「序章」

はじまり

 「真実はどこにある?」この疑問に答えるべくモルダー・ムスタファはLittle Mustaphaに関する調査を始めた。モルダー・ムスタファが消息を絶ってから一年がたとうとしている。彼が何をしているのかは誰にも解らない。正確に言うと私を除いて誰にも、である。彼はLittle Mustaphaの存在を確かめるため、イギリスに渡った。彼の好奇心は彼をストーンヘンジに向かわせた。それがいけなかったのである。彼はストーンヘンジで酒好きのUFOマニアと知り合いになり、しばらく酒浸りだったのである。その結果、彼は調査そっちのけで酒を飲むようになったのである。私には彼が今頃夜の繁華街を飲み歩いている光景が目に浮かぶ。これは、私の想像でしかない。しかし、私には彼のすることのほとんどは解っている。私の兄モルダー・ムスタファはそんな人間なのである。

 私の名前はモルダア・ムスタファ。兄の意志を継いで私はFBlの捜査官になることを決意した。なぜ?と言われても答えようがない。私も兄と同様にヒマなのである。しかし、私は兄と同じ過ちは犯さない。なぜなら私はすでに酒好きだからである。この先に私を待ち受けているであろう数々の下らない謎。ここに、一枚の写真がある。兄が残していった唯一の証拠品。これが全ての謎の始まり、ということになっている。多分嘘である。彼がなぜ妖精なのか。なぜストーンヘンジなのか。妖精、UFO、心霊。科学で説明がつかないことがこの世には存在するのであろうか。それとも、私たちはこれらの現象を未知のものにこじつけて楽しんでいるだけなのか。「真実はどこにある?」この問いに対する私の答えはもう心の中に用意してある。「真実はどこにもない」

 私がいつまでペケファイルの調査を続けるか、或いは始めるまえにやめてしまうかはまだ解らない。もしかすると、こんなことをする私自身が最大の謎かも知れない。


これは旧ブラックホールの時代に書かれたもので、この後一年以上の間このコーナーは更新されませんでした。

2002/??/??
the Peke Files #000
「序章」