(つづき)
謎の招待状を受け取ってブラックホール・スタジオ(Little Mustaphaの部屋)に集まった主要メンバー達であったが、いつものようにダラダラと酒を飲み始めている。ダラダラした後はグタグタしていつの間にかベロベロで朝を迎えるのが普通なのだが、そんなことをわざわざここに書いても意味がない。きっと何かが起こるはずなのである。
Little Mustapha-----…ということでねえ、新作のリリースがいつもビックネームの新作のリリース時期と重なっていたからこれまでは上手くいかなかったんだよ。だから次からはそういうことがないようにいろんな音楽雑誌を読んで良く研究してから新作を発表すべきなんじゃないか?と思ってね。
ミドル・ムスタファ-----そんなことはないと思いますけどねえ。いつもどおりに出来たらその日に発表しても良いんじゃないですか?
ニヒル・ムスタファ-----そうだぜ。もし仮に世界中のどのアーティストも新作をリリースしないという日があったとして、その日にキミが新作をリリースしてもきっと誰も気付かないね。
Little Mustapha-----それはひどいなあ。
Dr.ムスタファ-----どっちにしろレコード屋さんには売ってないんだろ?
Little Mustapha-----まあ、そうだけどね。…それはそうと、今日は何だか物足りないねえ。みんな集まってるのに留守番電話にヘンなメッセージとかもないし。
Dr.ムスタファ-----そんなこともないだろう。こうやってゆっくりとみんなで飲んでいる間に画期的な発明のアイディアが浮かんでくることもあるのだから。
ニヒル・ムスタファ-----その発想がすでに画期的だけどね。
ミドル・ムスタファ-----そういえば最近は先生の発明品が発表されませんねえ。
Dr.ムスタファ-----まあ、そうだな。前回の発明が大作すぎたためにちょっとお休みというわけだ。でも次回はもっと巨大で長時間の超大作だぞ!
ニヒル・ムスタファ-----なんで長時間なんだ?
Little Mustapha-----それはどうでもいいんじゃない?でも長時間となると制作にはそうとう時間がかかるから、次の製品はかなり先だね。
Dr.ムスタファ-----そんなことはないぞ。私の緻密な計算ではもっと早く長時間の発明が出来るはずなんだ。
ミドル・ムスタファ-----というか、長時間の意味が解らないから、何を話してるのか解りませんよ。それよりもここでマイクロ・ムスタファの意見でも聞いてみたらどうですか。もしかするとまた留守番電話のメッセージが残っていることに気付いているかも知れませんから。
Little Mustapha-----そうだね。マイクロ・ムスタファが何かに気付いてくれないと話は全然盛り上がらないよ。
マイクロ・ムスタファ-----…ん!?なんですか?
ミドル・ムスタファ-----なんですか、じゃなくて。何かないんですか?また我々が気付かない細かいところに気付いていたりしないんですか?
マイクロ・ムスタファ-----ああ、それですか。私はさっきからずっと「恋の季節」を長編小説として発表しようかと思って、構想を練っていたもので…。
一同(マイクロ・ムスタファ除く)-----エーッ!?
ミドル・ムスタファ-----それは…なんというか。
ニヒル・ムスタファ-----というか、そんなものがキミに書けるのか?
マイクロ・ムスタファ-----書けるも書けないもありませんよ。恋をしている人間が恋の小説を書いたっていいじゃないですか。
一同(マイクロ・ムスタファ除く)-----エーーッ!!
マイクロ・ムスタファ-----とはいっても私が恋をしているわけではないですけどね。例えばの話です。
Little Mustapha-----それじゃあ書けるのか書けないのかの説明になってないけど。
マイクロ・ムスタファ-----書こうと思えば書けるんです。というより、書くか書かないかの問題なんです。そんなことより、みなさんは気付きませんか?
Little Mustapha-----おっ、やっとだねえ。
ミドル・ムスタファ-----今日は何に気付いたんですか?留守番電話に異変はないようですが。
マイクロ・ムスタファ-----外から聞こえてくる音です。始めは誰にも気付かれないぐらい小さな音でしたが、それは次第に大きくなって今では誰にでも聞こえるぐらいに近づいてきています。
Little Mustapha-----あっ、ホントだ。なんだあのシュウシュウいってるのは?
ミドル・ムスタファ-----どうやらこの家の前にいるようですよ。ちょっと、そこの窓から覗いてみたらどうです?
Little Mustapha-----誰が?
ニヒル・ムスタファ-----誰って、それくらいは窓のそばに座っているキミがやれば良いじゃないか!
Little Mustapha-----まあ、そうだよねえ。
Little Mustaphaが立ち上がって窓から家の前の通りを覗いて見ました。そこにはいったい何があるのか?
本来の予定ではこのぐらいの長さでいろんな事件が起こってそれが上手いこと解決してオシマイとなる予定でしたが、そんな予定どおりにいくわけはありません。ここで「この話は次回につづく」にしたい感じもありますが、せっかくなので今回は次回に続けずに最後まで書いてみることにしましょう。というか書き始めてから1ヶ月以上経っているので、私の感覚としては「次回につづく」と変わりありませんけど。
(つづく)