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#109 「UNWRITTEN」 2007-12-22 (Sat)

 クリスマス。なにがなんでもクリスマス。

 子供達はみなこの日を待ち望み、大人達も一部を除き浮かれ騒ぐ。それでも誰のところにもクリスマスはやって来る。そして彼らのところには、今年もヘンなのが来る。


 ここLittle Mustapha's Black holeでは望みのクリスマスプレゼントをサンタクロースからプレゼントしてもらうために、毎年せこい計画を立てはするのですが、なぜか毎年ヘンなサンタがやって来て彼らの計画は失敗です。今年はどうやってプレゼントをもらうのでしょうか?

 クリスマスイブを前にしてブラックホール・スタジオ(Little Mustaphaの部屋)には主要メンバーが集まって作戦を練っています。マイクロ・ムスタファだけは不参加宣言をしているので来ていません。彼だけは今年のクリスマスもいつものように恐ろしいことが起きると思っているようです。

ミドル・ムスタファ-----…ということで、サンタクロースの住所というのはこれで間違いないということですかねえ?

Dr.ムスタファ-----四人が各自で調べた結果が全て同じということは間違いないと言えるんじゃないか。

ニヒル・ムスタファ-----まったく、なんでこれまでこんなことに気付かなかったんだ?毎年プレゼントのリクエストをLittle Mustaphaにまかせてたのがいけなかったんだな。

Little Mustapha-----そんなこと言わないでくれよ。毎年みんなはなんにもしてなかったからボクが率先してやってただけなのに、ボクが悪いみたいじゃないか。でもこの作戦は良かったよねえ。これまでの失敗の原因はサンタへのリクエストの手紙が本物のサンタに届いてなかったからいけなかったんだけど、こうやって四人がそれぞれ調べた結果が同じということは、この住所が本物のサンタの住所である確率はかなり高いからね。

Dr.ムスタファ-----そうだなあ。それに「サンタのおじさん」と「サンタの伯父さん」がいるとは思わなかったしなあ。

ミドル・ムスタファ-----みなさんはちゃんと伯父のほうの「サンタの伯父さん」の住所を調べたんですよね?

Little Mustapha-----あれ、そうだっけ?手紙を受け取るのは「サンタのおじさん」のほうじゃなかったっけ?

ニヒル・ムスタファ-----どっちにしろみんなの調べた住所が同じなんだから変わりはないのさ。

ミドル・ムスタファ-----まあ、そうですね。それじゃあ、早速サンタへの手紙を書きましょうか。

Little Mustapha-----その必要はないよ。手紙なら毎年書いてるからね。もうすでに用意してあるよ。今回参加してないマイクロ・ムスタファのプレゼントはどうしようか迷ったけど、書いておくことにしたよ。その代わり「横溝正史全集」じゃなくて金田一の孫の出てくるマンガ全巻にしちゃったけどね。

ミドル・ムスタファ-----それはヒドイですねえ。マイクロ・ムスタファはマンガ嫌いなんですよ。

Little Mustapha-----そうなの?それは知らなかった。まあマンガだって最近ではちゃんとした文化として認められて来てるんだしね。まあ、どうでも良いけど。とりあえずみんなのリクエストを確認するけどミドル・ムスタファが「野球盤」で、ニヒル・ムスタファが「モデルガン(ショットガン)」で、Dr.ムスタファが「反重力リアクター」だったね。それでボクが「アルトサックス」もしくは「WiiかXboxか、それでもダメならプレステ3でもイイよ」ということだね。

ニヒル・ムスタファ-----なんで一人だけそんなにいろいろリクエストするんだよ?

Little Mustapha-----まあまあ。全部もらおうということじゃないんだからイイじゃん。「アルトサックス」なんてリクエストはあまりないからサンタさんが用意してないかも知れないしね。だから妥協案を提示しておくんだよ。

ニヒル・ムスタファ-----そんなこと言ったら「反重力リアクター」なんて絶対にないぜ。

Dr.ムスタファ-----なにを言ってるんだ。「反重力技術」というのは今では科学の世界では常識なんだぞ!

ニヒル・ムスタファ-----ウソばっかり。

ミドル・ムスタファ-----まあ、そんなことはどうでもいいじゃないですか。それよりも早くその手紙を出しに行きましょうよ。

Little Mustapha-----そうだね。じゃあここは主役であるボクが責任を持って投函しに行ってくるよ。

ミドル・ムスタファ-----心配だから私も一緒に行きますよ。

ニヒル・ムスタファ-----そうだな。ちゃんと投函されるまで安心できないからな。オレも一緒に行くぜ。

Dr.ムスタファ-----それじゃあ私も。

Little Mustapha-----なんだよみんな。手紙をポストに入れるだけなのに。そんなに信用できないの?なんだか幼稚園児に戻ったような気分になるじゃないか。まあいいか。それじゃあみんなで手紙を出しにいこうか。

 これで本物のサンタのところに手紙は届くのでしょうか。住所だけは正確であると彼らは自信を持っているようです。もしかすると今年は本物のサンタがやって来てしまうのでしょうか?

 Little Mustapha達は手紙を投函したあとワクワクしながら数日間を過ごしました。今日はクリスマスイブ。夕方になるとブラックホール・スタジオに主要メンバー(マイクロ・ムスタファ除く)が集まって来ました。今年の彼らは希望に満ちあふれています。「今年こそは本物のサンタが来る。そして今年こそ長年望んでいたプレゼントが貰えるのだ!」という気持ちが彼らの表情から見て取れます。

Little Mustapha-----なんだか本物が来ると思うとドキドキするねえ。

ミドル・ムスタファ-----これまでも良いところまで行くことはあったんですけどねえ。去年サンタの孫娘さんが来てくれたおかげで、やっと本物のサンタを呼ぶことができますねえ。

ニヒル・ムスタファ-----そうやって浮かれてると、またヘンな失敗をやらかすぜ。確認すべきところはちゃんと確認しておかないと。

Dr.ムスタファ-----確認ってなんだ?今年はサンタ襲撃計画じゃなくて平和的にプレゼントが貰えるんだろ?だから私は「電撃銃」も「電波銃」も持ってきてないぞ。

ニヒル・ムスタファ-----そんなモノは始めから期待してないよ!そうじゃなくて、留守番電話にヘンなメッセージが残っていないか、とかテレビで妙な事件の報道がやってないか、とかそういうことだよ。毎回おかしな事が起こるのはその辺に原因があるんだぜ。

Little Mustapha-----これは目のつけどころがマイクロ・ムスタファ的ですねえ。まあ、確認するにこしたことはないから確認してみようか。まずは留守番電話。…。特に異常はないみたいだねえ。メッセージはナシだよ。それじゃあテレビを確認。


 Little Mustaphaがテレビをつけるといつものニュース番組がやっていました。


スタジオのキャスター-----それでは会場の人気女子アナ、ウッチーこと内屁端アナを呼んでみましょう。ウッチー!

内屁端-----はーい。みなさん、ここがどこか解りますかあ?

スタジオのキャスター-----ええ、だからクリスマス・ロボット・パーティーの会場でしょ?

内屁端-----そのとおり!ここでは最新のロボット達がガシガシとカクカク動き回ってクリスマスムードを盛り上げています!ただ今こちらに給仕をするロボットがやってまいりました。なんとこのロボットは人の言葉を理解して仕事をしてくれるんですよ。

給仕ロボット-----イラッシャイマセ。ノミモノはイカガイタシマショウカ?

内屁端-----みなさん、解りましたか?いまこのロボットは私に飲み物の注文を取りに来たようです。それでは早速注文してみたいと思います。ワインをいただけますか?ロボットさん。

給仕ロボット-----…。

内屁端-----ワインをくださーい!

給仕ロボット-----…。ガソリンはノメマセン。ノミモノはイカガイタシマショウカ?

内屁端-----えーっと、それじゃあオレンジジュースを…。

給仕ロボット-----オレンジジュース…。オレンジジュース…。…。…ガソリンはノメマセン。ノミモノはイカガイタシマショウカ?

内屁端-----どうやら今日はあまり調子が良くないみたいですねえ。それではいったんスタジオにお返ししまーす!(…おい、これどういうことだよ!てめぇ…)

スタジオのキャスター-----…あー、…とても盛り上がっていましたね。CMのあとはロボットの話題に続いて、最新人工知能のニュースです。


ミドル・ムスタファ-----テレビも問題ないようですね。

Little Mustapha-----ホントだねえ。なんだか物足りないと言えば物足りないけどね。まあ本物のサンタがくるんならそれでいいか。こんなことならマイクロ・ムスタファも来れば良かったのにねえ。

ニヒル・ムスタファ-----慎重すぎるヤツは、その慎重さのために失敗するんだよ。

Dr.ムスタファ-----「石の上にも三年」ってことだな。

一同(Dr.ムスタファ除く)-----違うよ!


 その時です。ブラックホール・スタジオのすぐ外で閃光とともにバーンという大きな音がしました。


ミドル・ムスタファ-----なんですか、今のは?

Little Mustapha-----なんだろうね?

ニヒル・ムスタファ-----まさか、またヘンなのが来たんじゃないだろうな。

Dr.ムスタファ-----そうやってなんでも悲観的に考えるのは良くないぞ。あの光はもしかすると希望の光かもしれん。

ニヒル・ムスタファ-----楽観的すぎるのも問題だぜ。

Little Mustapha-----でも、もしかしたらサンタが来た、ということかも知れないよ。

ミドル・ムスタファ-----サンタはソリで来るんじゃないんですか?

Little Mustapha-----それは想像上の話だしね。今回来るのは本物のサンタなんだよ。本物のサンタならさっきみたいに閃光とともにバーン!と現れるはずだよ。

ミドル・ムスタファ-----その確信は良く解らないですが、少なくともこれまでのヘンなサンタの時とはちょっと雰囲気が違いますよねえ。もしかするとホントにサンタなのかな?

ニヒル・ムスタファ-----だったら良いけどな。

Dr.ムスタファ-----期待したって良いんじゃないのか?

Little Mustapha-----そうだよ。もしさっきのが違ったとしても、今年は確実に本物のサンタが来ることは解っているんだから。

 果たして、本物のサンタがやって来たのでしょうか。そして、望みのプレゼントはもらえるのでしょうか?怪しい感じもしてきましたが、話は次のページへ続きます。


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