考えてみれば12月25日が何でもない日だったことがかつてはあったはずです。少なくともこの日本では。しかし、いつの間にか定着して習慣化されてしまった。そして、今では誰もがクリスマスを特別なものだと思っているようです。
それはブラックホール・スタジオにおける留守番電話機にも同様なのかも知れません。定着して習慣化されてしまうと、それなしでは何も出来なくなってしまうのです。
Little Mustapha-----それじゃあ、これまでの流れからして一応メッセージを聞いてみてダイジョブならダイジョブ、でダメならなんらかの対処ってことで…。
ミドル・ムスタファ-----ちょっと、待ってくださいよ!こればかりはそう単純には行きませんよ。
ニヒル・ムスタファ-----そうだぜ。謎のメッセージの謎の声の主はいなくなったんじゃないのか?これまでほとんど年のクリスマスにはいつも留守番電話にメッセージが残っていたんだぜ。そしてオレ達はずっとプレゼントを貰うことに失敗してきたんだ。
Dr. ムスタファ-----そうだな。なんていうか、そこにメッセージが残っているとプレゼントが貰えないような気がしてくるなあ。
Little Mustapha-----キミ達はどうにも悲観的だねえ。ボクの考えでは、何か後ろめたいことをしている自覚のある人っていうのは悲観的になりがちなんだな。
ミドル・ムスタファ-----何ですかそれは。別に悪いことなんてしませんよ。
ニヒル・ムスタファ-----そうだぜ。適当なこと言うのやめてくれないか。
Little Mustapha-----それもそうだけど。でも悲観的すぎるのも良くないしね。まあ、ここは例によってマイクロ・ムスタファの意見を聞いてみる事にしようか。
マイクロ・ムスタファ-----私ですか?意外と思うかも知れませんが、私は聞いてみた方が良いと思います。
Little Mustapha-----ほら、やっぱり。意外とマイクロ・ムスタファも適当な性格なんだよ。
マイクロ・ムスタファ-----いや、そうではなくて。ちゃんと理由はあるんですよ。私はあの謎の声の主がいなくなったのは確実だと思っているんです。ですからそれを聞くことによって即座に危機的な事態になるとは思わないのです。そのメッセージはこれまで知らなかった誰かが何かを我々に伝える内容なのだと思います。それが警告なのか、それともただのクリスマスの挨拶なのかは解りませんが。
ミドル・ムスタファ-----警告ってなんですか?
ニヒル・ムスタファ-----そうだぜ。不吉なことは言わないで欲しいんだが。
マイクロ・ムスタファ-----でも万が一ってこともありますから。
Little Mustapha-----まあ、その時にはその時で対処法を考える。って、やっぱりこれまでのパターンで良かったんだし。
ミドル・ムスタファ-----そんな感じですね。
Little Mustapha-----それじゃあ、聞いてみるよ。ピッ!
全員が同意したわけではなかったのですが、Little Mustaphaがメッセージの再生ボタンを押してしまいました。一同、固唾をのんでメッセージの再生が始まるのを待ちました。
留守番電話-----ゴゴ・ゴゴ…ゴ・フン…。イッ・ケンノメッセーイジ。ピーーーーーッ!「ちょいとどういうことなんですの?また今年もあたくしをクリスマスパーティに招待しないおつもりなんですの?…ウフッ!と言いたいところですけれど、今年はそちらにサンタ様がいらっしゃるって聞きましたのよ。ですからプレゼントのリクエストをしていないあたくしは行かない方が良いですわね。そして念願のクリスマスプレゼントを貰えること、心から祝福いたしますわ。もしもあなた方がプレゼントのお裾分けをあたくしにしたいと言うのなら、あたくしのお屋敷に電話するんですのよ。電話番号は666の…」ピーッ!メッセーイジ・オワリ!!!
Little Mustapha-----ああ、なんだPrincess Black-holeか。このパターンがあったか。
ミドル・ムスタファ-----それよりも、今のメッセージちゃんと聞いてましたか?!
ニヒル・ムスタファ-----サンタが来るって行ってたよな?
Little Mustapha-----これまでは来ないと思ってたってことかな?
ミドル・ムスタファ-----でも、なんか期待できませんか?
Dr. ムスタファ-----それにいつもみたいに怒ってなかったしな。
ニヒル・ムスタファ-----新しい展開ってヤツだぜ。
Little Mustapha-----しかも最初で最後の新しさ。なにせプレゼントをもらってこのクリスマス特集もめでたく最終回ってことだからね。
ミドル・ムスタファ-----じゃあ、せっかくですからもう少し飲んじゃいましょうか。
Little Mustapha-----そうしましょう!そうしましょうよ!そうしましょうね!
Dr. ムスタファ-----またことわざを言うか。
ニヒル・ムスタファ-----だからことわざじゃないよ。
Little Mustapha-----どうでも良いけど、バケツにウィスキーを追加してと…。それじゃあ、みんなコップに酒をくんで。それじゃあ、せーの…!
一同-----メリークリスマース!
謎のメッセージが実はPrincess Black-holeからのメッセージだとわかり、一同一気に安心してしまったのか、サンタがプレゼントを持ってくることを確信してしまったようです。果たしてそんなに上手くいくのでしょうか?
日付が変わるまであと2時間ほど。水割りの濃度も濃くなってパーティは次第に盛り上がっていきました。
Dr. ムスタファ-----…ということでな。Oculus Riftの仮想世界でも「見えそうで見えない」は実現可能なんだよ。
Little Mustapha-----それは良かった!
ニヒル・ムスタファ-----またそんな下らない話かよ。
Dr. ムスタファ-----だが科学だぞ。
ニヒル・ムスタファ-----適当に科学って言葉使うと信用なくすぜ。
Little Mustapha-----まあ、そんなこと言ってもニヒル・ムスタファだって、マル見えよりも、見えそうで見えないって方が好きなクセに。
ニヒル・ムスタファ-----そうじゃなくて、そういうこと言ってるとクリスマスっぽくなくなるぜ。
ミドル・ムスタファ-----そうですよ。最後まで気を抜いたらダメですよ。クリスマス。サンタクロース。プレゼント!
Little Mustapha-----…それって、俳句?
ミドル・ムスタファ-----えっ?…ああ、ホントだ!
Little Mustapha-----ということでクリスマス気分が盛り上がって来たけど。ここでひとまず留守番電話を確認。…良し!異常なし。そして、時計を確認すると12時まであとわずか!
Dr. ムスタファ-----なんかこんなにワクワクしながら12時を待つって久しぶりじゃないか?
ニヒル・ムスタファ-----そうだな。これまでずっと12時になると命の危険が迫ってきたからな。
Little Mustapha-----そういうこと言っているうちにカウントダウンの時間になってきたよ!
ミドル・ムスタファ-----じゃあ、とりあえずコップに酒をくんで、準備しましょう。
Little Mustapha-----それじゃあ、いくよ。十秒前!
一同-----9!…8!…7!…6!…5!
一同-----4!
一同-----3!
一同-----2!
一同-----せーの…!
一同-----メリークリスマース!
「ピンポ〜ン…♪」
一同-----アッ!誰か来たーーー!!!
サンタクロースがやって来たのでしょうか?プレゼントは貰えるのでしょうか?