名探偵ズゴック-----あの、球君島への連絡船はこちらでしょうか？

目玉和尚-----あんたは島に何のようじゃ？
名探偵ズゴック-----ちょっとした用事で。...あの、失礼ですが、あなたは目玉和尚じゃありませんか？
目玉和尚-----そうじゃが。
名探偵ズゴック-----それは丁度良かった。じつはこの手紙を預かってきたのです。
目玉和尚-----これは...。「開幕まで何ヶ月もあるのにシーズンシートが売り切れるのはやだ...云々」...。これはいったい。
名探偵ズゴック-----どうやらシーズンシートが完売だったようです。
目玉和尚-----シーズンシートが完売？！しかし、どうしてアンタがこれを？
名探偵ズゴック-----私が仲木戸の辺りをぶらついていたら、偶然小さなボール君に出会いまして。その時にこの手紙をあなたに渡すように頼まれたのです。

（双子？）

目玉和尚-----頼まれた、って。アンタも随分人が良いね。
名探偵ズゴック-----いや、ついでだったもので。
目玉和尚-----ついで？
名探偵ズゴック-----他にも島に用があるのです。
目玉和尚-----ああ、そういうこと。

レッシィ団員-----うわぁ、やっぱり海って良いですね。良い気持ちぃ！
ザクレロ団長-----なんだかなあ。最初は東京湾なんて汚くてヤだって言ったんだが。
レッシィ団員-----それは団長がちゃんと説明しないからですよ。
ザクレロ団長-----ちゃんと説明しただろう。東京湾の球君島に行くって。
コルタナ団員-----解析中...。きっと誰の提案か、って事が重要だったんだと思うわ。
ジムⅡ団員-----スイマセン。ボクが変な提案しなければ良かったですね。
レッシィ団員-----全然そんなことないよ。この島最高！
ザクレロ団長-----いつものように調子がイイんだしな。ところで他の団員はどうしたんだ？一応これは決起集会って事でもあるんだし。時間がない場合は最後に応援順番の抽選とかも付け加えられたりすんだが。
レッシィ団員-----でもこういう時って、刑事とか探偵とか設定が変わってたりするから、団員はこれだけかも知れませんよ。前は旧ザク団員がお爺ちゃんだったし。
ジムⅡ団員-----あ、次の船が来ましたよ。アレに誰か乗ってるかも知れませんね。

名探偵ズゴック-----やあ、これはどうも。
コルタナ団員-----解析中...。今回も名探偵になっているようよ。
ザクレロ団長-----これは犯罪のニオイがしてくるな。
名探偵ズゴック-----そんなことはありませんよ。ちょっと使いを頼まれたので名探偵になっているのです。
レッシィ団員-----だったら普通にズゴック団員でも良いのに。
名探偵ズゴック-----まあ、それもそうなんですが。とにかく、ちょっと行ってきます。この島の重要な人達に手紙を渡しに行かないといけないんです。さっき聞いたところによると、島を事実上支配している家の人と、その家と対立して支配権を我が物にしようと企む分家の人達だそうですが。
ジムⅡ団員-----なんだか嫌な予感がしますね。
ザクレロ団長-----解りやすく事件が起きそうだからな。ズゴック団員はやはり名探偵の方が良いかも知れないな。
目玉和尚-----ズゴックさん。そろそろ行きましょう。
名探偵ズゴック-----ああ、そうですね。それでは失礼します。

目玉和尚-----ズゴックさん。ここがボール家のお屋敷でございます。
名探偵ズゴック-----これは随分と発電所っぽい立派なお屋敷ですね。...で、中には入らないのですか？
目玉和尚-----文化財ですからな。家の中にいるという設定でお願いします。
名探偵ズゴック-----なるほど。

目玉和尚-----この方が分（ワケ）ボール家のボール夫人。
ボール夫人-----ちょっとなんなの？！シーズンシートが売り切れたって本当なの？全く嫌な話だわ。それにウチが本ボール家をつぶして島を乗っ取ろうなんて、そんなのはただのウワサですからね。近頃じゃこの島はラピュタに似てるなんて言われて騒がれていますけれど。支配するも何も本当は無人島なんですから。
目玉和尚-----あの、ボール夫人...。
ボール夫人-----あら、ちょっと喋りすぎたかしら？いずれにしても、シーズンシートが売り切れたんなら、本ボール家の財産はどうなるんでしょうね？本家の人達はまだ子供ですし、このままだったら、ウチが相続するってことにもなりかねませんけれど。あら、あたしったらお客様の前でこんな話をして...。
名探偵ズゴック-----どうしてシーズンシートが売り切れると財産が問題になるんですか？
目玉和尚-----それが、この島の事情は複雑でして。もしかすると前の話との関連かも知れませんし、ご都合主義なのかも知れませんが...。

「わーい！わーい！」
「なあなあ、大玉転がしやろうぜ」
「わーい！でも今はお客さんが来てるんだから、静かにしてないとダメなんだぜ」
「じゃあ、静かに大玉転がししようぜ」
「わーい！わーい！」
目玉和尚-----こら、オマエ達。ボールなんだからそういう遊びはやめろと言ってあるだろ！
「わー、怒られたぁ！」
目玉和尚-----あれが本ボール家のボール三兄弟です。こら、こっちに来て挨拶しなさい！
「チワぁっす！」
「チワぁっす！」
「チワぁっす！」
「わーい！わーい！今度は海行こうぜ！わーい！」
目玉和尚-----バカ兄弟で申し訳ない。
名探偵ズゴック-----いや、ボールらしくて良いじゃないですか。

「（うおぉぉおおお！マジやばいっす！）」

名探偵ズゴック-----...あの声は？
ボール夫人-----和尚さん。あと一人紹介するのを忘れてやしませんか？
目玉和尚-----そうだった。あれは島の外からやって来たジム団員といってな。あまりにも野球が好きすぎて、キャッチボールをしたがって。じゃが、この狭い島で野球をやるとボールがすぐなくなるから、それで仕方なく彼を部屋に閉じ込めてあるんですよ。
名探偵ズゴック-----ジム団員が？！...でもまあ、そういうことなら仕方ないですね。

レッシィ団員-----あれ？ザク団員じゃないですか。
ザク巡査-----いや、今回はこの島の駐在さんということになっているのです。
ザクレロ団長-----なんか最近はいつもお巡りさんなんだな。
ザク巡査-----それよりも、あなた方はナントカ応援団ですね。
ザクレロ団長-----いかにも。
ザク巡査-----実はあなた方の仲間の一人が、どうしてもキャッチボールがしたいって聞かないものでね。仕方なくボール家のお屋敷の座敷牢に閉じ込めてるのです。
ジムⅡ団員-----ええ、またそんなことを？！...どうもスイマセン。
ザク巡査-----この島じゃキャッチボールをやってもボールがすぐになくなってしまいますからな。やむを得ずということなんだが。
ザクレロ団長-----それで、あいつはどういう状態なんだ？
ザク巡査-----どうも座敷牢が珍しくて気に入ったみたいで。ヤバいとか、スゴいとか。けっこう楽しんでましたけど。
コルタナ団員-----解析中...。それじゃあ、しばらくそうしておいた方が良いわね。
ザクレロ団長-----そうだな。外にいるといつキャッチボール始めるか解らないからな。
ザク巡査-----そうですか。それでは私は巡回がありますからこの辺で。
レッシィ団員-----ご苦労様。...ジム団員は座敷牢の中でザク団員は駐在さんだったのか。あとは旧ザク団員とキュベレイ団員だけど。
コルタナ団員-----解析中...。次の船の到着まで、まだ時間があるわ。
ザクレロ団長-----旧ザク団員は別としても、キュベレイ団員の役割は大体わかってるしな。そろそろここも飽きたから、島の見物を始めるか。
レッシィ団員-----それじゃあ、私はジムⅡ団員と二人っきりでお弁当だね。
ジムⅡ団員-----エッ？もうお弁当ですか...。その前にみんなで島の観光を...。
レッシィ団員-----もう。シャイなんだから。
ザクレロ団長-----シャイ、ってそういうことか？
コルタナ団員-----解析中...。五分五分ってとこね。
ザクレロ団長-----その判定も良く解らないが...。

ザクレロ団長-----やっぱり自然は良いねえ。
ジムⅡ団員-----この時期なら虫も少ないですし。丁度良かったですね。
コルタナ団員-----向こうの丘に移動しましょう。ヤツら、ここの乗員はみんな死んだと思うはずよ。
ザクレロ団長-----...ん？！バグってるのか？

レッシィ団員-----ねえねえ。ちょっとジムⅡ君。この下に来てみて。
ジムⅡ団員-----なんですか？そんなところ入って大丈夫なんですか？
レッシィ団員-----良いから、良いから。ほら。ちょっとこれロミジュリっぽくない。ジムⅡ君。私はあなたの太陽よ！
ジムⅡ団員-----...。
コルタナ団員-----解析中...。キュベレイ団員がいないとやりたい放題だわ。
ザクレロ団長-----まったくだな。やっぱり全員そろわないと...ハッ？！（ピキィィイイーン！）

ザクレロ団長-----シャアか？！
ジムⅡ団員-----どうしたんですか？
ザクレロ団長-----いや、なんというかニュータイプの直感が何かを伝えたような、そんな気がしたんだが。
コルタナ団員-----シャアってなんのこと？そんな人これまで登場してないわよ。
ザクレロ団長-----そうなんだが。なんというか、直感だしな。
レッシィ団員-----ねえ、あそこに誰かいますよ。
ジムⅡ団員-----ホントですね。

ザクレロ団長-----アッ、旧ザク団員。
コルタナ団員-----さすがはニュータイプの直感ね。
ザクレロ団長-----いや。なんかそんな気がしたんだが、旧ザク団員だったとはな。

レッシィ団員-----こんなところで何やってるんですか？
旧ザク団員-----やあどうも。実は今回は寺の人なんですよ。
ジムⅡ団員-----寺の人？
旧ザク団員-----その、小坊主というやつですな。
ザクレロ団長-----ああ、だからか！
旧ザク団員-----なにがですか？
ザクレロ団長-----いや、こっちのこと。
コルタナ団員-----随分ベテランの小坊主ね。
旧ザク団員-----まだまだ未熟者です。
ザクレロ団長-----そういう意味じゃないと思うが。とにかく、残るはキュベレイ団員という感じだな。まあ、登場するまで観光の続きだな。
旧ザク団員-----それなら私が案内しましょう。

ボール君-----わーい...。あれぇ？みんなどこ行ったんだ？おーい...。

コルタナ団員-----自然の洞窟には見えないわね。どこに続いているのかしら？
旧ザク団員-----そりゃ、向こう側に違いないですが。
ザクレロ団長-----あ、あれは。

名探偵ズゴック-----やあ、これは。
レッシィ団員-----島の権力争いの人達とは会ってきたんですか？
名探偵ズゴック-----まあ、そんなところですが。どうも良く解らないのですが。ボール家というのは本家と分家があって、分家の方がワケボール家で本家の方が本ボール家というらしいのです。それはそれで良いのですが、ワケボール家にはボール夫人がいて、本ボール家にはまだ若いボールの三兄弟。それ以外には誰もいないようなのですが。
ザクレロ団長-----まあ、人が少ないのなら争いも少なくなるし、良いんじゃないか？
名探偵ズゴック-----そうなんですが。どこか引っかかるんですよ。なにか恐ろしい事が起こるような気がするのです。
コルタナ団員-----解析中...。そういうことなら、この島で小坊主をやっている旧ザク団員に聞けば解るはずよ。
名探偵ズゴック-----ああ、今回は小坊主なんですか。
旧ザク団員-----そうなんですが。でも私も今日ここに来たばかりで。来たらいきなり小坊主という設定になってたもんで。
レッシィ団員-----ヘンな話ね。
名探偵ズゴック-----そうですね。それにあなたも気をつけないと。
レッシィ団員-----なんで私が気をつけないといけないんですか？
名探偵ズゴック-----ワケボール家のボール夫人というのが、実はあのハマスタ好きのボール君の母なんです。もしかして、我々が今日ここに呼ばれたのには裏でボール君の母が関わっているかも知れませんよ。
ジムⅡ団員-----いや。ここに来ることを提案したのはボクなんです。ちょっと興味があったもので。
ザクレロ団長-----じゃあ、偶然ってことだな。我々は楽しく観光して帰れば良いんだし。人の家のゴタゴタなんか気にしてられませんよ。
レッシィ団員-----ほんと、ほんと。
名探偵ズゴック-----ところであそこにいるのは目玉和尚さんじゃないですか？

旧ザク団員-----ああ、あの人が。実は私、まだ会ったことがないんですよ。
ジムⅡ団員-----ホントに急に決まったんですね。その設定は。
ザクレロ団長-----しかし、随分急いでるみたいだが。あの先にお寺があるのかな？
コルタナ団員-----解析中...。その前に、この島にお寺があるなんて話は聞いてないわよ。
ザクレロ団長-----まあ、せっかくだからついていってみたら良いんだし。

「（おぉぉおおい。誰かぁ！来てくれ！大変じゃ。大変な事が起きたんじゃ！」

名探偵ズゴック-----あれは目玉和尚の声。
旧ザク団員-----まるで悲鳴のようでしたが。どうしたんでしょう？
名探偵ズゴック-----急いで行ってみましょう。

名探偵ズゴック-----目玉和尚、どうしました？
目玉和尚-----あ、あれを...。なんて恐ろしい事だ...。
名探偵ズゴック-----アッ！あんなところにボールが引っかかっている！

レッシィ団員-----キャァ！ジムⅡ君、あたし恐い...！
ジムⅡ団員-----ちょ、ちょっと...。それよりも、誰かに知らせないといけないんじゃないですか。
ザクレロ団長-----そういえば、ザク団員が駐在さんだったな。だが、どこいるんだろう？
コルタナ団員-----みんなで探さないといけないみたいね。
名探偵ズゴック-----それじゃあお願いします。私はここでボール君の様子を見ることにします。
ザクレロ団長-----よし、じゃあ行動開始！

目玉和尚-----（なんまんだぶ...なんまんだぶ...。サイン違いじゃが、仕方がない...）

名探偵ズゴック-----？！

レッシィ団員-----あれぇ...、みんなどこ行っちゃったんだろう？はぐれちゃったかな。
ボール夫人-----あらあなた。
レッシィ団員-----（ゲッ、こんなところでヤな人に会っちゃった。）

ボール夫人-----女の人が一人でこんなところにいたら危ないですよ。なんでもボールが木に引っかかっていたって言うじゃありませんか。犯人も見つかっていないみたいですし。しばらくウチにいたらどう？
レッシィ団員-----いえ、けっこうです。私一人で大丈夫ですから。
ボール夫人-----あらそう。でも気をつけなさいね。それじゃ。
レッシィ団員-----はあ。...なんかミョーに優しかったけど。どうしたんだろう？

ザク巡査-----これは酷いですな。
目玉和尚-----ああ、まったくじゃ。一体誰がこんなむごいことを。
ザク巡査-----まさか、ボール家に閉じ込めていたジム団員が逃げ出して、ボール君でキャッチボールしたんじゃないでしょうね。
名探偵ズゴック-----それじゃ、ジム団員が逃げ出していないか確かめてみる必要がありますね。
ザク巡査-----これは急がしくなりそうですな。

[ 第二話に続く ]