なんだか、後編の出だしはほとんど'the Peke Files'になってしまいました。でもここは'Black-holic'なので、そろそろ彼らに出てきてもらわないと。
ブラックホール・スタジオ(Little Mustaphaの部屋)ではLittle Mustapha達が酒を飲みながらマイクロ・ムスタファの話を聞いていました。
ミドル・ムスタファ-----つまり、あなたが言いたいのはこういうことですね。これまで起きた変な事件は全てが誰かの想像の中にあったことで、何らかの理由でそれが実際に起こってしまったのだと。そういうことですね。
マイクロ・ムスタファ-----そういうことです。
ニヒル・ムスタファ-----なんだよ。想像の話なら別に怖がることはないじゃないか。
Dr.ムスタファ-----そうだなあ。わしも心配して損したぞ。
マイクロ・ムスタファ-----いや、そうじゃないんです。これまでは、心配する必要はなかったんですけど、今回はそうもいかない気がするんです。今その恐ろしい想像は実体を持ち始めているような気がするんです。
Little Mustapha-----なんだか、オカルトじみてるなあ。本来ならそれはボクの領分だぞ。
マイクロ・ムスタファ-----まあ、そういわずに聞いてください。これまでの電話事件や実況中継事件で、謎の声は一方的に喋るだけでした。でも今日あなた達は電話で家にいないはずのボクと話しているんです。つまり対話をしたんです。これはきっと想像の中のものが実体を持ち始めた証拠です。想像が自分自身の考えを持ってあなた達と電話でやりとりをしたんです。
ミドル・ムスタファ-----なんだか怖そうな感じだけど、その恐ろしい想像が実体を持つと何が起こるって言うですか?
マイクロ・ムスタファ-----「想像を絶する恐怖」です。以前にどこからともなく謎の声が聞こえてきた時に言ってたでしょ。きっと犯人はずっとこの時を待っていたんです。実体を得るチャンスを。
Dr.ムスタファ-----それじゃあ、わしらは何をすればいいんじゃ?
マイクロ・ムスタファ-----それはまだ解りません。
Little Mustapha-----なんだ、わかんないのか。
ミドル・ムスタファ-----ガッカリしちゃいますね。
Little Mustapha-----それじゃあ、そろそろこの話はやめにして、なんかしようか。
Dr.ムスタファ-----なんかしようにも、わしはもう話を聞くのに疲れてなにもする気になれんよ。
ミドル・ムスタファ-----それじゃあたまにはテレビでも見ましょうか。ここってテレビあるんですか?
Little Mustapha-----あるよ。映るかどうかはわかんないけど。
Little Mustaphaがテレビをつけるとそれはちゃんと映るようでした。そこには彼らの良く知っている公園が映し出されていました。
Little Mustapha-----あれ。ニュースであの公園が出てる。なんだか殺人事件みたいだよ。
一同、テレビの前に集まってきました。
ニュースのリポーター-----只今わたくしは事件現場のすぐ近くにやって来ています。たった10分という時間で三十人もの人間を無差別に殺害した犯人の消息は未だにつかめておりません。警察では付近の住民に厳重な注意を呼びかけています。
ニュースキャスター-----リポーターの屁端(ヘバタ)さん。短時間で三十人も殺害したということですけど、事件当時の様子などは解っていませんか?
リポーター-----唯一の目撃者とされているサンタの恰好をした男がいるのですが、現在変な二人に事情聴取されていて我々が話を聞くことはできません。
キャスター-----そうですか。その変な二人とは?
リポーター-----なんだか知らないけど、変な二人です。
キャスター-----はあ、そうですか。それで、現在の現場の様子なんですが、どのようになっていますか?ヘバタさん。
リポーター-----はい。現場は遺体がドロドロでグチャグチャです。
キャスター-----あの、ヘバタさん。もう少し解りやすくお願いできますか?
リポーター-----なんだか、あの辺からガーってなって、ビーってなってて、もうバーって感じです。以上、現場からヘバタがお送りしました。
キャスター-----ヘバタさん。あんた大丈夫ですか?
画面からリポーターの姿は消えたのですが、そこには依然として現場付近の様子が映されていました。ブラックホールのメンバーもさすがに驚いた様子でこのニュースを見ていました。画面の後ろの方にはエフ・ビー・エルの二人がサンタに話を聞いているのが小さく映っていました。