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#170 「フォルトゥーナ」 2015-12-23 (Wed)

クリスマス!…だったけど、なんか作戦開始!

ミドル・ムスタファ-----ホントに電話はつながるんですかね?

Little Mustapha-----まあとにかく通話ボタンを押してみるけど。(ピッ!)

電話-----ジーッ…。ボッ…ボッ…ボッ…。プルルルルルルル!…プルルルルルルル!

ニヒル・ムスタファ-----つながったな。

電話-----「ちょっと、なんなのよ。遅いじゃないのよ。どうせ私の言うとおりにするんでしょ!それじゃ、切るわよ!」

Little Mustapha-----エェッ?!ちょっと、待ってよ。なんでそんな一方的に。

電話-----「じゃあ、なんなのよ。私の要求を断る理由なんてどこにあるのよ」

Little Mustapha-----だいたい、何の説明もなしに、いきなりトイレのドアを使わせろとか、そんなのメチャクチャだし。

電話-----「そんなことはあんた達だって解ってるでしょ。あの扉には特別な力があんのよ。ここ数年ずっと地獄にいたんだから、その辺はちゃんと解ってんのよ。そして、あの扉を自由に使えるようになれば、人間なんて敵じゃないからね」

Little Mustapha-----つまり扉を自由に出来なければ、人間でさえ脅威ってこと?

電話-----「な…、何言ってんのよ。そんなこと言ってると占いの力であんた達を地獄に落とすよ!」

Little Mustapha-----でたな。そうやって脅してもボクらは地獄にはもう慣れてるからね。戻ってくる方法もちゃんと知ってるし。そんなインチキくさい占いには騙されないよ。

電話-----「何言ってんのよ。インチキじゃない占い師なんてこの世にはいないのよ!」

Little Mustapha-----エエッ?!そこで、そんな感じでブッチャケちゃうの?

電話-----「そんな事はどうでもイイのよ!私のはね占いじゃなくて超能力なのよ!」

Little Mustapha-----じゃあ、これまで言ってた占いってのは…。

電話-----「いちいちうるさいわね。そんな事言ってると殺すよ!」

Little Mustapha-----殺すって…?それは犯罪予告だし、脅迫だし。「死ぬよ」の間違いじゃないの?

電話-----「そんなことは気にしないでイイのよ。もう面倒だから切るよ!」

Little Mustapha-----いや、ちょっと待って。都合が悪くなると切るとかナシだし。

電話-----「なによ。じゃあトイレの扉を使わせるってことなの?」

Little Mustapha-----その前に、サンタ君は無事なのか?ってことだし。サンタ君に何かあったら交渉にならないんだしね。

電話-----「解ったわよ。面倒な人だね。ほら、あんた。こっち来て話しなさいよ!…。どぅわっ!痛い!ああ、みなさん。面倒な事になってスイマセン。でもボクは大丈夫です。こんな人の言うことを聞いてはいけませんよ。この人は…どぅわっ…。そういうことだよ。解った?」

Little Mustapha-----サンタ君が無事なのは解った。

電話-----「じゃあ、イイでしょ。それじゃ切るわね」

Little Mustapha-----エェッ?!じゃなくて、交渉は?

電話-----「ええ?ああ。だからトイレの扉を使わせるのか、使わせないのか。もうこれ以上いちいち説明はしないよ。もうこっちだって疲れてんだからね」

Little Mustapha-----まずサンタ君の解放が先だ!

電話-----「その前にトイレの扉を使わせてくれたら、そこからこのサンタを帰してやるよ。それで良いだろう。じゃあ、切るよ!」

Little Mustapha-----ああああーッ!ちょっと待って!

犬サンタ-----(頑張るんだワン!もう少しだワン!)

電話-----「なんなのよ!めんどくさい。もうこれ以上話す事はないよ。」

Little Mustapha-----でもその条件はのめないし。

電話-----「あなたね。そっちにそんな事をいう権利があるとでも思ってるの?…エッ。もしかして、あんた?」

Little Mustapha-----いや…、何も企んでませんよ。

電話-----「そうよね。それなのにこんなに長いこと話そうってのは理由があるわね。そうでしょ?」

Little Mustapha-----いやいや、そんなことは…。

電話-----「解ってんのよ。あんたこのサンタに嫉妬してんのね。それなら最初からそう言いなさいよ。もうあんたも年上が好きなんてねえ…」

Little Mustapha-----ええ?!ここでそんな大いなる勘違いとか。もし年上が好きだとしても、年上にも程があるよ!まったく。

電話-----「あらそう。じゃあ切るわよ!トイレの扉は私のもんだからね!」

Little Mustapha-----アーッ、ウソです!まだ切らないでー!

犬サンタ-----送信完了だワン!

電話-----プーッ…。プーッ…。プーッ…。

ミドル・ムスタファ-----電話切れてるみたいですけど。

ニヒル・ムスタファ-----なんで最後のところ、向こうに話を合わせないんだよ。

Little Mustapha-----だって、ウソにしたってカズコは無理だよ。

Dr. ムスタファ-----まあ、それは仕方ないがな。

マイクロ・ムスタファ-----しかし、これはどうなるのでしょうか?もしも作戦が失敗したとしたら…。

犬サンタ-----その時には…。きっとトイレの扉から恐ろしいモンスターが沢山出てくるんだワン。

ニヒル・ムスタファ-----それじゃあ、なんていうか準備したほうが良いんじゃないか?

犬サンタ-----もう逃げる時間はないんだワン。


 その時です。トイレの方からゴゴゴゴ…というくぐもった音が聞こえてきました。そして、その音は次第に大きくなりました。まるでトイレを流す音を逆から再生したような音でした。そして、その音が鳴り止むと同時に、トイレの扉がバーンと音を立てて開きました。

 一同、驚きとともに逃げだそうと足をばたつかせましたが、腰が抜けて立ち上がれませんでした。そして、そのままトイレの方から足音が聞こえて来て、それが彼らの居る部屋の方へ近づいて来ました。

 まだ誰も立ち上がれないまま、そのまま部屋の扉の方を見ていると、またバーンという音を立てて勢いよく扉が開きました。そして、驚いているヒマもなく、そこに二人の人が入ってくるのが解りました。彼らは防弾チョッキやヘルメットなどを装備した「特殊部隊のような人達」でした。

「クリアー!」

「クリアー!」

最初に入ってきた二人がそう言うと、さらに同じような格好の人達が数人入ってきました。

犬サンタ-----エージェント達だワン!

エージェント1-----無事でしたか上級総長。

犬サンタ-----無事だったワン。経過を報告するんだワン!

エージェント1-----地獄のアジトの発見、制圧に成功しました。サンタ君は無事に保護。しかしカズコは逃走。それからエージェントの一人が地獄の人気女子アナを名乗る女にインタビューされかけましたが、その女を捕まえようとすると逃げたので、インタビューは受けずに済みました。

犬サンタ-----ご苦労であったワン。引き続き任務を遂行するんだワン。

エージェント1-----アイアイサー!


Little Mustapha-----って、これどういう事?

ミドル・ムスタファ-----成功したんじゃないですか?

Little Mustapha-----というか、犬サンタ君って、そんなに偉いの?

犬サンタ-----3番目に偉いんだワン!

Dr. ムスタファ-----じゃあ、長官、孫、孫の飼い犬って順番か?

ニヒル・ムスタファ-----なんか変だけど、気にしてたらキリがないしな。

犬サンタ-----そうだワン。でもみなさんが頑張ったおかげで作戦は成功だワン!それにサンタ君も無事なんだワン。

サンタ君-----どぅおっと!ここは…。どうやって来たのか解りませんがさっきの家じゃないですか!ボクは助かったんですね?

Little Mustapha-----あっサンタ君だ。ちょっと、サンタ君。キミが助かったのもボクらのおかげだからね。その辺もちゃんと考慮して来年のプレゼント査定しておいてくれたまえよ。

サンタ君-----もちろんですよ。ホントにあそこは恐ろしかった。あのカズコって人、ボクを無理矢理に結婚させようとしたんですよ。ホントにお先真っ暗でしたよ。

Little Mustapha-----ホントだよね。ボクもさすがに話が変な展開になった時には、キミを見捨てて電話を終わらせようと…。

ニヒル・ムスタファ-----ちょっと、その辺は詳しく話す必要はないぜ。

サンタ君-----どぅえっ…、ってまさか?

Little Mustapha-----どぅおっと!最終的には助かったんだから、細かいことは気にしちゃダメだぜ。

サンタ君-----そうですよね。本当にありがとうございました。そうだ。今日は沢山の人間の女性ファンが出来たから、あの人達にもあなた方の事を伝えておきますよ。何かあった時に応援してくれるかも知れないし。

Little Mustapha-----いや。あの人達って、なんかすぐ「○ね」とかそういうこと言うし。ある意味カズコ以上に恐ろしいから、別にそこまでしてくれなくても良いよ。

サンタ君-----そうなんですか。どぅあっと!ボクそろそろ行かないと。まだ仕事が残ってるんです。

犬サンタ-----今度は変な人に捕まらないように気をつけるんだワン。

サンタ君-----はい、そうします。それじゃ。メリークリスマース!

一同-----メリークリスマース!


 どうやら上手く収まったようです。そして、予期せずドキドキしてしまった Little Mustapha達は一度落ち着くために、バケツにさらにサンタの酒を3滴追加して飲み直すようです。

 このまま行けば、次のページで今年のクリスマスも終わりそうです。何も起きないことを願って次のページへ。

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