クリスマス。すぎれば今年もなんにもない。

　サンタの酒で酔いつぶれて眠ってしまったLittle Mustapha達ですが、前の時と同じく激しい頭痛を感じながらLittle Mustaphaが目を覚ましました。ズキズキする頭を抱えながらLittle Mustaphaが顔を上げると、逆さまの未来サンタと目が合いました。

Little Mustapha-----あれ？未来サンタさんだ。

未来サンタ-----あれ、じゃないよ。ビックリしたぞ、いきなりいなくなったと思ったらいきなり天井から現れて。

Little Mustapha-----未来サンタがいるということは、もしかしてまだ3007年ということ？

未来サンタ-----何を言っているのか解らないが、今は2007年だぞ。オーッホッホッホッホ！

Little Mustapha-----えっ！ホントに！やったーマンモス！

　興奮して良く解らないマンモスフレーズを発したLittle Mustaphaですが、それと同時に動いたために反重力帯からはずれて天井で寝ていたLittle Mustaphaが床に落ちてきました。

　そしてその音に驚いて目覚めた他の主要メンバーとニコラス刑事も次々に床に落ちてきます。

各人-----あいたたた…（とか、いててて…、とか、いつーぅ…、とか）

ミドル・ムスタファ-----なんですか、この懐かしい雰囲気は！？もしかしてここは2007年ですか？

Little Mustapha-----そう言うことらしいぞ。オーッホッホッホッホ！

未来サンタ-----人のマネをするんじゃないぞ。オーッホッホッホッホ！

ニヒル・ムスタファ-----まさかと思ったけどホントに帰れたのか？

Dr.ムスタファ-----私もオドロキだがね。

ニコラス刑事-----これで私も思う存分ワンセグ・ケータイを自慢できるということだな。

ミドル・ムスタファ-----それは、もうイイですよ。

未来サンタ-----それよりも、キミ達の身に何が起こったというんだ？私が目覚めて帰ろうと思ったら、キミ達が姿を消していて、あれ？っと思っていたらいきなり天井から現れたんだぞ。オーッホッホッホッホ！

Little Mustapha-----消えたって、どういうことだろう？

ミドル・ムスタファ-----ボクらは眠り続けて1000年後に目覚めたんですよ。

未来サンタ-----ああ、そう言うことか！

ミドル・ムスタファ-----そう言うことって、どういうことですか？

未来サンタ-----遠い時間へのタイムトラベルは控えるべきだ、というのはこういうことだったんだな。オーッホッホッホッホ！きっとキミ達は継続的断続時間帯にはまってしまったんだな。

Little Mustapha-----それって、違う時間へ移動しちゃうやつでしょ？

未来サンタ-----いやいや、それは「断続的継続時間帯」のほうだよ。キミ達がはまったのは「継続的断続時間帯」だよ。これも今私が考えた言葉だがね。オーッホッホッホッホ！

Dr.ムスタファ-----それは「断続的継続時間帯」とどう違うんだ？

未来サンタ-----「断続的継続時間帯」はある時間から別の時間まで一気に飛び越して行くんだよ。つまり点から点への移動なんだけど「継続的断続時間帯」の場合は点と点を結んだ線の上を高速に移動していくんだ。「継続的断続時間帯」にいると時間の流れから隔離されて、数時間の間に何百年も時間が経過するんだよ。オーッホッホッホッホ！この二つの時間帯は表裏一体の関係で、「断続的継続時間帯」を使って時間旅行をすると必ず「継続的断続時間帯」が発生するんだ。たいていの場合それはごく小さなものなんだが、今回のように1000年も移動すると巨大な「継続的断続時間帯」が発生するんだな。オーッホッホッホッホ！

ミドル・ムスタファ-----ということは、やっぱり私達は1000年間眠っていたということになるんでしょうか？

未来サンタ-----いや、それはまだ明らかになっていないことなんだが、マンモスハイテンション飲みと関係しているのでは？という仮説は未来の科学者達の間でも話題になっていたんだがね？

Dr.ムスタファ-----でも、どうして未来サンタさんだけ未来の世界に一緒に行かなかったのか、という疑問も残るぞ。

未来サンタ-----それは簡単に説明がつくよ。オーッホッホッホッホ！「断続的継続時間帯」と「継続的断続時間帯」は表裏一体。いわば光と陰という関係なんだよ。だから「断続的継続時間帯」の影響下にある私には「継続的断続時間帯」の影響は及ばないということだよ。オーッホッホッホッホ！私が1000年先からここへ来たのとは逆にキミ達は私のいた1000年後まで一気に寝過ごしたということだな。

ニヒル・ムスタファ-----なんだか煙に巻かれたような気分だぜ。

ミドル・ムスタファ-----ホントですねえ。なんだか理解出来るような出来ないような話です。

未来サンタ-----それにしても、反重力リアクターで帰ってこられたというのは興味深い。ホントは私が未来の世界に戻れば「継続的断続時間帯」が消えてキミ達は何もせずに元に戻れたんだがな。オーッホッホッホッホ！

Little Mustapha-----そうなの！？それは先に言ってもらわないと。今回はタイヘンなことになった！という感じだったんだから。

未来サンタ-----まあまあ、私もこんなに巨大な「継続的断続時間帯」が発生するとは持っていなかったからな。オーッホッホッホッホ！

ニコラス刑事-----無責任だなあ。

Dr.ムスタファ-----でも私にとっては興味深い話では…

　その時です。反重力リアクターの電池が切れて天井に逆さまにおかれていたサンタの酒の入ったバケツが反重力リアクターに向かって落ちてきました。バケツが反重力リアクターにぶつかると中のサンタの酒が派手にこぼれて反重力リアクターにかかりました。

Dr.ムスタファ-----うわあ、なんてことだ。早く拭かないと！

未来サンタ-----ああ、もう手遅れだぞ。それは水分には弱いんだよ。オーッホッホッホッホ！もう壊れてるぞ。オーッホッホッホッホ！

Dr.ムスタファ-----笑い事じゃないぞ！

ニヒル・ムスタファ-----結局誰もプレゼントはもらえなかった、ということになってきたな。

Little Mustapha-----でも先生の反重力リアクターはもうもらちゃった物だから次からはリクエスト出来ないね。

Dr.ムスタファ-----ええ？！そうなのか？

ニヒル・ムスタファ-----そんな悲しそうな顔するなよ。こっちまで悲しくなるぜ。

未来サンタ-----また同じものはプレゼント出来ないなあ。オーッホッホッホッホ！でも悲しむことはないぞ。今回私が持ってきたプレゼントは名前が同じでもLittle Mustapha君達の望むものではなかっただろう。逆に考えれば同じものを別の名前で表現するという手もあるぞ。

Dr.ムスタファ-----ほう、それは興味深い意見だ。「ローマは一日にしてならず」だな。

一同（Dr.ムスタファ除く）-----？？？

Little Mustapha-----ところで、どうして地球はロボットが支配するようになったんだろう？

未来サンタ-----うーん、まあそれは気にしなくても良いだろう。キミ達が見た未来の世界は私のいた未来の世界。人にはそれぞれに未来があって、それは常に形を変えるものなんだよ。オーッホッホッホッホ。寝てばかりいて何もしていないと、あんな恐ろしい未来が待っているかも知れないぞ。オーッホッホッホッホ！

Little Mustapha-----へえー。なんだか教訓じみてるけど、まあいいか。

未来サンタ-----それじゃあ、私はそろそろ帰るぞ。オーッホッホッホッホ！元の時代に帰って可愛いキッズロボたちにプレゼントを配るんでね。オーッホッホッホッホ！オーッホッホッホッホ！

　未来サンタは小さなカバンから小さな機械を取り出してボタンを押すと、未来サンタの姿は一瞬ピンぼけの写真のように見えました。その直後、未来サンタの姿はパッと消えてしまいました。きっと未来の世界ではドーンとなって未来サンタが現れているのでしょう。

ミドル・ムスタファ-----行ってしまいましたね。

ニヒル・ムスタファ-----それよりも、気になることがあるんだけど。ホントは未来サンタが帰ると同時にオレ達がこの時代に戻って来るはずだろ？でもその前にオレ達は戻って来ているんだから、もしかすると何か変なものが未来から…

Little Mustapha-----まあまあ、そこは気にしない方が良いと思うよ。気にしていると気になるもんだから。

ニヒル・ムスタファ-----なんだよ、それは。

ミドル・ムスタファ-----どっちにしろ、ここでまた事件が起きても、もう誰も読んでくれませんよ。

Little Mustapha-----そういうことだよ。それじゃあ、飲む？

ミドル・ムスタファ-----またですか！？

Little Mustapha-----だって、まだ夜の10時だよ。

ミドル・ムスタファ-----ホントだ。なんだか信じられませんが、まだクリスマスイブの夜でしたね。

ニコラス刑事-----もちろんサンタの酒なんかは飲まんだろうな？

Little Mustapha-----当たり前じゃん。今年に限ってはサンタの酒はガソリンを飲むぐらい危険だからね。

　クリスマス。だからなんだよクリスマス。

　今年もプレゼントはなかったも同然です。残ったのは壊れた反重力リアクターだけ。そして、今年もダラダラと続くグタグタ飲みが始まりました。きっと、この後に留守番電話に変なメッセージが記録されていたりするかも知れませんが、それはもう良いですね。来年まで取っておきましょう。

　一方、1000年後のプリンセス・ブラックホールのクリスマス・スペシャル番組ではまた何か重大なニュースを伝えているようです。ロボット・ヴォイス・トランスレーターを使って聞いてみましょう。

アンドロイド・プリンセス・ブラックホール-----みなさま、ここでニュースですのよ！先程、人類が再びこの世界からいなくなったということはお伝えしましたけれど、それに関して国会が重大な発表をしたそうですの。今夜の人類騒動の原因は過去から偶然やって来た人類が起こしたそうですのよ。そこで、もう二度とこういったことが起きないように事前に手を打つことになったんですの。なんと、過去の世界へロボット爆弾を送るということなんですのよ。上手くいけば今回の人類騒動は「なかったこと」になるということですわ！これって意味が解ります？なんだか不思議な話ですわね。それではニュースはこの辺でおしまいですのよ。次は未来サンタさんからのリクエストで、あたくしの曲を聴いてもらいますわ！曲は「アンニュイなのね時間旅行！」ですのよ！

　ということで、ダラダラ続いた今回のクリスマスのお話はもうすぐ終わりそうです。みなさんはどんな未来がお好みでしょうか？私はなるべく楽しい未来が良いですねえ。

　次回は今年のこととか来年のことを書くことになりそうです。お楽しみに？アデュー！