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#037 「Black-holic Special ---Peke Santa---」 2004-12-11 (Sat)

今回は長編のため6ページにわけました。ゲッ、マジで!?


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再びクリスマスイブのブラックホール・スタジオ


 突然現れたマイクロ・ムスタファを前にしてブラックホールのメンバーは驚いていましたが、それと同時にまた怪しいことが始まったに違いないという不安にかられてもいました。というより怪しいことが起こって欲しいと期待していたのかも知れません。だって、そうならないと面白くありませんから。


Dr.ムスタファ-----いったいどういうことなんじゃ?ついさっき家の電話で話していたマイクロ・ムスタファがここにいるというのは?


マイクロ・ムスタファ-----いったいどうしたというんですか?私はずっと前に家を出てここに向かっていたんですけど。


Little Mustapha-----いや、それは怪しいぞ。もしかしてここにいるのは変装した偽のマイクロ・ムスタファかも知れないよ。


Dr.ムスタファ-----ああ、あれだな。スパイ大作戦みたいにゴムの覆面で変装するんだな。


ニヒル・ムスタファ-----先生、いまはミッション・インポッシブルっていうんだぜ。


マイクロ・ムスタファ-----どうでもいいですけど、私は本物ですよ。みなさん、まさか・・・


 マイクロ・ムスタファが恐れていたとおり、一同マイクロ・ムスタファに飛びかかり顔中の肉を引っ張ってみました。しかし、ゴムの覆面などはしていませんでした。マイクロ・ムスタファは顔を真っ赤にして怒っています。


一同-----・・・。


Little Mustapha-----・・・。なんだか、本物だったみたいだね。


マイクロ・ムスタファ-----当たり前ですよ!どうして私が変装なんかしなくちゃいけないんですか。


Dr.ムスタファ-----まあ、いいじゃないか。たまにはこういう間違いも起こるんだよ。うへへへっ。


ミドル・ムスタファ-----それよりも、ボクが思うには、原因はLittle Mustaphaの書いた手紙じゃないでしょうか?


ニヒル・ムスタファ-----それはどういうこと?


ミドル・ムスタファ-----今回もまた電話でおかしなことがおきましたよね。考えてみれば、ここの電話がおかしなことになったのは二年前のクリスマスに私たちがサンタに手紙を出してからなんですよ。


Little Mustapha-----そういえばそうだなあ。


ニヒル・ムスタファ-----いったいキミは手紙に何を書いたんだ?


Little Mustapha-----どうせ今年もなんにも持ってきてくれないと思ったから、ボクの書いた名作の中に登場する物をいろいろ書いておいたよ。


Dr.ムスタファ-----あの変なミステリーか?そんなことをするからサンタのやつが腹を立ててここの電話にいたずらするんじゃないのか?


Little Mustapha-----いやいや、それはないね。手紙の差出人の住所はここじゃなくて近所の公園にしておいたんだ。もしもの時のことを考えてね。そうすれば、また殺人サンタがやって来ても安全だし、本物だったら朝、公園にプレゼントを取りに行けばいいんだ。


ニヒル・ムスタファ-----でも、もう変なことは起き始めているんだぜ。ここだって安全だとは思えないけど。去年なんかは向こうから先に手紙を出してきたんだぜ。


マイクロ・ムスタファ-----みなさん。いいですか。みなさんは少しサンタにこだわりすぎだとは思いませんか?


Little Mustapha-----だって、サンタの話なんだから。


マイクロ・ムスタファ-----そうじゃないんです。ここの電話がおかしなことになるのは、なにもクリスマスの時に限ったことではなかったでしょう。何かのイベントで私たちが集まるたびに妙なメッセージが留守番電話に入っていたんです。覚えていますか?


ミドル・ムスタファ-----今ここを読んでいる人にとっては、覚えているとかそういうことよりもまず、読んでいないから解らない思いますけど。


Little Mustapha-----キミは悲しくなるようなことを言うねえ。


マイクロ・ムスタファ-----それよりも私の話を聞いてください。私の書いた「探偵の季節」では・・・


ニヒル・ムスタファ-----それならもう読んだからいいよ。


マイクロ・ムスタファ-----えっ、いつの間に読んだんですか?まだ発表されてないはずですけど。


Little Mustapha-----裏ルートで密かに入手したんだよ。へへっ。それよりも今回はキミの説をもっと聞かせてもらう必要があると思うんだけど。いったいキミはいつも何が解ったって言ってるんだ?


マイクロ・ムスタファ-----それなら、私の考えをお聞かせしましょう。私の考えではここの電話へおかしなメッセージを残していくのは人間ではありません。もっと我々の理解を超えたところにいる何かとてつもない・・・・。あれっ、その電話のところが点滅しているのって、もしかして・・・。


ミドル・ムスタファ-----また留守番電話ですか!?


ニヒル・ムスタファ-----そんなはずはないぜ。さっきマイクロ・ムスタファの家に電話をかけた時には点滅してなかったんだぜ。


Little Mustapha-----まあ、とりあえず聞いてみようか。


留守番電話-----ゴゴゴジゴジュップン。ピーッ。「もしもし、あたくしエフ・ビー・エルのスケアリーともうしますけど。いったいあなた達は何を考えていらっしゃるの?あたくしの汗つきシャツが欲しいなんて言っている変態野郎のマイクロ・ムスタファ様はそちらにいらっしゃるの?あたくしはそちらに行ってマイクロ・ムスタファ様を懲らしめてやるつもりだったんですけど、なんだか遠くて面倒ですから、同じ変態のモオルダアを殴っておきましたわ!もし来年も同じような手紙を出すのならあたくしは今度こそあなた方のところに行って、皆様を痛い目に遭わせますからね。そのおつもりで。それから、もしあたくしに謝りたいのならあたくしのお屋敷の電話番号は666の・・・」ピーッ。メッセイジ、オワリ。


Little Mustapha-----これはプリンセス・ブラックホール・・・ではないよね。


ニヒル・ムスタファ-----なんなんだ、今のは。エフ・ビー・エルってキミの書いた話に出てくるところだろ?


ミドル・ムスタファ-----それより、どうしてマイクロ・ムスタファが変態野郎なんですか?


Little Mustapha-----まあ、それはちょっとした手違いかな。へへっ。


Dr.ムスタファ-----人間というのは心の奥底ではみんな変態なんじゃよ。そう気にすることもあるまい。


ニヒル・ムスタファ-----かってにみんなを変態にしないでくれよ。それより、これは問題だぜ。まだ留守番電話のランプが点滅してるよ。


Little Mustapha-----あっ、ホントだ。なんだかこれはもう聞くしかないね。だんだん盛り上がってきたことだし。


 何が盛り上がっているのか良く解りませんが、Little Mustaphaがもう一度留守番電話の再生ボタンを押しました。


留守番電話-----ゴゴゴジゴジュウゴフン。ピーッ。「もしもし、エフ・ビー・エルのモオルダア特別捜査官だ。もしキミ達がまだ家にいるのなら、今すぐ誰にも気付かれないようにそこから離れるんだ。キミ達の命が狙われている可能性がある。事件の性質上、警察官やエフ・ビー・エルの捜査官をそちらに向かわせることは出来ないんだ。何せ、これって政府の人間が犯罪に関わってるかも知れないんだぜ。すごいでしょ。だから、キミ達の力だけでなんとかそこからなるべく遠くまで逃げて欲しいんだ。それじゃあ、ボクは鼻血が止まらないからこの辺で。あっ、そうだ。連絡はスケアリーの家・・・」ピーッ。メッセイジ、オワリ。


ミドル・ムスタファ-----なんですかこれは?あなたの書いたエフ・ビー・エルって実在するんですか?


Little Mustapha-----そんなわけはないよ。これもサンタのいたずらかなあ?


Dr.ムスタファ-----それよりも、命が狙われてるって言ってたぞ。逃げなくていいのか?


ニヒル・ムスタファ-----先生は臆病だなあ。そんなの嘘に決まってるだろ。


ミドル・ムスタファ-----でも気をつけた方がいいですよ。以前は電話が燃えて火事になるところだったんですから。今回も何が起こるか解りませんよ。一応どこかへ場所を変えた方がいいんじゃないですかねえ。


マイクロ・ムスタファ-----私たちはどこへも逃げられませんよ。


Little Mustapha-----なんだか、急に意味深げだねえ。


マイクロ・ムスタファ-----みなさんは覚えていますか?あれも電話が燃えた時でしたね。電話が燃え始める前に留守番電話にメッセージが入って、その時に喋っていた男が言ってたじゃないですか。「私の目はどこにでもある。隠れても無駄だ」と。


ミドル・ムスタファ-----そう言えばそうでしたね。でもそれとこれが関係しているんですか?


マイクロ・ムスタファ-----そうなんです。どこに隠れている人間でも探し出せる人なんかいません。それにこれまで、ここで起こった留守電事件にしてもそうです。我々が電話の前にいるにもかかわらず、我々に気付かれずに電話にメッセージを残すなんて出来ないはずです。それが出来るのは多分、我々の五感を越えたところに存在しているもの。


Dr.ムスタファ-----良く意味がわからんなあ。それよりもサンタはどうなるんじゃ?キミの話を聞けばプレゼントはもらえるのか?


マイクロ・ムスタファ-----さあ、それはわかりませんけど。私の話を聞けば私たちの助かる可能性は高くなると思いますよ。


ニヒル・ムスタファ-----助かる可能性って、オレ達はそんな危険な状態にあるのか?


Little Mustapha-----どっちでもいいけど。面白そうだから聞いてみようよ。ビールでも飲みながら。ちなみにビールは一本ずつね。二杯目からはウォッカかウィスキーでね。今年も大量に用意したから。


マイクロ・ムスタファ-----それどころじゃないんですけど・・・。まあ、聞いてくれるのならそれでいいです。でもいざというときにはちゃんと行動を起こせるようにしておいてくださいよ。

 このように、なぜか今回は良く喋るマイクロ・ムスタファが事件に関して話を始めたようです。いったい彼は何を知っているのか?

 その頃、誰もいないはずのマイクロ・ムスタファ部屋では。


 薄暗い部屋の中からカリカリと何かを削るような音が聞こえてきます。電気を消した部屋の中にある机に誰かが座っています。机の上に置かれた小さな電球が照らし出したのは、なんとここにはいないはずのマイクロ・ムスタファでした。

 彼は鉛筆を握って原稿用紙に何かを書き続けているのですが、鉛筆の芯が折れてしまっているので何が書いてあるのか解りません。しかし、彼は一心不乱に書き続けます。よく見ると恐ろしいことに気付きました。彼は白目をむいて開けっぱなしの口からはよだれさえ流しています。

 悪魔か何かが彼に取り憑いて彼に何かを書かせているとしか思えません。原稿用紙には何が書かれようとしているのか?それに、今Little Mustaphaの部屋にいるマイクロ・ムスタファは?ここで何かを書き続けているマイクロ・ムスタファは偽物?それとも・・・。

 静かな家の中に折れた鉛筆で何かを書き続ける音が絶え間なく聞こえてきます。それから時々、彼がのどの奥の方から絞り出すような声でかすかな音でつぶやくのが聞こえました。あまりに小さな音で、果たしてそれが彼の声なのか、それとも他の何かの出す音なのか良く解りません。その声はこう言い続けていました。

「笑え・・・笑うのだ・・・なぜ笑わない。・・・笑え・・・笑うのだ・・・なぜ笑わない・・・」

後編に続く