クリスマス あっちとこっちは そことここ?
今年はいつもと違ってブラックホール・スタジオ(Little Mustaphaの部屋)のある街では何も事件が起きていませんでした。その街では密かに毎年事件が起きるのを楽しみにしているマニアの人達もいたのですが、そういう人達は何も起きないので「こんなことなら、これまでのように普通にクリスマスを呪っておけば良かった」と良く解らないことを考えていました。
しかし、彼らの知らないところでは大変な事になっていて、それはもしかすると誰も予想しなかったバッドエンディングになるのかも知れませんでした。
とにかくピンチになったLittle Mustapha達はこっちの世界とあっちの世界を電話で繋ぎながらラジオを聞き始めました。ラジオからはPrincess Black holeのステキなシングル曲が流れていて、それが終わるとPrincess Black holeのステキなトークが始まりました。
Princess Black hole(ラジオ)-----ステキな曲でしたわね!それではここで毎年恒例の「今年の重大ロココ」のコーナーといきたいところですが、臨時ニュースが入ってきましたのよ。「夕方のニュース番組の人気女子アナ、ウッチーこと内屁端アナウンサーからウッチーの称号を授与された新ウッチーが早くも降板の危機か!?」ですって。どうやら、勝手な判断で予定とは全然違う場所でリポートをしたのが原因らしいですわよ。でもこれって、わざわざ臨時ニュースでお伝えするほどのことかしら?…ウフッ!笑ってしまいますわね。でもこの番組はあたくしも去年お手伝いさせていただいたでございましょ?そういうところを考えるとあたくしのイメージダウンにつながりますから、軽率な判断は禁物ですわね。それでは、気を取り直して「今年の重大ロココ」のコーナーですのよ!
Little Mustapha-----軽率な判断は禁物ですのよ!キミ達。
ミドル・ムスタファ-----それはどうでもいいですよ。今はそんなことを言っている場合ではないですから。
Dr.ムスタファ-----それよりも、今年はそっちでは何も起きてないのか?殺人サンタとか吸血鬼とかそういうのは?
ニヒル・ムスタファ-----オレ達がこのヘンな場所にいるのが今年の事件なんだぜ。
Dr.ムスタファ-----ああ、そういわれればそうだな。
ミドル・ムスタファ-----今気付いたんですか?
Dr.ムスタファ-----いや、そうじゃなくてな。身から出た錆ということだよ。
ミドル・ムスタファ-----それはあっているのかどうかビミョーな感じですね。
ニヒル・ムスタファ-----どうせ意味は解っていないからどっちでもいいのさ。
Little Mustapha-----それよりも、今回はこの状況をナントカするための手段というか、方法というのがゼンゼン見当たらないのだけど、これはどうしたものかな?トナカイさんもいなくなちゃったし。なによりも、そっちにサンタの酒がないというのがいけないよね。これまで何度もサンタの酒に守られてきた感じだし。ここにあるサンタの酒をそっちに送る方法とかあればいいんだけどね。
ミドル・ムスタファ-----それが解るなら、私達がそっちに行きますよ。
Little Mustapha-----ああ、それはそうだね。
マイクロ・ムスタファ-----それよりも、大丈夫なんですか?
Little Mustapha-----何が?
マイクロ・ムスタファ-----いや、あっちの三人ですよ。「リボンを付けたネコ」の生け贄になるということですが、それがいつなのか解っているんですか?
ミドル・ムスタファ-----それは良く解ってないんですが、これまでの経験からすると、恐らく12時を過ぎて日付が変わったらヤバいんじゃないかとか、そんな気持ちでいるんですが。
Little Mustapha-----そうか、それならあと1時間ちょいかな。それじゃあ、どうしようか?またギリギリまで粘ってみるというのはどうだろう。もちろん酒の力は借りるけどね。そっちもまだ酒はいっぱい残ってるんでしょ?
ニヒル・ムスタファ-----あることにはあるんだが、こっちの酒はそれほどウマくないぜ。
Little Mustapha-----それは気分の問題だよ。こっちはサンタの国のサンタの酒を楽しく飲んでいるんだから、みんなで力を合わせたらそっちの不味いウィスキーも美味しくなるかも知れないし。
ミドル・ムスタファ-----どう力を合わせるのか全然解りませんが。
Little Mustapha-----とにかく、焦れば焦るほど追い込まれていくからね。とにかくみんなで力を合わせる記念で乾杯するんだよ。
Dr.ムスタファ-----キミはやっぱり飲みたいだけなんじゃないか?
Little Mustapha-----良いから。それじゃあいきますよ。せーの…
一同-----メリークリスマース!
全員そろうとなぜかグダグダの展開になってしまうのですが、とにかく乾杯してまたクリスマス風の雰囲気になってしまいました。しかし、やはりいつもと違ってくだらない話が始まったりせずに、おのおのがこの状況をどうにかする方法を考え始めて沈黙する時間が多くなっていました。
そうなると、つけっぱなしのラジオからPrincess Black holeの喋る声が良く聞こえてきます。
Princess Black hole(ラジオ)-----ホントにロココな一年でしたわね!それではここで、視聴者の方達からよせられたお便りを元にした「みなさまの今年の重大ロココ」の発表に移りたいと思いますわ。これは今年から始まった企画なんですけれど、これまでの「今年の重大ロココ」を聞いた視聴者のみなさまが「あたくしのところではこんなロココがございましたわよ!」というお便りを番組宛てに送ってくださったそうで、そういうお便りの中からステキなものを発表していく新コーナーなんですの。それでは、早速発表してみたいと思いますわね。今年の重大ロココのその1は「瓢箪から駒!」ですのよ!これって体験された方います?実はあたくしは一度だけあるんですのよ!あたくしも、そんなことはあり得ないと思っていたのですが、実際に体験してみるととてもロココな気分になるんですの。なんて言うか、未知の世界への扉が開かれたような感じかしら。みなさまにもきっとそんなステキなロココが起きると良いですわね。それでは続いてのロココは…
マイクロ・ムスタファ-----ああ、そうか!
マイクロ・ムスタファが何かに気付いて興奮しながら半ば叫ぶように言うと頭をボリボリと掻き始めました。
Little Mustapha-----なんだそれ、金田一?いきなり大きな声を出されるとビクッとなってしまうよ。
マイクロ・ムスタファ-----ああ、すいません。一度これをやってみたかったんですけどね。それはどうでも良いことです。それよりも、私はどうしてこんなことに気付かなかったのでしょうか。
ミドル・ムスタファ-----どうしたんですか?もしかしていい方法が思いついたとか。
ニヒル・ムスタファ-----どうせまた自分の小説を引用して終わりだろ。
マイクロ・ムスタファ-----いや、今日は未完の小説を引用しすぎて何も残っていないですし、これはもしかすると次の作品のネタになるかも知れません。
ミドル・ムスタファ-----それよりも、何が解ったんですか?
マイクロ・ムスタファ-----みなさんは私がどうやってこの世界に帰ってこられたか知ってますか?
Little Mustapha-----そんなの知らないし、キミも知らないから戻ってきた時には自分でも驚いてたじゃん。
マイクロ・ムスタファ-----そうなんです。でも、このあいだブラックホール君がここへやって来た時や、さっき白色矮星君がここに来た時に何が起きていたと思いますか?
Little Mustapha-----知らないけど。ボクはお腹が痛くてウ○コしてたんだなぁ!
マイクロ・ムスタファ-----そこなんです。そこに鍵があるんです。
Dr.ムスタファ-----つまり、ブラックホール君や白色矮星君はLittle Mustaphaのお尻から出てくるってことだろ。私はなんとなくそうじゃないかと思っていたんだが。
Little Mustapha-----そんなワケないよ!というか、そんなことが起きてたらボクはなんなんだ?というか、彼らはボクのウ○コか?
マイクロ・ムスタファ-----ちょっと、話をそらすのはやめてください。
Little Mustapha-----というか、最初に結論を言わないでもったいぶるからそういうことになるんだよ。
マイクロ・ムスタファ-----でも私は文学ですから。
Little Mustapha-----だから、さっきから文学の意味が解らないんだけどね。
マイクロ・ムスタファ-----私がこの世界に戻ってくる前に何をしていましたか?
Little Mustapha-----なんだっけ?トナカイさんと話している時にいつの間にか戻ってきてたから良く知らないけど。
マイクロ・ムスタファ-----私はあっちの世界のこの部屋のトイレに行って帰ってきたらこの世界にいたんです。
Dr.ムスタファ-----そうか!つまりもっと水分をたくさん摂取して排尿したら元の世界に戻れるってことだな!
ニヒル・ムスタファ-----それは全然違うと思うぜ。
マイクロ・ムスタファ-----ええ、そうですが。
ミドル・ムスタファ-----でも、どういうことなんですか?
マイクロ・ムスタファ-----ここのトイレの扉のある場所はちょうど異次元っぽい世界どうしのつなぎ目に存在しているというのか、このトイレの扉は同時に異世界への扉なのかも知れません。この世界に存在し得ないものが現れる時には必ずこの部屋のトイレの扉が開け閉めされていたのです。
マイクロ・ムスタファがそう言ったとたんに、トイレの扉がバタバタと開く音がして、トイレから数人がバタバタとLittle Mustaphaの部屋にやって来る足音がしました、そして扉がバタバタ開くとLittle Mustaphaとマイクロ・ムスタファの姿を見付けて固まっている他の三人の姿がありました。
三人-----やったーーーーー!
本当にそんなんで良いのか?という気もしますがミドル・ムスタファとニヒル・ムスタファとDr.ムスタファの三人が一度あっちの世界のトイレに入って出てくるとこっちの世界に戻ってこられたようです。毎日そのトイレを使っているLittle Mustaphaはビックリしながらマイクロ・ムスタファと戻ってきた三人とを交互に見ていました。どうして自分はヘンな世界に迷い込んでしまわないのか?とかそんなことを思っていたはずですが、とりあえず三人がこっちの世界に戻ってきたので、ここでまたメリークリスマース!という展開になっているようです。
Little Mustaphaが「とりあえず乾杯しようか」と言う前にこっちの世界に戻ってこられた三人は嬉しさのあまりに、勝手にそこにあった「サンタの国のサンタの酒」をグラスに注いでいました。
Little Mustapha-----それじゃあ、なんていうか、またそういう雰囲気だから乾杯しましょうか。
ニヒル・ムスタファ-----雰囲気とか、そんなこと言ってる場合じゃないぜ!
ミドル・ムスタファ-----そうですよ!やっぱりここが一番なんですよ。
Dr.ムスタファ-----そうだ、そうだ!
Little Mustapha-----どうでもいいけど、それじゃあ。せーの…
一同-----メリークリスマース!
ということで、やっと全員そろって乾杯が出来たのですが、戻ってきた三人は今回の彼らの行動に関してずっとLittle Mustaphaに平謝りでLittle Mustaphaは面倒になっていました。いずれにしても何らかの形で制裁は必要だとは思っていましたが、今はそれを気にしている感じではないので適当に受け流していました。
それよりも、今年のクリスマスの事件はこれで解決したのでしょうか?そんなはずはありません。Little Mustapha達が飲み始めると、先程トナカイや白色矮星君の家が入ってきたベランダに続く窓の方かがガタガタという音が聞こえてきました。今年のクリスマスはそう簡単には終わりません。