多分大丈夫だろう。でも何があるか解らない。そんな気分の時にただ待つことしか出来ないという状況では、待つ時間はとても長く感じるものです。もちろんブラックホール・スタジオ(Little Mustaphaの部屋)に集まった彼らも同様です。特に彼らの場合は、何十年ものあいだ望んでいたプレゼントが今日貰えるかも知れないのです。彼らにとっては1分が1時間に感じられる事でしょう。
Dr. ムスタファ-----ということでな、砂糖と塩を同じ量混ぜても味がなくなることはないんだよ。
ニヒル・ムスタファ-----当たり前だろ!それのどこが科学なんだ?
Little Mustapha-----まあ、科学的に説明できる話ではあるけどね。ということで、今何時か?というと…、まだ9時かあ。
ミドル・ムスタファ-----どうもソワソワしてしまって、飲んでも酔わない感じですし、時間がなかなか進みませんね。
Little Mustapha-----それに酔ってないとDr. ムスタファの話もスケベじゃないしな。
Dr. ムスタファ-----私がいつスケベな話なんかしたんだ?
ニヒル・ムスタファ-----もしかして、いつも話してること覚えてないのか?
Dr. ムスタファ-----そんなワケはないだろう。私の頭の中はいつだって理路整然としているんだしな。自分で言ったことも考えた事も、全て脳の中の書類棚に整理されているんだよ。
ニヒル・ムスタファ-----じゃあ、整理の仕方が悪いんだろうな。
Little Mustapha-----それよりも、このままじゃサンタが来るまでに寿命が来てしまいそうだし。ちょっと水割りバケツに酒をたして時間の経過を早めようじゃないの。
ミドル・ムスタファ-----ええ?!それ、ダイジョブなんですか?今だってけっこう濃い感じですし。
ニヒル・ムスタファ-----大体なんでいつもバケツで水割り作るんだよ?
Little Mustapha-----なんというか、しきたりみたいなもんだし。こうやってバケツからコップに酒をくんで飲むとサンタの酒を飲んでるみたいでしょ。それに一々水割りを作る手間も省けるし。濃すぎるのが嫌だって人は、くんでから水で薄めたら良いんだよ。
ミドル・ムスタファ-----なんでそんな面倒なことをさせるんですか。それだったら普通に水割り作った方が早いじゃないですか。
Little Mustapha-----キミは全然風流じゃないなあ。
ミドル・ムスタファ-----風流って、意味が解りませんけど。それよりも、他に時間をつぶせるようなものはないですかね?
Little Mustapha-----この部屋で酒以外にそんなものがないのはキミも知っていると思うけど。
マイクロ・ムスタファ-----あの、ちょっと良いですか…?
一同(マイクロ・ムスタファ除く)-----エエッ?!何かあったの?
マイクロ・ムスタファ-----いや、まだ何もないので大丈夫ですけど。
Little Mustapha-----なんだ。毎年のクセで12時が近づいて来るにつれて、キミが何かに気付くと不吉な感じもしてしまうからね。
マイクロ・ムスタファ-----今日は大丈夫ですよ。私がこれまで感じてきた嫌なものも今年はないですからね。でもみなさん落ち着かない感じですし、ここは色々なことを確認する意味も含めて…
Little Mustapha-----テレビを見るってこと?
マイクロ・ムスタファ-----ええ、まあ。
Dr. ムスタファ-----というか、キミはテレビっ子なんじゃないか?
ニヒル・ムスタファ-----テレビっ子ってなんだよ?
Little Mustapha-----マミーとダディーはTVセットじゃった、って歌があったけどな。まあ、テレビをつけてみようか。面白い映画とかやってたら見終わった時にはちょうど良い時間ってことになるしね。クリスマスイブなんだし、そういう可能性は大だよ。
ミドル・ムスタファ-----クリスマス映画ってちょっとアレですけど、今日はプレゼントが貰えそうですし、たまには良いですよね。
ニヒル・ムスタファ-----それじゃあ、ほら、リモコン。先生のつまんない話を聞いてる間に電池グルグルしておいたからすぐつくはずだぜ。
Little Mustapha-----おお、それはかたじけない!それじゃあ、エイッ!…おお、ホントにすぐについた!
Little Mustaphaが電池グルグルのミラクルに盛り上がっていると画面が明るくなりました。しかし残念ながらクリスマス映画はやっていませんでした。
スタジオのキャスター-----今日はクリスマス特別企画として拡大版でお送りしている夕方の情報番組。このスタジオが映っていても時刻は9時を回っていますから間違えないでくださいね。では、ここで再びウッチーからのリポートです。あのイタリアンレストランはどうなったでしょうか?ウッチー!
内屁端-----(きゃー、てめえ中継中はやめろって言ってんだろ!)はーい!こちら現場のウッチーでーす!ごらんのように先ほどのイタリアンレストランはハイテンションで非常に盛り上がっていまぁす!(…いてえな、このやろう!独身OLなんて全然恐くねえんだよ。さっきのママみたいに泣かしてやるから、覚えてろよ!)…はーい、こちらはこんな感じです。(おい、待て。逃げてんじゃねえぞ、コノヤロ!女子アナなめてんのか?えっ?)
スタジオのキャスター-----えーっと…。大変盛り上がっているようで…。…CMには…いかない?…はい。それじゃ、ここで腹パンこと腹屁端アナからのグルメリポートですね。…はい。ウッチーの現場が盛り上がりすぎているということで、ここで腹パンのクリスマス・グルメリポート行ってみたいと思います。腹パン!
腹屁端-----はーい、こちらオットリ系新人女子アナの腹屁端でーす。ふわぁー…。もう腹パン大満足でーす。
スタジオのキャスター-----えーっと…リポートのほう続けてください。
腹屁端-----アッ、失礼いたしました。ただいま腹パンお腹いっぱいでございます。今日はクリスマスということで伝統的な七面鳥の丸焼きを紹介する予定だったのですが、中継時間まで待ちきれずに腹パンが全部食べてしまいました。とっても美味しい七面鳥で腹パンは腹パンパン!みなさんも良かったら来年は七面鳥を食べてみてくださいね。それでは現場からは以上でーす!
スタジオのキャスター-----…。えーっと。…CM。CM行く?…行ける?…。はい、ここでCMです!(…どうなってんだよこれ!こんな状況であと2時間やるって…)
Little Mustapha-----思ったんだけど、最近テレビってちょっと面白いのかも知れないよね。
ミドル・ムスタファ-----どうしたんですか、急に?前はテレビなんか、って感じだったですけど。
Little Mustapha-----そうなんだけどさ。昔はテレビしかなくてテレビを見ていたけど、インターネットで面白いもの見つけたり、ゲーム機買ったりしてヒマな時にやることが出来たりするとテレビがそれまで思っていたよりもつまらなく思えて来たりしてたんだよね。それで、やることがない時にやることはテレビ以外になって来たんだけど。最近は多くの人がそうなってきたのか知らないけど、インターネットをこれまでのテレビのように使う人が増えてきたと思うんだよ。そのせいなのか、最近どうもインターネットがテレビみたいに思えて来てね。
Dr. ムスタファ-----ほう、それは興味深い話だな。
ニヒル・ムスタファ-----それはつまり、あれだろ。商業主義っていうのか。あの動画サイトとか良い例だと思うぜ。
Little Mustapha-----そうなんだよね。CMだらけだし。人気の動画ってのを見てみるとみんな同じようなことやってるし。これだったらCMだらけで同じようなことやってても、比べたら全体的にクオリティの高いテレビ番組の方が面白くないか?ってことになっちゃうよね。
ミドル・ムスタファ-----あの、面白い話ではありますが、それってクリスマスと関係ありませんよ。
Little Mustapha-----ああ、そうでした。でも、さっきのテレビはこのあとどうなるのか気になったりして。…まあ、でも女子会がボクたちを襲いにくることはなさそうだよね。
ミドル・ムスタファ-----解りませんよ。女子アナと独身OLとママ友でバトルが始まっていましたし。あれがこれまでのクリスマスみたいな大混乱に発展しないとも限らないし。
Dr. ムスタファ-----それは穏やかではないね。
Little Mustapha-----じゃあ、クリスマスっぽい雰囲気に戻しておこうか。といっても、クリスマス映画やってなかったし、こうなったら飲むしかないんだけど。まあ、大丈夫だよね。クリスマスっぽい感じで動画サイトのうざいCMの批判とかしてたらアッという間に12時になってサンタがやって来る!とか、そういう流れで行きましょう!
マイクロ・ムスタファ-----…あの!ちょっと良いですか?
一同-----…。
マイクロ・ムスタファ-----…良いでしょうか?
Little Mustapha-----良いですけど…。
マイクロ・ムスタファ-----みなさなん、私が話しに割って入ったことで嫌な予感がしているとは思うのですが…。あの、その留守番電話のランプが…。
一同(マイクロ・ムスタファ除く)-----アーッ!メッセージが残されていることを示すランプが点滅している!
これは一体どういうことでしょうか?!