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#038 「Black-holic Special ---Peke Santa---(後編)」 2004-12-18 (Sat)

後半は更に長いため9ページにわけました。付き合いきれんわ!


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その頃ブラックホール・スタジオでは。


ミドル・ムスタファ-----ホントに大丈夫なんですか?準備といっても、Dr.ムスタファの電波銃とLittle Mustaphaが酒を飲んでるだけじゃありませんか。


ニヒル・ムスタファ-----そうだぜ。キミは何でも知ってるような感じで話してたけど、結局は何にも解ってないんじゃないのか?それじゃあ、キミの未完の小説と変わらないじゃないか。


マイクロ・ムスタファ-----まあ、そういわずに聞いてください。私だって何でも知っているわけではありませんよ。答えというのはいつだって曖昧なのですから。それに、相手はこれまで我々が何をしようと、我々のすることを知っているかのような口調で話してたでしょう。それなら、我々も何もしてはいけないのですよ。つまり、これから我々が何をして、その結果何が起こるかということを知っていてはいけないと思うんです。相手はきっと人の考えを読むことが出来るのかも知れません。公園であれだけの人間が殺されて誰も逃げられなかったのも、被害者達がどこへ逃げようとするのかを読んで殺人鬼が先回りしてたからだと思うんですよ。Dr.ムスタファの装置を使えば何が起こるか解らない。それから、Little Mustaphaが酔っぱらえば何を言い出すか解らない。そこに鍵があるとも思えるのです。


Little Mustapha-----おいおい、何を言うんだよ。ボクはいつだって理にかなったことを言ってるじゃないか。


ミドル・ムスタファ-----それはどうでしょうか?


Dr.ムスタファ-----どうでもいいが、危険が迫っているのに、ただ待っているだけなんていうのは良くないんじゃないのか?わしは何かしてないと今にも電波銃を超強力モードで発射してしまいそうだよ。


ニヒル・ムスタファ-----それだけはやめてくれよ、先生。


Little Mustapha-----それじゃあ、これはどうだろう?もう一度マイクロ・ムスタファの家に電話をかけてみるのは。その謎の人物が実体化しているとしたら、電話に出ている間はマイクロ・ムスタファの家にいるわけだから、いつまで経ってもここへはやって来られないってことでしょ?


ミドル・ムスタファ-----それはそうですけど、もし彼が電話に出てもいつまで話すつもりですか?永遠に電話し続けるんですか?


Little Mustapha-----まあ、どうでもいいけど、面白そうじゃん。やってみる価値は・・・


 Little Mustaphaが電話の受話器を取ろうとすると恐ろしいことに気付きました。一同、それに気付いてお互いの顔を見合わせていました。


ニヒル・ムスタファ-----また留守電にメッセージが入ってるみたいだぜ。


Little Mustapha-----聞いてみようか?


ミドル・ムスタファ-----怖いけど、そうするしかありませんかね。


 Little Mustaphaがおそるおそる留守番電話の再生ボタンを押しました。


留守番電話-----レイジジュウサンフン。ピーッ。「やあ、ブラックホールの諸君。今年もなにやら盛り上がっているようじゃないか・・・」


 留守番電話からは彼らの聞き慣れた低く抑揚のない声が聞こえてきました。以前から彼らの元へ留守番電話で謎のメッセージを残してきた声です。この声がこれから何を話し始めるのか?一同、息を殺してメッセージの続きを聞きました。

二人が殺された現場


 しゃがんで遺体の様子を調べているスケアリーの後ろから忍び寄ってくる影に彼女はまったく気付いていなかった。目の前にある遺体の異常さに驚いてそれどころではないのだ。その間も人影は彼女のほうへどんどん近づいてくる。そして彼女のすぐ後ろまで来ると、彼女の前にその人物の影が出来た。その時ようやくスケアリーは背後の人間の存在に気付いたようだ。しかし、気付いた時には何者かの手が彼女の肩の上に置かれていた。スケアリーはとっさにその手をつかむと、それをねじり上げてそのまま肩越しに投げ飛ばした。彼女の後ろにいた人物は空中で一回転して背中から地面にたたきつけられた。そこに横たわっていたのはモオルダアだった。

「やあ、スケアリー。Little Mustaphaの家の場所が解ったから向かっていたらキミの姿が見つかったもんでね」

モオルダアが倒れたまま、彼の顔を覗き込んでいるスケアリーに向かって話している。

「あら、イヤだ。モオルダアでしたの?夜道でいきなりレディに触れたりするもんじゃありませんわ」

スケアリーはモオルダアの手をつかんで彼が起きあがるのを手伝った。

「それから、今あなたが振り返ると後ろにはあなたの苦手なグチャグチャの遺体がありますから、気をつけてくださいね」

「何を言っているんだ?ボクが遺体を怖がってるなんて、あり得ない話じゃないか」

とは言っているがモオルダアは決して振り向こうとしない。

「それよりもLittle Mustaphaの家がどうのこうのって、言ってませんでした?」

「ああ、そうそう。Little Mustaphaの家はこの道のすぐ先にあるんだ。ここで人が死んでいるってことは、殺人鬼はもうすぐLittle Mustaphaの家に到着している頃かも知れないよ。ここは警察にまかせるとして、ボクらは急いでLittle Mustaphaの家に向かわないと」

「あら、それは大変ですこと。早くしないと」

モオルダアは遺体が視界に入らないように慎重に振り返ってから道の先へと走り出した。そのあとをスケアリーが追っていく。


次のページへ続く