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あと1日

 新しい机が届くのを待っている私のところへやって来た机の神様は「机に関するもの凄い話」というのを毎日楽しそうに話している。もちろん私はそんなことは迷惑なのだが、この机の神様が機嫌を損ねると「机の神様の念力」で私は酷い目にあわされる、ということなので黙って聞いているしかない。でも、それもきっと今日が最後。明日には私の元へ新しい机が届いてこの机の神様もどこかへ消えるに違いない。

「あの恐ろしい机が男の元へ届くと、男は早速机を部屋の真ん中に置いて眺めていたそうじゃ。『ああ、素晴らしい。見れば見るほどこの机は素晴らしい』独り言のように言う男はいつしか机を抱きかかえて頬ずりを始めた」

この展開になんだかイヤな感じがしたので、私は思わず机の神様の話を遮ってしまった。

「ちょっと待ってください。それってもしかして…」
「おい、キミ。なんでここで邪魔をするんだ?せっかく盛り上がってきたところなのに。そんなことしてると机の神様の念力で…」
「はいはい。解りましたよ。続けてください」
もう、最後まで聞くしかないようだ。

「男は来る日も来る日も机を眺めて過ごしました。男の頭の中には机のことだけ。机を眺めて頬ずりするのが何よりも楽しかったのだそうな。そんなある日のことです。男がいつものように机に抱きついていると、男の妻がやって来て男に聞きました。『ちょっとあなた!あたしとその机と、どっちが大事なの?』と」

やっぱりそうきたか。机の神様はそんなことを思っている私に気付いたようだ。何しろ神様だから私の考えていることは全部解ってしまう、ということだ。

「男がこのあとなんて答えて、そのあとどうなるかはもうだいたい解ってるね」
「だいたい解りますよ。机が大事って答えた男が逆上した妻に刺し殺されるんでしょ」
「凄い話でしょ」
「凄いというか何ていうか。いったいあなたは、なんでそんな話をするんですか。それを話すためだけにここへやって来たんですか?」

私がこう言うと机の神様は少しガッカリして言いました。
「解らないのかね。これは警告だよ」
「警告?ってなんの?」
「明日届く机こそ今までの話に出てきた机なんだよ」
そういって机の神様はニヤニヤ笑っている。

「なんでそうなるの!?全然意味がわかんないけど。でもまあいいですよ。私には妻がいないから、刺し殺される心配はないからね」
「そんなことはないぞ。妻がいなくたって、この私がいるじゃないか。キミはもしかして机が届いたら私がいなくなるとでも思ってたのか?あまいねえキミは。私は机の神様。そう簡単には消えませんよ。ウハハハハ。それじゃあ机の虜にならないよう十分に気を付けるんだぞ。ガハハハハ」


 というお話でした。恐ろしいですねえ、机の神様。予定していたものと結末を変えたら今回は長くなってしまいました。本当はその机が「髪の毛が伸びる呪いの机(?)」だったというエンディングを考えていたのですが、どっちがよかったのかなあ。どっちでもいいか。

 明日はとうとう机が届きます。

  

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