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#160 「Endgame」 2014-12-24 (Wed)

 そんなものは始めからなかったのさ。

 我々はこの時期に何を期待し、そして失望するのか?始めからそんなものがなければこんな虚しい気分にはならないのに。しかし、我々は常に何かを期待し、失望する。厄介なことにその失望から新しい希望が生まれることもある。この希望がまた新たな失望に変わることに気付いている者もいるのだが、あえて気付かないフリをする。希望がなければ人は前に進めないのである。


 Little Mustaphaは困った顔をして一人ブラックホール・スタジオ(Little Mustaphaの部屋)にいました。今日は12月24日。今年こそサンタからプレゼントが貰えると思っている彼が、なぜ困っているのでしょうか。それはクリスマスパーティーで食べようと思っていたハラペーニョが手に入らなかったからではありません。もっと大きな問題が彼の前にあるのです。文字通りの意味で。


 そこへいつものようにダラッとした感じで他の主要メンバー達がやって来ました。彼らはまだLittle Mustaphaの抱えている問題のことには気付いていないので、皆ゴキゲンなようです。

ミドル・ムスタファ-----とうとうこの日がやって来ましたね。

Little Mustapha-----ん?!…ああ、キミ達。

ニヒル・ムスタファ-----いつもは一人で張り切ってるのに今日はなんだよ?調子悪いのか?

Little Mustapha-----いや、そうじゃなくて。

Dr. ムスタファ-----それに、パーティーの準備はどうなってるんだ?最近は豪華な料理が出てきてた気がするんだが。今日は部屋に酒が置いてあるだけだな。

Little Mustapha-----ああ、そういえば。まだ準備が出来てないんだけど。その前に、問題が発生なんだよ。

一同(Little Mustapha除く)-----問題だって?!

Little Mustapha-----うん。…息の合った反応に感心する余裕がなくてすまないんだけど。こんなものが部屋に置いてあったんだよね。


 一同、Little Mustaphaが指さした方を見ると、そこにはミカン箱の半分ぐらいの大きさの箱が置いてありました。


ミドル・ムスタファ-----なんですかそれ?しかもクリスマスのプレゼントっぽい包装がしてありますけど。

Dr. ムスタファ-----まさか自分だけプレゼントをもらったんじゃないだろうな?

Little Mustapha-----それはないけど。ボクへのプレゼントだとしても、これはアルトサックスの大きさじゃないからね。

ニヒル・ムスタファ-----いつそんなものが置かれたんだ?

Little Mustapha-----さあね。パーティの準備のために買い物に行って、帰ってきた時にはなかったんだけど。それから料理の準備とかしようと思ってあちこち動いてたら、いつの間にかこれがここに置いてあったんだよ。

Dr. ムスタファ-----それは、なんというかミステリーだな。

ミドル・ムスタファ-----…ああ、そういえばマイクロ・ムスタファはどうしましたか?彼なら何か知っているかも知れませんが。

一同-----…。

Little Mustapha-----まだ来てないみたいだね。

Dr. ムスタファ-----まさかヤツのイタズラってこはないよな。

ニヒル・ムスタファ-----そんなことするワケないだろ。今日はみんなプレゼントが貰えるんだぜ。そんな時に余計なことをして、全てを台無しにするようなことをするヤツはいないぜ。

Little Mustapha-----それよりも、これどうしたら良いんだろう?開けて変なものが入ってたら困るけど、開けないのも気持ち悪いし。

ミドル・ムスタファ-----じゃあ、開けなければ良いんですよ。余計な事をするとまたおかしな事になりますよ。

Little Mustapha-----とはいっても、すでにおかしな事が起こり始めているんだけど。

ニヒル・ムスタファ-----じゃあ、開けるのか?

Little Mustapha-----うーむ…。

Dr. ムスタファ-----こう考えるのはどうだ?それにはプレゼントをもらうために必要な何かが入っていると。

ニヒル・ムスタファ-----どこからそういう発想が出てくるのか知らないけど、慎重にやらないとダメだぜ。もう失敗は沢山だよ。

ミドル・ムスタファ-----じゃあ、こうしませんか?マイクロ・ムスタファが来るまで待つんです。彼ならいろんな事を想定して対策を考えてるんじゃないかと思うんですよ。

ニヒル・ムスタファ-----ただし、ヤツの推理も当たってたことはあんまりないぜ。

Little Mustapha-----でも、マズい事になったらマイクロ・ムスタファの責任が重くなるってことだし。それもイイかもね。

ミドル・ムスタファ-----それはずいぶんと酷いやり方ですね。マイクロ・ムスタファに責任を押しつけるんですか?

Little Mustapha-----そう思われるかも知れないけど、マイクロ・ムスタファに判断をゆだねるという判断をしたのはボクらって事になるし。結局ははみんなの責任ってことにすれば公平だしね。

ニヒル・ムスタファ-----なんか変な理屈だな。まあ、とにかく待ってみるか。その間に良い考えが浮かぶかも知れないしな。


 と、その時でした。


マイクロ・ムスタファ-----あの…、ちょっと。

一同(マイクロ・ムスタファ除く)-----ウワァ!キミいたのか!?

マイクロ・ムスタファ-----いや、いたといえばいたのですが。ちょっと前に来ました。

Little Mustapha-----なんだ。ずっといたのにホントに誰も気付いてなかったのかと思ったよ。

マイクロ・ムスタファ-----それよりも、私がなにか?

ミドル・ムスタファ-----それなんですよ。まあ、こういうことはあなたの判断にまかせるっていうのが正しいような気もしますからね。

Little Mustapha-----なんだよ、キミもそう思ってたんじゃないか。ということで、問題が発生してるんだけどね。今日こそ本物のサンタがやって来てボクらがプレゼントをもらって、長い戦いの歴史の幕が閉じられる、って事になってたでしょ?

マイクロ・ムスタファ-----なんだか大げさですが。でも私も今年こそはプレゼントが貰えると思っていますよ。

Little Mustapha-----ところがどうして、これまでよろしく謎の現象が起きているのでございます。

ミドル・ムスタファ-----なんですか、その喋り方は?

Little Mustapha-----雰囲気は出すよ。クリスマスなんだし。そんなことよりも、これ見てよ。ふと気がつくとこんなものが部屋に置いてあったんだよ。

マイクロ・ムスタファ-----それは、クリスマスプレゼントみたいな箱ですね。

ニヒル・ムスタファ-----そう。その誰が置いたか解らない謎の箱を開けるべきか、開けざるべきか。もしかしてキミに聞いたら正しい答えが解るんじゃないか?と思ったのさ。

マイクロ・ムスタファ-----うーん…。そうですか。私は今年こそ何も問題が起きずにプレゼントが貰えると思っていたのですが。…でも、私はいつでも用心にこしたことはないと思っています。ですから、対処法までは解らなくても、そうなる理由みたいなものは推測できるような気もするのです。この世の中は常にミステリーに溢れているのですから、ミステリーに直面する準備はいつでもしておくべきなのです。

Little Mustapha-----ほら、やっぱり。マイクロ・ムスタファは何かを知っているような感じだし、これまでだってプレゼントは貰えなくても、ピンチを切り抜けられたのは少なからずマイクロ・ムスタファの用心しすぎなところが幸いしてるんだからね。それで、これは開けた方が良いの?

マイクロ・ムスタファ-----さあ、解りません。

Dr. ムスタファ-----なんだ、解らないのか?!

マイクロ・ムスタファ-----いや、そういう事ではないですが。ただ、私も超能力者じゃありませんし、箱を見て中に何が入っているかは解りませんからね。でも開けなければ何も解らない。開けてみて何でもないものならそれで良いですし、もしも何か問題があるものだったら対処しなければならない。そういうことです。

ミドル・ムスタファ-----もっともな意見ですが。でも開けなければ何事もなかったのに、開けたことによって何かとてつもない…、ってことになったりしませんか?

Little Mustapha-----なんか、最近たまにキミがマイクロ・ムスタファっぽいこと言うんだよな。でも開けないよりも開けた方が良いって感じにはなってるよね?

ニヒル・ムスタファ-----まあ、そうだな。

Dr. ムスタファ-----推測だけで物事を考えていたんじゃ科学じゃないしな。

Little Mustapha-----珍しくDr. ムスタファが科学っぽい事を言ったし。これはますます開けるしかなさそうだけど。

ミドル・ムスタファ-----というか、さっきからあなた開けたい感じで喋ってますけど。

Little Mustapha-----だって、このクリスマスのプレゼントみたいな包装を見たら誰だって開けたくなるじゃんすか。だけどボクがノリだけで開けたりしちゃったらみんなから非難されそうだし。でもマイクロ・ムスタファもああ言ってる事だし。これは堂々と開けるしかないでしょ?

ニヒル・ムスタファ-----なんかそんなことを言われると開けない方が良いような気もしてきたな。

Little Mustapha-----ええ?!でも開けないと対処できないんだよ。サンタが来た時に、これを開けなかった事が原因でプレゼントが貰えないとか、そういう事になっても良いワケ?

ニヒル・ムスタファ-----なんかムカつく喋り方だが、言ってる事は認めよう。

ミドル・ムスタファ-----それじゃあ、開けてみましょうよ。議論ばかりじゃ意味がないですし。

マイクロ・ムスタファ-----そうですよ。もうあの謎の声の主は去年のクリスマスでいなくなったのですから、これまでみたいな恐ろしいことは起きないと思うのです。

Little Mustapha-----良い事言うねえ。それじゃあ、ここで今年の謎にご対面といこうじゃないの。

 なぜか全体的に変なテンションの喋り方ではあるのですが、1年前にいろんなゴタゴタしたことが解決したと思いきや、今年は今年で新たな問題に直面している主要メンバー達。謎の箱の中には一体何が入っているのでしょうか?

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