サンタクロース!サンタクロース!サンタクロース!
サンタ-----よい子のみんな!メリークリスマース!
一同(サンタ除く)-----…。な…、なんだね、キミは?
サンタ-----どぅエッ?…なんだね、って。サンタですけど…。プレゼントをリクエストしたのは、キミ達…いや、あなた達ですよね?
Little Mustapha-----そうだけど。サンタさんに頼んだんだよ。
サンタ-----だから持ってきましたよ。えーっと、アルトサックス、野球盤、モデルガン、横溝正史全集。それから半重力リアクターですね。
ミドル・ムスタファ-----あってますね。
サンタ-----そうですよ。ちゃんとこの袋の中に。…ほら。
ニヒル・ムスタファ-----ってことは、本物か…。
Little Mustapha-----しかし、これは問題だよ。ボクらが期待したのはもっと年寄りのサンタだよね。言ってみればサンタのおじさんだよ。
サンタ-----あぁ。でも今年、姉が子供産んだからおじさんになったんですよ。こんな歳でおじさんって、アハハハハ…。
ニヒル・ムスタファ-----そんなことはどうでも良いんだが。
Little Mustapha-----それよりも、サンタ君。キミは今いくつなんだ?
サンタ-----19です。でも早生まれなんで今年でサンタ2年目なんですよ。去年はまだ見習いでしたけど。
Little Mustapha-----まだ十代かよ。うーん。みんな、これは大問題ですよ。
Dr. ムスタファ-----そのようだな…。
Little Mustapha-----サンタ君。さっき見習いがどうこう言ってたけど、それってつまりサンタは他にも沢山いるってことだよね。
サンタ-----そうですよ。世界中に配りますからね。
Little Mustapha-----他のサンタもみんなキミみたいに若いの?
サンタ-----そんなことないっすよ。みんな大先輩です。ほとんどが100歳以上ですね。ただ、ここ10年ほど正常なサンタの営業が出来てなかったこともあったし、営業再開にあたって新人を採用するってことで。それがボクだったんすけどね。
Little Mustapha-----悪いんだけど、今から他のサンタと担当を変わって貰えないかな?
サンタ-----どぅエッ?!そんなの無理ですよ。ギリギリのスケジュールで配ってるんですし。ボクがまだ未熟なところもあるし、その分ほかのサンタにはしわ寄せが行ってるってことですし。
Little Mustapha-----でも、ねえ…。
ミドル・ムスタファ-----そうですよねえ。
ニヒル・ムスタファ-----本物のサンタとはいえ、年下からプレゼント貰うのはなあ。
Dr. ムスタファ-----未成年じゃ犯罪にもなりかねんからなあ。
ニヒル・ムスタファ-----それは意味が解らないけど。それよりもマイクロ・ムスタファはどうなの?
マイクロ・ムスタファ-----私もみなさんと同じ意見です。
Little Mustapha-----ということなんだよ、サンタ君。
サンタ-----どぅっ…ってことは、プレゼントはいらないってことですか?そんなの聞いたことないですけど。
ミドル・ムスタファ-----いらないというよりは預かってもらうって感じですかね。
ニヒル・ムスタファ-----それで来年はヨボヨボのサンタさんに持ってきてもらうってことで。
サンタ-----どぅあぁ…。なんかいきなり問題発生。そうなんですか。そんなことだったらちゃんと指名してくれたら良かったのに。
Little Mustapha-----なんだ指名って?そんなの初めて聞いたし。だいたいサンタっていったらサンタだから指名とか、どうすれば良いんだ?
サンタ-----どぅえってことは、自前の手紙で送ったんですか?専用の応募用紙を使ったら解りやすいのに。備考欄に「100歳以上」とか書いておけば多分大丈夫ですよ。
Dr. ムスタファ-----なんだそれは?なんだか、これはサンタ側の説明不足じゃないか?
サンタ-----す、すいません…。こちらも久々の営業再開だったりして、色々と手が回らない部分もあったりして…。
Little Mustapha-----しかも、中途半端に腐女子に訴求してるし。
ニヒル・ムスタファ-----だいたいなんで、話し始めるときに「どぅ」が付きがちなんだ?
サンタ-----どぅエッ?!…って、これは研修で教えられたとおりのことなんで。今更変えようにも難しいです。こうした方がウケが良いからって。
Dr. ムスタファ-----我々には特に効果がないようだが。
サンタ-----そうだと思いますが。でも最近は積極的に女性もターゲットにしていこうってことで。それでどういう喋り方がウケるのか調査して、こうなったんですが。
ミドル・ムスタファ-----それで、効果はあったんですか?
サンタ-----ええ、まあ。ここに来る途中にも何度か若い女性に囲まれて…。
Little Mustapha-----どぅエッ?!マジですか?どぅってことは、ボクもそんな話し方したら、どぅってことになるんですかね?
ミドル・ムスタファ-----その前に見た目の違いに気付きましょうよ。
Little Mustapha-----ああ、そうでした。おじさんにはおじさんの話し方があるものじゃ!
ニヒル・ムスタファ-----それじゃお爺ちゃんだろ。
Little Mustapha-----そうじゃった。カッカッカッカ…!
ミドル・ムスタファ-----それ水戸黄門、…というかそういう解りづらいのはやめてくださいよ。しかも、そんな事を言ってる場合じゃないですし。
Little Mustapha-----そうだったよ。これは一体どうすれば良いのだろうか?…もしかしてサンタ君ってサンタの酒とか持ってたりとかするのかな。
サンタ-----どぅっと、酒はちょっと…。まだ未成年なんで。
Little Mustapha-----まあ、それは気にしなくても良いよ。持っていたとしてもキミからは貰えません!
ミドル・ムスタファ-----あきらめが良いのか悪いのか解らないような感じですけど。
ニヒル・ムスタファ-----でも、これは仕方ないよな。
Dr. ムスタファ-----うーん。まあ悲しいがそういうことか。
ミドル・ムスタファ-----また来年ですかね。
サンタ-----なんかスイマセン。ボクのせいで。
Little Mustapha-----いや、キミは良くやっているよ。なんとか1ページ分、間がもったし。
マイクロ・ムスタファ-----ちょっと待ってください!
サンタ-----どぅアァッと!あなたいつの間に!?
マイクロ・ムスタファ-----…。
Little Mustapha-----あぁ。マイクロ・ムスタファ君は本気で気付かれてない時にはかなり落ち込むんだけど。
サンタ-----どぅアァ、これはスイマセンでした。ボクも初めて一人でサンタしてるんで、緊張してるんです。
Dr. ムスタファ-----ということだから、あんまり落ち込むなよ。
マイクロ・ムスタファ-----いや、落ち込んでなんていませんよ。
ニヒル・ムスタファ-----それよりも、なんか考えがあるんじゃないか?
マイクロ・ムスタファ-----そうなんです。
Little Mustapha-----もしかして、十代サンタからプレゼントを貰っても良くなるような、言葉のマジックとか、そういうやつ?
マイクロ・ムスタファ-----いや。それはないですが。どっちにしろ今年貰うか貰わないかはプライドの問題でもありますから。ですから今年は諦めましょう。でもせっかく本物のサンタさんなのですから、ここでプレゼントのリクエストしたらどうですか?
ニヒル・ムスタファ-----なんだ。けっこう普通のアイディアだな。
ミドル・ムスタファ-----でもそうすればコレまでみたいに手紙が異次元世界に迷い込んだとか、そんなこともないですしね。
Dr. ムスタファ-----なんでも直接渡すのが一番確実だからな。
サンタ-----そういうことなら問題ないと思いますよ。なんなら間違いがないようにボクが確認しておきますよ。
Little Mustapha-----良いねえ、サンタ君。キミはいつか立派なサンタになるぞ!
サンタ-----ありがとうございます。
Little Mustapha-----ということで、応募用紙にリクエストを書いて、と。
ミドル・ムスタファ-----なんか書くの早いですね。
Little Mustapha-----そりゃもう十年近くやってるからね。まあ、これで終わりだと思うと寂しい気もするけど。
ニヒル・ムスタファ-----ホントは今年で終わりだったんだぜ。
Little Mustapha-----まあ、そういうことは言わないで。希望は失っちゃいけませんよ。ということで、備考欄には要注意だけど。サンタ君以外って書くのはなんか悪い気がするから、100歳ぐらいの平均的サンタさんでお願いします、と。これで良いよね。
ミドル・ムスタファ-----大丈夫だと思います。
Little Mustapha-----それじゃあ、サンタ君。せっかく来てくれたのに申し訳ないが、これ。しっかりと頼んだよ!
サンタ-----はい!どぅ解りました!
ニヒル・ムスタファ-----いまの「どぅ」は間違いじゃないか?
サンタ-----そうでしたか。なんか難しいなあ。もっと勉強しないと…。どぅわぁ!もうこんな時間。まだ配らないといけないプレゼントが沢山あるんで。ボクはこの辺で失礼します。それじゃあ、みんな来年まで良い子でいるんだぞ!
一同(サンタ除く)-----はーい!
サンタは手紙を持って去っていきました。そして最後の挨拶が変だったと気付いたメンバー一同は「どぅわっと!お決まりの台詞につられて子供みたいな元気な返事をしちまったぜ!」と言いました。