holicRSSFeed

#144 「Silent Night, Holy Night」 2011-12-20 (Tue)

クリスマス いつもと違う 感じだし


 その頃、この状況をなんとかしようと思ったものの、とりあえず食べ物優先のペット・マスコット達はPrincess Black holeから届いたクレープを平らげたところでした。

犬サンタ-----美味しいクレープだったんだワン!今度はご主人様にも作ってもらうんだワン!

白色矮星君-----それじゃあ、お腹もいっぱいになったし、行動開始だよ!

ブラックホール君-----ボクらはいったん家に帰って準備をするんだなぁ!

ネコ蒲団くん-----じゃあ、ちょっとねぐらに行ってくるよ。

犬サンタ-----私はiPad2でご主人様にメールしてみるんだワン!

白色矮星君-----それじゃあ、またね!

 彼らは何をしようとしているのでしょうか?犬サンタ君を残していったん解散したようです。残った犬サンタ君がiPad2でメールを書いたあとしばらくすると、トイレの方からブラックホール君と白色矮星君が。そしてベランダの窓からはネコ蒲団くんが入ってきました。あっという間に彼らの用事は済んでしまったようです。

犬サンタ-----みんな上手くいったかワン?

ネコ蒲団くん-----ちゃんとやって来たぜ。

白色矮星君-----ボクらもばっちりだよ!

ブラックホール君-----これだけ沢山だったらきっと大丈夫なんだなぁ!

犬サンタ-----後はご主人様がおじいさまにお願いして、おじいさまが聞いてくれたら完璧なんだワン!でもやっぱりおじいさまは今日忙しくてなかなか返事が返ってこないんだワン。

ブラックホール君-----サンタのおじさんも大変なんだなぁ。

白色矮星君-----でもボクらの力だけでもきっと上手くいくよ!

ネコ蒲団くん-----そうだぜ!それじゃあ、クレープのお礼にラジオを聞こうぜ。

犬サンタ-----それは良い考えだワン。その間にメールの返事が来るかも知れないんだワン。


 ペット・マスコット達はラジオを聞き始めました。


ラジオ-----「…ただいまの曲はモーツァルトのレクイエムでしたのよ。…あらいやだ、あたくしまたこんな曲をかけてしまいましたわね。クリスマスだというのに、これではいけませんわ。…でも、もう一曲レクイエムをかけますわね。次の曲が終わったらいつものクリスマスに戻りますわよ!それじゃあ、次のレクイエムは…」


犬サンタ-----どうやら悲しみを乗り越えてないようなんだワン。

ブラックホール君-----悲しいクリスマスは良くないんだなぁ!

ネコ蒲団くん-----じゃあ、クレープのお礼に何かしてあげようぜ。

白色矮星君-----それは良い考えだね。

犬サンタ-----それじゃ、ラジオで受け付けているリクエストメールでメッセージを送るんだワン!

ネコ蒲団くん-----そうしようぜ!


 犬サンタ君がまたiPad2を使ってPrincess Black holeのラジオ番組へリクエストのメールを送りました。


ラジオ-----「…ただいまの曲はシューベルトのレクイエムでしたわ。『レクイエム 届かぬ空に ににじむ星』美しいメロディに悲しみのポエムが出来ましたわね。…それでは、そろそろいつものようにあたくしの素晴らしいシングル曲をかけようかしら…。でもこの静寂の夜に、記憶の中でしか会うことの出来ない方々に…。ごめんなさいな。涙が止まりませんのよ…。もう一曲だけ、レクイエムを…。…あら?!何かしら。リクエストのメールが届いているようですわね。次のレクイエムの前に読んでみたいと思いますわね。ハンドルネーム、イヌ蒲団君さんからですわ。『Princess Black hole様。悲しいクリスマスは良くないんだワン。クリスマスは悲しみを分かち合う日じゃなくて、悲しい人や寂しい人もみんな幸せになれるように祈る日なんだワン。だから泣いてないで幸せになる曲をかけるんだワン』ということですのよ。…あたくしったら、情けないですわね。リスナーの方からこんなメッセージをいただくなんて。そうですのよ。このラジオはあたくしの悲しみを癒す番組ではありませんものね。みなさまにハピネスを届けるのがあたくしの役目ですのに。でもあたくしも目が覚めましたわん。ここからは気分を変えて、ステキな幸せの祈りをお届けしますわね!それでは、幸せの1曲目ですわよ。幻の未発表曲「幸せの黄ばんだプリンセス!」ですのよ。そして曲の後には幸せの祈りのコーナーもやることにいたしますわ!」


白色矮星君-----どうやら上手くいったようだよ!

ブラックホール君-----でも一回「ワン」が感染してたんだなぁ。

ネコ蒲団くん-----まあ、細かいところは気にするなよ!

一同-----アハハハハハ!

 一方その頃、冷子さんのいなくなった地獄のブラックホール・スタジオでは、特にやることのないLittle Mustapha達がまた想像から現実化される酒を飲みながらダラダラしていました。

Dr.ムスタファ-----…ということでな、裏技で女性キャラの服を脱がしたとしても、元々脱ぐように作られていないから、ガッカリするだけなんだな。

ニヒル・ムスタファ-----先生、それって科学の話なのか?

Dr.ムスタファ-----真実に基づいているという意味では立派な科学だが。

ミドル・ムスタファ-----なんとなく私も先生の科学は信用できなくなって来ましたよ。

Dr.ムスタファ-----キミまで何をいうんだ?!しかも先生って呼ぶな、って。

Little Mustapha-----まあ、科学かどうかは別としてガッカリするのは確かだけどね。

ミドル・ムスタファ-----まさかやったんですか?裏技で。

Little Mustapha-----そこまではしないけどさ。画像だけなら検索すれば出てくるんだし。それよりも、そんなことをする前のドキドキ感が重要だと思うんだよね。あるいは中はどうなっているのか?という興味を持つこと。いわゆるリバースエンジニアリング、ってやつだな。

Dr.ムスタファ-----なかなか興味深い事を言うんだな。

ニヒル・ムスタファ-----どこがだよ。しかもリバースエンジニアリングってそういうことじゃないぜ。

Little Mustapha-----えっ?!違うの?すごく広い意味では一緒でしょ?

ニヒル・ムスタファ-----どれだけ広げるんだか知らないけど。それならカーテンの閉まってない他人の部屋をなんとなくチラッと覗いてしまったりするのもリバースエンジニアリングだな。

Little Mustapha-----ほら、やっぱりキミもそういうの好きなんじゃないか。

ニヒル・ムスタファ-----なんでそうなるんだよ。


*[リバースエンジニアリング - Wikipedia]


Dr.ムスタファ-----やっぱり科学の話で盛り上がるのは楽しいもんだな。

ミドル・ムスタファ-----全然科学じゃないと思いますが。

Little Mustapha-----全ては科学で説明が出来る、ってことなら全部科学の話だけどね。あるいはプラズマの話かも知れないし。

ミドル・ムスタファ-----それってどんどんオカルトな科学に近づいて行きますから危険ですよ。だいたいあなたはそういうの嫌いなんじゃないですか?

Little Mustapha-----いや、見たり聞いたりするだけなら好きだけどね。でもそれが正しいことのように世間に広まるのは恐ろしいことだと思うけど。どっちにしろボクらは死んでるんだし。今日は比較的自由な気持ちで喋ってるんだな。

ニヒル・ムスタファ-----なんでそこで得意になるんだよ。

Little Mustapha-----そんなつもりはないけど。でもさっきの電話の声聞いたでしょ?自分にもあんなに影響力のある声が出せるんだ、って思ったらちょっと気持ちが大きくなったりして。

ニヒル・ムスタファ-----死んでから大きくなっても意味ないぜ。

Little Mustapha-----そうか。

ミドル・ムスタファ-----それにしても、私たちはどうなるのでしょうか?冷子さんはなかなか帰ってきませんし。

Dr.ムスタファ-----まあ、まだ一時間以上あるから大丈夫だろう。

Little Mustapha-----そうだよ。最近のクリスマスはギリギリ感がウリになってるからね。まあ、ギリギリになっても迅速な対応が出来るように準備はしておかないと、って思ってもボクらは死んでるんだから、準備運動ナシでも足が攣ったりしないしね。

マイクロ・ムスタファ-----でも、それで良いのでしょうか…。

一同-----…。

マイクロ・ムスタファ-----ちょっと、新しいバージョンですかそれは?

Little Mustapha-----今回はどう反応しようか様子を見合っていたらみんな無言になってしまった、と言うことだけど。それで、なにか?

マイクロ・ムスタファ-----もう、何か?じゃありませんよ。あなた方の言っていることも理解できますし、この世界じゃそれが正しいのかも知れませんが。

Dr.ムスタファ-----リバースエンジニアリングのことか?

マイクロ・ムスタファ-----違いますよ。死んでいるから油断していても大丈夫、ってところです。

Little Mustapha-----だったら、それで良いと思うんだけど。

マイクロ・ムスタファ-----そうなんですが、私も油断していて気づくのが遅れたのですけど、そこの電話のランプがですねえ…

一同(マイクロ・ムスタファ除く)-----アアッ!

マイクロ・ムスタファ-----そうなんですよ。留守番電話が録音されている事を示すランプが点滅しているんです。

ミドル・ムスタファ-----死んでもまだこれがあるんですか?

Little Mustapha-----その前にさ、今やっと気づいたんだけど。ボクらはこの電話の音で殺されたんじゃなかったっけ?

Dr.ムスタファ-----そんなことは覚えてないさね。

ニヒル・ムスタファ-----そうだな。でも生きてる時の最後の記憶はその電話だったような気もするな。

ミドル・ムスタファ-----それに、さっき冷子さんも私たちは殺人音波で殺された、って言ってませんでした?

Little Mustapha-----そういう細かいところは覚えてないけど。

マイクロ・ムスタファ-----言ってましたね。

Little Mustapha-----さすがマイクロ・ムスタファ君。…で、この留守電だけど。どうしようか?まあ既に死んでるんだし、これ以上死ぬことはないから、ある意味恐いものナシなんだけど。

ミドル・ムスタファ-----そうですね。でも私たちは今生き返ることが出来るのか出来ないのか?というビミョーな立場でもあるということは忘れないでくださいね。

ニヒル・ムスタファ-----そうなんだが、もしも冷子さんからの生き返る方法が録音されたメッセージだとしたら?

Little Mustapha-----ええ?!今回はそういう展開もありなの?でも背後霊なんて出てきたの初めてだしねえ。これは悩みどころですよ。

マイクロ・ムスタファ-----そうですよ。慎重になった方が…

Little Mustapha-----でも、聞かないと話は進まないと思うから聞いて見るけどイイかな?

一同(マイクロ・ムスタファ除く)-----イイとも!

マイクロ・ムスタファ-----ああ、ちょっと!


 慎重になっているようでも、そしてたとえ死んでいようとも、いくつかの条件反射の積み重ねによって再生ボタンが押されることになってしまったようです。マイクロ・ムスタファは頭を抱えていましたがそうするより他に出来ることはないのでメッセージが再生されるのを待っていました。


留守番電話-----イッケンノ・メッセイジ…。ゴゴ…ゴジ…ゴク…ジ…ゴク…ゴ・フン。ピィィイー!「ちょっと、あなた達どういうことなのよ!私がギャラなしでこんなことするなんて、ないんだからちゃんと聞きなさいよ」


Little Mustapha-----あれ、これってもしかして神をも恐れぬ恐怖の占い師カズコじゃない?


留守番電話-----「そうよ!あんた覚えてないでしょ。あんた達が死ぬことは私が占ってたんだからね」

Little Mustapha-----ああ、そういえばあの時「みんな死ぬ」って言ってたけど。

留守番電話-----「これで私の実力が解ったでしょ?」

Little Mustapha-----いや、別に人はいつか死ぬから、死ぬって言ってればそのうち死ぬんだし。ていうか、一体カズコは何しに電話してきたのか?ってことだけど…。それよりもなんで留守番電話のメッセージなのに会話できてるのか?ってことでもあるけど?

留守番電話-----「そんなことは、どうでも良いのよ!それよりも問題があるのよ」

Little Mustapha-----あれ?カズコにしては珍しく困った感じだけど。

留守番電話-----「そうなのよ。あの時に『みんな死ぬ』って言ったでしょ?あの占いの『みんな』には私まで含まれてたのよ」

Little Mustapha-----なんだそれ?それって、つまりカズコも死んでこの地獄の一丁目にいるってこと?

留守番電話-----「だいたいそんなところよ」

Little Mustapha-----それじゃあ、カズコも殺人音波にやられたんだ。ボクはもしかするとカズコが犯人だとも思ってたけどね?

留守番電話-----「なによ、その殺人音波っていうのは?私は携帯電話をいじってて私に気づいてない自転車をよけようと思ったら、ちょうどそこに走って来た自動車にはねられて死んだのよ」

Little Mustapha-----なんだ、そうなのか?意外と普通の感じだけど。それは占いで予知できなかったの?

留守番電話-----「あんただって、自分の不幸な未来を自分で占ったりはしないでしょ?」

Little Mustapha-----別に占いって幸せな未来もあるんじゃないの?

留守番電話-----「そうは言ってもね。不幸な未来の方が当たる確率が大きいのよ。まあ、そんなことはどうでも良いのよ。私だってねえ、自分の占いが当たって死んだらシャレにならないってところもあるのよ。そこで提案なんだけどね。こうやってギャラなしで出てきてるんだから、あんた達は断る事も出来ないはずなんだけど、私が神々にお願いしてあんた達を助けるから、その代わりにあんた達が助かるということになったら私も一緒に生き返らせて欲しいのよ」

Little Mustapha-----いやいや、そんなことを言われて、ハイ解りましたとは言えませんよ。さっきまで科学の話をしてたから、そういう曖昧な言い回しに騙されたりはしないんだし。

留守番電話-----「科学なんてどうでも良いのよ!私を助ける気があるのか?ないのか?ってそういうことを聞いてるのよ!」

Little Mustapha-----残念ながらないけど。というか、これでボクらがカズコを助けてしまったら、これまでのその「神々」の話が全部インチキだってバレちゃいますよ。

留守番電話-----「私の神々はここの神々とは違うのよ!」

Little Mustapha-----そんなことを言われてもねえ。それにいつかボクが大ピンチになった時もギャラが出ないから、ってことで助けてくれなかったし。別にそのことを恨んでるワケじゃないですけど、自分の事は自分でなんとかしましょう、ってことでボクらにはカズコの事を助ける余裕もないですし。

留守番電話-----「解ったわよ。神々の力を甘く見ると後悔するんだからね。覚えてなさい!」メッセイジ・オワリ。ピィィィイイイ!


ミドル・ムスタファ-----大丈夫なんですか?あの人って意外とすごい事が出来る人なんじゃないですか?

Little Mustapha-----でも、「神々」がいるのにここに電話かけて助けを求めてくるんだよ。そんな人の「神々」は大したことないと思うけどね。

ニヒル・ムスタファ-----でも留守番電話なのに普通に会話してたり、すごい事はすごいんだが。

Little Mustapha-----そういえばそうだったね。でもよく考えたらカズコがあんな占いをしたからボクらが殺された、といっても過言ではないしね。ただ、今更協力を持ちかけられても困ります!って事なんだし。

冷子-----っていうか、お前ら喋りすぎで行数増えすぎだから、そろそろ次のページ行くぞ、って事なんだし。

ミドル・ムスタファ-----あれ?!いつの間に帰ってきたんですか?

冷子-----それは次のページで説明するから、とりあえずここで休憩なんだし。

次のページへ