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#174 「LMBのクリスマス殺人事件」 2016-12-24 (Sat)

 その頃、何もない中に窓のようなものがある不思議空間にいるLittle Mustaphaとサンタ君は…。


サンタ君-----この窓もまた人間界とは別の世界ですね。

Little Mustapha-----あれ。なんかここの人達、というか生き物たちはいつかのクリスマスで見た気がするな。あのゾンビっぽいヤツらだ。でも、これがなんだっていうんだ?

サンタ君-----ボクが思うに、ここはワームホールの中なんですよ。

Little Mustapha-----ワームホールの中?!…なんか一人で驚いても雰囲気出ないな。もう一回、二人で驚いてみない?

サンタ君-----何でですか?

Little Mustapha-----だって、一緒に驚いた方が、驚きの度合いが大きい感じが出るから。

サンタ君-----あの、真面目にやりましょうよ。

Little Mustapha-----はい。…で、ワームホールってどういうこと?ワームホームっていうのは瞬間移動する時に使うと都合が良い言葉でしょ。瞬間移動と書いて「ワープ」と読むこともあるけどね。

サンタ君-----まあ、そんな感じですが。ある場所からある場所へ瞬間移動する時に、その二つの場所は直接繋がっているワケではないんですよ。

Little Mustapha-----直接繋がっていたら、ワープしなくても瞬間移動だしね。

サンタ君-----そうですけど。…そんなことはどうでも良いんですよ。

Little Mustapha-----はい。

サンタ君-----それで、瞬間的に移動しているように思えても、実はその間にこの場所を通っているんです。つまり瞬間移動するときには誰でもここを通らないといけない、って事でもあるんですが。サンタはプレゼントを配る時にこのワームホールを使っているんです。サンタが担当しているのはあなた達の住んでいる人間界だけでなくて、別の次元とか惑星とか、そういう場所もありますからね。

Little Mustapha-----へえ。だから異次元関係に意外と詳しかったりするのか。じゃあ、元の世界に繋がってる窓を見付ければ帰れるんでしょ?

サンタ君-----いや、そんな簡単な事ではないですよ。クリスマスだと時々このワームホール内で渋滞が発生して、中で立ち往生ってことが起きるんですけど、そういう場合はソリに付いているコンピューターが自動で出口まで案内してくれるんです。でもソリがない状態だとどうなるのか。それに、講習ではワームホールの中で止まっても絶対にソリを降りてはいけないって言われてましたしね。多分、危険なんだと思いますよ。

Little Mustapha-----危険って言われても。最初からソリなんてなかったし。…なんか恐くなってきたから、さっきの部屋にもどろうか。

サンタ君-----それも良いかも知れませんね。…あれ?!

Little Mustapha-----なんというか、振り返って見るとさっきの部屋が消えてないか?

サンタ君-----もしかして、これって…。

Little Mustapha-----異次元への扉はいつも同じ場所にあるワケじゃなくて、あったりなかったりする、って。そういう設定のヤツか?!

サンタ君-----じゃあボクら、ここでどうなっちゃうんですか?

 犬サンタ君がウッカリしていたので大変な事になってきたようですが、そのころ人間界では。


Dr. ムスタファ-----どうするんだ?なんか作戦失敗みたいなことじゃないか?

ミドル・ムスタファ-----そうですね。まさか犬サンタ君に重要なことを任せるなんて。

ニヒル・ムスタファ-----このままじゃプレゼントが貰えるクリスマスはこの先永遠になくなるぜ。


テレビ-----邪魔者は消えたようだね。それじゃあ、そろそろカウントダウンだ。新しいクリスマスの誕生を盛大に祝うわよ。

テレビ-----オマエの好きにはさせないぞ!


ミドル・ムスタファ-----アッ、ここでまさかのモオルダア捜査官。


テレビ-----オマエをサンタ殺しとか、その他諸々の容疑で逮捕する。

テレビ-----何言ってんのよ、あんた。そんなこと言ってタダで済むと思うの?だいたい証拠も何もなくて逮捕なんて出来るワケないじゃないの。警備員。あの男をツマミ出しなさい

テレビ-----うわっ、何をする。放せ。私は優秀な捜査官の…。


ミドル・ムスタファ-----やっぱりダメでしたね。


 ちょっと期待をさせたものの、やっぱりダメだったモオルダア捜査官。でもまだ希望は失ってはいけません。テレビから拡声器を使ったような声が聞こえてきます。


テレビ-----あなたの好きにはさせませんのよ!

テレビ-----今度はなによ?

テレビ-----あたくしがどんなに美しく、そしてどんなに優秀な捜査官だとしても、クリスマスは楽しくなければいけませんのよ。

テレビ-----往生際が悪いね。もうサンタもいないんだから、楽しいクリスマスなんて出来ないんだよ。

テレビ-----お黙りなさい。さあ、女子達。あのイケメンサンタを拉致した地獄の占い師に制裁を!

テレビ-----「ねえ、ちょっと見てよ」「あ、あれ去年サンタ君を誘拐した犯人じゃないの?」「やだ、もう最低!」「なんであんなやつがいるのよ」「みんなで嫌がらせしちゃいましょ」「そうよ、そうよ」「あんなやつ追い出しましょうよ」


 なんだか解りませんが、テレビには「女子達」と呼ばれる人達が沢山映っていてゴチャゴチャしてきました。ゴチャゴチャしていてカウントダウンなどは一時中断したものの、具体的な対抗策としては意味をなしていないような感じです。

 そして、ワームホールの中と思われる場所では。


サンタ君-----ちょっと、待ってくださいよ。あんまり離れて、はぐれたりしたらどうするんですか。

Little Mustapha-----はぐれたらはぐれたで、キミはイケメンなんだからなんとかなるだろ。

サンタ君-----そんなんでなんとかなったりはしませんよ。

Little Mustapha-----それよりも、ボクはお腹空いてんだから。食べ物がある場所を見付けたら出入り口が消える前に入ってしまおうと思ってね。

サンタ君-----そんなことはやめてくださいよ。どこの星のどこの次元に通じてるか解らないんですよ。

Little Mustapha-----でも、大体あってればなんとかなるはずだし。

サンタ君-----なりませんよ。

Little Mustapha-----アッ!

サンタ君-----こんどはなんですか?

Little Mustapha-----空腹の直感恐るべし。

サンタ君-----空腹の直感?!

Little Mustapha-----見てよ、このおぞましい光景を。

サンタ君-----うわ。なんかサンタが人を食べてますね。…ってことは、楽しいクリスマス展?

Little Mustapha-----この無数にある窓の中から偶然にも見付けてしまうとは。こんな幸運は滅多にないよ。

サンタ君-----でも、これって、どっちのクリスマス展なんですかね。

Little Mustapha-----どっち、って?…ああ、そうか。最初にテレビで見たのは人間界ではない場所のクリスマス展だったか。

サンタ君-----ソリもないですし間違った場所に出てしまうと、このワームホールの中には戻ってこられませんからね。チャンスは一回だけなんですよ。

Little Mustapha-----でも、仮に別の次元のクリスマス展だとしてもさ、あの横パンって女子アナは時々人間界にも出没するんだよね。だから、上手くやれば多少遠回りでも元の世界には戻れると思うんだけど。

サンタ君-----その横パンって人は知り合いなんですか?

Little Mustapha-----いや。なんていうか、最近はカズコの手下みたいなことやってるし。敵みたいなもんかな。

サンタ君-----それじゃ、全然ダメですよ。ちゃんと確信が持てるまで扉を開けてはダメですよ。

Little Mustapha-----そんなこと言っても、適当な理屈であの部屋の扉を開けることを決めたのはキミだったりするけどね。…アッ、ちょっと待った!

サンタ君-----なんですか?

Little Mustapha-----いま「ふ〜ん」って聞こえなかった?

サンタ君-----ふ〜ん?!

Little Mustapha-----そう。窓の向こうから。

サンタ君-----窓の向こうの音が聞こえるもんですかね?

Little Mustapha-----音じゃないとしても雰囲気とか。ああ、窓の中をずっと見てれば確認できたのにな。「ふ〜ん」っていうのはオットリした人が出す音でしょ。

サンタ君-----そうでしょうか?

Little Mustapha-----もしも、あの音がホントにしていたとしたら、それはオットリ系新人女子アナ、食いしん坊の腹パンに違いないんだよ!

サンタ君-----だとすると、その向こうは人間界ってことですね。…あぁ、ちょっと待ってください。まだ開けちゃダメですよ!

テレビ-----ちょっと、なんなのよあなた達は。あなた達にいくら罵倒されようともこっちは痛くもかゆくもないんだよ。


ミドル・ムスタファ-----なんか「女子達」っていうのが頑張っていますけど、画面の片隅に出ているカウントダウンは止まりませんよね。

ニヒル・ムスタファ-----あんまり良い作戦じゃなかったようだな。


テレビ-----「ねえ、ちょっと。みんな、アレ!」「キャー!」

Little Mustapha-----止めても無駄だ!もうお腹空いて限界だから開けちゃいます!

サンタ君-----ドゥワァ!ダメだって…。

Little Mustapha-----…?!ほら。大丈夫じゃん。ここは間違いなく元の世界…。

サンタ君-----ちょっと、あれ見てくださいよ。女子達がスゴい勢いでこっちに向かってきますよ。

女子達-----「キャー、サンタくーん!」「やっぱり生きてたんだね」「絶対会えるって信じてたんだから!」

サンタ君-----ドゥワッ、…ちょっと。押さないで…。今はそれどころじゃ。

女子達-----「ちょっと、なによ」「アンタこそなによ。私のサンタ君に勝手に触らないで!」「なにその態度。アンタなんかサンタ君が相手にするワケないじゃん!」「なによそれ。自分だって鏡見たことないんじゃないの。ブス!」

サンタ君-----ドゥエッ…?ケンカはダメですよ。

Little Mustapha-----ドゥエッ、ドゥオッ、ドゥワッ…。

ニヒル・ムスタファ-----おい、なんだあれは?Little Mustaphaじゃないか?

ミドル・ムスタファ-----それに、女子達にもみくちゃにされているのは、去年のサンタ君ですね。

Dr. ムスタファ-----というか、Little Mustaphaのヤツ、どさくさに紛れて女子達にもみくちゃにされようとしてるんだが、はじき出されてるな。

ニヒル・ムスタファ-----と、そこへどこかで見たような特殊部隊のような格好の人達が!

ミドル・ムスタファ-----これ、どうなっちゃうんですかね?


 どうなるのでしょうか?

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