その頃、ブラックホール・スタジオでは。
ミドル・ムスタファ-----これって、すごくやばいことになってるんじゃないでしょうか?
Little Mustapha-----そうみたいだね。ボクが手紙に書いた公園で大量殺人事件だって。
Dr.ムスタファ-----いったいキミは誰に手紙を出したんじゃ?去年もその前もこんな恐ろしいことは起きなかったぞ。
ニヒル・ムスタファ-----先生、そんなことを気にしてる場合じゃないよ。オレ達はいま危険な状況にあるんだぜ。
マイクロ・ムスタファ-----そうです。とても危険な状況です。でも、みなさんは気付きませんか?
ミドル・ムスタファ-----何をですか?
マイクロ・ムスタファ-----いいですか。以前に謎の声は言いましたよね。「私の目はどこにでもある」と。もしそうなら、あの公園に殺人鬼は現れなかったはずです。何でも見通せる目があるのなら、あそこに我々がいないのは解るはずです。つまり、真っ直ぐに我々の元へやって来て我々を恐怖のどん底に陥れていたことでしょう。でもそれが出来ないというのなら、我々にも助かる見込みはあるはずです。きっと我々の命を狙っているものは実体を与えられて、全てを見通せる力を失ったのではないかと思うのです。以前は誰かの想像だったものは、どこにでも行くことが出来たのです。そして、全てのものを見ることが出来た。しかし、一度実体を与えられてしまうと、それは我々と同じような状態でしか動けないし、我々と同じようにしか物事を見ることが出来なくなるんですよ。
Little Mustapha-----なんだか、今回のキミは嘘みたいに頼りがいがあるねえ。
Dr.ムスタファ-----それで、わしらはどうすればいいんだ?キミには何か考えはあるのかね?
マイクロ・ムスタファ-----いや、それはまだ何とも言えません。でも出来る限りの準備はしておいた方がいいでしょう。いずれあの殺人鬼は我々を見つけるでしょうから。
ミドル・ムスタファ-----準備といっても何をすればいいんですか?三十人も殺したんですよ。我々がかなう相手とは思いませんが。銃でもあれば別でしょうけど。
Dr.ムスタファ-----銃ならあるじゃないか。良いヤツが。
ニヒル・ムスタファ-----先生、まさか電波銃とか・・・。
ニヒル・ムスタファのいうことは聞かずにDr.ムスタファは嬉しそうに外へでて玄関前に置いてあった電波銃を取ってきた。
マイクロ・ムスタファ-----まあ、電波銃も何かの役に立つかも知れません
Little Mustapha-----じゃあ、ボクはもう一本のウィスキーを開けちゃおうかな。
ニヒル・ムスタファ-----それは、なんの役に立つんだ?
Little Mustapha-----酔っぱらったら、ボクの実体がなくなる感じだろ。そうなら実体を持った恐怖の殺人鬼よりもボクのほうが強いってことだから。
ミドル・ムスタファ-----あなたはさっきから相当飲んでましたけど、まだ酔ってないんですか?
Little Mustapha-----まあ、酔ってはいるけど実体がなくなるほどではないねえ。
ニヒル・ムスタファ-----でも実体がなくなるって言うのはキミだけが思ってることだろ?キミがいくら酔っぱらってもボクらにはちゃんとキミが存在しているものとして認識されているんだぜ。
マイクロ・ムスタファ-----それはそれで、いいのかも知れませんよ。とにかくみなさんが思いついたことは何でもやった方がいいですよ。私の考えでは、この相手には普通のやり方は通用しないはずですから。
ミドル・ムスタファ-----そうですか。それじゃあ、私は何をしようかなあ?
ニヒル・ムスタファ-----こういう時には何をしたって無駄なのさ。
Dr.ムスタファ-----おい、みんな!大変だ。
一同-----なんですか?
Dr.ムスタファ-----今、わしの電波銃を試してみたんじゃがなあ、ちょっとしたミスがあったようでバッテリーでは動かないようなんじゃ。
ミドル・ムスタファ-----それじゃあ、またコンセントから電源をとって使うんですか?
ニヒル・ムスタファ-----それはダメだよ。またブレーカーが落ちて大変なことになるに決まってるぜ。
Dr.ムスタファ-----それは、大丈夫だよ。この電波銃は超普通から超強力まで出力が変えられるようになっているんじゃ。超普通ならブレーカーは落ちんよ。
なんだかブラックホール・スタジオはあわただしくなってきました。その頃、もう一人の怪しいマイクロ・ムスタファがいたマイクロ・ムスタファの部屋では。