False Chronicle #3
なんとなく解説。
今回は別にネタ切れで音楽作品が出来ないから、という理由ではなくてベスト盤を作ってみたという事なんだけど。何というか、いつも音楽はアルバム単位で発表しているけど、時々垂れ流し状態になってしまうこともあるし、私のアルバムはいつでも「実験的」という言い訳に満ちているワケだから、その中からまともな曲をまとめたら良い感じになるんじゃないのか?という事でベスト盤してみる、という意味もあるんだけど。
結果としては、聴いてのとおりというか。毎回ケイオスなアルバムから良くできた曲を集めても結局はゴチャゴチャ。でも、ミキシングとかマスタリングのやり方が何となくつかめてきた!と思っていたところだったので、練習も兼ねて過去の作品をリマスターしたかったりもしたので、ベスト盤なのです。
前回までとは違って、全曲の全トラックがパソコン内に残っているので、厳密にやり直す事が出来るし、出来る範囲でいい音になっているような気はするのですが。こればかりはいくらやってもキリがない作業なので、現時点での妥協点でこのぐらいというところなのですが。
そんなつまんない話はどうでも良いと思うので、アルバムごとに解説をしていきたいと思います。
まずは毎回恒例になりつつあるFalse Chronicle用の一曲目について。前回のFalse Chronicleもそうだったので、今回も不思議ソングになってしまいましたが。別の作品のために起動したシーケンスソフトで何となく弾いたイントロ部分が良かったので、コッチに使いました。
そして、ゲストボーカルにはマダム・チョウチョさん!(今彼女の事を知らない人は次回作まで待つ必要があるかも知れません。ReestHouseには時々登場します。)
不思議ソングにはつきものの逆再生の音声も多数収録されているのですが、もしもこの曲を逆から再生することが出来るのなら、マダム・チョウチョの正体がばれてしまうかも?!
そして、前回のベスト盤ことFalse Chronicleと今回の収録曲にもマダム・チョウチョがゲスト参加している曲があったりするんです。スゴいですねマダム・チョウチョ。
Six Legged Part One, Two & More(2004)
適当な感じは否めないけど、この辺のアルバムが一番お気に入りだったりするんですよね。恐いもの知らずというか、自信に満ちあふれていたような。悪い言い方をすると、自分よりダメな人達しか見てなかったという事なのかも知れませんけど。でも、この時はなぜか自分がスゴい事をやっているような気分で楽しかったんです。
とは言っても、全部譜面にするシリーズ第二弾のこのアルバムのために、小編成オーケストラのスコアを書いたら自信が無くなったりもしてましたけどね。前作がちょうどそのシリーズの第三弾だったりもしましたが、大がかりな曲のスコアっていくらかいても先に進まないんですよね。ホントにアニメーションのフレームを一コマずつ描いているような感じです。
とは言っても、ここに収録されている曲はそれとは関係ない番外編の曲なのですけど。曲の性質上、全部譜面にするシリーズの曲は一曲単位では出しづらかったりして。
でも「I'm Feeling Earth」は本編の「Feeling Earth Blues」のパロディというか、歌われなかった歌のメロディから作られているのですが。80年代の流行に乗り遅れないようにしているロックっぽい感じは今でも好きなジャンルなのです。
そして「W.F.A.W.」はけっこう豪華な曲と思われます。何しろエレキギターに加えて、スチール弦のアコギとナイロン弦のフラメンコギターが使われているのですから。これだけギターを使うと大抵は一つ以上のギターで弦がボロボロになっていて張り替えないといけなかったりして、面倒なのでこういうことは滅多にないのです。
でも、この辺の曲は今聴くと懐かしすぎて泣きそうになりますけど。泣きそうなので次です。
RADIO Raggio(2004)
作品の中にラジオの音を入れるというコンセプトでラジオっぽいタイトルのアルバムですが。RADIO Reggio とはラジオ局の名前という設定になっています。ただ、その設定のためにラジオ局の流す曲なのに、ラジオのノイズの音ばかりが出てくるというヘンな矛盾があるのですが。
それはどうでもイイですが、ラジオを使うというコンセプトが原因なのかは知りませんが、この作品はかなり「実験的」ということを意識しています。ここでいう「実験的」とは前衛音楽と聞いて多くの人が連想しそうな音楽という意味でもありますが。滅茶苦茶な音楽といわれてしまうこともありそうな感じですよね。ただ、本当に滅茶苦茶なのと滅茶苦茶に聞こえるように作られた音楽は全く別なので要注意です。そして、それを聞き分けられるようになれば「ボクはものすごく音楽に詳しいんだ」って言っても恥ずかしくないと思われます。
それから、これは都会の騒音とかそういうものが意識されているというか。良くある大自然の音を音楽にしてみました、というのの都会版でもあります。ただし、都会のオシャレフィルターを通して音を聞いている人達には、こんな音は聞こえないかも知れません。私にはこんな感じです。
Tell Me What You Need !(2005)
これはロックするつもりが途中で色々あったりして結局はいつもどおりな感じになってしまったアルバム。今回の選曲はロックな感じになっているけど色々と惜しい内容でもあります。
新しい機材を買って綺麗に録音できるはずが、各機材の相性の問題なのか、ヘンなノイズが入ったり。しかも、ロックだからということでダイナミックマイクを手に持って録音とか。当時は気づかなかったですが、もちろん大失敗。(ダイナミックマイクというのはカラオケで使うような、録音向きではない種類のマイクです。)
さらなる問題として、市販のCDに比べて自分の曲は極端に音が小さいという事に気づき始めてしまったということもダメになった原因でもあります。この頃から「音圧ノイローゼ」とも言える状態が続いて、せっかく良い曲が出来てもミキシングとマスタリングで全てが台無しになってしまうことが良くありました。というか全部台無しになっていたような。
ついでに書いておくと、リアルに酒に飲まれていたような気も。皮肉なことに「Drink Needs Me」とかを作った時にはまだそれほど飲んでばっかり、という感じでは無かったのですけど。
それに創作活動以外のところの要素も重なって、この辺からちょっとダメな時期がつづきましたね。
Garbage(2006)
このアルバムは全てにおいてダメな感じですよね。自分でも解っていたのでこのタイトルなのですが。前のアルバムから気にしだした、音が市販のCDみたいにならない問題とか、その辺も含めて「音楽ってこんなにつまらないものだっけ?」とか、そんな状態でもありました。
でも「実験的」な内容の曲を作ったり、なんとか頑張ってはいたのは解りますけど。それでもあんまり創作的な気分は盛り上がらないという事になると、結局酒を飲んでどうでもイイや、ってなってしまったり。
その中でも唯一収録された「When You Become an Angel (We'll Be Lost in Hell)」はまあまあ良かった方です。夢の中で聞いていた音楽のメロディーを元にして作った、という事なのですが、後でそれがあるバンドの曲だと気づいたりして。
このあと、ホントに絶不調になって2007年はまさかのアルバム発表ナシという状態に。その時にベスト盤を作るということを思いついて、とりあえず作品は発表したということになったのですが。このままフェードアウトだけは避けたい、ということで次のアルバムになってくるのです。
Technologia (Season1)(2008)
ということで、次のアルバムがこれです。ずっと作曲以外のところで躓いていたので、ちゃんと作曲をしようと思って作り始めたシリーズ。全部楽譜にするシリーズの小編成版みたいな感じで、インストの曲は全部スコアを書いてみました。
小編成のわりにはかなり時間がかかりましたが、頭の中で実際の音を想像しながら譜面を書く作業は良い刺激になったと思います。その影響なのか、歌詞付きでメロディーを思いついた曲も出来ちゃったりしましたし。とにかく前の年に一年間曲を作りたくないし作れなかったような状態からは脱却できた感じでした。
ただ、ミキシングとかに関してはかなり臆病になっていたようで、今回リマスターする時にシーケンスソフトで曲のファイルを開いたら、ミキシングに不可欠なイコライザーとかコンプレッサーとかほとんど使ってませんでした。でも当時はそういうのを使っても音が悪くなるだけだったので、正解だったとも思っています。
そういえば、このアルバムからベースがコンピューターじゃなくて私の演奏になっているんですよね。全てのベースじゃなくて、バンドっぽい感じの時のみですけど。確かこのアルバムでは全曲のベースが私になっているはずです。だから何か?ということですが、ベースは思っていたよりも難しくて、そのためにちょっとクオリティが下がったというウワサもあるのですが、あくまでもウワサです。
本当はこのアルバムの内容に連動した「テクノロジア」という小説風の作品が書かれる予定なのですが、まだ書き始めてないとか。というか、予定していた書き出しが、当時読んだスティーブン・キングの小説の出だしにクリソツだったのでやる気がなくなったという説もありますが。ついでに書いておくと、このアルバムはシーズン1ということにもなっているので、もしかすると続編があるのかも知れません。(シーズン2ではなくて「エコロジア」という名前で続きを作るというアイディアは内緒なのですが、ここを読んだ人だけに教えてあげちゃう!)
ridiculous --悪のイージーリスニング--(2008)
ここでやっと復活という感じになりましたけど。ちょっと科学的なアプローチで曲を作ってみたり、ニコラス刑事さんやアンジョリーナ・ジョリーナさん、そしてロボットさんなどがゲスト参加するとか、楽しく音楽することが出来た気がします。残念なことに今回はゲストの参加した曲は収録されてないですけど。
このアルバムでは好きなようにやる、というのが出来たのが良かったのかも知れません。「Technologia (Season1)」の時は、まだ復活してないけど無理してやってみるみたいな感じがありましたけど、こっちはイイ具合に肩の力が抜けている感じです。ただ、この「肩の力を抜く」って意識して出来るものではないのが問題ですよね。日常生活でも「普通にしていてください」とか「楽にしていてください」とかいわれますけど、いわれた時点で無理ですよね。「普通に」とか「楽に」とか、しようと思えば思うほどどうして良いか解らなくなりますし。
話がそれていますが、これを作っていた時には良い状態でいられたんです。何が原因かは解らないし、解ればそれで全てが上手く行くかも知れませんけど、それが解らないから世の中は上手く行かないんですよね。
これを書いている現段階でこのアルバムからだけ曲が多すぎるので、ちょっと削るかも知れませんが、ここで一つの完成形みたいな気もしたので、これがメインでも良いかな、とも思ったり。ただこの良い感じが持続しないのが最近の私のダメなところなのですけど。この続きは次のベスト盤であるところのFalse Chronicle #4まで待ちましょうということですが。
サイナラ!