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#037 「Black-holic Special ---Peke Santa---」 2004-12-11 (Sat)

今回は長編のため6ページにわけました。ゲッ、マジで!?


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「おかしいなあ。どうして今年は子供達からのプレゼント・リクエストの手紙がこれだけなんだろう?」

サンタのおじさんが困った顔をしています。思えば、最近はサンタと言えばピチピチギャルの時代になってしまったからなあ。サンタのおじさんは、街の書店で立ち読みした雑誌のことを思い出していました。サンタのおじさんはグラビアのページに彼と同じ恰好をしたグラビアアイドルの姿を見つけてかなりショックだったようです。

「今の人たちはわしのような老いぼれサンタよりも、こんな若くて美しいサンタの方が好みなんだろうか?」

サンタのおじさんは窓の前に立ちました。窓の外はもう日が暮れて真っ暗です。窓ガラスには明るい部屋の中にいるサンタのおじさんの姿がはっきりと写っています。サンタのおじさんは自慢の長い髭を撫でながら悲嘆にくれていました。

 何とかしないといかん。このまま、屈辱を味わいながら引退するなんてことは絶対に出来ない。今こそわしの本当の力を見せる時だ。それにしても、子供達からの手紙が二通だけなんて・・・。いったい何から始めればいいんだ?まあ、考えても仕方がない。この二通の手紙だけでも、私が完璧な仕事をすれば子供達も私の偉大さに気付いてくれるだろう。

 こう考えると、サンタのおじさんの曇っていた瞳に輝きが戻ってきました。窓のそばから離れて今年彼の元に届いた二通の手紙が置いてある机の方に向かいました。

 サンタのおじさんが一通目の手紙のふうを切って中を読みました。


PSPがほっすぃ〜。サンタさん、お願いしますよ。

吉男より


 サンタのおじさんはこの手紙を読んで、意味が解らずしばらく読んでいる姿勢のまま動くことが出来ませんでした。

「昔はこんな手紙の書き方をする子供はいなかったんだけどなあ」

サンタのおじさんは文面にあきれながらも、ある問題に直面していることに気付きました。

 PSPって何だ?サンタのおじさんは眉間にしわを寄せて考え始めました。サンタのおじさんが知っている三文字の頭文字からなる単語はLSDぐらい。サンタのおじさんはこの子供が新しいドラッグを欲しがっているのではないかと思っているようです。或いはPCP(ペンタクルロロフェノール)か?この子供はダイオキシンを欲しがっているのか?サンタのおじさんの訳の解らない、誤解が続きます。

 しばらく考えた後、サンタのおじさんは、ニコリと笑って考えるのをやめました。

「PSPってなんだか解らないけど、こんな子供にはリカちゃん人形とか、モンチッチとかあげとけばいいんだ。逆にその方が喜ぶしな」

 良く解りませんが、サンタのおじさんは納得がいったようです。それからサンタのおじさんはもう一通の方の手紙に目を通しました。


驚きました!

ボクも始めは嘘だと思ってたんですけど、もしかすると・・・って思ってアクセスしてみたんです。そうしたら本当に出来ちゃったんです。しかも相手は本物の女子大生で・・・


 サンタのおじさんは途中まで読んで、手紙をビリビリに破いて暖炉の火の中に投げ捨てました。

「何だ、迷惑メールかよ」

 やる気になっているところへ迷惑メールが来て、たいそうへこんでしまったサンタのおじさんです。


 でも、何かがおかしくありませんか?Little Mustaphaが出した手紙はどこへ行ってしまったのでしょうか?二年前に彼がアルトサックスを手に入れるために出したサンタへの手紙はサンタの元へ届いていたのですが、今年はどういう訳か届いていないようです。

その頃、ブラックホール・スタジオでは・・・


ニヒル・ムスタファ-----それじゃあ、キミはまだサンタへの手紙は出してないのか?


Little Mustapha-----いや、一応出しておいたよ。マイクロ・ムスタファが必ずしも本物のサンタの居所を知っているとは思っていないからねえ。


ミドル・ムスタファ-----でも、その手紙ってどこに出したんですか?これまでもあなたが出した手紙で本物のサンタが来たことは一度もありませんでしたよ。


Little Mustapha-----今回は大丈夫だよ。今年はちゃんとサンタのおじさんのオフィシャル・ホームページに書いてあった宛先に手紙を出しておいたからね。マイクロ・ムスタファが何も知っていなかったとしても、ここへ来るのはかなり信用できるサンタだということだよ。


Dr.ムスタファ-----まあ、誰が来るにしても、そいつが危険なヤツだとしたら、わしの開発した超強力電波銃があれば大丈夫だけどな。


ニヒル・ムスタファ-----何だよそれ。電撃銃じゃなくて電波銃なの?それが何の役に立つんだよ。


Dr.ムスタファ-----キミは何も解っていないんだなあ。これはかなり危険なものなんだぞ。電波銃というのは超強力な電波を放出して周囲にある携帯電話を壊すんだ。


ミドル・ムスタファ-----それは恐ろしいですねえ。


Dr.ムスタファ-----そうだろ。恐ろしいだろ。しかも登録してある電話番号とかも全部消えちゃうんだ。


ニヒル・ムスタファ-----おいおい、ちょっと待ってくれよ。そりゃ、そんなことが起これば、恐ろしいと思うヤツがいるかも知れないけど、サンタのおじさんっていうのは携帯電話を持っているのか?オレが考える限り絶対に持ってないと思うんだけど。それに、どうせその電波銃って、ブレーカーが落ちるぐらいの電力を使うんだろ?


Dr.ムスタファ-----それは当たり前だ。何せ超強力なんだから。でもバッテリー駆動だから大丈夫だ。この部屋の電気が消えたりはしないよ。


Little Mustapha-----バッテリーって言っても、車に積んであるような巨大なバッテリーのことでしょ。ここまで一人で運んでこれないような。


Dr.ムスタファ-----・・・うん。まあ、そういうことだ。


ミドル・ムスタファ-----なんだか、自信なくしちゃったみたいですよ。


Little Mustapha-----大丈夫だよ。自信なんてあっても無くても同じこと。というより、ある時にはあって、無い時には無いものなんだから。そんなことより、今年はマイクロ・ムスタファがきっと何かをしてくれる。そんな気がしてならないんだよ。


次のページへ続く