holicRSSFeed

#038 「Black-holic Special ---Peke Santa---(後編)」 2004-12-18 (Sat)

後半は更に長いため9ページにわけました。付き合いきれんわ!


Page1 : Page2 : Page3 : Page4 : Page5 : Page6 : Page7 : Page8 : Page9

留守番電話-----レイジジュウサンフン。ピーッ。「やあ、ブラックホールの諸君。今年もなにやら盛り上がっているようじゃないか。今のうちにせいぜい楽しむがいい。キミ達は私のことが少し解ってきたような気がしているのだろう?フッフッフッ。そんなことではいつまで経っても私の真の姿を見ることはないだろうね。でも今夜は特別に、キミ達のために底なしの恐怖を用意しておいたよ。まあ、これでキミ達が私に会うことは絶対になくなったということだな。それではブラックホールの諸君。最後の夜を存分に楽しみたまえ。それじゃあ。今から突撃しま〜す!」


ミドル・ムスタファ-----最後のフレーズって永世十段のまねですかね?


Little Mustapha-----ちょっとネタが古いよね。


Dr.ムスタファ-----それよりも、今玄関で何か物音がしなかったか?


ニヒル・ムスタファ-----先生も臆病だなあ。この電話にまた謎の留守番電話が記録されてたってことは、ヤツがまた実体のない存在に戻ったってことなんじゃないのか?それならもう何も・・・


 ニヒル・ムスタファがここまで言った時、玄関の扉がもの凄い勢いで吹き飛んで、同時に玄関の周囲にあったものがとばされたドアにぶつかって壊れる音がしました。

「うわあ、来たー!」

一同、大パニック状態で思い思いの場所に隠れました。ミドル・ムスタファはタンスの影に、ニヒル・ムスタファとDr.ムスタファは押入の中。Little Mustaphaとマイクロ・ムスタファは一つ奥の小さな部屋に逃げ込みました。

 玄関にはサンタの恰好をした大男がいました。しかし、その大男はなかなか中に入ってこようとはしません。というのもDr.ムスタファはドアが吹き飛んだ時に驚いて電波銃を超強力で発射していたので家の中は真っ暗だったからです。大男がドアを蹴破ったと同時に家の中が暗くなったことと、ブレーカーが落ちるまでのほんの一瞬ではあったのですが電波銃から発せられた超強力電波がこの大男に何らかの影響を与えたのかも知れません。

 それでも大男は慎重にゆっくりと中へ入ってきたようです。この大男は目的のためにしか行動しないようです。Little Mustaphaを見つけるまで殺しまくる、という目的です。

 暗い部屋の中でじっとしていたLittle Mustaphaですが、しばらくして暗闇に目が慣れると隣にマイクロ・ムスタファがいることに気付きました。マイクロ・ムスタファが思いのほか落ち着いた表情だと言うことも解りました。

「ねえ、これちょっと、やばいんじゃないの?」

Little Mustaphaがマイクロ・ムスタファに聞きました。

「こうなったら、なるようにしかなりませんよ。それより、あなたはもうちょっと酒を飲んだ方がいいんじゃないですか?」

「何を言うんだ、こんな時に。いま向こうの部屋に戻ったら、恐ろしい殺人鬼に殺されちゃうよ。でも、そんなことしなくてもこのままじゃみんな終わりだよ。こうなったのもみんな本物のサンタが来ないからいけないんだ。このまま、向こうの部屋に隠れてる人から順に殺されていくんだ。それで最後にボクも殺されてこのコーナーもこのホームページも終わりになっちゃうんだよ。そうなったら、書きかけの話とか作りかけの曲とか解決しないままじゃないか。こうなったらここで、いろんな話の結末言っちゃおうかな。いや、ダメだ。それは出来ない。ここは前向きに考えてボクだけ奇跡的に生き残るということで考えていこう。まあ、他のメンバーがいなくなったら、ちょっとやりづらくなるけど、それはそれでいいや。問題はこういう場合、恐怖の殺人鬼は生き残ったボクを狙ってまた現れるはずなんだ。ホラーっていうのはそうやって続編が作られるわけだから。って、ボクはこの期に及んでいったい何を考えているんだ?」

一人で喋っていたLittle Mustaphaですが、ふと我に返ってマイクロ・ムスタファのほうを見ました。マイクロ・ムスタファは静かに微笑んだだけでした。今にも恐怖の殺人鬼がやってくるという時になぜかマイクロ・ムスタファは落ち着いています。Little Mustaphaはこのマイクロ・ムスタファの様子を見て思わず彼の腕にしがみつきたいと思ったのですが、それはちょっとやめておきました。

 Little Mustaphaはまた黙って、恐怖の殺人鬼が隣の部屋にいる他のメンバーを片づけてからこの部屋にやってくるのを待つしかありませんでした。他のメンバーがどこに隠れているのか知りませんが、臆病なDr.ムスタファとニヒル・ムスタファはきっと押入に隠れたのだろうと考えました。それから、ミドル・ムスタファは反射神経が鈍いからモタモタとタンスの影にでも隠れたのだろう。ということは最初はミドル・ムスタファが殺人鬼の餌食でしょうか?

 Little Mustaphaはおそらく最初に聞こえて来るであろうミドル・ムスタファの悲鳴をただ待つしかありませんでした。しばらくの間、ゾッとするような静寂が辺りを包んでいました。その中で恐怖の殺人鬼がゆっくりと隣の部屋に近づいてくる足音が聞こえた気がしました。このあと、最初に見つかったミドル・ムスタファが恐怖におののいて悲鳴をあげるに違いありません。Little Mustaphaは両手で耳をふさぎたい気分でしたが、そんなことは無駄なことに思えてしませんでした。どう考えてもこれで終わり。そんな気がしたのです。

 するとその時、意外な音が聞こえてきました。隣の部屋からミドル・ムスタファの「ハハハッ」という笑い声が聞こえてきたのです。これはどうしたことでしょうか。それから、今度は押入の障子をもの凄い勢いで開ける音が聞こえました。そして一瞬、間を開けてから、今度はDr.ムスタファとニヒル・ムスタファがゲラゲラ笑う声が聞こえてきました。「あまりの恐怖に頭がおかしくなったに違いない」Little Mustaphaは隣の部屋で笑声がしても少しも安心できませんでした。もしかするとこれは恐怖の殺人鬼がLittle Mustaphaに聞かせている彼だけにしか聞こえない笑い声なのかも知れません。Little Mustaphaは黙って狭い部屋で身を縮めていました。

 今度はLittle Mustaphaの隠れている部屋のドアが開けられました。そこには大きな男の姿がありました。闇に目が慣れたといっても、Little Mustaphaのいる場所からその殺人鬼の顔までは見えませんでしたが、彼がサンタのような帽子を被っていることは解りました。

 恐怖の殺人鬼はゆっくりとLittle Mustaphaのほうへ近づいてきました。近づいて来るにつれて、その殺人鬼の顔は窓から入ってくる月明かりに照らされて次第に明らかになってきました。そして、殺人鬼はLittle Mustaphaの前に立ち止まるとその顔をLittle Mustaphaの前に近づけてきました。Little Mustaphaはその顔をよく見ることが出来ました。それはこれまでに見たこともないような恐ろしい顔だと想像していたのですが、Little Mustaphaはその顔を見ると思わず吹き出しました。やっぱり、さっき聞こえてきた他のメンバーの笑い声は本物だったようです。

 恐怖の殺人鬼は彼らの反応にかなり困っているようでした。

「なぜだ?なぜお前らは笑うのだ?このオレを見て怖くないと言うのか?」

「そりゃそうだよ」

Little Mustaphaが笑いながら答えます。

「何でサンタがピエロなんだよ?サンタだけでも十分に面白い恰好なのに、更にピエロのメイクって言うのはちょっと反則だよ。しかも困った顔が更に面白い」

彼の言うとおり、サンタの恰好をした殺人鬼はピエロのメイクをしていました。ブラックホールのメンバーは時々こういうミスマッチをたまらなく面白いと思ってしまうようです。彼らを恐怖のどん底に突き落とすためにやって来たのに、そこまで言われると恐怖の殺人鬼も黙ってはいられません。人を笑わせるキャラクターが大量殺人をするというギャップを怖がらせるというのが殺人鬼のねらいだったのですが、彼らには通用しなかったようです。そこで彼は、目を血走らせて唇を裏返らせると尖った歯をむき出しにしました。それは誰彼かまわずに吠え立てて噛み付こうとするたちの悪い番犬のような形相でした。

「ならば、これでもまだ怖くないと言うのか?」

そう言うと恐怖の殺人鬼は拳を振り上げると、Little Mustaphaの横にいたマイクロ・ムスタファにその拳を振り下ろしました。その拳はマイクロ・ムスタファの胸を突き抜けて体の中にめり込んでいました。Little Mustaphaは驚いて声もあげられずその様子を見ていました。

「さあ、どうだ。これでも笑えるというのか?さあ、笑って見ろ」

そう言いながら恐怖の殺人鬼はマイクロ・ムスタファの体にめり込んだままの腕を持ち上げてマイクロ・ムスタファごとLittle Mustaphaの目の前にかざしました。やっぱりこれは恐怖の殺人鬼だったのか?再び絶望的な気分になったLittle Mustaphaが思っていると意外なことがおきました。

 恐怖の殺人鬼の腕の先にぶら下がっているマイクロ・ムスタファが突然声をあげて笑い出したのです。

「なぜだ?これのどこが可笑しいというのだ?」

恐怖の殺人鬼はさすがに動揺を隠し切れません。彼の腕がマイクロ・ムスタファの胸にめり込んで、もうマイクロ・ムスタファは息絶えていると思ったのにマイクロ・ムスタファは笑っているのです。マイクロ・ムスタファは笑いながら言いました。

「恐怖の殺人鬼君。今回はキミの負けだよ。おとなしく家に帰るがいい」

マイクロ・ムスタファがそう言うと彼の胸にめり込んでいた殺人鬼の腕が次第にマイクロ・ムスタファの体の中に引き込まれていきました。始めはゆっくりだったその動きが次第に速くなって、見る間に殺人鬼の体はマイクロ・ムスタファの体の中に吸い込まれていきました。

 Little Mustaphaと隣の部屋からこの様子を見ていた他のメンバーは何が起きているのか解らず、ぽかんと口を開けたままこの様子を見守っていました。すると次の瞬間マイクロ・ムスタファの体が光に包まれました。これまで暗い部屋の中にいたLittle Mustapha達はこの光に思わず目を閉じました。そして次に目を開けた時、それまでマイクロ・ムスタファのいた場所には、彼らが見たことのない老人がいました。老人は光の中で満足そうな笑みを浮かべています。

「なんなんだよ、これは?」

Little Mustaphaが思わずつぶやきました。光の中の老人をよく見ると背中には羽が生えていました。老人は腰に布を巻いている以外ほとんど裸で、羽を使って宙に浮いているようでした。一応、腰に布を巻いてややこしい部分は隠しているつもりでも、浮かんでいるためにLittle Mustapha達にはその辺は丸見え。気になって仕方がない。驚いているLittle Mustapha達を見てその老人は大きな声で笑いました。

「オーホッホッ。キミ達には意外かも知れないがね。わしが本物のサンタなのだよ。本物のサンタというのは羽の生えた老人なのだよ」

老人に、丸見えだということを注意しようとしていたLittle Mustaphaだがその一言を聞くと急に本来の目的を思い出したようだ。

「あなたが本物のサンタさんですか?それじゃあ、ボクに・・・えーっと」

とっさに欲しいものを考えたが、欲しいものがありすぎてすぐに出てこない。

「プレステ、じゃなくってプレステ・ツー、じゃないや。ピーのほう、というか楽器もいろいろ欲しいんだけど・・・」

何を言っているのか解りませんが、彼らの前に浮かんでいるサンタさんはそんなことは気にしていないようです。

「オーッホッホ。オモチャをプレゼントするのはオモチャメーカーが考えたサンタじゃよ。わしは今年、キミ達に特別なプレゼントをしたつもりなんじゃが、それがなんだか気付かなかったかのう。まあ、いい。いつかキミ達にも解る時が来るじゃろう。オーホッホッ」

そう言うとサンタ老人は天井をすり抜けて天空へと昇っていった。そんなことより、サンタ老人、丸見えだよ。ややこしいところが。

 Little Mustapha達はなんだか納得しきれないような感じでサンタ老人を見送りました。

「これで解決なんですか?」

ミドル・ムスタファが聞くと他のメンバーが同時に答えました。

「多分ね・・・」


次のページへ続く