ…。ウッポッパッポッ…」
「ん?!なんだ?また電子音が…?」
「ウッポッパッポッ…。ウッポッパッポッ…」
「あら、□□の奥さん。…ちょっと、□□の奥さん!」
「あらやだ、○○の奥さん。マスクしてるから気付かなかったわよ。ホントにねえ」
「もう、ホントに。あたしだって最初は気付かなかったわよ。ホントに、こんなに暑いのにマスクなんていやよねえ」
「ホントにもう。でもアレでしょ?変態だから、これまで大丈夫だったのも危険なんだって」
「あらそうなの?変態ってなんなのそれ?」
「テレビでやってたでしょ?なんか最初のと色々変わってるらしいわよ」
「いやあねえ。ホントに」
「ホントにねえ」
「ワーイ!ワーイ!…」
「あっ、危ない!」
「危ない!」
「危ないわねえ…!」
「ああ、危ない…!」
「危ない」
「危ないわねえ」
「なあ、知ってる?」
「何が?今の衝突事故のこと?」
「違うよ。ホントにここで大丈夫なのか?」
「コレまでは勘だけを頼りに来てたけどね。今回はアプリのナビで来たらここだったんだよ。大丈夫に決まってるよ」
「それよりも、そのアプリはホントに大丈夫なのか?イケてるものが近くにあると通知してくれるアプリなんて」
「無料だけど、広告も表示されるから大丈夫だろ」
「その理屈も謎だけど」
「ちょっと、△△の奥さん!…ちょっと!」
「あらやだ、○○の奥さんじゃない。マスクしてるから気付かなかったわよ」
「それより、スゴいの乗ってるじゃないの。それ電車って言うんでしょ?」
「そうなのよ。電動アシスト自転車。良いわよ、楽で」
「高いんでしょ。うちなんか主人のところが景気悪くてねえ、ホントに」
「まあ、ホントに。ねえ」
「ねえ、ホントに」
「あなたっ!」
「ウワァ!…なんだ?」
「あなた、起きたと思ったらすぐ寝るんだもの」
「いや、寝てなかったけど」
「夏は眠りが浅くなるものね。だから電動アシストよりも早く居眠り」
「電動アシスト?」
「ウフフ…。あなた電気だからってエコだと思ってるんでしょ?」
「それは、何と比べるかによって違ってくるんじゃ…」
「まあ!あなたそんなことをおっしゃって!」
「なにが?」
「あなたは表の自動販売機に使う電力を誰が作っているか知っているの?」
「電力会社じゃ…」
「今年やっと穴から出てきたセミにとっては、この夏は待ちに待った夏。七年間積もり積もった夏への期待が失望に変わる夏。それは電気が虚しく熱エネルギーに変換されるようなもの」
「どういうこと?」
「夏が好きって言いながら、いつもエアコンを使っているの。ウフフ…。ウフフ…。ウッポッパッポッ…。ウッポッパッポッ…」
「おっと、危ない」
「相変わらずいるよなあ。道でスケボーやる大人」
「デカいから子供がやるよりも危険だよな。…あれ、通知が来た」
「何の?」
「何の、って。イケてるアプリに決まってるだろ。この近くにイケてるものがあるんだよ」
「ついにボクらもイケてる人になることが出来るんだな。それでなんて書いてあるの?」
「あれ?なんかさっきのスケボーがイケてるらしいぞ」
「なんで?」
「理由は、オリンピックで注目されてブームが来そう、とか。スケボーで夏の大冒険が出来る、って」
「夏の大冒険って言っても。さっきの人けっこうなオッサンだったぜ」
「でも冒険してるのかも知れないぜ。お巡りさんに見つかったら怒られるかも知れないし」
「そんな冒険はやだな」
「そうだな」
「ああ、キミどうしたんだね?ずいぶんと遅いじゃないか」
「さっきそこで自転車とぶつかって骨折してたんすよね」
「骨折?!…だったらバイトどころじゃないだろう。すぐに病院に行きなさい」
「イヤ、ダイジョブっすよ。骨折なんてただの風邪っす」
「いや、違うだろ」
「マイーン♪マイーン♪マイーン♪マイーン♪マイ〜〜ン!!」
「ちょっと○○の奥さん、まだいたの?」
「あら□□の奥さん。換気が面倒だから、ずっと外にいるのよ。ホントにねえ。」
「それよりも知ってる?△△の奥さん。スゴい自転車乗ってるでしょ」
「そうなのよ。電気電動なんとかってやつでしょ?あそこのうちって、旦那さんが会社で上手いことやったでしょ?それに息子さんも良いところに就職したらしいわよ」
「良いわよねえ。うちの主人なんか忙しいくせに全然稼いでこないんだから」
「それはお互い様よねえ。ホントに」
「ねえ、ホントに。…あ、どうも」
「どうも…」
「あら今の人どなた?ずいぶん若い感じじゃないの」
「最近隣のアパートに越してきた○山さんって家の奥さんなんだけどね。挨拶ぐらいはするんだけど、無愛想よね、今時の人は」
「無愛想ってことじゃないわよ。なんて言うの?若い人達ってそういう感じでしょ?干からびてるみたいなやつよ」
「あらそうなの?でもあの人達もどうせすぐ引っ越して行くんだし。近所付き合いなんてするだけ無駄なのかしらね」
「ホントにねえ」
「おい、望遠耳!」
「ウワァ!…ビックリした。ノグソさんじゃないですか。いつの間に背後を取ったんですか?」
「深刻な顔して立ち聞きしてるから、そんなものは簡単。油断大敵だぞ」
「三階のベランダで背後を警戒する人なんていませんよ」
「それよりも、何でそんな深刻な顔してるんだ?」
「別にそんな感じじゃないんですけど。なんとなく、最近望遠耳を使う気にならない原因が解ったような気がして。人が増えたのにバカな会話があまり聞けないのはドライな人間関係のせいかな、って」
「なんだ、そんなことか。つまらないな。こっちだって忙しいんだから、もっと面白い話をしてくれないと」
「いや、どう考えてもヒマだからここに来たでしょ。というか、ちゃんと『夏の使い』の仕事してるんですか?近頃また天候が変になってますよ」
「その辺は私だけの責任じゃないんだけどな。…あっ、マズい。ちょっと行かなきゃならないから、またあとでな」
「おっと、危ない」
「なんだよ、そんなに近づくなよ。ソーシャルディスタンスだぜ」
「そうだけどさ。最近の自転車ってデカいじゃん。あの電動アシストとか、子供を大量に乗せられるやつとか…」
「あ、ちょっと待った。また通知が来た。今度のイケてるものは…」
「何だった?」
「電動アシスト自転車だって…」
「なんか危ないことがあるとイケてる判定になってないか?」
「それは違うと思うけど。イケてる理由は、乗ってる人が多くなったこと。あとは電動だから排気ガスが出ない、だって」
「それはなんだか納得がいかないぞ。自転車ってもともと排気ガス出ないだろ」
「そうだよね。そんな問題よりも、あれは加速が速いからスゴい勢いで駐輪場から飛び出してくる時あるよな」
「その前に駐輪場から乗ってるのがおかしいけど。でも交差点でも止まらないし、減速すらしないからな。漕ぎ出しが楽なんだし、減速加速を繰り返しても疲れないのが良いところだと思うんだけどな」
「なあ、ボクら電動アシスト自転車に文句言いすぎじゃないか?」
「あら、そうだな。でも危ない運転が多いから仕方ないよ」
「じゃあ、さらなるイケてるものを探すとするか」
「ワーイ!ワーイ!楽しいな!夏は楽しい事ばっかりだ!」
「みなさん、初めまして!私達は…」
「シカダ・マイーンズです!」
「今日は私達の無観客デビューライブへお越し頂き、本当にありがとうございます」
「セミ地雷系アイドルとしてデビューした私達ですが、ここで各メンバーの得意なセミを披露していきたいと思います!」
「まずは私、リーダーのシカダ・ミンミンがミンミンゼミをやります!…」
「それでねえ、私もウッカリしていたもんで。たまたまマスクをしていなかったってワケなんだよ。そうしたらさ、そこにいたのマスク警察なんだよ。まいったよね。でもこっちもそう簡単にひけないワケよ。だからこう言ったのよ。この格好を見て解らないのか?こっちは本物の警察だぞってね。そしたらマスク警察黙って引き返していったんだよ。アッハッハッハ…!」
「すごぉい。ザ・ガードマンさんって警察なんですか?」
「そんなワケないよね。アッハッハッハ…!」
「なんだ。もうからかわないでくださいよぉ」
「まあまあ、そう怒らないで。お詫びの印に、ほらもう一杯飲んじゃって」
「もう、ザ・ガードマンさん。私を酔わせてどうするつもりなの?」
「あれ?」
「なんだよ、急に立ち止まって。まさかそこのキャバクラみたいな店がイケてるって事じゃないだろうな?」
「いや、まさか。でもこんな昼間からやってるんだな」
「もしかして、夜だと自粛しないとイケないから昼間やってるんじゃないか?」
「昼やっても人が来られないだろう」
「でも、一人来てるみたいだけど」
「ホントだな。というかドアが開けっ放しなのは換気のためかな?」
「どうでもイイけど、こんなとこに立ち止まってると、入ろうとしているのかと思われるぜ」
「そうだな。余計な事してないで、夏なんだしイケてるものを探さないと」
「これ、マジでスゴくね?」
「それ、セミじゃね?」
「オレ、セミ取りの天才じゃね?」
「それ、よく見たらセミじゃなくね?」
「でも、セミじゃね?」
「ちょっと違くね?」
「おっと、また通知が来たよ」
「今度こそ頼むよ。ボクらは全然気付いてなかったけど、何がイケてるんだ?」
「えーっと。ノーマスクだって」
「それって、イケてるのか?…ああ、あそこにいる炎天下に厚化粧の女の人」
「さっきのキャバクラの人かな?」
「そんなことはどうでもイイけど、なんでノーマスクがイケてるんだよ」
「このアプリによると、ハリウッド・セレブの中にも意外と多い反マスク。あなたもSNSでマスクをしない権利を主張してみてはいかが?…だって」
「いかが、じゃないよ。まったく。というか、さっきの女の人駅の方に行っちゃったし、あのまま電車乗るのかね?」
「どうなんだろう。まあ法律じゃないからねえ」
「それよりも、そのアプリは本当に大丈夫なんだろうな?ボクらのイケてる夏は、早くしないと終わっちゃうよ!」
「まあまあ、そんなに大声出すと、マスクしてても白い目で見られるんだから。急がば回れだよ」
「なんか、そんなことわざみたいな言葉が出てくること自体、なんとなくイケてない感じだけど」
「エッ?!そうなの?」
「ワーイ!ワーイ!夏休みだ!楽しいなあ!今日も、明日も夏休みだ!ワーイ!」
「あら、ちょっと見てよ、あの人」
「あら、ホントだ。イヤねえ。あんな厚化粧で、マスクなんてする気ゼロじゃないの?」
「ホントよね。あれで今日三人目よ。あんなところで何やってんのかしらね」
「…あら、△△の奥さん」
「あら、どうしたのよ二人揃って」
「それよりも、見てよあの人」
「あらまたなの?イヤァねえ…」
「誰かに頼んで注意してもらったら?」
「そうしたいんだけどね。いつもいた警官みたいな人、最近見ないのよ」
「そういえばそうよね」
「あら、二人とも知らないの?あの警官みたいな人、仕事が変わったのか何なのか知らないけど、ずいぶんと羽振りが良くなって、最近じゃ高級自転車乗り回してるらしいわよ」
「あらそうなの?ホントにねえ」
「ホントに。…それなら、そこに丁度良い人がいるから、その人に頼んでみましょうよ」
「あ、ホントだ。…ちょっと、そこの人。あなたドラエモンでしょ?」
「…ん?」
「あなたよ。あなた。ドラエモンなんだからすぐ気付きなさいよ」
「ボクですか?!」
「そうよ、あなたしかいないでしょ、ドラエモンは」
「ドラエモン?…あの、これはドラエモンじゃなくてデマエ○ンなんですけど」
「どうでもイイから、あなた似てるんだからあのマスクしてない人に注意してきてよ。うつされたらたまったもんじゃないんだから」
「そんなの無理ですよ」
「似てるか?」
「ウワァ、ビックリした。また知らぬ間に背後をとって」
「そうじゃなくて、いつもキミが私が来る方と反対側を向いているだけなんだがね。それよりも似てるか?」
「何がですか?」
「何がって、聞いてただろ?望遠耳で。Demaecan と Doraemon」
「それはビミョーなところですよね。ちゃんと字を読む人と、なんとなく印象で言葉を把握する人では、似てるかどうかが違ってきそうですよ」
「そうなのか?似てないってことで笑い話なると思ったんだがな」
「だって、実際にボクだって初めて見た時にドラエモンに見えたし」
「そうやって、漠然と物事を捉えるっていうのは…なんだかなあ」
「ダメなんですか?」
「ダメじゃないけど。面白いと思ってたのに、それほど面白くならなかったからな。私がつまらないじゃないか」
「というか、あなたは『夏の使い』の仕事をしに来たんじゃないんですか?遊んでる場合じゃないと思いますけど」
「まあ、そうだけどね。でも仕事中でも知ってる人を見つけたら、ちょっとサボりたくなるでしょ」
「ヒマなんですか?」
「いや、そういうことじゃないけど。それじゃあ、行きますよ。真面目に仕事して、夏なんてすぐに終わらせてやる」
「…どうせまた来るくせに」
「ワーイ!ワーイ!夏休みだ!今日も明日も、明後日も!ずっと夏休みだ!」
「おっと…。また通知が来ましたよ」
「ホントに?…確かにこの辺りって、前に来た時よりも印象変わってるよね。新しい店とか出来たみたいだし」
「今度こそ、ホントにイケてるものが見つかったかも知れないよ。これから大流行するようなイケてる新しい店があったりするのかも知れないな」
「もったいぶらずに、早くアプリで確認しろよ」
「そうだね。それじゃあ、早速発表します。ボクらのイケてる夏のイケてるものは…」
「何なんだ?」
「…セミ地雷?!」
「何だそれ?」
「説明によると。数年前から注目のセミ地雷。今年はセミ地雷系アイドル、シカダ・マイーンズもデビューし、注目度アップ。だって」
「良く解らないな。そんなものがイケてるものだとしても、この辺りにそれっぽい場所はなさそうだけど」
「いや、場所じゃなくて。そのキミの足下のやつじゃないか?」
「あ、ホントだ。セミがひっくり返ってるな」
「ウッカリ近づいて、セミが驚いて暴れるから、こっちも驚くセミ地雷」
「でも、これはコツがあるんだよ」
「コツって、何のコツだよ」
「起爆させずに捕まえる方法だよ。前に人がやってるのみたんだけどさ。見た目は普通のサラリーマンみたいなスーツを着た人だったんだけど、セミが落ちてるのを見つけると、サッと捕まえて被害を未然に防いだってワケなんだよ」
「へえ。それで、コツっていうのは?」
「まあ、なんていうか。サッとやるってことだよ。こんな感じで。…ほら!」
「お見事!」
「…と、思ったら、このセミ死んでるよ」
「ビィビェッビッビビェビッビビィビビビィ!」
「ギャッ!」
「なんだ、セミ地雷はアッチだった」
「でも、ホントにセミ地雷がイケてるのか?」
「でも、アプリではそうなってるんだし…」
「ホントはね。セミだってはしゃぎたいと思ってるの」
「あっ、不思議少女…?」
「セミだってね。子供達みたいに夏休みを楽しみたいと思っているの。でもあなた達は知らない。そうでしょ?」
「何を?」
「人間の時間に換算すると、セミが成虫になってからの夏休みの延べ時間は20分足らず。一度の夏休みじゃないの。一生分の夏休みがよ」
「それは意外なのか、そうでもないのか、ビミョーなところですが…」
「本当はそうじゃなかったの。でもね。セミは過ちを犯したの。それはとてもとても恐ろしい話。…ハッ、こうしてはいられません。行かなくては…」
「あれ、行っちゃったね」
「なんか、前にもあんな人見たことあるような気がするな」
「そうか?…それより、そのセミの死骸どうするんだよ?」
「そうだった。この植え込みのところに置いておけば、蟻が片付けてくれるよ」
「今の不思議少女の話とかは全く気にしない現実的な対処だね」
「ウフッフ…。フッフッフッウ…。あなった…。あっなった…」
「…?」
「あなた!」
「ウワァ?!なんだ?」
「ウフフ…。あなたったら。あなたが居眠りしている間に、表の自動販売機は営業自粛にしておきましたよ」
「エッ?なんてことを…。アレがなかったらウチの売り上げはゼロだよ」
「もう、そんなに慌てて。だいたいあなた、居眠りなんてしてなかったじゃないですか」
「そ、そうだったか?…それは、おかしな話だね。こう暑いとボーッとしてしまうからね」
「あなた、嘘はイケないわ。あなた…。マインって聞いて人の名前じゃなくて地雷の事だって思う人はどれくらいいるでしょうね?」
「なんだ急に?地雷なんてものは物騒だからな。人の名前の方が平和かな」
「そのマインはイッツ・マイン。どうしてマインなんて呼び方になったのかしら?ウフフ…。ウフフフ…。ウッポッパッポッ…」
「また、電子音が聞こえた気がする…」
「はい!みなさんお待ちかね。こちら現場の人気女子アナウッチーこと内屁端でぇす!ここで緊急ニュースです。今私がいるのは、デビュー前から話題沸騰のアイドルグループ、シカダ・マイーンズのデビューライブの会場なんです。なんと、そのデビューライブの最中に、無観客を装った男が乱入しステージに上がるという事件が起きたのです!幸いメンバーやスタッフに怪我などはなく、そして無観客だったために会場がパニック状態になる事はありませんでした。しかし犯人はまだ捕まっておらず、その目的が何だったのかも解っていません!近隣の住民のみなさまにはくれぐれも注意をして頂きたいですね」
「…」
「はい、そうなんです。只今、今日は実況がまともだと褒めて頂きました。…あっ、これからシカダ・マイーンズのメンバーの方に話を伺えるということで、早速インタビューしてみたいと思いまぁす!まずは自己紹介からお願いしまぁす!」
「みなさん初めまして!シカダ・マイーンズ、クマゼミ担当、関西出身のシカダ・クーマです!」
「では事件の起きた時の様子を教えてください」
「実は歌に集中していて何が起きたのか良く解っていなかったのですが、気がついたらステージに知らない男の人がいて、アッと思ったら他のメンバーもその人に気付いたみたいで、アブラゼミ担当のシカダ・アブラカタブラ子が驚いてビェエビェェエビビビェー!ってなって、それにつられて全員が一瞬セミ地雷状態になってしまったんです。それが収まった時には男の人の姿は見えなくなっていました」
「本当に恐ろしいですね。その男の人は何かしようとするそぶりなんかは見せていましたかぁ?」
「照明が眩しくて良く解らなかったですが、スゴく恐かったです」
「そうですかぁ。ではここでいったんスタジオにお返ししまぁす!…あ、ちょっとクーマちゃん。お願いがあるんだけど。ホントに偶然なんだけど、ここにシカダ・マイーンズのデビューシングルがあって、サインなんか貰えたらうれしいなあ、なんて」
「大丈夫ですよ」
「ホントですかぁ!それじゃ、メ○カリ用にこっちにも…」
「ワーイ!ワーイ!夏休みだ!ワーイ!ワーイ!一生続く夏休みだ!」
「ウッポッパッポッ…。ウッフッフッフ…。あなた!」
「ん?!…また寝てたか?」
「あなたはどう思っているの?」
「寝てなかったと思ったけど…」
「じゃあ、寝てないんでしょ。あれから二日も経ったというのに」
「エェッ?!」
「ウフフッ…!ホントに騙されるなんて。やっぱり寝ぼけてるんでしょ」
「なんだ…。なんか暑いとボーッとしてしまうよ」
「それよりも、あなた。あなたが女子なら、あなたは女子アナタ?」
「なんだそれ?」
「私は元から女子だから、じょし女子アナタかしら?」
「それは違うだろう」
「そうよね。アナタはアナタ。私は私…。どんなに暑くても、夏の終わりが見えてくると寂しいと思いませんか?」
「そうだねえ」
「その向こうに見えているのが地獄のような世界なら、なおさらね」
「地獄…?!」
「ちょっと、そこのキミ」
「なんですか?ボクは今忙しいんです。夏が終わるまでに見つけないといけないものが…」
「やっぱりキミだな。数年前セミ地雷を名乗る少女と一緒にいただろ。ちょっと署まで来てもらおうか」
「なんでですかお巡りさん。ボクが何か悪いことしましたか?」
「この近くで開催された小さなコンサートに男が乱入して騒ぎになったんだよ。しかもセミがテーマのアイドルグループってことでね。キミはなんとなくそんな感じだし」
「し、失礼な!ボクはずっと外にいましたよ。外にいて、またセミが奇跡を起こすのを待っているんです」
「そういう風に、そのモッサリした外観に似合わないメルヘンな事をいうのはさらに怪しいぞ」
「待ってください!その人は違います」
「何だねキミは?」
「その人は犯人じゃありません。私が証明しましょう」
「キミは…。マインさんにソックリだ…」
「はい。以前母がお世話になりました。私の名前は志加田マイン二世号」
「二世号?!…それじゃあ、志加田マインさんはアナタのお母様なんですね。マインさんはどこにいるんですか?」
「セミの寿命は儚いもの。セミのしきたりに従って、寿命を迎えたセミは植え込みに横たわり蟻たちがその亡骸を食べ尽くすのを待つのです」
「そんな…」
「あの良く解らないが、アナタは犯人を知っているというのですか?」
「そうです。ついてきてください」
「やっぱり植え込みであってたじゃんか」
「そうだね。そんなことよりも、まだ探すの?」
「探さないことには、イケてる夏はやって来ないよ」
「本部より外回りの横屁端アナへ。応答せよ」
「ハイ!こちら現場の横屁端でぇす!何か事件ですかぁ?それともリポートが必要ですかぁ?」
「研究室からの報告によると、その周辺で異常なエネルギー反応が観測された。以前からウワサされていたヘルエネルギーの可能性もあるとのことで、十分に注意されたし」
「ハァイ!了解です。…といっても、何に注意して良いのか解りませぇん。と、思っていたら前方に内屁端アナの姿を発見。ここで鉢合わせになるのはマズいと思われるので、少し様子を見たいと思いまぁす!」
「はい、こちら現場の内屁端でぇす!事件のあったこのライブ会場に警察が男を連れてやって来たのです。いかにも怪しいその男が犯人かと思われたのですが、残念ながらそうではありませんでした。その男と一緒にやって来た少女が事件について何かを知っているということなのですが、現場の方は只今警察が検分している最中で、少女が説明を始めるまで、少し時間がかかるということのようです。現場からは以上でぁす!…あっ、ちょっとミンミンちゃん。今たまたまシカダ・マイーンズのデビューシングルを二枚持ってるんだけど。サインとかお願いできたり…」
「どまれえ、げいざづだぁ!」
「(ブシュワシュワシュカサカサ…!)」
「な、なんだ?ぎえた…」
「おい、今の見た?」
「ああ、警察に止められた人が、カサカサって消えちゃったな」
「何だったんだろう?」
「というか、なんであの警官はスゴいガラガラ声なんだ?」
「さあ…。というか、今のはイケてる判定にならないのか?」
「そうかもね。…でも何の通知もないよ」
「それで、犯人は誰だというのだね?」
「犯人はね。それは人ではないの。人は人の国からやって来て、人の国に帰る。でもそれは人の勝手でしょ?」
「ん?」
「でもね。ここにいた犯人は違うの。それは、まるで人間のように夏休みを楽しむことが出来ると錯覚したセミたちの過ち。ここで人間がセミの鳴き声を真似したから、セミたちは人間のマネをしたの」
「まさかセミが犯人だと言うのかね?でもカメラの映像には人が映っているんだよ」
「それは影のようなもので、ハッキリとは映っていないはず。大量のセミたちが身を寄せ合って、人の形になっているの」
「どうにも理解出来ない話だなあ」
「夏はセミを人にさせるもの…。でも、もう大丈夫。セミたちはまたバラバラになったの。夏の亡霊に惑わされて、夏を楽しもうと思うことも、もうないの。セミたちはセミの国からやって来て、セミの国に帰っていくの」
「しかし、我々は犯人を見つけないといけないんだが。まさかセミだったなんて言えないだろう」
「あっ、いけない…!」
「どうしたんだね?」
「セミだけじゃない。夏の亡霊があらゆるものを取り込もうとしている。この夏の亡霊はあまりにも強大…。でも私は志加田マイン二世号。セミの国からやって来た。セミの問題が解決したから、あとは人間に任せるの」
「はぁ?!」
「姫様、そろそろ時間でござる」
「あ、セミ取り侍。では行きましょう。私はセミの国からやって来て。セミの国には帰らない。そして、あなた。あなたはもう母のことを探すのはやめるのですね」
「あ、はい…」
「それは良かった。ではごきげんよう」
「はぁ…。志加田マイン二世号…」
「警部!街に変態っぽい男が現れたという通報がありました」
「なに!きっとそいつがここに来た犯人だな」
「警部!別の場所でも変態っぽい男がいるという通報が」
「なんだと?一人じゃないのか?」
「大変です。ものすごい数の変態に関する通報が入ってきてます!…変態だけじゃなくて、おじさんのスケボーとか、セレブじゃないのにノーマスクとか、もう色々大変!」
「姫様。あの人間に嘘をついたようでござるが」
「時には嘘も必要なの。あの人、私が二世号じゃなくて志加田マインだと知ったら喜ぶでしょ。でもつきまとわれるのは困るから」
「ごもっともでござる」
「急ぎましょう。ここの空気は異常です」
「はい、こちら現場の内屁端でぇす!みなさん、ここがどこだか解りますかぁ?…違います!さっきのライブ会場を飛び出して、ワケの解らない熱気で異様な雰囲気の街にやって来たのです。スケボーで遊んでいるおじさん達。マスクをしてない厚化粧達。そして、黙っていて様子のおかしい男の人がチラホラ。一体何が起きているのでしょうか?今から内屁端が突撃取材してみたいと思いまぁす!」
「はい、こちら現場の横パンこと横屁端です。只今物陰から内屁端アナのことを見張っていたのですが、何も知らない愚かな内屁端があの集団の中に飛び込んでいったようです。これで憎き内屁端はいなくなり、我が社は新たなエネルギー資源を手に入れる。一石二鳥じゃないでしょうかぁ」
「只今ウッチーが怪しい集団のところまでやって来たのですが、むせ返るような熱気です。すいませぇん!ちょっとお話を聞かせてもらえますかぁ?…スイマセェン!…どうしたのでしょうか?誰も私の話を聞いてくれません。…あっ!丁度今、絶対に道を譲らないことで有名なオバチャンの自転車が…ギャッ!危ない!…テメェ!どこ見て走ってんだ!女子アナなめてんのか!…?!…みなさん!今のご覧になりましたかぁ?自転車と怪しい男が衝突したかと思われたのですが、なんとその瞬間に怪しい男がカサカサっとなって消えてしまいました!…あっ!さらにスケボーおじさんにもぶつかったと思ったら、スケボーおじさんも消えてしまいました!」
「また何か始めたな」
「うわっ、またノグソさん、後ろから声をかけるのやめてくださいよ」
「まあ、正直言うとワザとやってるんだけどな」
「やっぱり。それよりも、なんかまた変な事が起きてるみたいなんですけど。これも夏の使いのノグソさんの仕業なの?」
「何を言ってるんだ。これは夏の亡霊に取り憑かれたものたちが起こしてる騒ぎなんだがな」
「夏の亡霊って?」
「夏というか、夏休みってことかな。夏休みが始まる時には、アレをしよう、コレをしようって色々と考えていろんな期待をするんだけど、結局はそのほとんどが実現しないまま。そういった行き場を失った夏休みに対する期待が亡霊となって現れるんだな」
「それって、非常事態とかで色々と自粛しないといけないから、それが原因でみんなの夏休みが期待はずれになってるってこと?」
「今年も夏休みがそうなることぐらい、キミも知ってるだろう?それにキミの夏休みへの期待はもっと古いものだろ?」
「なんでボクの話になってるんですか?」
「だって、これはキミが望遠耳で楽しむためにやってるんじゃないのか?」
「全然意味が解らないけど」
「えぇ?だって、部屋の中にある悪魔デバイス。あれでキミの夏の亡霊を増幅させて街に放出させてるじゃないか」
「そんなことしてませんよ。だいたい、あれって今電源が入ってないし」
「電源が入ってなくても動くの知らないのか?ということは、今やってることも理解してないんだな。あのスイッチの組み合わせが、この状態を作り出してるんだぞ。ちゃんとマニュアル読まないとダメじゃないか」
「そんなの付いてなかったし。でもどうやったらこの混乱を元に戻せるんですかね」
「スイッチを動かせばそのうち元に戻るだろう」
「なんだ、それで良いのか。…でもこれ、動かしたスイッチの状態が別の何かを引き起こすって事もあるの?」
「それはマニュアルを読めば解るはずだが。少なくとも今よりはマシだから、気にしなくて良いんじゃないか」
「こちら現場の横屁端でぇす!これはどうしたことでしょうか?混乱の真っ只中に飛び込んでいった内屁端がヘルエネルギーに取り込まれると思っていたのですが、怪しい熱気が消えるとともに、そこにいた人達もみんな消えてなくなりました。状況が理解出来ずに立ち尽くしている内屁端の姿を見るのは愉快なのですが、これでは期待はずれです!あれはヘルエネルギーではなかったのでしょうか?」
「こちら本部の□□。只今エネルギー反応が消えたという報告が入った。現場の横屁端、状況を報告せよ」
「はい、こちら横屁端でぇす!どうやらエネルギー源が消滅したようです。何もありません。なにか夏が終わって涼しい風が吹いてきた時の、なんとも言えない虚しさのようなものを感じます」
「横屁端アナ。そこは危険だ。今すぐその場から離れるんだ」
「ウフフ…。ウフフフ…ッ。とんぼのメガネはウッポッパッポッメガネ…。ウフフ…。あなた…!あなた!」
「ん?!なんだ?…誰か歌を歌ってなかったか?」
「まあ、また寝てたんですか?今日は朝からずっと居眠りばかり」
「そうかな。なんだか夕方になってちょっと涼しくなったからかな」
「あなた、もう夏を終わらせようとしている」
「いや、夏はこっちの都合じゃ終わってくれないよ」
「もう、強情なんだから。これで終わったと思ったら大間違い、って。そんな事ってあるでしょ」
「秋になっても急に暑くなる日もあるからねえ」
「使われなかったエネルギーは、消えてしまうワケではないのよ。でも亡霊達はどこへ消えたの?あすこに見えるあの暗がりを越えて、いつかまた戻ってくるの」
「あすこ?」
「夏は終わるのではなくて、あの亡霊達と共に旅を続けているの。だから一年経てばまた同じ夏がやって来るのよ」
「うーん…」
「もう、ザ・ガードマンさん。飲み過ぎですよ」
「良いじゃないの。もうちょっと楽しく飲もうよぉ」
「あら、ザ・ガードマンさん。私がいない間にずいぶんと羽を伸ばしていたようね」
「ハッ!黒猫亭のマダム…」
「驚かなくても良いのよ。こっちの都合でちょっといなくなってただけなんだから。でもアナタにはちょっとガッカリしたわね」
「いえ、マダム。これはちょっとした間違いというか、出来心とでもいうか…」
「良いのよ。アナタはアナタで好きなようにやりなさいな。でもアナタに渡したものは全て返してもらいますからね。それじゃ、お達者で」
「まいったな。驚いてすっかり酔いが覚めてしまったな」
「ザ・ガードマンさん。あの人誰なんですか?」
「いや、なんていか。知り合いっていうか。あの、そろそろ帰ろうかな。今日はどれくらい飲んだのかな」
「お客様。お会計100万円でございます」
「エェッ?!そんなに飲んだっけ?…まあ、仕方ないか。じゃあ、このカードで」
「お客様。これは何かの冗談で?」
「冗談じゃないけど…。アーッ!クレジットカードが葉っぱになってる!それに、財布の中のお札も全部葉っぱだ…。これはどういう事だ?」
「お客様。お支払いはどうなさいますか?」
「これは、こまったなあ…。そうだ!表にとめてある高級自転車。あれ売ったら100万円にはなると思うんだけど」
「高級自転車ですか?そのようなものは無いようですが。あるのはセミの抜け殻だけですよ」
「そんな…。どうしよう…。どうしよう…」
「じゃあ、私もそろそろ帰ろうかな。思ってたほど盛り上がらなかったし」
「そうなの。じゃあ、夏もそろそろ終わりなのかな」
「別に夏の使いが帰ったからって、夏が終わるわけじゃないよ。それに『秋の使い』のガブリエルがやって来たら秋が始まるワケでもないし」
「それじゃ、あなた達は何をしてるんですか?」
「キミに説明するのは難しいけどね。雰囲気作りって感じかな。まあ知ろうとする努力を続けていればそのうち解るよ。というか、前にもこんな事言わなかったか?…まあ、良いか。ではさらばだ」
「…ふーん。知ろうとする努力か。世の中は解らないことだらけだし、いくら努力しても、解るのはほんの一部って気もするけどね。あっ、これは一人で喋ってるんじゃなくて、心の中の声だけどね」
夏の思い出とは、実際には思い出ではないのかも知れない。その得体の知れない何かに一度取り憑かれたら、決して逃れることは出来ない。それは夏の亡霊。
夏の亡霊とは、いつまでも終わることのない真夏の大冒険。いい歳して夏にワクワクしなければならず、そして夏が終わればガッカリしなくてはならない。その繰り返される苦悩に耐えなければならないのである。
ということで、今回は少しノスタルジックな望遠耳になりましたね。ちょっと盛り上がりに欠けるとか、そんな事を思うかも知れませんが、これは脚色無しで、望遠耳で聴いた内容をそのまま書いているだけなので仕方のないことです。
自粛することなく自由に出来るようになれば、またスゴい内容の望遠耳の話もあるかも知れませんね。そして、それはそう遠くない日に実現すると信じております。その日まで我慢するのは、永遠に繰り返される真夏の大冒険よりは楽に違いありませんし。
では、次回はいつになるのか。出来ればもっと大特集したいと思っている、という内容を大特集したら大特集が出来るでしょうか?ということをやりましょうか。
どうでもイイですが、お楽しみに。