14. モオルダアの安アパート
大学からこのぼろアパートに戻った時にはもうアパートの前に怪しい車は止まっていなかった。あれは事件とは関係のない駐車中の車だったのか、それとも今回の事件の後かたづけを全て終えたため、もうモオルダアを監視する必要がなくなって姿を消したのか。モオルダアは眠いのでそんなことはすっかり忘れて、部屋にはいるとすぐに横になった。最後に彼がそのベットから起きあがった時にグチャグチャになった掛け布団はそのままの状態で主人の帰りを待っていた。モオルダアは掛け布団を簡単に整えたが、半分はベットからはみ出したままだった。少しも寝心地が良さそうではなかったが、モオルダアには快適だった。少なくとも今朝彼が寝ていたアスファルトの上よりは。
彼が横になってから間もなく、部屋の電話が鳴った。モオルダアはむっくりと起きあがると電話のありかを探した。見たところ、この散らかり放題の部屋に電話は見えない。しかし、モオルダアには電話の音でそれがどこにあるか解った。彼が脱ぎ捨ててある衣類を掻き分けていくと次第に電話の音が大きくなっていった。
「しっかりしろ!今助けるからな!」
モオルダアは電話を探しながら遊んでいる。シャツやズボンを十枚ほど掻き分けると電話が見えた。モオルダアが受話器を取るとスキヤナー副長官の声がした。
「おお、モオルダア。やっぱり帰っていたのか。良かった、良かった。いったい何があったというんだ?」
「それはボクに聞いても無駄ですよ。ボクは何かの陰謀に巻き込まれて記憶を消されてしまったんですから」
消されたのではなく覚えていないのだが。
「まあ、詳しいことはスケアリーに聞いてくださいよ。彼女の方が今回の事件についてはいろいろ知ってるはずだし。ああ、そうだ。どうしてスケアリーが謹慎処分になったんですか?もしかしてボクも謹慎中ってことですか?」
「ああ、そのことか。まあ、キミが誘拐なんかされなかったら、そうなっていただろうねえ。それよりも、もうそんなことは気にしなくても大丈夫だよ。キミも明日からいつもどおり出勤してくれたまえ」
「なんだか、納得がいきませんねえ。いったい誰がそんな指示を出したんですか?ボクの知る限りエフ・ビー・エルにはボクとあなたとスケアリーの三人しかいなかったはずですが」
「キミはまだ若いな。シーズン2なんだぜ。ということはシーズン1よりは全てにおいて大がかりじゃないといけないんだよ。今じゃエフ・ビー・エル・ビルディングは捜査官達で溢れかえって大変なんだから。おかげで私も上からの指図されたことをキミ達に伝えるというイヤな立場になってしまったんだけどね。そうそう、そのことに関連してキミに伝えることがあったんだよ」
スキヤナーはここで少し声の調子を落とした。
「さっきスケアリーにも言おうと思ったんだけどね。途中で電話を切られちゃったもんだから」
「それで、何なんです?」
「これは上からの指令なんだけどね。ペケファイルは閉鎖だって」
「えっ、何で?」
「うーん。私もいろいろ理由を聞いてみたんだけどね。どうやらキミが誤った捜査をして一般の女子大生を危険な目に遭わせたこととか、スケアリーが謹慎中にもかかわらず勝手に捜査をしたこととか。まあ、私も聞いてて悲しくなったんだが、キミ達の欠点は挙げればいくらでも出て来るみたいで、最後の方は私も聞いてなかったよ」
「ボクの捜査のどこが間違っていたと言うんですか?」
モオルダアは声を荒げたが、彼の捜査は間違いだらけ。でもモオルダアは自称優秀な捜査官だからそんなことは解らない。
「今ペケファイルを閉鎖したら、せっかく盛り上がってきた話が台無しじゃないですか」
モオルダアが柄にもなく怒りをあらわにしているのでスキヤナーは少し驚いていた。
「まあまあ、落ち着いてくれよ。私にそんなことを言われても。これは上の指示なんだから。じゃあ、このへんで失礼するよ。あと、それからスケアリーにもこのことを伝えてくれないかな。じゃあ、頼むよ」
受話器を置いたモオルダアはしばらく考えていた。「上からの指示って、いったい誰が副長官に指示を出すんだ?長官かな?だとするとその人の名前は「府場(フバ)」とかいう名前に違いない。まったくふざけた話だ。読んでいる人がこのネタを解らないのなら、エフビーアイの歴史を調べてみればいいんだ。そうすればすぐに解ることだ」ってなんだよそれ。
モオルダアはベットの上に仰向けになると頭の後ろに手を組んで天井を見つめていた。ペケファイルがなくなって彼はエフ・ビー・エルで何が出来るというのだ?というより、エフ・ビー・エルの普通の捜査官って普段どんなことをしているのだろう。モオルダアを言い知れぬ不安が襲った。それから、スケアリーにいつこのことを知らせようかと悩んでいた。彼女が今このことを知ればモオルダアの家まで飛んできてやり場のない怒りを彼にぶつけるだろう。かといって明日まで黙っていたらどうなるか。エフ・ビー・エルに出勤した何も知らないスケアリーが誰かからペケファイルの閉鎖を知らされる。驚いた彼女を見てその誰かが言うだろう。「モオルダアから連絡が行っているはずですけど?」ペケファイル閉鎖の事実を知らずに恥をかいたスケアリーの怒りはさらに倍増されるだろう。ここはやっぱり被害の少ない方を選んだ方が良さそうだ。
15. それより少し前、スケアリーの高級アパートメント
スケアリーもモオルダア同様に疲れ切って家まで帰ってきた。うつむきかげんでアパートの入り口に向かって歩いていると目の前に人の気配を感じて彼女は慌てて立ち止まった。見るとそこにはヌリカベ君の姿が。
「あらいやだ。あなたいつの間にここへやって来たんですの?」
無表情なヌリカベ君は何とか微笑みのような表情を作って何かを目で指した。スケアリーがそこを見ると大型のバイクが止まっている。かなりのスピードが出そうである。あれに乗ってきたのならスケアリーの車を追い越してここに先回りすることも出来そうだ。
「それで、あなたはあたくしに何の用なんですの?」
スケアリーがおそるおそる聞いた。スケアリーには彼の変な微笑みが気持ち悪くてしょうがない。ヌリカベ君は手に持っていたガサガサしたものをスケアリーに差し出した。スケアリーは驚いて一歩後ずさった。よく見るとそれは紙切れで作った造花の花束のようだった。スケアリーが困ってその造花を見つめているとヌリカベ君が言った。
「あなたのために作りました。リトマス紙の花束です。受け取ってください。ボクの気持ちは弱酸性。きみの気持ちはアルカリ性」
「あら。それはどうも…」
スケアリーは指先でつまむような感じでそれを受け取った。
「ボクの弱酸性はあなたのアルカリを中和出来ますでしょうか?」
ヌリカベ君は何を言っているのか良く解らない。ただしスケアリーに対する妙な情熱は伝わってくる。スケアリーは走って逃げたい気持ちだったが、今回の事件に最後まで協力してくれたヌリカベ君に失礼だと思って何とかそこに立ち止まっていた。
「アハハハ。…これってどういうことかしら?今回、感謝の花束を贈らなきゃいけないのはあたくしの方ですわ。あんなに捜査に協力してもらって。ホントに助かりましたわ」
「これは感謝の花束じゃありません。これは愛のリトマス紙です」
なんだかまずい雰囲気になってきた。
「あらまあ、そうなんですの。…でもあたくしには、他に大切な人がいますから。ほら…モオルダアがいますから。知っていますでしょ?さっき一緒にいた…」
「ああ、やっぱりそうだったんですか。それじゃあ、仕方ない…」
少し間をおいてヌリカベ君はポケットから何かを取り出してスケアリーに突きつけた。スケアリーはそれがナイフだと思って思わず悲鳴をあげるところだったが、よく見るとそれはただの紙だった。
「これはあなたと一緒に分析しようと思っていたんですが、どうやらそうもいかなくなったようだ。これはあなたがモオルダアさんと一緒に調べてください」
スケアリーがそれを受け取るとヌリカベ君はバイクのところまで走っていくとそのまま振り向きもせず猛スピードで走り去っていった。去り際だけは妙に男前なヌリカベ君を見ながらスケアリーはいろいろ納得がいかなかった。「ヌリカベさんがあたくしにぞっこんだいうことは理解出来ますわ。でも、どうしてあたくしはモオルダアの名前なんか出したんですの?それから、どうしてモオルダアの名前を聞いたヌリカベ様は『やっぱりそうだったんですか』なんて言ったんですの?」スケアリーが最後にヌリカベ君に渡された紙切れを見るまでは、彼女はイライラし続けることになりそうだ。
部屋にはいると彼女は手に持っていたリトマス紙の花束をすぐにゴミ箱に捨てた。それから、最後に渡された紙切れに目を通してみた。ヌリカベ君の言ってたことを考えるとこれは結構重要なものなのかも知れない。そこに書かれている内容を見てスケアリーはしばらくゴミ箱の横で立ちつくすことになった。
そこに書かれていたのは、モオルダア誘拐現場に落ちていた注射器に関する分析結果。中でも彼女を驚かせたのは注射器に付いていた血液のDNA鑑定結果だった。血液型だけで判断していたらその注射器はモオルダアに刺さっていたものとされていたはずである。しかし、この分析結果によって驚くべき真実が!
と、盛り上がってきたところで彼女の家の電話が鳴った。多分モオルダアからである。
16. 翌日、エフ・ビー・エル・ビルディング内
言い知れぬ不安を感じながら、普通の捜査官として出勤してきたモオルダアだったが、彼の予想は的中した。出勤したはいいが何もやることがない。スキヤナーの言っていたとおりこのフロアには彼の他にたくさんの捜査官達がいて、何をしているのかは知らないが忙しそうに動き回っている。自分の机についたモオルダアはとりあえず何かをしているフリだけはしていようと、机の上のコンピューターの電源を入れた。そんなことをしても彼はこのコンピューターの使い方を良くわかっていない。モオルダアはそのままずっとコンピューターの画面を見つめていた。それから二十分ほど経つと突然、画面が真っ暗になった。節電のために自動的に画面が消えたのだが、そんなことを知らないモオルダアは壊れたのだと思いこんでいる。「しまった。この高そうなパソコンを壊したことがバレたらそうとう怒られるだろうなあ」モオルダアは何事もなかったように立ち上がると、こっそり部屋を出た。
行く当てもなくビル内をうろつくモオルダア。「まったく、これは最悪なことになったなあ。エフ・ビー・エルがこんなにつまらないところなんて。もう、やめちゃおうかなあ。でもそれは出来ないぞ。ボクはまだハッとするほどの美人女スパイとワクワクドキドキの捜査をしていないんだから。今はこんな感じでもエフ・ビー・エルにいさえすれば、そのうちチャンスは巡ってくるに違いない。それから地底人に誘拐された兄を捜さなきゃいけないんだっけ。そんなことはすっかり忘れていたなあ。でもそうするにはやっぱりペケファイルがないとダメなんじゃないか?地底人なんてものは普通の捜査官には…」モオルダアがだらだら考えながら歩いていると、突然後ろから呼び止められた。驚いて振り向くとそこにはスケアリーがいた。彼女は辺りを気にしながら手招きしている。
「なんだキミか。ビックリするじゃないかまったく」
スケアリーはそんなところには反応せずに早くっこっちへ来るように今度はさっきよりも大きく手招きをした。彼女にしては珍しく真剣な表情をしている。モオルダアは彼女が何を言いたいのか良く解らなかったが、あの表情は彼を殴る時の表情ではないことが解っていた。モオルダアが近づくと、スケアリーは誰もいない部屋を見つけて彼を連れ込んだ。
スケアリーは廊下に誰もいないことを確認してからドアを閉めると、真剣な眼差しでモオルダアを見つめた。モオルダアは始めて見る彼女の表情にとまどいながらも何とか優秀な捜査官として冷静を保っていた。「また殴られるのかなあ?」モオルダアは少し怖くなってきた。
「モオルダア。あたくしはこれまで一度だってあなたの言ったことが正しいなんて思ったことはございませんけれど、今回だけはあなたが正しかったのかも知れませんわ。皮肉なことにペケファイルは閉鎖されてしまいましたけど。これを見てあなたはどう思います?」
そう言ってスケアリーはモオルダアに紙を渡した。それにはグラフのようなものと意味の解らない単語が書かれていた。でもそれに何が書かれているのかなんとなく解った。きっと誰かのDNAを分析した結果に違いない。モオルダアは以前テレビで同じようなものを見たことがあった。
「これがなんだって言うの?」
DNAだと言うことが解っても中身までは解らない。スケアリーが説明を始めた。
「これは昨日ヌリカベ君から渡されたものなんですのよ。あなたが誘拐された場所で見付かった注射器から採取したDNAの鑑定結果なんですけど。あたくしは始め注射器があなたに使われたものだと思っていたら、その結果から判断するとあなたではない別の何かに使われたものだということになるんですの」
「何かって。それは人じゃないってこと?」
モオルダアが聞くとスケアリーはうつむいて少し間をおいた。スケアリーには認めたくない事実であったが、科学で証明されてしまったのだから仕方がない。もう一度モオルダアの方へ向き直ってスケアリーが言った。
「あの夜あなたと一緒に連れ去られたのは『オンブレ・ティグレ』だったんですのよ」
モオルダアはいろいろなところに驚いて言葉を失ってしまった。モオルダアの興味を惹いて止まない謎の生物が科学的に証明されてしまったこともそうだが、スケアリーが『オンブレ・ティグレ』という名前を使ったことも驚きだった。だってそれはモオルダアが勝手に考えた名前だったのだから。
「それは、本当なのか?もしかしてキミはボクをからかってるだけなんじゃないのか?」
「あたくしは、あなたをからかうためにわざわざこんなことをするほどヒマじゃないんですのよ。この分析結果を信じれば、人間と虎の両方の特性を持つ生命体が実際に存在していたということなんですのよ」
スケアリーは相変わらず真剣にモオルダアを見つめていた。モオルダアはスケアリーに圧倒されながらただ頷いていた。
「あたくし、この事実を知ってしまって、どうしても気になるんで極秘に例の島国のことも調べてみたんですの」
「サムホエアのことだろ?それならボクも調べたよ。そんな島は存在しないんだ。だいたい名前がふざけているよ。"somewhere"という島の『どこかの』大統領なんて」
「それが違うんですのよ」
モオルダアは驚いてスケアリーを見つめた。冗談を言っている感じはどこにもない。なんだかいつもと立場が逆転している感じだ。しかもスケアリーが言うと妙に説得力がある。
「確かに昨日の資料に載っていた座標に島は存在しませんわ。少なくとも地図の上には。でもあたくしは、どうしても気になるのでさらに詳しく調べて見たら過去にその存在しないはずの島で何度も飛行機が離着陸をしていることが明らかになったんですの」
それを聞いてなんだかモオルダアも血が騒いできたようだ。
「明らかになったって、そんな情報はどこで仕入れるんだ?」
「あたくしはあなたと違って、優秀ですから。そんなことより、最新の情報によると日本から飛び立った国籍不明の輸送機がマイアミ沖で墜落したそうですわ。その後また日本から国籍不明の飛行機が飛び立って、存在しないはずの島に着陸したのをアメリカ軍のレーダーがとらえたそうよ」
「す、すごい!」
モオルダアはやる気になったスケアリーにどれだけのことが出来るのかを知って感心するばかりであった。でも今更そんなことが解って何になるというのだろうか。もうペケファイルはないのだし。
「でも、どうしてキミはそんなに熱心なんだ?もしかしてキミもペケファイルでワクワクドキドキの捜査をしたいんじゃないのか?」
「そんなことは関係ありませんわ。あたくしはどこの部署でもあたくしの才能を発揮して大活躍するだけですから。それにあたくしがワクワクドキドキしたいのではなくて、これを読んでいるみなさんが、あたくしの活躍にワクワクドキドキしてくれた方がいいと思っているんですから。あらいやだ。あなたが変なことを聞くから変なことを喋ってしまいましたわ。とにかくこの資料はあなたに預けておきますから。絶対に人に見せてはいけませんわよ。今度はきっとあたくし達がクビにされてしまいますわ」
「そんなことは解ってるよ。これだけ人が増えたエフ・ビー・エルだから、敵はエフ・ビー・エル内にもいるということだろ」
モルダアが一応事態を把握していることを知ったスケアリーは少し安心してドアを開けて出ていった。モオルダアはスケアリーに渡された資料をしばらく眺めてから私の方を見た。…私って、多分私のことでしょうねえ。
「ちょっと、作者さん。こんなんで大丈夫なの?今回はスケアリーばっかり登場してボクはいいところまるで無しじゃん。それに、アメリカ軍のレーダーの情報ってどこに行けば手に入るんだよ」
まあまあ、そんなことよりいずれモオルダアにはもっとすごいことをしてもらいますから、それまでガマンしていてくださいよ。それに、あなたの机の上にもう一つのサプライズを用意してますから、ここはおとなしく部屋を出て行ってくださいよ。
モオルダアは納得いかないまま部屋を出て元の場所へと戻った。
17. 地図に載っていない島。或いはサムホエア島
この島に着陸する予定だったラム酒男を乗せた飛行機は島にたどり着く直前にバミューダトライアングルで謎の爆発を起こして墜落した。代わりにウィスキー男を乗せた飛行機がこの島に着陸した。飛行機を降りたウィスキー男に軍服を着た男が近づいてきた。ウィスキー男はその男に伝えた。
「コード666が発生した。この島の施設は24時間以内に閉鎖する」
軍服を着た男はそれを聞くと駆け足でどこかへ走っていった。周囲にいた軍人達も慌ただしく動き始めた。
ウィスキー男はタラップの上から辺りを見回した。そこからはこの小さな島の全体を見回すことが出来た。島には彼のいるこの滑走路と怪しい研究施設があるだけ。あとは真っ青な空と一面の海がどこまでも続いている。遠くの海を眺めながらウィスキー男は持っていたウィスキーを一口飲んだ。
「良い島だったんだがな。私の口にラム酒は合わなかったようだ」
そう言ってウィスキー男はまた飛行機の中へと入っていった。
18. 再びエフ・ビー・エル・ビルディング内
モオルダアが自分の部屋に戻ってくると机の上に手紙があることに気付いた。さっきスケアリーからなんとも怪しい真実を聞いてしまったモオルダアは他の人間に気付かれないようにそっと封を開けた。その手紙にはこう書かれていた。
ディア、モオルダア君。私の予想をはるかに上回るオトボケだったモオルダア君。キミの机の上のパソコンは壊れたのではないぞ。マウスを動かせば元に戻る。
そんなことより、私は今回で卒業ということになったよ。せっかく話が盛り上がってきたところで恐縮なんだが、本来ならば私はシーズン1の最後に暗殺されていたはずなのだが、作者の不手際によってシーズン2まで登場出来たんだよ。しかも、殺されずに卒業というのは嬉しい限りだよ。でもこれからはキミ達に情報を渡す謎の人物がいなくなって困ると思うだろ?でもそこは安心してくれ。私よりももっとアクの強い謎の男が登場してキミ達にいろいろ中途半端な情報を与えてくれるだろうから。まあ、そうなるかどうかは作者次第なんだがね。
私はどっかで静かに隠居生活を送ることにするよ。カリブ海辺りがいいかな。でも必要な時には私が登場するからそのつもりでな。それでは拳闘を祈る。
ドドメキより。
読み終わるとモオルダアはドドメキを探そうと部屋中を見回したが、彼が見付かるはずはない。「なんだか、もうワケわかんないなあ」モオルダアはそう言いながら机の上のパソコンのマウスを動かして画面を元どおりにするとまたその画面を見つめ始めた。