第七章:全ては近所で起きている?
スタジオのキャスター-----それでは現場から亜毛屁端アナが中継です。亜毛パン!?
亜毛屁端-----…だから大学側にだって記録は残ってないからバレるわけないって…
スタジオのキャスター-----おや。まだ準備が出来ていないようですね。
亜毛屁端-----アッ、はい!こちらスタイル抜群でグラビアなんかもオッケーな新人女子アナ亜毛パンこと亜毛屁端です。みなさん、ここがどこだか解りますかぁ?
スタジオのキャスター-----さっきまでのクリスマスムードから一変してずいぶんと静かで暗いですね。
亜毛屁端-----そうなんです。ここは元から住宅街でクリスマスムードとは無縁の場所でもあるのですが、普段ならちょっとした電飾ぐらいは見られる場所でもあるのです。しかし、今日のこの静けさには理由があるのです。取材班が入手した情報によりますと、今日この辺りに殺人アンドロイドが現れるということなのです。そして、その情報を提供してくれたのがウッチーのリコール社の専属女子アナである横屁端さんです。実は今日は特別に横屁端さんに来てもらっているので、お話を聞いてみたいと思いまぁす!それでは、横屁端さん。早速ですが、どのようにしてアンドロイドによる襲撃があると知ったのですかぁ?
横屁端-----はい、現場の横屁端です。実を言いますと今は女子アナでありながら、ウッチーのリコール社の社員でもあるので、その仕事の一環として逃走したアンドロイドの捜索をしていたのです。そして、その課程でアンドロイドの人間襲撃計画を知ったのです。
亜毛屁端-----非常に興味深い話です。聞くところによると、横屁端さんは我々女子アナとは仲が悪いとのことなのですが、今回はどうして我々に知らせてくれたのでしょうか?
横屁端-----仲が悪いわけではありません。ただ、これは名前を出したら本人の名誉に関わるので出せませんが、人気女子アナ気取りとオットリ系女子アナ気取りとは犬猿の仲だとだけ言っておきます。そして、あなたは新人女子アナとして二人から敵視されているとも聞きましたので、住民達の安全も考えてあなた達の取材班に特別に教えることにしたのです。
亜毛屁端-----なるほど。敵の敵は味方という理屈ですね。転職したとはいえ、さすが女子アナの先輩。勉強になります。横屁端さん、今日はどうもありがとうございました。
横屁端-----こちらこそありがとうございました。これからも協力していきましょう。
亜毛屁端-----はい。よろしくお願いしまぁす!…あっ!思わぬところで友好関係を築いたところなのですが、誰もいないはずの街の中にサンタ姿の女性を発見しました。ちょっと話を聞いてみたいと思いまぁす!すいませぇん!夕方のニュースのクリスマス特番なんですが、少し話を聞かせてもらえますかぁ?
サンタ-----はあ。まあ。
亜毛屁端-----今日はこの辺りをアンドロイドが襲撃するという話は聞いていないのでしょうか?
サンタ-----えっと。知らないですけど。サンタのバイトがあったんで。それが終わって今帰るところですけど。
亜毛屁端-----ということは、全員が避難して誰もいないはずのこの街でサンタの仕事があったということでしょうか?
サンタ-----サンタの仕事っていうかバイトなんですけど。まあとりあえずは…。デュフ…。
亜毛屁端-----そうですか。まだ街に残っている人がいるという事ですが、一刻も早く避難してください。そしてサンタさんも気をつけて帰って下さいね。
サンタ-----はあ。まあ。どうも…。
Little Mustapha-----あれ、バイトのサンタさんだ。あのサンタさんの言う「とりあえず」は色んな意味だから間違えないように気をつけないといけないんだけどな。
マイクロ・ムスタファ-----いや、そんなことを気にしている場合ではないと思うのですが。
ミドル・ムスタファ-----そうですよ。あのサンタさんがいるってことは、アンドロイドが襲撃する街ってこの辺りなんじゃないですか?
Little Mustapha-----でもサンタさんなんだし、行動範囲はすごく広い…、と思ったけど、あのバイトサンタはタダのちょっと冷めてる大学生だから特別な能力とかはないのか。
Dr. ムスタファ-----ということは、やっぱりこの辺りなんじゃないか?
Little Mustapha-----でも夕方みんなが来た時にはまだ街には人がいっぱいいたでしょ?
ニヒル・ムスタファ-----そうだが、そんなことを言ってるよりも窓を開けて確認すれば良いじゃないか。
Little Mustapha-----まあ、そうだよね。ということで、窓から外を見てみると、ウワァ、真っ暗!
一同-----エーッ!プレゼントが貰えないだけじゃなくて、恐怖のクリスマスまであるの?
子犬サンタ君-----ワン…!
Little Mustapha-----またみんなで驚いたから子犬サンタ君もビックリだな。
ミドル・ムスタファ-----それよりも、どうするんですか?
Little Mustapha-----まあ、もうプレゼントがないことは解ってるんだから、逃げても大丈夫なんだけど。もしもすでに何かが起こり始めているということだと、迂闊に外に出るのも危険だよね。
Dr. ムスタファ-----それじゃあ、科学的には隠れるしかないな。
ニヒル・ムスタファ-----科学的じゃなくてもね。というかLittle Mustaphaは何してるんだ?
Little Mustapha-----いや、なんていうか。情報収集をね。ボクらのところには避難勧告なんて情報は伝わってこなかったし。もしかするとコレのせいじゃないか?ってことで留守番電話機にちゃんと電源を入れてみるんだけど。
ミドル・ムスタファ-----そんな事して大丈夫なんですか?
Little Mustapha-----だって、今回はこの留守番電話機をきっかけに何かが始まったワケじゃないんだし。
マイクロ・ムスタファ-----アッ!
ニヒル・ムスタファ-----みんなが注目してたのに、やっぱりマイクロ・ムスタファが最初に異変に気付くんだな。
Little Mustapha-----そのようだけど。ちゃんと電源を入れたら早速メッセージが残されていることを示すランプが点滅してるんだけど。
Dr. ムスタファ-----電源は入ってなくてもメッセージは残るのか?
ミドル・ムスタファ-----まるで携帯電話の留守電ですね。
Little Mustapha-----なるほど、そういう考え方もあったか…。というか、これは本体に録音するタイプなんだし。あってそうな事を言われると話がややこしくなるから。ということで、とりあえず再生ボタンを押してみようかと思うんだけど。このメッセージが避難勧告だったりするかもよ。ピッ!
ニヒル・ムスタファ-----もう、同意を得ずに押すんだな。
留守番電話機-----ゴゴ…ゴジ…ラ。ゴ…ゴ…フンゴ。イッケン…ゴ…。ピーッ!「ちょいと、なんなんですの?あたくしをクリスマスパーティーに招待しないばかりか、今回は電話の電源も切ってるんじゃありませんこと?これって故意でやっているとしたら、あなた達は名誉毀損で訴えられる事になりますのよ!でもあたくしはそんなに心の狭い人間ではありませんから、今回だけは大目に見ますけれど、次からはちゃんとあたくしを招待しなければ承知しませんからね。あたくしはラジオ番組のクリスマス特番で忙しいのですけれど、あたくしのお屋敷にある電話機は常に電源が入っていますし、メッセージも残せますから、あたくしに謝罪する気があるのなら、今すぐに電話するんですのよ!あたくしのお屋敷の電話番号は666の…」ピーッ!メッセ・イジ、イジ!オワリッ!!
Dr. ムスタファ-----電源が入ってないのは名誉毀損なのか?
Little Mustapha-----それは知らないけど。とにかく怒ってたってことだね。
ミドル・ムスタファ-----でも、これじゃああんまり意味が無かったですね。
ニヒル・ムスタファ-----まさかPrincess Black-holeが怒ってるからみんな避難してるとかじゃないよな?
Little Mustapha-----そんな展開はなかなか無いと思うけど。
ニヒル・ムスタファ-----まあ、そうだよな。
Little Mustapha-----良く解んないから、今度はテレビで街の様子を確認だ!せーの…!
一同-----点けぇぇぇ…!
腹屁端-----ホントに美味しいクリスマスケーキでしたぁ。腹パン思わずお皿まで食べてしまいました。腹パンもう腹パンパンで大満足です!…それでは、ここで腹パンもアンドロイドに襲撃されると言われている街に移動してみたいと思います。もしかすると人間がアンドロイドに襲われるという衝撃シーンのリポートが出来るかも知れません。それではスタジオにお返ししまぁす!
スタジオのキャスター-----はい。以上、腹パンのグルメコーナーでした。続いては…、例の街から亜毛パン?…エッ腹パン?!もうついたの?…はい。それでは、続きましてアンドロイドに襲撃されると言われている街から腹パンが中継でお伝えします。
腹屁端-----はい、こちら現場の腹パンでよろしかったでしょうか?みなさん、ここがどこだか解りますかぁ?
スタジオのキャスター-----えっと。アンドロイドに襲撃される街ということだと思いますが。さっきのクリスマスマーケットの会場から近い場所なのですか?
腹屁端-----何を言っているのか全然解りません。ここはアンドロイドに襲撃されるとウワサされている街なのです。
スタジオのキャスター-----それは知ってますけど…。とにかく続けて下さい。
腹屁端-----はい。そして、こちらは真っ暗でよろしかったでしょうか?ということで、辺りには明かりの点いた家はほとんどなくて、静まりかえっている状態なのです。アッ、あれは新人女子アナの亜毛屁端でよろしかったでしょうか?この暗い中でも恐がらずにリポートをしている根性は認めますが、もっと恐ろしいことが起こるとは全く気付いていない様子です。
スタジオのキャスター-----もっと恐ろしい事と言いますと?
腹屁端-----それはこちらのことなので気にしないで下さい。
スタジオのキャスター-----リポートしてるのにこちらのこと、って…。えーっと、他には何かありますでしょうか?
腹屁端-----他にはなにもない、静かなクリスマスイブだと思われます。
スタジオのキャスター-----そうですか。CMに続いては、恐らく亜毛パンのリポートです。
Little Mustapha-----ということで、女子アナとテレビクルーがいても大丈夫な状態ってことかな?
Dr. ムスタファ-----それよりも、今年はCMは見ないのか?
Little Mustapha-----だって今年はスターウォーズやらないから、コラボ企画とかもないし、スパイダーマンを付ける余地もないからね。
ミドル・ムスタファ-----なんですかそれは?
ニヒル・ムスタファ-----先生が余計な事聞くから話が解らなくなるぜ。
マイクロ・ムスタファ-----それで、どうしましょうか?今逃げれば安全な場所に避難できそうですけど。
Little Mustapha-----まあ、そうだけどね。その代わり今回の話はここでオシマイということになって、それはそれで問題作ということだけど。
Dr. ムスタファ-----だがプレゼントがないと解ってるのに危険を冒すこともないだろう。
Little Mustapha-----確かにそうなるよね。じゃあ、そういうことで…。
まさか、今回はこんなところでオシマイなのでしょうか?そう思った時でした。誰かが玄関のインターホンのボタンを押して、今日二度目のチャイムがなったのです。