思えば犬サンタ君がサンタの国のサンタの酒を持ってきてないのにもちゃんと理由があったのかも知れません。きっと今回はサンタの酒が必要になるような危険は予測されていなかったのです。
押し入れの中のLittle Mustapha達もやって来たのが深淵の暗殺者ではないことはだいたい解っていたのですが、万が一のことを考えてまだ押し入れに隠れていました。
退役サンタ-----おい、お前達。もう出てきて大丈夫だぜ。
押し入れが静かに開くと、憔悴しきった感じのLittle Mustapha達が出てきました。彼らが部屋の中に見たのは新しい乗り物を使ってやって来たイケメンのサンタ君でした。
Little Mustapha-----あ、サンタ君だ。…ということは、これは地獄から天国って感じじゃないか。
ニヒル・ムスタファ-----良いことの前には最悪の事態を乗り越えないといけないってことだな。
ミドル・ムスタファ-----ついにやりましたね。私達は犯罪者になることもなく、サンタ君を迎えることが出来ましたよ。
サンタ君-----あ、あの。ちょっと待ってください。少し問題が発生しているようなんですが。
Dr. ムスタファ-----なんだ、またシステムに不具合か?
サンタ君-----いや、もっと悪い事ですが。みなさん暴れたりしてませんでしたか?
Little Mustapha-----そんなことはしてないけど。
サンタ君-----ここに警察が向かっているみたいなんです。隣の家の人が通報したってことですけど。
Little Mustapha-----もしかして、あの「全面戦争じゃぁ!」ってやつか?
Dr. ムスタファ-----確かに、隣の家でそんなこと叫んでたら通報したくなるな。
ミドル・ムスタファ-----これ、どうするんですか?
Little Mustapha-----どうするって言っても。事情を説明すれば解ってもらえるとは思うけど…。そんなことを言ってる間に玄関のチャイムが鳴ってるし。
玄関には自転車に乗ってやって来たお巡りさんが二人いました。Little Mustapha達はそろって玄関へ向かって、とにかく平謝りです。クリスマス・パーティーで酔っ払った勢いでつい騒いでしまったということで納得してもらいました。
平謝りといえば、先程テレビで酒を飲んでいた袋小路2Kの二人ですが、内屁端アナの苦し紛れの「サバを読んでいるから本当は24歳」という言い訳をそのまま押し通すことにしたようです。それで飲酒に関してはお咎めなしとなったのですが、サバを読んでいたことに関して袋小路2Kのリーダーである平綾マリ(ヒラアヤマリ)がSNSで長文の謝罪文を掲載しました。問題を起こした当の二人は涼しい顔で次の収録現場へ向かったとのことです。
それはどうでもイイですが、Little Mustapha達が部屋に戻ると部屋にはサンタ君と犬サンタ君しかいませんでした。
Little Mustapha-----あれ、退役サンタさんは?
サンタ君-----用があるとか言って帰っていきましたよ。ベランダから。
ニヒル・ムスタファ-----解りやすい逃げ方だな。
Dr. ムスタファ-----まあ、それはそれで危険なこともないって事でもあるんだろう。少しは文句も言いたくなるが、今はそれよりも重要なことがあるからな。
ミドル・ムスタファ-----そうですよね。ちょっとした危機を乗り越えてからの感動のフィナーレですね。
Little Mustapha-----ということで、サンタ君。例のものをば…。
サンタ君-----いや、それがですね…。
ニヒル・ムスタファ-----まさかダメなのか?今回はどこにもオレ達が犯罪者になるような要素はないぜ。
Little Mustapha-----そうだよ。警察は来たけど、納得して帰ってもらったし。
サンタ君-----ここの法律的には大丈夫だと思うのですが、他人を恐怖に陥れたというのがサンタの犯罪予測システムとしてはかなり重要な減点要素になっていて。今のあなた達は完全にアウトという状態なんです。
Little Mustapha-----でも、ボク等ウォーって言っただけだよ。
ミドル・ムスタファ-----ただし、全面戦争って言葉に対してのウォーですからね。
Dr. ムスタファ-----だが、事情が事情だし、なんとかならんのかね?情状酌量っていうコトワザもあることだし。
ニヒル・ムスタファ-----それ、コトワザじゃないけどな。
サンタ君-----事情は私も解ってますから、手続きをすれば犯罪者の判定は消すことができますけど。ただそれには時間がかかるので、今日中には無理なんです。
Dr. ムスタファ-----またプレゼントを待つ長い一年が始まるのか…。
マイクロ・ムスタファ-----しかし、今回起きたことを考えれば生きていられるだけでも良かったということですよ。
ミドル・ムスタファ-----まあ、そうですかね。
ニヒル・ムスタファ-----最後以外はあんまり危機感はなかったけど。アンドロイド女子アナに襲撃されてたかも知れないしな。
Little Mustapha-----最近は何もしなくてもアッと言う間に一年が経つからね。それまで良い子にしてれば良い。それよりも、サンタ君の乗り物、トナカイのソリじゃないの?
サンタ君-----ああ、アレですか?最近はトナカイのソリだと愛護団体とかがうるさくて。それでEVっぽい乗り物に変えたんです。実際、中の仕組みはどっちも一緒なんですけどね。
Little Mustapha-----ああいう人達って電気ならオッケーみたいなところがあるからね。
ミドル・ムスタファ-----そういうことはあんまり言わない方が…。
Dr. ムスタファ-----それよりも、中の仕組みが同じってことは、やっぱり反重力技術なのか?
サンタ君-----そこは、言ってはいけない事になっているので言えません。
ニヒル・ムスタファ-----その前に反重力技術っていうのも意味不明な言葉だけどな。
サンタ君-----あの、そろそろ良いでしょうか。他にもプレゼントを配るところがあるので。犯罪者判定の件はちゃんとやっておきますから。
Little Mustapha-----なんだか毎回サンタ君の仕事を増やしてしまっている感で悪いけど。
サンタ君-----いや。おかげで私達のシステムも改善されますから。それでは、また来年会いましょう。
サンタ君は青く光る乗り物にのって飛んでいきました。
Little Mustapha-----やっぱりカッコいいなあ。
ミドル・ムスタファ-----あんまりウットリしてると怪しいですよ。
Little Mustapha-----ウットリなんかしてないやい!
ニヒル・ムスタファ-----なんだその誤魔化し方は?
犬サンタ君-----そんなことはどうでもいいから、お腹空いたからまたパーティーを続けるんだワン。クリスマス・マーケットも終わってちょうど犬弟子サンタも戻ってきたところだワン。
犬弟子サンタ君-----ただいまだバウ。かすかに牛肉の匂いがするんだバウ。今日は頑張ったご褒美に牛肉が食べたいなあ、だバウ。
Little Mustapha-----そうだった。今日は何も起きてないのに色々あったような感じで肉を焼くのとか忘れてた。でも五人と二匹で七等分すると、一人一口って感じだな。
Dr. ムスタファ-----牛肉って、まさか一切れだけなのか?
Little Mustapha-----当たり前じゃないか。このパーティーの予算はどれだけだと思っているのかね?
ミドル・ムスタファ-----なんでそんな喋り方なんですか?
Little Mustapha-----パーティーって言ったら、ちょっと時事ネタを思い出したからね。ここは三階だからボク等は二階派ならぬ三階派、なんちゃって。
ニヒル・ムスタファ-----なんか笑点みたいな感じだな。
犬サンタ君-----どうでもいいから早く肉を焼くんだワン。
Little Mustapha-----はいはい。というか犬サンタ君、その格好で殺生がどうのこうのとか、それはもうやらないの?
犬サンタ君-----お腹空いてる時には許されるんだワン。アーミートォフォワー(阿弥陀佛)…。
Little Mustapha-----だんだん発音が適当になってるし。
ということで、今年はこのようにプレゼントの貰えないクリスマスでした。
振り返ってみるとLittle Mustapha達にはほとんど何も起きてないという気もしますが、暴走するアンドロイド女子アナや中二病っぽい名前の深淵の暗殺者、そしてキショー君といった要素も加わって早くも来年が心配になってしまいます。
しかし、面倒なことが去ると全てを忘れて気楽な感じになってしまうLittle Mustapha達なので、不安要素にはお構いなしでパーティーを続けました。楽しく過ごしたのですが、できれば来年はサンタの国のサンタの酒が欲しいなあ、とも少し思っていたようです。
そして、今年も残り少なくなりましたが、今年のBlack-holicの記事数は今のところ5つで、ここ数年に比べたら微増という感じです。初期の頃の週一ペースにはまだまだですが、もっと記事数が増えたら良いですね、ということで次回の大特集をお楽しみに。