第九章:子犬サンタ君、猛烈タップをする
留守番電話機-----ゴゴ…ジュウジ…ニジュウジ…サンジュウジッ!ゴゴ…ゴ…ジュウジ…ニジュウジ…サンジュッ…ピーッ!「ピィィィィィ…ガガガガガ・キュルキュル…ピィィィィイイイ!」メッセイジ・オワリ!
ミドル・ムスタファ-----またこの雑音ですね。
Little Mustapha-----その前に留守番電話機が突っ込んで欲しそうな気もするんだけど、スルーで良いね。
子犬サンタ君-----ワンワン!ワンワンワンワン!
Dr. ムスタファ-----なんだ?興奮してるみたいだな。
ミドル・ムスタファ-----持ってた袋から何か出そうとしてるみたいですよ。
Little Mustapha-----ホントだ。まさか子犬サンタ君がボクらのプレゼントを持っていた!というドッキリ企画かな?
ニヒル・ムスタファ-----そんなことはないみたいだぜ。ちょっとだけ出てる部分を見ると、これはiPadだな。ほら、こういう作業は人間に頼めばすぐだぜ。
Little Mustapha-----うーん。子犬サンタ君のくせに新型のiPadだし。
ミドル・ムスタファ-----そういうところを気にしている場合ではないのですが。
Dr. ムスタファ-----しかし、肉球を使って上手いこと操作しているな。
ニヒル・ムスタファ-----先生よりも解ってるんじゃないか?
Dr. ムスタファ-----なんだと?
Little Mustapha-----それよりも、子犬サンタ君は何をしようとしてるんだ?見たことのないアプリを起動して、画面には大きなボタンが二つ。
ミドル・ムスタファ-----それを両前足を使ってものすごい勢いでタップし始めましたよ。
ニヒル・ムスタファ-----画面にはタップに合わせて0と1が次々に入力されてるんだが。
Dr. ムスタファ-----まさか遊んでるんじゃないだろうな?
ミドル・ムスタファ-----ペット用アプリですか?
マイクロ・ムスタファ-----いや、そうではないようです。これは二進数じゃないでしょうか?
Little Mustapha-----ということは、文字を使わずに直接二進数でコンピュータと対話を…。と驚いてたところで、作業が終わったみたいだけど。これは一体何だ、子犬サンタ君?
子犬サンタ君-----ワン!
ミドル・ムスタファ-----二進数で打ち込んだ内容が人間の言葉に変換されたようですね。
Little Mustapha-----ホントだ。なになに?「今のメッセージは地獄へ送られるビーコンなんだワン。あと一回ビーコンが送信されると、地獄のアンドロイドがこの場所を特定して、彼らが地上にやって来てしまうんだワン」だって。へえ、子犬サンタ君は意外と色んな事を知ってるんだなあ!
ニヒル・ムスタファ-----感心してる場合じゃないだろ。この場所を特定って、一体どういうことなんだ?
Dr. ムスタファ-----さあどうだか。
マイクロ・ムスタファ-----多分こういうことじゃないでしょうか。この家にあるトイレの扉です。あの扉は時には異次元への扉として機能していましたよね。そして、以前には地獄の軍団を手にしていたカズコがその扉を使おうとしていたこともありました。ただ、いまだに誰もその扉を悪用できていないということにはそれなりの問題があるからだと思うのです。しかし、ビーコンで場所を特定できたらその問題は解決してしまうのではないでしょうか?
子犬サンタ君-----ワンワン。
Little Mustapha-----それって当たってるってこと?それとも違うってこと?
子犬サンタ君-----ワン!
ミドル・ムスタファ-----また猛烈タップを始めましたね。
ニヒル・ムスタファ-----子犬サンタ君のiPadによると「惜しい」だってさ。
Little Mustapha-----つまりマイクロ・ムスタファの仮説は半分ぐらい合ってたってことなのかな。
マイクロ・ムスタファ-----いずれにしても、ビーコンを三回送信してしまったら恐ろしい事になるようですから、もう絶対にその留守番電話機は触ってはいけません。
Little Mustapha-----それは解ってるさ!…っていっても、これって電源入ってなくても動いたりするし、どうすれ…。
すると、その時留守番電話機から「We Wish You a Merry Christmas」が流れてきました。
Little Mustapha-----シュ、シュワシュワ言ってる…。
ニヒル・ムスタファ-----というか、なんでそんな曲が流れるんだ?
Little Mustapha-----知らないよ。着信音ってことかな?
ミドル・ムスタファ-----出なくて良いんですか?
Little Mustapha-----だって、あの変な音だと3回目だし、ヤバい事になるんでしょ?
子犬サンタ君-----ワンワン!
Dr. ムスタファ-----今のはどういう意味なんだ?
マイクロ・ムスタファ-----いずれにしても、音が聞こえなければ大丈夫なんじゃないでしょうか。
Little Mustapha-----そうは言ってもさ。あの音だったら、これに出た瞬間にピィィってなって…、というか。そうか!ハンズフリーじゃなくて普通に受話器を取れば音はボクにしか聞こえないのか!
ミドル・ムスタファ-----いっつもハンズフリーだからその事を忘れてましたね。
Little Mustapha-----そういうことなら、出てみるしかないな…。はい、こちらブラックホール・スタジオ、括弧私の部屋!
ニヒル・ムスタファ-----なんだそれは?
Little Mustapha-----…あぁ。なんだ!そうだったのか。ちょっと待ってね。今ハンズフリーに切り替えてみんなにも話が解るようにするから。
ミドル・ムスタファ-----誰だったんですか?
Little Mustapha-----なんと、イケメンのサンタ君でした。
Dr. ムスタファ-----なんかミョーに嬉しそうなんだが。
Little Mustapha-----まあまあ、そんなことは気にしないで。ピッ!もしもし。
留守番電話機(サンタ君)-----スイマセン、突然電話してしまって。緊急なんです。テレビを点けてみてください。
Little Mustapha-----緊急だって。ということで、すぐ点くようにみんなで集中して。せーの!
一同-----点けぇぇぇ!
みんなで念じたからか知りませんが、いつもよりもすんなりテレビが点いたような気がしました。でもそれは重要なことではありません。一体テレビでは何が放送されているのでしょうか?