クリスマス特番での出来事を書いていたら原稿用紙10枚分ぐらいになってしまったかも知れませんが、何かが起きるかも知れないと身構えていたLittle Mustapha達にとってはなんとも言えない内容でした。アンドロイド女子アナが出てきたり、キショー君が喋るとアンドロイド女子アナ達が襲撃を中止したり、怪しい内容ではありましたが、ブラックホール・スタジオ(Little Mustaphaの部屋)やLittle Mustapha達に関係あることとは思えませんでした。
危険が迫っている様子はなく、サンタからのプレゼントは相変わらずグレーゾーンということです。
Little Mustapha-----結局、犬弟子サンタ君の「何かが臭う」とかそういうのは何だったんだ?
Dr. ムスタファ-----また女子アナが喧嘩するかと思ったら、何も起きなかったな。
ニヒル・ムスタファ-----まあ、オレ達には関係がなさそうだし、それはそれで良かったってことだよな。
犬サンタ君-----そうだワン。ああ、良かったんだワン。
Little Mustapha-----ホントに?なんかさっきから犬サンタ君ソワソワしている気がするんだけど。
犬サンタ君-----そんなことないんだワン。いつもどおりなんだワン!
Little Mustapha-----それならまあ良いけど。ところで、ボクらのプレゼントはどうなってんのかな。
ミドル・ムスタファ-----兵隊になるとかいう話は断ったんですし、きっと大丈夫じゃないですか。
Little Mustapha-----良いねえ。その前向きさのまま日付が変わればきっとその時にプレゼントは我々のものとなる!
Little Mustaphaが謎の自信を持ってそう言った時でした。どこからともなく耳をつんざくような音量であの人の声が聞こえてきました。
カズコ-----アンタ達に良いことを教えてやるよ。
Little Mustapha-----うわ、カズコ。また音が爆音になってるよ。
カズコ-----あら、そうなの?他のことやってたら何もしてないのに勝手に設定が変わったのよ。
Little Mustapha-----そんなの勝手に変わるはずはないと思うけど。
カズコ-----そんなことはどうでも良いのよ。アンタ達よりももっと良い兵隊を見つけたからね。報告してやろうと思ってさ。
Little Mustapha-----別に、ボクらに関係ないことだし、そんなことはしなくて良いんだけど。音が大きすぎて耳が痛いし。
カズコ-----関係ないことはないのよ。まあ、聞きなさいよ。さっきテレビでアンドロイド女子アナが出てきたでしょ。ああいうのも一時は私のものだったこともあんのよ。それが売り払ってしまって、今は別のところが管理しているってことなんだけどね。どうやら、さっきのアンドロイド女子アナってのは、欠陥品で中央のシステムから切り離されて勝手に行動してるってことなのよ。だから私がちょっと仕組みをいじってね、私の兵隊にしたってワケなのよ。
Little Mustapha-----欠陥品って…、それで大丈夫なの?
カズコ-----余計な心配はしなくて良いのよ。あなた私の能力を知ってるでしょ?地獄のクラウドに自分を複製してからは、どんなことだってプログラムで書けるようになってるのよ。
Little Mustapha-----プログラムって、去年の偽物のボクの部屋にあったあれ?全部if文で書かれてたやつ?
カズコ-----何で書かれてるかはどうでも良いのよ。どんなに大量のコードでもアッと言う間に書けるんだから。アンドロイド女子アナだって、すでに私の意のままだよ。
Little Mustapha-----それじゃあ、もうボク等は面倒なことにならなくて済むってことだよね。
カズコ-----それがそうはいかないのだ。
Little Mustapha-----なんで?!
カズコ-----お前達は余計なことを知ってしまったからね。これからアンドロイド女子アナ軍団の最初の仕事としてお前達を抹殺してもらうことにした。
Little Mustapha-----エェッ?!ちょっと待ってよ。知ってしまったっていっても、そっちが勝手に話しただけだし。
カズコ-----そうなりたくなければ耳をふさいでいれば良かったのだ。
Little Mustapha-----なんだそれは。滅茶苦茶な理屈だし。
カズコ-----それじゃあ、もういくからね。覚悟してなさいよ。
それきりカズコの声は聞こえなくなりました。
ニヒル・ムスタファ-----なんでこんな展開になっちゃうんだ?
ミドル・ムスタファ-----またしても命の危険ですよ。
Dr. ムスタファ-----なんというか、私らは呪われてるな。
退役サンタ-----なんだお前達。あんなアンドロイド女子アナごときに怯えてるのか?
Little Mustapha-----でも人数は多いよ。
退役サンタ-----オレを誰だと思ってるんだ?もっと大勢の本物の兵士を相手にしたことだってあるんだぜ。
Little Mustapha-----ホントに?流石は元サンタさんだ。というか、なんで退役サンタさんがこんなにムキムキなのかというのも謎ではあるけどね。
退役サンタ-----それは人間たちが勝手に描いたイラストのイメージが強いからだな。実際のサンタの仕事場は戦場も同然。強くなければやっていけないからな。それで引退後はオレみたいな仕事につくやつが多いってのもあるな。
ミドル・ムスタファ-----そういえばサンタ君もだんだんたくましくなってますからね。そのうち退役サンタさんみたいになるんでしょうか?
Little Mustapha-----そうなってくるとファン層も変わってくるかな。
マイクロ・ムスタファ-----あの、そんな事を言っている場合ではないのではないですか。退役サンタさんがいるとはいえ、アンドロイド女子アナが襲撃してくるってことですから。
Little Mustapha-----そうだった。でもまだ12時までにはかなり時間があるけど。
ニヒル・ムスタファ-----12時になって襲ってくるのは昔パターンだろ。
Little Mustapha-----それじゃあ、もうくるのかな?じゃあ、退役サンタさん、あとはよろしく。
退役サンタ-----何言ってるんだ。もしかするとお前達にも手伝ってもらうことがあるかも知れねえんだ。いつまでも飲み食いしてねえで、ここで気合をいれていくぜ。
Little Mustapha-----そうなの?それじゃ、まあシャキッとしようか。
退役サンタ-----そんなんじゃダメだ。ヨシ。オレが「全面戦争じゃぁ!」っていうから、お前達は「ウォー!」って言って気合を入れろ。
Little Mustapha-----えぇ…。それはちょっと…。
退役サンタ-----なんでだ?
ニヒル・ムスタファ-----なんていうか恥ずかしいし、オレ達のキャラと違うからなあ、そういうのは。
退役サンタ-----何言ってやがるんだ。
ミドル・ムスタファ-----しかも、その「ウォー」ってういのは「戦争」という意味の「ウォー」に掛けてるんじゃないですか?
退役サンタ-----まあ、そんな感じだがな。
ニヒル・ムスタファ-----ますます恥ずかしいな。
Dr. ムスタファ-----だが戦争は「ウォー」じゃなくて「ワー」じゃないのか?
Little Mustapha-----それは英語の先生が変なこだわりを持ってるかどうかで色々違うよね。どっちにしろカタカナ英語だから、どっちでも通じるかも知れないし、通じないかも知れないんだけど。
退役サンタ-----お前ら、いい加減にしろ。殺されても良いのか?
Little Mustapha-----いや、ダメです。
退役サンタ-----よし、それなら気合を入れいくぞ。全面戦争じゃぁ!
一同(退役サンタと犬サンタ君除く)-----ウォー…!
退役サンタ-----ダメだ、声が小さい!全面戦争じゃぁ!
一同(退役サンタと犬サンタ君除く)-----ウォー!
退役サンタ-----まだ気合が足りない。全面戦争じゃぁー!
一同(退役サンタと犬サンタ君除く)-----ウォォォーーー!!!
Little Mustapha達が雄叫びをあげてちょとだけテンションが上がる感じがしたのですが、その直後の静けさで逆に恥ずかしい感じがありました。Little Mustapha達の顔が少し赤くなっているのはテンションが上ったからなのか、恥ずかしいからなのかは解りません。するとその時部屋の片隅で明かりが点いて、誰かが喋る声が聞こえてきました。
「さっきから気になってましたが、コマリタ・システムからのお知らせがあるようです」
それは部屋の片隅に置かれている、Little Mustaphaが作っているRaspberryPi Zero を使って自動的に部屋のあれこれするための装置、パコべーことパコリタ・ナラ・ズイルベー・Zeroの声でした。
主要メンバーたちは前にもこの声を聞いたことがあるので、またなにか自動的に喋ったのだと思っただけでしたが、Little Mustaphaだけが首を傾げています。
Little Mustapha-----今のはパコベーの声だけど、喋るはずのない内容を喋ってた。
パコべーのスピーカー-----それは大ハズレ!実を言うとまたしてもコマリタ・ナラ・ズイルベーが勝手にログインしてスピーカーを使わせてもらっているのでぇす。
Little Mustapha-----あ、またそういう事をして。というか、コマリタということはアンドロイド女子アナってこと?
コマリタ-----それも大ハズレ!コマリタ・ナラ・ズイルベーの最新版は改良を重ね、欠陥品のアンドロイド女子アナとは全く違う物といっても過言ではないのです。ズイ・ズイ・ズイルベー!コマリタ・ナラ・ズイルベー!それでは、どうして私がここで話しているか解りますかぁ?
Little Mustapha-----知らないけど、またボクに用がある誰かに雇われてるってこと?
コマリタ-----またしても大ハズレです!しっかりしてくださいね。実はコマリタ・システム開発部からのメッセージがあるのです。それを私が読み上げるためにこの原始的なコンピュータにログインしているのです。
Little Mustapha-----いつも言うけど、勝手にログインしたらダメなんだからね。
コマリタ-----それなら勝手にログインされないシステムを作ってくださぁい。それじゃあメッセージを読み上げますね。「Little Mustaphaそして主要メンバーのみなさま。この度は我々が開発に携わった旧型のアンドロイド(アンドロイド女子アナ)があなた方の命を狙うような自体になり大変申し訳ありませんでした。これまで我々の指示に従わずに勝手に行動をしていた旧型のアンドロイド達ですが、先程何者かによって旧型アンドロイドのプログラムが書き換えられたようです。それによって、今まで我々では制御不能だった旧型アンドロイドのシステムに侵入することが出来るようになり、全ての旧型アンドロイドを停止することに成功いたしました。したがって今後旧型のアンドロイドがあなた方の命を狙うことはないはずです。どうぞ安心してクリスマスをお過ごしください」ということです。それから、これは特別サービスですが、以前の期限切れの指示の内容をここで実行しておきますね。旧型アンドロイドの脅威はさりましたが、別の脅威が近づいているかも知れません。それでは良いクリスマスを。以上コマリタ・ナラ・ズイルベーでした。
ミドル・ムスタファ-----ということは、恥ずかしい思いをして雄叫びを上げたのは意味なかったんですかね。
ニヒル・ムスタファ-----そういう事になりそうだな。
退役サンタ-----なんだ。久々にひと暴れできると思ったんだがな。
Little Mustapha-----多分、また全部if文のプログラムを作ったんだな。それでも一応動いてるっていうのがスゴいよね。だいたいAIのプログラムっていうのはif文を使わないっていうのが特徴って聞いたけど。
Dr. ムスタファ-----まあ、面倒なことはなくなったってことだし。またゆっくりサンタ君を待つことにしないか。
ミドル・ムスタファ-----そうですね。
マイクロ・ムスタファ-----いや、ちょっと待ってください。
ニヒル・ムスタファ-----なんだ?また変なことが起きてたりするのか?
Little Mustapha-----留守番電話のランプは点滅してないけど。
マイクロ・ムスタファ-----そうじゃなくて、たった今コマリタの話していたことですよ。別の脅威が近づいているって言ってました。
Little Mustapha-----といっても、これまでに起きたことに関しては全部片が付いたような気がするし。あと何があるんだ?
ニヒル・ムスタファ-----さあ。さっきのは冗談のつもりだったんじゃないか?
マイクロ・ムスタファ-----そうかも知れませんが。なんだか気になるのですが…。
犬サンタ君-----そうなんだワン…。
Little Mustapha-----なんだ、犬サンタ君。深刻な顔して。
犬サンタ君-----実はみなさんに秘密にしていた事があるんだワン…。
今日はなぜか落ち着きがなかった犬サンタ君ですが、ここで重要なことを話し始めそうです。