クリスマスというのは箱があったら開けてみたくなる時期です。ただし、ビックリ箱という種類の箱もあります。そこには何が入っているのか。開けてみるまで解りません。だからこそ箱にはただならぬ魅力を感じることもあるのです。
今年のクリスマスに開けるはずの箱はサンタからもらうプレゼントの箱だけだと思っていたLittle Mustapha達ですが、早くも予定とは違う事が起きてしまいました。ブラックホール・スタジオ(Little Mustaphaの部屋)にいつの間にか置かれていたこの箱。中には何が入っているのでしょうか?
Little Mustapha-----さて、それじゃあ開けることにするけど。その前に心構えをしておかないとね。
ミドル・ムスタファ-----そんなことはすでに出来てると思いますけど。
Little Mustapha-----それは解らないよ。これまでの事を考えると予想谷だからね。
ニヒル・ムスタファ-----なんだそれ?ヨソウダニ?
Little Mustapha-----予想谷にしないとビックリだけど、予想谷にしてればすんなり受け止められるという事だけどね。
ミドル・ムスタファ-----たぶん「予想だにしなかった」の「ヨソウダニ」を間違えてるのだと思いますけど。そんなこと言ってると先に進みませんよ。
Dr. ムスタファ-----そうだな。ことわざなら私の役目だしな。
ニヒル・ムスタファ-----どこにもことわざなんて出てこなかったぜ。それよりも、何を予想してれば良いんだ?これまでのことを考えたら何が起きても驚かないとも思うけどな。
Little Mustapha-----まあ、それもそうだけど。じゃあ、盛り上がりに欠けるけど開けてみるか。
Little Mustaphaが箱の包みを開けました。クリスマスっぽく包装されていた中は無地の段ボールでした。さらにその段ボールに貼られたガムテープをはがして中を確認します。その中には一体なにがあったのか?
Little Mustapha-----アァッ!こ、これは…!
ニヒル・ムスタファ-----そんなふうに驚いてないで、何が入ってたんだよ?
Little Mustapha-----これは、知らない方が身のためかも知れません。
ミドル・ムスタファ-----なんですかそれは?知らないと対処できないんじゃないですか?
Little Mustapha-----そうだけど。これは対処できないタイプのものだし。
Dr. ムスタファ-----だから何が入ってたんだ?
Little Mustapha-----これだけど…。
一同-----アァッ!そ、それは…!
なぜかLittle Mustaphaもまた驚いていますが、Little Mustaphaが箱から中身を取り出しました。それはなんと、Little Mustaphaがリサイクルショップにタダ同然で売ったあの留守番電話機だったのです。
その留守番電話機こそが全ての元凶と言って良いほど、これまで重要な役割を果たして来ました。そして、その留守番電話機に謎のメッセージを残す謎の声の主は去年のクリスマスに成敗されて、今年は何事も起きないはずでした。
しかし、クリスマスイブのこの日にどういうワケかこの部屋に舞い戻ってきたのです。それは誰かの意志によるものか。あるいはこの留守番電話機そのものの意志なのか。そんな不気味さも感じる出来事でもあります。
ミドル・ムスタファ-----この展開は読めましたか?
Little Mustapha-----いやぁ。留守番電話のメッセージネタはもう終わったと思ったけどねえ。まさか留守番電話自体がネタだったとは。
ニヒル・ムスタファ-----それはどうでも良いけど。中身が解ったところでどうすれば良いんだ?なんか嫌な予感がするんだが。
Dr. ムスタファ-----ここは科学的に考えてマイクロ・ムスタファの意見を聞くべきじゃないか?
Little Mustapha-----科学的かどうかは解らないけど、全ての責任はマイクロ・ムスタファだしね。
マイクロ・ムスタファ-----えぇ?!何で私の責任なんですか?
ミドル・ムスタファ-----いや、それは気にしないで大丈夫ですよ。さっきはみんなの責任ってことで落ち着きましたから。それよりも私も意見が聞きたいです。
マイクロ・ムスタファ-----そうですか。これは二つの考え方が出来ると思うんです。その留守番電話機が我々にとって良いものなのか、悪いものなのか、ということです。
ニヒル・ムスタファ-----オレには不吉なものにしか見えないぜ。
マイクロ・ムスタファ-----あのメッセージが録音されていたという点ではそうかも知れません。しかし、時にはその電話が役に立って窮地を脱したこともありました。
ミドル・ムスタファ-----そんなことありましたっけ?
Little Mustapha-----なんか色々とありすぎて覚えてないしね。
ニヒル・ムスタファ-----それでマイクロ・ムスタファはこれが良いものだと思ってるのか?
マイクロ・ムスタファ-----いや、まだ何も解りません。でも、何かがあったらすぐに気付くように見えるところに置いておいた方が良いと思いますよ。
Little Mustapha-----何かがあっても気付くのはマイクロ・ムスタファだけだと思うけど。まあ、とにかく置いておくか。
Dr. ムスタファ-----だが、そんなものがあると落ち着かないぞ。
Little Mustapha-----そうだけど。ちゃんとクリスマスっぽく盛り上がらないとプレゼントが貰えないよ。
ミドル・ムスタファ-----その前にこの部屋の雰囲気も全然クリスマスっぽくないですけど。
Little Mustapha-----ああ…。部屋の真ん中に酒の瓶が何本も置いてあるとか、これはサビシイ部屋だしね。それじゃあ、部屋の真ん中じゃなくて、まんべんなく酒瓶を分散させてみようか。
ニヒル・ムスタファ-----そうじゃなくて、食べ物とか用意しろって事なんじゃないか?
Little Mustapha-----ああ、そうなのか!でも酒瓶の分散が先だけど。それはキミ達にまかせたよ。その間にクリスマスっぽいものを作るから。それじゃあ、よろしく。
ミドル・ムスタファ-----よろしく、って…。今から間に合うんですかね?
ニヒル・ムスタファ-----まあ、あんまり期待しない方が良いぜ。
Dr. ムスタファ-----ああ、なんだか気分が重くなってくるなあ。
ミドル・ムスタファ-----そんなことじゃ、ダメですよ。プレゼントのためにはクリスマスっぽく盛り上がらないと。電話の事はひとまず忘れて、ここはプレゼントに集中ですよ。それじゃ、酒瓶を分散させましょう。
ニヒル・ムスタファ-----別にそんなことをする必要はないだろう?
ミドル・ムスタファ-----でもこの酒瓶が床の真ん中にあるのって、ホントにサビシイ感じですから。とりあえずビニール袋から出すだけでもやりましょうよ。
ニヒル・ムスタファ-----じゃあ、やるか。クリスマスっぽくな。
クリスマスっぽい、って口で言ってるだけのような気もしますが、上手くいくはずのクリスマスパーティもいつものように怪しくなってきました。あの留守番電話機が意味するものは何なのか?彼らは無事にプレゼントをもらうことができるのか?