キュベレイ団員-----事件と聞いて飛んできたぞ。
ザク巡査-----ああ、それは助かります。...えーと、今回も刑事という設定で良いんですよね。
キュベレイ団員-----当たり前だ。そのためにわざわざ遅れて登場なのだ。早速容疑者を取り調べるぞ。

キュベレイ団員-----白状しろ。オマエがやったのは解っているのだ。
ジム団員-----なんすか？オレずっとあの部屋にいたっすよ。なんか牢屋になっててヤバかったっすからね。
キュベレイ団員-----ヤバい、とはなんのことだ？
ジム団員-----いや、なんていうか。適当に。
キュベレイ団員-----もっと解らなくなったぞ。
名探偵ズゴック-----しかし、刑事さん。ジム団員を犯人だとするには証拠がないんですよ。ボール君が木に引っかけられた時間にジム団員があの家にいたか、いなかったか。それを証明できる人が誰もいなのです。
キュベレイ団員-----なんだオマエは。
名探偵ズゴック-----探偵です。
キュベレイ団員-----ふーむ...。ヨシ、解った。ちょっと一緒に来てもらおうか。
名探偵ズゴック-----はあ、なんでしょうか。

ガチャ、バーン！ガチャガチャ！

名探偵ズゴック-----うわぁ、なにするんですか？！

名探偵ズゴック-----どうしてこんなことするんですか？私は何もしてませんよ。
キュベレイ団員-----今回はそんなテンションなんだ。
名探偵ズゴック-----テンションで逮捕なんて。間違ってますよ。
キュベレイ団員-----これで一件落着だな。
ザク巡査-----ホントにこれで良いんでしょうか？
キュベレイ団員-----大丈夫だ。それよりも、ここに来る船に大きな荷物が載っていたが、あれはいったい何だ？
ザク巡査-----ああ、そういえば釣鐘が届くと言ってましたな。
キュベレイ団員-----釣鐘？
ザク巡査-----そうです。お寺にあるあの釣鐘です。ネットで安かったって。
キュベレイ団員-----今時はなんでもネット通販か。

目玉和尚-----ああ、恐ろしい。なんて恐ろしいことだ...。

ザクレロ団長-----それじゃあ、やっぱりこの島にはお寺なんてなかったんだな。
旧ザク団員-----そうなんですよ。私もあちこちお寺を探して歩き回ってたんですが、これから作る予定だなんて言われて。今日やっと釣鐘が届いたんですよ。私もよくよく運のない男です。
レッシィ団員-----さっきの荷物は釣鐘だったんだ。やっぱり普通の釣鐘なんですか？
ザクレロ団長-----普通もなにも。釣鐘っていったら大体一緒だろ。
レッシィ団員-----そうじゃなくて、たまにはピンクの釣鐘とか可愛いのが良いじゃないですか。
ザクレロ団長-----そういう発想は良く解らないがな。
旧ザク団員-----多分普通の釣鐘だと思いますが。まだ梱包されたままなんでわからんのです。

可愛いジム-----た、大変だぁ！
旧ザク団員-----あ、あれは可愛いジム君。どうしましたか？
可愛いジム-----釣鐘の下にボールが入っちゃったんですよ。
旧ザク団員-----釣鐘の下に？そんなことは不可能じゃないか？箱から出してあったとしても、重たいですからね、あれは。
可愛いジム-----でも中からボール君の声も聞こえて来ますし。
コルタナ団員-----解析中...。ここで話しているよりも見に行った方が早いわ。
レッシィ団員-----そうですよ。面白そうだし、見に行ってみましょうよ。
ザクレロ団長-----まあ、どうせヒマだし、行ってみるか。

ザクレロ団長-----あれ？これって釣鐘じゃなくてスターマンじゃないか？
コルタナ団員-----解析中...。スターマンじゃないわよ。釣鐘でもないみたいだけど。
目玉和尚-----ボール君！ボールくーん！今出してやるぞ。
ジムⅡ団員-----人の力じゃこの鐘は動かせそうにないですね。
キュベレイ団員-----それじゃあ、だれがこんな恐ろしい事をしたというのだ。
ザク巡査-----こういう時には探偵がトリックに気付いたりするかも知れませんがね。釣鐘の力学とかなんとか言って。
キュベレイ団員-----うーん。ノリにまかせて牢屋に入れたのが間違いだったな。

名探偵ズゴック-----いやあ、酷い目に遭いました。

ザクレロ団長-----キュベレイ団員は適当なくせに強引だからなあ。
レッシィ団員-----あっ、ズゴックさん釈放されたんですか。
名探偵ズゴック-----おかげさまで。
レッシィ団員-----ねえねえ、それよりも聞いてよ。すごい話聞いちゃった！
ザクレロ団長-----なんだ。ウワサ話は良くないぞ。
レッシィ団員-----そんなんじゃないですよ。お化けの話なんだから。
ザクレロ団長-----なんだ怪談話か。
レッシィ団員-----そうなの。さっき港のところで船員さんから聞いたんだけどね。釣鐘が歩いたんだって。
名探偵ズゴック-----釣鐘が歩いた？！
ザクレロ団長-----あれは釣鐘じゃなくてスターマンだから歩くのは当たり前だろ。
コルタナ団員-----だから、あれはスターマンじゃないわ。
名探偵ズゴック-----でも、あれが釣鐘かそうでないかに関わらず、さっきは動けない状態になってたんですよね。
ジムⅡ団員-----そうですね。逆さまになってましたから。
名探偵ズゴック-----なんだか嫌な予感がしてきましたよ。
ザクレロ団長-----嫌な予感？
名探偵ズゴック-----そうなんです。実は小さなボール君から手紙を預かった時に、彼は三兄弟が心配だと言っていたのです。シーズンシートが売り切れた事によって、三兄弟に恐ろしい事が起きると。
ジムⅡ団員-----それじゃあ、次はもう一人のボール君が？
名探偵ズゴック-----そうなんです。他の二人と同じように、木に引っかかったり、物の下に入り込んだり。そういう事になるかも知れません。

ジム団員-----なんかつまんないな。せっかく島に来たのにキャッチボールもできないし。
ボール夫人-----あら、あなた。

ジム団員-----なんすか？
ボール夫人-----ダメじゃないの、座敷牢に入ってないと。
ジム団員-----あれはもう飽きたから出てきたっす。
ボール夫人-----そうなの。じゃあ仕方ないわね。それよりも本ボールのところのボール君見なかった？
ジム団員-----あの三兄弟のっすか？なんか木に引っかかったりしてるって聞いたっすよ。
ボール夫人-----そうなのよ。でももう一人いるから探してるの。まさかあなたボール君でキャッチボールなんてしようとしてないわよね。
ジム団員-----しないっすよ。さっきそれで駐在さんに怒られたんすから。それにボール君を木に引っかけたのオレのせいにされたんすからね。
ボール夫人-----あらそう。どうでも良いけど、やることないなら行ったらどうなの？
ジム団員-----そうっすね。

キュベレイ団員-----一人は木に引っかけられ、もう一人は釣鐘の下。いったい犯人の狙いは何なのだ？
ザク巡査-----解りませんな。しかし、三兄弟のうちの二人が犠牲になったのですし、このままだともう一人も...。
キュベレイ団員-----それならば、ボールが入ったら取れなくなるような場所を気をつけないとな。だいたい、その三兄弟というのは何者なんだ？
ザク巡査-----本ボール家の息子三人です。というより、彼らの他に本ボール家の人間はいないのですが。
キュベレイ団員-----ふーむ。...ヨシ！解った。犯人はジム団員だな。
ザク巡査-----えぇ？！どうしてそうなるんですか？
キュベレイ団員-----物事は単純に見えて実は複雑だったりするものだよ。第二の「ボールが取れない事件」は最初の「ボールが取れない事件」をカムフラージュするために計画されたに違いない。キャッチボールをしてボール君を木に引っかけたジム団員は、それを自分の犯行ではないように見せかけるために、もう一人のボール君を釣鐘の下に入れたのだ。ふつうキャッチボールをしたがっている人間がわざわざボールを釣鐘の下に入れたりしないからな。
ザク巡査-----それは、なんというか。複雑ですな。
キュベレイ団員-----そうと解ったら、早速逮捕だ。

[ 第三話に続く ]