これは大ピンチなのか、そうでないのか解りません。でも、もし大ピンチなんだとしたら彼らの命が危険です。なのでLittle Mustapha達は大慌てでゴクゴクとサンタの酒を飲み干しました。
Little Mustapha-----ハッハッハ。これは愉快な気分だ。
ミドル・ムスタファ-----やはりクリスマスにはこうして酒を酌み交わすのが一番ですよ。
Dr. ムスタファ-----これは万有引力にまさる発見ですな。酒を飲み語り合う。これ以上の喜びを人類が今後発見できるとは思えんよ。
ニヒル・ムスタファ-----先生も上手いこと言いますな。しかし、飲み過ぎにはご用心。世の中には酒のせいで失敗した話はいくらでもありますからね。
Little Mustapha-----酒で失敗して酒が飲めなくなるのなら、酒の敵は酒ですかな?
ミドル・ムスタファ-----ご冗談を。酒が悪くても飲み過ぎるのは人間です。
Dr. ムスタファ-----ならば人間は酒の敵ですかな?
ニヒル・ムスタファ-----これは傑作だ。
一同-----ハッハッハッハッハ…!
マイクロ・ムスタファ-----時にみなさま。今そこのトイレの所で物音がしたような気がしたのですが…?これは少し飲み過ぎですかな?
Little Mustapha-----そんな事はありますまい。物音がしたというのなら、きっと誰かがいるのですよ。どなたかいるのかね?遠慮せずに入ってきたら良い。
ミドル・ムスタファ-----仲間が多いほど酒が進みますからな。
一同-----ハッハッハッハッハ…!
笑い声がおさまるとトイレの扉が開いて中から誰かが出てきました。
それは、Little Mustapha達によく似ていましたが、足がガクガク震えて上手く歩けないようでした。それでもやっとトイレから全員が出てくると、彼らはそのまま倒れてバラバラに壊れてしまいました。
Dr. ムスタファ-----おやおや、これは一大事。
ミドル・ムスタファ-----我々にそっくりな客人が来たと思ったら、壊れてしまいましたぞ。
ニヒル・ムスタファ-----これはまことに不可解な。
Little Mustapha-----我々もしっかりと地に足をつけていないといけません。これはきっとそういう教訓なんですな。
マイクロ・ムスタファ-----まことに恐ろしい話です。
一同-----ハッハッハッハッハ…!
犬サンタ君-----ちょっと、これは一体なにが起きているのかワン?なんでみんな変な喋り方なのかワン?
犬サンタ君は驚いていたのですが、Little Mustapha達は反応しませんでした。そして、そのまま静かになったと思ったら、全員酔いつぶれた様子で寝てしまいました。
それから30分ほど経った後…。
Little Mustapha-----…あれ?いつの間にか寝てた。
ニヒル・ムスタファ-----なんだ…?ヤツらが来たのか?
ミドル・ムスタファ-----なんかサンタの酒が濃すぎたんじゃないですかね。私もいつの間にか寝てましたよ。
Dr. ムスタファ-----居眠りなんかしてたら、何か起きた時に何も出来んからな。
マイクロ・ムスタファ-----いや、その必要はなさそうですよ。…そこを見てください。
一同(マイクロ・ムスタファと寝ている犬サンタ君達除く)-----アーッ!いつの間にかやって来たボクらそっくりのアンドロイドがバラバラになって壊れてる!
Little Mustapha-----これは一体どういう事だ?ねえ、犬サンタ君。コレはどういうことだ?
犬サンタ君-----…何かワン?みんな寝てしまったから私も寝てしまったんだワン。でもさっき起きたことは見てたんだワン。
ミドル・ムスタファ-----それで、何が起きたんですか?
犬サンタ君-----良く解らないけど、乾杯したらみんな気持ち悪い喋り方になったんだワン。それから、面白いか良く解らないことで笑ったりしてたんだワン。そこへアンドロイド達がやって来たんだけど、すぐに倒れて壊れてしまったんだワン。
Little Mustapha-----それだけ?
犬サンタ君-----そうなんだワン。…あっ、でも今ご主人様から電話がかかってくるから詳しい事を聞けば良いんだワン!
Little Mustapha-----電話って、どの電話?
犬サンタ君-----この部屋の電話だワン。電話っていうのはかかってくる前に人間には聞こえない音を出して、電話が鳴りそうな雰囲気を出すものなんだワン。
Little Mustapha-----なんだそれ?…って思ったらホントにかかってきた。
今回は着信音が良く鳴るこの部屋の留守番電話機ですが、比較的まともな着信音が鳴り始めました。
Little Mustapha-----うわ、どうしよう。長官の孫娘さんから電話だ。
ニヒル・ムスタファ-----今はそういうドギマギとかは必要ないだろ。
Little Mustapha-----でも、こんな格好じゃ。長官の孫娘さんに失礼だよ。
ミドル・ムスタファ-----電話なんですよ。
Little Mustapha-----そういえばそうか。それじゃあ、ハンズフリーでピッ!…あの、もしもし…。ブラックホール・スタジオ、括弧私の部屋でございますが…。
留守番電話機-----あっ、良かった。私は長官の孫娘ですが。みなさん無事だったようですね。
犬サンタ君-----そうなんだワン。でもどうして大丈夫だったのか解らないからご主人様に説明して欲しいと思ってるんだワン。
長官の孫娘-----今回アンドロイド達があなた達のいる部屋を狙っていたということは知っていますか?
Little Mustapha-----マイクロ・ムスタファの推理が正しければ、だいたい知っていることにはなってますが。
長官の孫娘-----そうですか。実は私達も薄々そこに気付いていたのですが。しかし、確証のないまま行動するわけにもいかず、さらに予測システムではあなた達が事件を起こすという結果が出てしまったのです。ですから、私達は見守るしかなかったのですが、それだけでは不安だったので、ちょっとしたヒントを知らせることにしたんです。その部屋の留守番電話機に録音したメッセージがそれです。
Little Mustapha-----あれってサンタの孫娘さん改め長官の孫娘からのヒントだったのか。ということは…。
ミドル・ムスタファ-----あの、マイクロ・ムスタファがまた真っ赤になってるから、その話はその辺で。
Little Mustapha-----ああ、そうだった。まあでも、ヒントになったことはなったよね。気付いたのはマイクロ・ムスタファだけだったけど。
長官の孫娘-----あのメッセージに録音した内容は、私達が悪魔のAIについて調査している過程で入手したものでしたが、悪魔のAIが狙っているのがその部屋のトイレの扉ということは知っていたので、あれがあなた達に関連していることはすぐに解りました。そして、彼らがあなた方の完全コピーを作ろうとしていることにも。でも悪魔のAIは、いわばデジタル化された悪魔ですし、全ての電子機器が彼らの目となる可能性があります。そういう中で私達が直接手を下そうとすれば、先回りされるのは解っていました。そうなると、こちらも彼らと同じような方法で対抗するしかなくなります。彼らに気付かれないところに罠を仕掛けるのです。
犬サンタ君-----そうだったのかワン。だからみなさん気持ち悪い喋り方だったのかワン!
長官の孫娘-----ええ。みなさんを騙すようなことになったのはすまないと思っていますが。サンタの国のサンタの酒に少し細工してあったのです。その特別なサンタの酒を飲むことによって、飲んだ人は全くの別人格になるのです。そこへほぼ完璧に仕上がったアンドロイド、つまりあなた方のコピーがやってきたのです。本来ならほぼ同じデータとして置き換わるはずだった場所に、まったく別のデータがある。それによって悪魔のAIに致命的なメモリエラーが発生したのです。
ニヒル・ムスタファ-----それで、カーネルパニック、でジ・エンドってわけか。
ミドル・ムスタファ-----それって、意味わかってて言ってるんですか?
ニヒル・ムスタファ-----いや、解らないけど、そういうのがオレの役目なんじゃないのか?
Little Mustapha-----まあ、あのメッセージによるとそういうことだけど。
長官の孫娘-----あの。解りづらい話だったと思いますが、理解してくれましたか?
Little Mustapha-----解ったような、解らないような。でも時間が経てば理解出来る事もあれば、出来ない事もあるし。とにかく、ボクらが無事で良かったってことだよね。
長官の孫娘-----そういうことですね。
Little Mustapha-----それよりも、ボクらの気持ち悪い喋り方、ってどんなだったの?もしかして変な話とかしてないよね?
犬サンタ君-----それは大丈夫だと思うけど、あれは恐かったからもうやらないで欲しいワン。
Little Mustapha-----とはいってもボクらの意志でやってたワケじゃないし。
長官の孫娘-----それじゃあ、私はこの辺で…。またみなさんと一緒にパーティーが出来ると良いですね。
Little Mustapha-----ああ、はい!もちろん、ボクはいつでもオマチしていますよ。明日でも大丈夫ですし。
ニヒル・ムスタファ-----長官の孫娘さんは、みんなで、って言ってたんだぜ。
長官の孫娘-----フフフフッ。それじゃ、みなさんお気をつけて。それから、犬サンタちゃん達もあんまりみんなに迷惑かけちゃダメだからね。
犬サンタ君-----解ってるんだワン。
長官の孫娘-----それでは、メリー・クリスマス!
一同-----メリー・クリスマース!(だワン!)(バウ!)
ということで、プレゼントの貰えないクリスマスはピンチを迎えて、いつの間にかピンチを乗り切ったようです。この後は、Little Mustapha達がウッカリあのサンタの酒をもう一度飲んでしまって、気持ち悪い喋り方になったりもしたのですが、それ以外はいつものように酒ばっかりのんで過ごしたようです。
しかし、最近良く出てくる悪魔のAIなどという新しい何か、などもあって…。
マイクロ・ムスタファ-----あの、ちょっと良いですか…?そこの留守番電話機のランプが点滅しているのですが。
アーッ!しまった。重要なことを忘れていた!ではとりあえず、メッセージの再生ボタンを押してみたいと思います。
留守番電話機-----ゴゴ…ゴゼン…ゴ…ゴ…ゼン…。1ケン・ノ…メッセイジ!ピーッ!「ちょいと、これはどういう事でございますの?今年もあたくしを呼ばずにクリスマス・パーティーを開いていたのみならず、あたくしのメッセージに最後まで気付かないなんて!言語道断じゃございませんこと?あたくしは多忙な中、地球を危機から救ったり、それからクリスマスのラジオ特番もこなしていたというのに。あなた方は飲んでばかり。もしもあたくしに謝罪する気があるのなら、すぐにあたくしのお屋敷に電話するんですのよ!電話番号は666の…」ピーーーッ!!!メッセイジ・オワリ。デスガ・ホントハ・マダ・メッセイジ・ガ・アル・ト・オモウ・カタハ・1…ヲ。ハタ・マタ…ピーーーッ!
次回は良く解りませんが、多分大特集になるでしょう。お楽しみに。