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#204 「シュンニュンリュィウィチュリュムニ」 2023-12-24 (Sun)

犬サンタ君-----やっぱりプレゼントは諦めた方が良いと思うんだワン。もしかするとプレゼントを諦めないから犯罪者になってしまうのかも知れないんだワン。

Little Mustapha-----なんか、そういうの前にもあった気がするけど、単純な話のようですごい複雑だよ。

犬サンタ君-----どうしてかワン?

Little Mustapha-----プレゼントを諦めると犯罪者にならないってことは、プレゼントを貰えるってことだから。

犬サンタ君-----良く解らないけど、諦めたらご主人様も喜ぶから諦めたほうが良いんだワン。

ニヒル・ムスタファ-----でも、犯罪者の判定はプレゼントを諦めることと関係しているとは限らないんだぜ。

Little Mustapha-----そうだよね。まあ、ここはジャーキーで手を打たないか、犬サンタ君。

犬サンタ君-----今日は御仏に仕える犬サンダ和尚君だワン。ビーフジャーキーもササミジャーキーも殺生は許されないんだワン。アーミィトーフーォ…(阿弥陀佛)!

Little Mustapha-----なんかさっきと発音がビミョーに違うな。

ミドル・ムスタファ-----それよりも、犬サンタ君、ジャーキーって聞いてよだれが出てきてますよ。

犬サンタ君-----だってお腹が空いてるんだワン。それに今日はここに料理がいっぱいあって、来た時から我慢するのが大変だったんだワン。

Little Mustapha-----なんか気の毒だからジャーキーは無条件であげるとしよう。

犬サンタ君-----ホントかワン?嬉しんだワン!それじゃあ、暫くの間はプレゼントは諦めなくて良いんだワン!


 犬サンタ君はジャーキーをもらって大喜びですが、Little Mustapha達はそれどころではなくなってきました。


ニヒル・ムスタファ-----それで、どうするんだ?このまま黙って成り行きを見守るっていうのか?

Little Mustapha-----ここまで上手くいってたのに、なにがダメだったんだろうね。

ミドル・ムスタファ-----ここまではなるべく余計なことはしないようにしてきたんですけど。もしかしてここからは何かをしないといけないとか?

Dr. ムスタファ-----それで何をするんだ?

Little Mustapha-----犯罪かどうか?ってことで考えるとこういうことだな。何もしないことが罪になるような、そんな罪を犯そうとしているってことだよ。

ニヒル・ムスタファ-----そんな罪ってあるのか?たまに何かをしてしまったのに気づいてなかった、とかいうのもあるけど。ああいうのは言い訳に聞こえるし。大抵の犯罪というのは意図的に行われているもんだぜ。

マイクロ・ムスタファ-----意図的といえば、私達はなるべく留守番電話機などを見ないようにしていましたけど。今気づいたのですが…。

一同-----あーっ!着信もないのに留守番電話にメッセージが残されていることを示すランプが点滅している(ぜ)(んだワン)!

Little Mustapha-----なんと、今回は退役サンタさんまで一緒に驚いてくれたけど。

退役サンタ-----そりゃ、ずっとここにいたのにいつの間にかメッセージが残されていたら驚くだろう。

Little Mustapha-----そうですよね。ということですが、とりあえずみんなに質問だけど、この点滅を放置するのは犯罪か否か。

ミドル・ムスタファ-----犯罪じゃないと思いますけど。放置するんですか?

Little Mustapha-----いや、どちらかというと気になって仕方がないし。でも、今回はボクの判断だけで再生ボタンを押してしまうのはどうかとも思うからね。

Dr. ムスタファ-----聞くだけなら犯罪にはならんだろう。

ミドル・ムスタファ-----それに内容が気になりますよ。

ニヒル・ムスタファ-----ただし、聞くことによって展開がいつものパターンになるってこともあるぜ。

Little Mustapha-----ここで意見が分かれてきたよ。それじゃあマイクロ・ムスタファは?

マイクロ・ムスタファ-----ここはあらゆる可能性を考慮して、メッセージを聞いても安全かどうかということを予測してから…。

退役サンタ-----もうチカチカ鬱陶しいから再生するぜ。ピッ!

Little Mustapha-----なんと、退役サンタさんがボタンを押すという新展開!


留守番電話機-----ゴゴ…ゴゴゴ…ジ…、ゴ…フン…ゴ…、、ピーーー!「ちょいと、何なんですの?久々に集まってクリスマス・パーティーをやるっていうのにあたくしを招待しないなんて。そればかりか、今年は大犯罪計画まで立てているなんて聞きましたわよ。そんなエキサイティングな集まりにあたくしがいなくては始まりませんのに…。ウフフッ…。というのはクリスマス・ジョークなんですの。あたくしがそんな犯罪者のいるところにいくワケがありませんものね。そんなことはやめて楽しくクリスマスを過ごしたほうが良いですわよ。いずれにしても、あたくしをパーティーに呼ばなかったことに関して謝罪をしたいのなら、あたくしのお屋敷の電話番号は666の…」メッセイジ…ゴゴ…オ…ワ…リ…。


Little Mustapha-----なんだ、Princess Black-holeからだ。

ミドル・ムスタファ-----「なんだ」じゃないですよ。ちゃんと聞いてましたか?私達が犯罪計画を立てているとか言ってましたよ。

Little Mustapha-----でも実際には違うよね。

Dr. ムスタファ-----一体誰がそんなことを言っているんだ?

犬サンタ君-----ちょっと待つんだワン!何かの気配がするんだワン!


 犬サンタ君が言うと一同座ったままでしたが身構えるような感じになりました。すると、どこからともなく、耳をつんざくほどではないけど、ザラザラした耳障りな声が聞こえてきました。

「あんた達、よく聞きなさい」

かなり聞き取りづらいのですが、それはどこかで聞いた声でした。


Little Mustapha-----その声は、地獄のクラウド占い師のカズコだな。

退役サンタ-----なんだ?こりゃいったいどこから声がしてるんだ?

Little Mustapha-----クラウドっていうぐらいだから、正確にはどこにあるのか曖昧って感じなんだよね。

ニヒル・ムスタファ-----というか、なんでこんなザラザラした声なんだ?

Little Mustapha-----ホントだよ。まあ、音が大きすぎて耳が痛いのよりはマシだけど。

カズコ-----あんたがマニュアル読めって言うからさ。あれから一年かけて読んだわよ。

Little Mustapha-----一年もかかったの?

カズコ-----あんた、そう言うけどさ。この地獄のクラウドっていうののマニュアルの量がどれだけあるか知ってるの?

Little Mustapha-----さあ…。原稿用紙10枚ぐらい?

カズコ-----そんなワケないじゃない。少なくとも20枚はあるわよ。

Little Mustapha-----あんまり変わらない気もするけど。

ミドル・ムスタファ-----それよりも、この聞きづらいのはなんとかして欲しいですね。

Little Mustapha-----そうだよ。マニュアル読んだんだったら直せそうだけど。

カズコ-----音量下げる操作以外はなにもしてないわよ。あとは「利得」っていうのがあったから、それは上げておいたけど、音とは関係ないでしょ?

Little Mustapha-----利得?それって、まさに直訳問題だな。もしかして地獄のクラウドって海外のサービスなの?

カズコ-----地獄に国内も海外もないわよ。それより直訳ってなんなのよ?

Little Mustapha-----その「利得」っていうのは金銭的な利益のことじゃなくて、マイクとかの入力ゲインってことだと思うんだよね。ゲインっていうのは普通に訳すと「収入」ってことになるけど、音声の場合は入力の音量ってことで、それを上げすぎると音が割れるし、さらに出力のレベルを下げてるともっと割れるんだよね。これはギターアンプとかの話だから地獄のクラウドでも同じかは知らないけど。

カズコ-----なんだか解らないけど、設定変えても収入が上がらなかったのはそういうことなのね。じゃあこれは元に戻すわよ。これでどう?

Little Mustapha-----大分聞きやすくなったけど。

カズコ-----なら良かったけどさ…。って、そういうことじゃないのよ!良く聞けって言ったでしょ。あんた達にはね、私の兵隊やってもらうことに決めたんだよ。

Little Mustapha-----なんだ、いきなり。

カズコ-----私もさ、地獄の軍団を手放したことをちょっと後悔してるんだけどね。その代わりに地獄のクラウドで生き延びてるから間違いではなかったのよ。でも、最近になって新たな勢力の存在が解ったり、私が手放した地獄の軍団も規模が大きくなってるってことなのよ。それでこのままじゃ地獄のクラウドでも安心できないから、また軍団を組織したいんだけど、とりあえず形だけでも軍隊が存在してないと始まらないからさ。それでお前達に兵隊になってもらうことにしたのよ。

Little Mustapha-----そんなこと勝手に決められたら困るよ。

カズコ-----でも他にいないから仕方ないでしょ。それに、あんた達は次元とか時空のことにもちょっと詳しいじゃないのよ。

Little Mustapha-----仕方ないって言っても、そんな話はお断りだからね。もしかして、犯罪者かどうかグレーゾーンなのはこれのせいなのか?

ニヒル・ムスタファ-----勝手に軍隊なんか作ったらかなりの罪だからな。

カズコ-----これから起こることを考えたら悪い話じゃないんだけどね。

ミドル・ムスタファ-----これから起こることってなんですか?

カズコ-----さあね。協力してくれないなら教える価値はないからね。

退役サンタ-----おい、ちょっと待て。さっきから聞いてりゃ無茶苦茶なこと言いやがって。こいつらは特に良いやつでもないし、コレといって取り柄もないし、つまりアレなんだが…、とにかくプレゼントを貰おうと必死なんだぜ。それをあんたが好き勝手出来る権利はねえんだ。お前の言うことなんか聞かないからさっさと消えな。

カズコ-----あんた退役サンタかい?あいつらも良く考えたわね。でもこれから起こることに退役サンタがどれだけ役立つか見ものだよ。それじゃあ、あんた達、私の兵隊になるかどうか、よく考えておくのよ。


 カズコはどこかへ言ったようで、にわかに静寂が訪れました。


犬サンタ君-----恐ろしかったんだワン。それに今の話だと混乱は更に拡大しているんだワン。

Little Mustapha-----でも兵隊にならなければボク等は犯罪者でもないし。プレゼントを貰おうとすることと次元とか時空の混乱は関係ないってことだよね。

犬サンタ君-----それはそうかも知れないけど、もっと深刻なことが起きている気がしてきたんだワン。なんだか外のことが気になるんだワン。

ニヒル・ムスタファ-----もしかして、テレビをつけないといけない展開になってきたのか?

マイクロ・ムスタファ-----ここまで色々なことが起きてしまうと、前向きな雰囲気を出しているだけではゴマカシがききませんからね。

Little Mustapha-----ボクらがカズコの兵隊になることが犯罪者になる原因だとすれば、それは断れば良いだけだし、それが解っていればテレビで何が起きていようとプレゼントには関係がないってことだからね。多分大丈夫なんじゃないかな。

ミドル・ムスタファ-----そういうことなら確認のためにテレビをつけてみましょうか。