23. 第0912倉庫
青森にある放射性廃棄物の処理施設は今では本当に「ここには何もなかった」という状態で誰もいなくなって内部はひっそりと静まりかえっていた。それでもそこには何かがあって誰かが密かに管理しているのだが。
扉に0912と書かれた部屋は倉庫のような場所らしい。倉庫といっても放射性廃棄物を扱う施設だったので扉は分厚くて、ロックされると簡単に開けることはできない。そんな中にUFOらしき物体と横たわるクライチ君の姿があった。
クライチ君は謎のオイル状の黒い液体を顔から流したあと、気を失ってずっと倒れていたのだが、ついさっき目をさましてまどろんでいる状態だった。そして二日酔いのような状態ではあったが、やっとのことで起き上がると何が起きたのか周りを見渡して確認していた。
これまでずっと謎の生命体に体を乗っ取られていたような状態だったので、どうしてここにいるのかすら解っていなかったのだが、この倉庫と中にあるUFOのような物体を見てだいたいのことは理解できた。ここは誰も近づかないような放射性廃棄物の処理施設で、そして地下数十メートルのところにある倉庫で、どんなに大きな声を出してもここに自分がいることには気付かれないような場所である。
「これって、けっこうヤバくね?」
クライチ君はそう独り言をいうとブルッと背筋を震わせた。