Little Mustaphaの部屋ではLittle Mustapha以外のメンバーがテレビをつけようとしていたのですが、テレビのリモコンが見つかりません。それでも探し続けて、リモコンが「目の前にあると気付かないという場所」にしまってあることにやっと気付いてテレビをつけようとしたのですが、今度はリモコンが上手く動きませんでした。
ニヒル・ムスタファ-----なんだこれは。電池切れか?
ミドル・ムスタファ-----いや、電池切れじゃなくて、そのリモコンが調子悪いとか前に言ってませんでした?
Dr. ムスタファ-----科学的に考えれば修理なんか簡単なんだがな。
ニヒル・ムスタファ-----リモコンってそんなに壊れるものなのか?電池切れだろ?
ミドル・ムスタファ-----まあ、この部屋にあるものですからね。何が起こっても不思議ではないですけど。
Dr. ムスタファ-----電池切れか、故障か。科学的にその辺の判断はなかなか難しいぞ。
ミドル・ムスタファ-----でも良い方法があるんですよ。スマホのカメラを起動してリモコンの送信部にレンズを向けて、と。
Dr. ムスタファ-----写真を撮っても、サポートの人は壊れてるかどうか判断できんだろ?
ミドル・ムスタファ-----そうじゃないですよ。この状態でリモコンのボタンを押してみてください。電池切れならどこを押しても送信部は光らないはずです。
ニヒル・ムスタファ-----それはスゴい科学的な方法だぜ。カメラのモニタにはリモコンの赤外線が映るんだよな。
Dr. ムスタファ-----なんだそれは。いかにも一般人が思い付きそうな原始的な方法だがな。
ニヒル・ムスタファ-----サポートに写真を送るよりは良いんじゃないか。
ミドル・ムスタファ-----そんなことはイイですから、とにかくボタンを押してみてくださいよ。
ニヒル・ムスタファ-----ああ、そうだな。じゃあ、まずは電源ボタンから。
ミドル・ムスタファ-----光りませんね。他はどうですか?
ニヒル・ムスタファ-----じゃあ、公共放送。
ミドル・ムスタファ-----アッ、ピカピカ光ってますよ。ってことは電池切れじゃなくて故障なんですかね。
ニヒル・ムスタファ-----でも、電源ボタンが壊れてたらどうやってテレビ見るんだ?Little Mustaphaはテレビはあんまり見ないとか言ってるけど、ゲームやる時はテレビつけるんだろ?
Dr. ムスタファ-----科学的に考えると、ゲームもやってないんじゃないか?
ミドル・ムスタファ-----そんなワケはないと思いますけど。でもテレビもつかないんじゃヒマですよね。なんか、飲み物とかがあればまだなんとかなりますが。
Dr. ムスタファ-----ホントだな。アイツは何やってるんだ?もうずいぶん時間が経ってるんだが。
ニヒル・ムスタファ-----じゃあ、こういうのはどうだ?Little Mustaphaが戻ってくる前に台所にある飲み物とか食べ物に手を着けたらヤツに悪いけど、自分達で買ってきたものを食べたり飲んだりしても問題ないと思わないか?
Dr. ムスタファ-----おお、まさに科学的発想だ!
ミドル・ムスタファ-----じゃあ、さっそく買い物に行きましょう。缶ビール一本ぐらいなら先に飲んでても問題ないですよね。
マイクロ・ムスタファ-----あ、あの。ちょっと待ってください!
ニヒル・ムスタファ-----なんだ、急に?キミだって密かに飲みたいと思ってるのはバレてるぜ。
マイクロ・ムスタファ-----いや、それは問題ないと思うのですが。誰か来たみたいですよ。
ミドル・ムスタファ-----ホントだ。玄関でノックの音がしますね。
Dr. ムスタファ-----まさか、サンタか?
ニヒル・ムスタファ-----まだ早すぎるだろう。
Dr. ムスタファ-----じゃあLittle Mustaphaか?
ニヒル・ムスタファ-----自分の家だぜ。なんでノックするんだよ。
ミドル・ムスタファ-----アッ、でもここに入ってくる時、鍵かかってなかったですよね。もしかして閉めた時に誰か鍵かけたんじゃないですか?
マイクロ・ムスタファ-----最後に入ったのは私ですが、鍵はかけませんでしたよ。
ニヒル・ムスタファ-----ってことは誰だ?
一同が黙って考え込んだ時のことでした。玄関でバタンと大きな音がして扉が開いたようです。黙っていた彼らはその音に驚いて全員ビクッとなったのですが、お互いに恥ずかしいのでビクッとなったのには気付かないフリをしていました。
しかし、誰が入ってきたのか、まだ解りません。彼らが耳を澄ましていると部屋の外から物音が幽かに聞こえて来ます。そしてその音は次第に部屋に近づいて来るようでした。なんだろうと思っていると、ブラックホール・スタジオ(Little Mustaphaの部屋)のドアが開きました。
そして、次の瞬間、ドアの向こうに男の姿が現れました。手には銃を持っていて、それを部屋の中に向けて構えたのですが、部屋の中にいる主要メンバー達の姿に驚いて男は「ヒュワ!」と変な悲鳴を上げました。驚いたついでに男が銃の引き金を引くと、飛び出してきたBB弾が壁にぶつかって部屋のあちこちに跳ね返ってパチパチと音を立てていました。
部屋に居た主要メンバー達は唖然としてその姿を見ていました。
男-----え、エフ・ビー・エルだ!…手を挙げろ!
一同-----…?
男-----片手じゃなくて、両手を挙げるんだ!
ニヒル・ムスタファ-----そんなオモチャの銃で言われてもなあ。
男-----本物じゃないと見抜くとはさすがだな。
ミドル・ムスタファ-----というか、さっきBB弾があちこち跳ねてましたし。というか、あなたもしかして…。
男-----黙れ。オマエ達はサンタおよびLittle Mustapha殺人事件の重要参考人だ。
一同-----殺人事件?!
男-----そうだ。殺人事件だ。
ミドル・ムスタファ-----今、あなたも一緒に驚いてませんでしたか?
男-----まあ、そういうノリはだいたい解っていたからな。優秀な捜査官というのはそういうものだ。
Dr. ムスタファ-----なんだか、私らはアンタのことを知ってる気がするんだが…。
男-----私はエフ・ビー・エルのモオルダア捜査官だ。年に一回ぐらいは登場したいのだが、書きかけのままこの時期になったらもう無理だと思って勝手に出てきたぞ。
ミドル・ムスタファ-----というか、そういうことはあまり言うとワケが解らなくなりますから。でもやっぱりモオルダア捜査官だったんですね。
モオルダア-----まあ、そうだな。確か以前の捜査では、ここに電話をかけて留守番電話にメッセージを残したことはあるんだよな。かなり昔の話だが。
ニヒル・ムスタファ-----そんなことより、殺人事件ってなんだよ?
ミドル・ムスタファ-----そうですよ。もしかしてLittle Mustaphaは死んでるんですか?
モオルダア-----いや、まだ遺体は見つかっていないんだが。昨日そんなような通報があってね。ただ、その通報って言うのが特殊でね。色々調べないといけなくて、それでやっとここに辿り着いたってことだけど。
ミドル・ムスタファ-----たしか、あなたは科学では解明できないような事件を専門に扱ってる、って設定でしたよね。
モオルダア-----設定ではないが。そんなところだ。
Dr. ムスタファ-----科学で解明できないことなどないぞ。
ニヒル・ムスタファ-----今はそういうことを言ってる場合じゃないぜ。
ミドル・ムスタファ-----そうですよ。それに今日がどういう日だか忘れてませんか?これまで何年ものあいだ科学では解明できないような不可思議な現象が起こっていた日でもあるんですよ。
Dr. ムスタファ-----それもそうだ。それに、サンタも殺されたって言ってなかったか?これはますます一大事だぞ!
ニヒル・ムスタファ-----そうだよな。
マイクロ・ムスタファ-----あ、あの。ちょっとイイですか?
モオルダア-----ヒュワッ!キミ、いつの間に?
マイクロ・ムスタファ-----最初からいましたよ。まあ、いいですけど。それよりもみなさん、良いんですか?
Dr. ムスタファ-----良くないぞ。このままじゃ今年もプレゼントが貰えないじゃないか。
マイクロ・ムスタファ-----そうじゃないですよ。Little Mustaphaが殺されたって聞いて。誰も心配してないんですけど。これじゃあ私達の評判が悪くなりやしないか?と…。
ミドル・ムスタファ-----アッ、そういえばそうですね。
ニヒル・ムスタファ-----まあ、心配してないワケじゃないぜ。
Dr. ムスタファ-----そうだな。だが科学的に考えて、我々は地獄にも行ってるしな。
モオルダア-----科学的に地獄へ?
ミドル・ムスタファ-----今のは、まあたとえ話みたいなもんですよ。
Dr. ムスタファ-----だが、実際に行ったじゃないか。
ニヒル・ムスタファ-----そうだけど、いちいち説明が面倒だからたとえ話で良いんだぜ。それよりも遺体もなくて殺されたって言われてもな。
ミドル・ムスタファ-----そうですよ。そんなんじゃ信じられませんからね。
モオルダア-----でも110番に通報してきて、一言目が「殺人事件が起きました!」だったら、それは殺人事件って感じでしょ?
ミドル・ムスタファ-----でしょ、って言われても。ボク達はそんなことの専門家でもないですし。
Dr. ムスタファ-----まったく、いい加減な話だな。
なんとエフ・ビー・エルからモオルダア捜査官までやってきて、今年は今年で変なクリスマスになってきました。