クリスマス 大ピンチかも 知れないね
Little Mustaphaの部屋の外には、ありとあらゆる種類の怪物達が集まっていました。その中にはLittle Mustaphaが妖怪事典やモンスター百科で見て知っているものもいれば、まだ見たことのないものもたくさんいました。
Little Mustapha-----フンガーフンガーフランケン、ザマスザマスのドラキュラ、ウォーでがんすの狼男〜!
ミドル・ムスタファ-----なんでそんな歌を歌うんですか?!
Little Mustapha-----なんか外はそんな感じだからね。それよりも、ゾンビとバタリアンはやっぱり違うものなのかなあ?
ニヒル・ムスタファ-----そんなことを気にしてる場合じゃないんじゃないか?
Little Mustapha-----でもここから見てると、いかにもゾンピっぽいゾンビサンタとバタリアンっぽいサンタはそれぞれ別の場所にかたまってるんだよね。同じ仲間同士で集まるということはやっぱり別物かなあ?
ミドル・ムスタファ-----そんなことはどうでもいいんですよ!私達はすっかり酔いが醒めてしまって、そろそろパニックになりそうなんですよ。
Dr.ムスタファ-----そうだぞ。今年は電撃銃も電波銃もないし。怪物に襲われたって何も出来ないんだからな。
ニヒル・ムスタファ-----そんな武器は今までだって役には立ってないだろ?!それよりも、これまでみたいに、何とかなる方法を考えないといけないんじゃないか?
ミドル・ムスタファ-----そうですね。今年は何かしてくれそうなゲストもいなくなってしまいましたし…。
ニコラス刑事-----私じゃダメなのか?
Little Mustapha-----相手が人間なら警察で何とかなるかも知れないけどね。ホラーの場合だと警察の人は最初の方に犠牲者になることも多いしね。とにかく、他に何もないのならサンタの酒の101%バージョンを飲んでみる価値はありそうだよね。
ニヒル・ムスタファ-----でも、去年はアルコール度数300%のサンタの酒を飲んで1000年も寝続けたんだぜ。1000年とまではいかなくても約三分の一で333年と四ヶ月ぐらい寝ることになったらどうするんだ?
ミドル・ムスタファ-----去年の場合は未来サンタさんの使ったタイムトンネルが原因だったんじゃなかったですか?
ニコラス刑事-----どうでもいいが、何もしないよりはマシなんじゃないか?私は一番最初の犠牲者にはなりたくないからね。
Little Mustapha-----じゃあ、そうと決まったらもう一度乾杯だね。
Little Mustaphaは別の部屋からバケツに水をくんで持ってきました。そしてサンタの置いていった小瓶を開けてそのバケツの中にドボドボと注いでいきました。
ミドル・ムスタファ-----ちょっと、そんなに入れたら飲めないですよ。
Dr.ムスタファ-----そうだぞ!去年は300%だったが、バケツに数滴たらしただけだっただろ?
Little Mustapha-----でも、もう入れてしまったんだからどうにもならないよ。だいたいアルコール度数が100%以上っていうのが、もうすでに意味が解らないからね。そこは考えても意味がないよ。それじゃあ、みんなバケツからコップにサンタの酒をくんでください。
メンバー達はコップの中のサンタの酒がどんなものなのか心配そうでした。水の中にサンタの酒を入れたLittle Mustaphaさえもコップの中で水と混ざりきらないサンタの酒がモワモワしているのを見て心配になっていました。
Little Mustapha-----なんかやばそうだけど、とにかく乾杯しないとねそれじゃあいくよ。
一同-----メリークリスマース!
全員が恐る恐るなめるようにコップの酒を飲みました。そして一同がほとんど同時にいいました。
一同-----ウワー!飲みやす〜い!!
ミドル・ムスタファ-----これはいったいどういうことなんですか?濃度でいったら去年よりもきついはずなのに。
Dr.ムスタファ-----まあ100%以上の世界というのは常識では考えられないからな。
Little Mustapha-----これはきっとアレだよ。アルコール度数14%のワインは平気で飲める人も、40%のウィスキーは水で割っても飲めない人がいるでしょ。それと同じ現象じゃないかな?
Dr.ムスタファ-----キミは1000%、ということだな。
ニヒル・ムスタファ-----先生、それことわざじゃないぜ。
Dr.ムスタファ-----そうなのか?
ミドル・ムスタファ-----それは、ことわざではなくて懐メロですね。
ニコラス刑事-----ああ、つまり「懐信メロディー」ということか?
ニヒル・ムスタファ-----全然意味が解らないけど。
Little Mustapha-----でも、予期せずに盛り上がってしまったねえ。
マイクロ・ムスタファ-----ちょっと待ってください!
ミドル・ムスタファ-----おっと、きましたよ!
Little Mustapha-----ここで、何かとてつもない発見があるのでしょうか?
マイクロ・ムスタファ-----そんなことはどうでもいいんですけど。外にいる怪物達はどうして入ってこないんですか?
Dr.ムスタファ-----ああ、そう言えば、そうだったなあ。なんで入ってこないんだ?
Little Mustapha-----まあ、そうなんだけどね。ボクの考えではあと5分ぐらいは平気なんじゃないかな?それまでにたくさん飲んでおいた方が良いとは思うけどね。飲みやすいからダイジョブだよね。
ミドル・ムスタファ-----なんでダイジョブなんですか?
Little Mustapha-----だから、飲みやすいから。
ミドル・ムスタファ-----そうじゃなくて、何で怪物達は入ってこないんですか?
Little Mustapha-----ああ、それか。そういうことならテレビをつけたらきっと解るよ。テレビはいつでも真実だけを報道するんだからね。
皮肉めいた発言の後にLittle Mustaphaはテレビをつけました。テレビに映ったのは、いつものスタジオではあったのですが、そこに座っていたのはゾンビ化したいつものキャスターでした。スタジオのゾンビキャスターは聞き取りづらい声で言いました。
スタジオのゾンビキャスター-----ここで現場からの中継です。現場のウッチー…。
スタジオのゾンビキャスターが呼びかけると、画面はLittle Mustaphaの部屋がある家の外に切り替わりました。そこにはゾンビ化したウッチーがいて聞き取りづらい中継をはじめました。
ゾンビ内屁端-----はい…。みなさん、ここがどこか解りますかあ?…そうです。クリスマスの瞬間を待ちわびるモンスターがバーってなっている三丁目です。日付が変わるまであと1分と少しというところですが、ここでモンスターの一人にインタビューしていたいと思いまあす…。今どんな気持ちですかあ?
フランケン-----フンガー!
ゾンビ内屁端-----とってもエキサイティングしている、ということです。
ミドル・ムスタファ-----これはどういうことなんですか?
Little Mustapha-----おそらく日付が変わると同時にここに押し掛けてくるんじゃないかなあ?そうする意味はあまりないけど。
ニコラス刑事-----それで、我々は何をすればいいんだ?
ミドル・ムスタファ-----毎度のことで何となく解りますけどね。
ニヒル・ムスタファ-----こうなったら飲むしかない、ってやつだな。
Little Mustapha-----みんなやっと解ってきたようだね。それじゃあ、あと1分ぐらいだけどガブガブいきますよ!飲みやすいんだから!
ゾンビ内屁端-----こちらには未来からやってきたという殺人ロボットがいます。もうすぐ日付が変わりますが、今のお気持ちは?
殺人ロボット-----ビー!ビー!…ガソリンハ・ノメマセン。ビー!
ゾンビ内屁端-----ということで、たいへん盛り上がっていまあす…。あ、そろそろカウントダウンが始まります。それではみなさんもウッチーと一緒に大きな声でカウントダウンしましょう!
ミドル・ムスタファ-----なんか、もうすぐみたいですけど、ダイジョブなんですか?
Little Mustapha-----そんなこと言ってないでどんどん飲まないと!
ゾンビ内屁端と怪物達-----ジュウ…キュウ…ハチ…ナナ…
Dr.ムスタファ-----何にも起きないぞ。ホントに大丈夫なんだろうな?
ニヒル・ムスタファ-----喋っている暇があったら飲まないと、先生だけ食べられちまうぜ!
ゾンビ内屁端と怪物達-----ロク…ゴ…ヨン…
Little Mustapha-----こんなに一気飲みしたの久しぶりだなあ!みんなは何杯飲んだ?
ミドル・ムスタファ-----もう20杯以上飲んでますよ。
ニコラス刑事-----だけど、何にも起きてないぞ!
ゾンビ内屁端と怪物達-----サン…ニ…イチ…メリークリスマ〜ス…
何も起きないままとうとう日付が変わってしまいました。サンタの酒を飲み続けていたLittle Mustapha達はそうとう酔っているので、怪物達がここへやって来ても立ち上がることすら出来そうにない状態でした。このままここへ怪物達がやってきて彼らは襲われてしまうのでしょうか?
Little Mustapha達は飲むのをやめてテレビを見ていました。日付が変わって一斉に動き出した怪物達ですが、なぜかその動きが止まっています。
Dr.ムスタファ-----これはいったいどういうことだ?
ミドル・ムスタファ-----さあ?なんで入ってこないんでしょう?
Little Mustapha-----それはきっと、ボクの部屋がなくなったからじゃないか?
Dr.ムスタファ-----何を言っているんだ?部屋はここにあるだろう!
Little Mustapha-----ここにあっても、あそこにはないんだなぁ。
Little Mustaphaはよろめきながら立ち上がって窓を開けました。すると他のメンバー達もヨロヨロしなが窓のところへらやってきました。窓の外には何でもない砂漠のような世界が広がっていました。それから、彼らはまたテレビを見ました。画面には唖然としている怪物達が映されていましたが、カメラが反対側のLittle Mustaphaの部屋がある家のほうへと向きました。
そこにはLittle Mustaphaの部屋がある家が映し出されるはずだったのですが、なぜか何もない空き地が映されました。
ミドル・ムスタファ-----何ですか、これは?まさかまた未来にタイムスリップですか?
Dr.ムスタファ-----今回は反重力リアクターがないから、元の時間には戻れないぞ!
Little Mustapha-----その心配はございませんよ。ここは何というか、どこでもない場所なんだなぁ。それにタイムスリップしても家は無くならないよ。
ニヒル・ムスタファ-----それじゃあ全然意味が解らないぜ。
Little Mustapha-----正確には「ドコデモナイの荒野」と呼ばれているんだけどね。人間は目的もなくダラダラと何をしているのかわからない事を続けていると、このドコデモナイの荒野に迷い込んでしまうんだなぁ。
ミドル・ムスタファ-----それでも意味が解りませんが。
Little Mustapha-----ボクらの生活する世界のすぐそばにドコデモナイの荒野はあるんだけど、普段はその存在に気がつかない場所なんだなぁ。パソコンに例えるならマウントされていないパーティションみたいなものかな。
ミドル・ムスタファ-----その例えのせいで余計に解りづらくなってますけどね。
Dr.ムスタファ-----つまりパラレルワールドということか?
Little Mustapha-----厳密には違うけどね。そう考えた方が解りやすいかな。
ニコラス刑事-----それで、何でこの家が何とかの荒野にあるんだ?
Little Mustapha-----さあね。飲み過ぎて何をやっているかわからない感じになってしまったから、この家ごと「ナンデモナイ状態」になってしまったんじゃないかなあ?
マイクロ・ムスタファ-----それは興味深い話です。
一同(マイクロ・ムスタファ除く)-----なんだ、キミいたのか!?
マイクロ・ムスタファ-----いますよ!
テレビではしばらくゾンビ内屁端の声が聞こえてきて、バーッとかザーッといって状況を説明していましたが、しばらくするとスタジオに画面が切り替わりました。その頃にはこの部屋の空気の中にわずかに残っていた意味のあるものが消えていき、テレビの電波は届かなくなりました。テレビはサーッと暗くなり、その後ザーッというノイズしか映らなくなりました。Little Mustaphaはテレビを消しました。
ニヒル・ムスタファ-----飲んでばっかりだったから、なんか食べたくなったな。
ミドル・ムスタファ-----そうですねえ。でもさっきのスパム炒めは全部こぼれちゃいましたし。今年は他に食べ物を用意してないみたいですしねえ。
Little Mustapha-----それなら大丈夫だよ。ナンデモナイもので良かったらいくらでも出てくるからね。ついでにナンデモナイウィスキーも持ってくるよ。
Dr.ムスタファ-----ナンデモナイとはなんだ?
Little Mustaphaは部屋を出てナンデモナイスナック菓子とナンデモナイウィスキーと、どこでもないところでくんできた水を持ってきました。そしていつものようにナンデモナイ飲みが始まりました。
ドコデモナイの荒野でナンデモナイものを食べながらナンデモナイ酒を飲んでいると、ナンデモナイのにやめられなくなります。Little Mustapha達はダラダラとナンデモナイことを話ながら飲み続けました。外はいつでも夜のようなドコデモナイの荒野では、彼らがどれくらいの間飲んでいたのか解りません。
永遠に続くナンデモナイ静寂の中に、時よりLittle Mustaphaの部屋から漏れてくる笑い声がナンデモナイ空気の中に響いてきますが、それはすぐにドコデモナイの彼方へと消えていきました。
Little Mustapha-----ということでね、このドコデモナイの荒野ではもしかすると先生の発明品もちゃんと機能するかも知れないんだよね。
ニコラス刑事-----ホントか!それじゃあ女性に変身して女風呂も可能なのか?
ミドル・ムスタファ-----その前にここには女風呂がありませんよ。
Little Mustapha-----でも、ナンデモナイ人たちばかりのお風呂だったらそのうちこの荒野のどこかに現れるかも知れないけどね。
ニヒル・ムスタファ-----ナンデモナイ女風呂は入っても意味がないぜ。
Dr.ムスタファ-----ほら、キミだって女風呂に入ってみたいんじゃないか。
ニヒル・ムスタファ-----そうじゃなくて「意味がない」ということを言いたかったのさ!
Dr.ムスタファ-----それじゃあまるで「へそからゴマ」だな。
一同(Dr.ムスタファ除く)-----???
マイクロ・ムスタファ-----それよりも、気付きませんか?
Little Mustapha-----何が?
マイクロ・ムスタファ-----留守番電話ですよ。
ミドル・ムスタファ-----あっ、ホントだ。点滅してますよ。もしかして、またあの自称サンタじゃないですかね。
Little Mustapha-----それはイヤだなあ。でも聞かないと点滅してるのが気になって仕方がなくなるから聞くしかないのかな。
Little Mustaphaが留守番電話のメッセージを再生しました。
留守番電話-----ゴゴ・ゴジ・ゴジ・ゴゴ!ピー!
ニコラス刑事-----その電話は壊れてるんじゃないか?
留守番電話-----「やあ、みんな。ブラックホール君なんだなぁ!キミ達はいったいいつまでそこにいるんですか?あれから一週間も経ってるんだなぁ!それから、Little Mustaphaの家が消えてるんで付近の住民がビックリしてるんだなぁ!それよりも、早くボクの活躍するコーナーを作ってくれないと、ボクはいつまでもこの荒野をさまよわなきゃいけないんだなぁ!」ピー!メッセイジ・オフリ!
Little Mustapha-----まじで!?ボクらは一週間も飲み続けてたのか?
Little Mustaphaがそう言った時です。部屋の外が急に現実的になって来ました。Little Mustaphaが窓を開けるとそこはいつの間にか大晦日になっている元の世界でした。
ミドル・ムスタファ-----なんで急に元に戻って来たんですか?
Little Mustapha-----それは、ボクらがメッセージを聞いて、ヤバイと思ったからだよ。そして色々とやらなきゃいけない事を思い出したでしょ。そのとたんにボクらはナンデモナイ存在ではなくなってしまったんだよ。
ニヒル・ムスタファ-----良くわかんないけど、外はダイジョブなのか?
Little Mustapha-----うん。普通の人が歩いてるよ。
ニコラス刑事-----まったく。キミ達のせいで私は一週間も仕事をさぼってしまったじゃないか!今日は「初日の出妄想」の取り締まりで忙しいんだぞ!
ミドル・ムスタファ-----というか、あなたは勝手にここにやってきたんですけどね。
ニヒル・ムスタファ-----それよりも、初日の出妄想って何だよ?
Little Mustapha-----そうだよ!あれは違法なのか?
ミドル・ムスタファ-----いや、そういうことじゃないですよ。とにかく飲み続けてしまった一週間を取り戻さないといけませんね。
Little Mustapha-----そうだね。まだ大掃除もしてないし。というか今からやっても間に合わないよ。
ミドル・ムスタファ-----この部屋は片付けても散らかってるから、どっちでもいいんじゃないですか?
Dr.ムスタファ-----とにかく早く帰って色々しないとな。
マイクロ・ムスタファは最後に何か言いたそうな顔をしていましたが、他のメンバー達が帰る準備を始めてしまったので何も言えずに立ち上がりました。それを見ていたDr.ムスタファは「何も言えなくて…夏」という感じだな、と思っていました。そのDr.ムスタファの様子を見ていたニヒル・ムスタファは、それはことわざじゃないぜ!と思っていました。さらにそのニヒル・ムスタファの様子を見ていたミドル・ムスタファは、それはことわざと言うよりビミョーな懐メロですね、と思っていました。さらにニコラス刑事は、それはつまり「懐信メロディー」の…
メンバー達が帰ったあと、Little Mustaphaは何もすることもなく、というか飲み過ぎて何も出来ないのでテレビをつけました。そこではいつもの夕方のニュース番組でいつものように現場からの中継が始まろうとしていました。
クリスマス いつのまにやら 大晦日
ということで、今年もLittle Mustapha達はサンタさんからプレゼントを貰えませんでした。しかし、ミニ・ムスタファやブラックホール君が出てきてしまったりして、新たな展開を感じさせるクリスマスにはなっているようです。
さて、このままクリスマスネタをいつまでも掲載していると、年中クリスマス気分の万年クリスマスツリー状態ですので、今年もクリスマスが過ぎたら早く次の記事を書かなくてはいけません。
とうことで、次回はもしかするとこれまでのサンタネタやその周辺で起きてきた「Black-holicミソロジー」のこれまでのまとめをやるかも知れませんが、予告どおりにそれを書いたらルール違反のような気もします。でもルールブックは私ですから何でもいいのです。
それでは、次回をオタノシミニ! メリーペケマス!