ナンデ君 & イラガマン 第四話!
待ちに待った冬の遠足の日。ナンデ君とイラガマンも正義の戦いを忘れて遠足を楽しんでいた。しかし、ハムスター教授率いる大ナゼナン団の魔の手はいつ彼らに迫ってくるかは解らない。ナンデ君とイラガマンは遠足を楽しみながらも、彼らの特殊能力で危険を察知することを怠ることはなかった。
イラガマン-----ウワァ、アロエの花って意外な時に咲いてるんだな。
ナンデ君-----そんなところに感動してる場合じゃないと思うんだけど。今回は先が長いんだよ。
イラガマン-----そうだけどね。ボクらは制作部としてちょっと先回りしてこの森にやってきてるんだし。
ナンデ君-----そんなこと言っても、ボクは録音係だし、冬の森の中じゃ特に録音する音もないからなあ。...アッ、そんなことよりも、未来感覚に感知あり。
イラガマン-----エッ?どういうこと?まさか大ナゼナン団か?
ナンデ君-----いや、そんなんじゃなさそうだけど...。
イラガマン-----アッ...。
ナンデ君-----あぁ。ずいぶんと時間がかかるみたいだね。
イラガマン-----そうかあ。今回もこの森はお預けか。
ナンデ君-----仕方ないね。それにやっぱりこの森は新緑の季節が一番だと思うしね。
イラガマン-----じゃあ、別ルートで目的地を目指そうか。あっちでもけっこう楽しいしね。
ナンデ君-----そうしよう。
イラガマン-----それにしても、この広角レンズっていうのは、目で見た景色から構図を想像してカメラを構えると全然違うから戸惑っちゃうな。
ナンデ君-----それは使って慣れるしかないと思うよ。
ナンデ君-----それよりも、この道は大ナゼナン団の魔神ハムが出てきそうな雰囲気だし、気をつけないといけないよ。
イラガマン-----そうだね。でもボクのイラガ感覚には何の反応もないしな。
ナンデ君-----といっても、油断は禁物だよ。
イラガマン-----油断はしなかったけど、開けたところに出てきちゃったね。
ナンデ君-----そうだね。こういうところの方が広角レンズが生かされるんじゃない?
イラガマン-----そういうことじゃなくて、魔神ハムなんて出てこなかった、ってことなんだけど。
ナンデ君-----ああ、そうだった。でも、待って。未来感覚におかしな反応があるよ。
イラガマン-----そうなの?それじゃあ、まだ気は抜けないな。
ナンデ君-----ほら、これ。
イラガマン-----これ、っていっても。避難道って書いてあるけど。
ナンデ君-----でも、この先ってどう考えても普通の道より険しいし。何から避難する道なんだろう?
イラガマン-----うーん...。それは難しい質問だな。でも、こういう風になっていると、どうしても先に行ってみたくなるけどね。
ナンデ君-----でも、それは危険な気がするよ。
イラガマン-----そうだよね。ボクもそう思っていたところだよ。あとで恐ろしい魔神ハムとかが出てきたらこの避難道に入って逃げることにしよう。
ナンデ君-----そうしよう。
イラガマン-----この神社もレンズが違うと印象も違うね。
ナンデ君-----それよりも、毎回ここでお参りするのが決まりになってきているね。
イラガマン-----そうだよね。元々はここに来るのが目的で、あの森はその後の恐怖体験の場所だったんだけど。あれ以来あの森が気に入ってしまったからね。
ナンデ君-----あの時は怖かったけど、無事でいられたのはここでお参りしたからかも知れないし。これからもお参りしといた方が良いかな。...うーん。
イラガマン-----なんで自分で言ったことに唸ってるんだ?
ナンデ君-----未来感覚がヘンな反応を示したんだけど。なんていうか、ボクらは一応正義の味方なのに、お参りして助かるとかヘンな話だと思ってね。
イラガマン-----まあ、確かに「なんで?!」って感じだけどね。
イラガマン-----なんかこれは西海岸だな。
ナンデ君-----それは三浦半島の中の西ってこと?
イラガマン-----そうじゃなくて、この木とか。
ナンデ君-----言いたいことは解るけど。アメリカのことでしょ?でも西海岸って言っても南北に長いんだぜ。
イラガマン-----そうはいっても。そこはいちいち気にしないで、西海岸だな、って思ったら良いんだよ。
ナンデ君-----どうでも良いけどね。それよりも、ここってお金持ちじゃないと入れなさそうだよね。
イラガマン-----そうだね。ヨットに乗ったりする人が使うところみたいだし。
ナンデ君-----ボクらももっと活躍してお金持ちにならないと...。アッ?
イラガマン-----はっ!イラガ感覚に感知あり!
ナンデ君-----ちょっと、ボクの未来感覚の方が先だぜ!
イラガマン-----それは先に言ったモン勝ちだよ。それはそうと、大ナゼナン団の気配!
ナンデ君-----どうやら、この近くに。...アッ!あそこにいるのは大ナゼナン団のエムゾネスじゃない?
イラガマン-----本当だ。どうやらこちらにはまだ気づいていないようだよ。よし、変身してエムゾネスと対決だ!
ナンデ君-----おう!
エムゾネスの姿を見つけたナンデ君とイラガマン。しかし、普段は隣のクラスのエムゾネさんとしてナンデ君達の通う学校に潜入しているエムゾネスは今日が遠足の日だということを知っていたのだ。そして、この場所にいたのは恐ろしい魔神ハムとともに彼らを待ち伏せるためだったのだ。
そうとは知らずエムゾネスの前に躍り出たナンデ君とイラガマン。
イラガマン-----待て、エムゾネス!
エムゾネス-----はっ、おまえ達は?!
イラガマン-----穴の開いたブーツを履き続けて遠足をする男、イラガマン!
ナンデ君-----今日もやっとこ繰り出した!未来感覚ナンデ君!
エムゾネス-----...ップ!...ウププププ!なんだ、その名乗り口上は?
ナンデ君-----笑うなよ。なんかスズキ・ピヨニカさんのシングル曲とタイアップでこういうことになってるんだから。
イラガマン-----そうだぞ。笑っていられるのも今のうちだ。
エムゾネス-----そうかな?その言葉、それはこっちの台詞だ。おまえ達がここに来ることは解っていたのだ。まんまと罠にかかったな。
イラガマン-----なんだと?!
エムゾネス-----今だ、魔神リア獣!やれ!
魔神リア獣-----フーンフンフーン...♪
ナンデ君-----な、なんだあいつは?
イラガマン-----弱そうな魔神だな。おい、携帯なんていじってないで、こっちを見ろ。
魔神リア獣-----...エッ?ボクですか?あの、今彼女からメールなんで後にしてくださいよ。
ナンデ君-----こ、これは...。
イラガマン-----なんてことだ。あんなやつに彼女だと?!...くそぉ!
エムゾネス-----ハハハハハ!見たか、魔神ハムの実力を!リア獣はおまえ達など相手にしないのだよ。リア獣、今だ!怯んでいるスキにトドメを刺すのだ!
魔神リア獣-----フーンフンフーン...♪
エムゾネス-----...どうしたリア獣。早く攻撃しないか!
魔神リア-----何ですか?後にしてくれって言ってるじゃないですか。
エムゾネス-----なんだと...?!
イラガマン-----どうやらエムゾネスもリア獣に相手にされていないようだぞ。
エムゾネス-----おのれ、リア獣!裏切るのか?
リア獣-----...アッ。ボクこれから待ち合わせなんで、行きますね。それじゃあ後はよろしく。
エムゾネス-----っく...。
ナンデ君-----良く解らないけど、形勢逆転だね。
イラガマン-----くらえ!イラガニードル!
(ピュンピュン!...チクチクチク...!)
エムゾネス-----キャッ、痛い♡
ナンデ君-----よーし。ナンデ君不思議エレキ!
(ビビビビビ...!ビリビリ!)
エムゾネス-----イヤ〜ン、しびれるぅ♡
ナンデ君-----ねえ、これって効いてるのかな?
イラガマン-----どういうことだろう?エムゾネスの様子がおかしいぞ。
ドMのエムゾネスはナンデ君とイラガマンの「怪我しない程度の攻撃」がちょっと嬉しいのだ。
イラガマン-----これは小4にしては問題のある展開になってきたようだ。ひとまず退散するぞ。
ナンデ君-----おう!
エムゾネス-----ま、待て!少しも効いてないぞ!もっと攻撃しないか!...くそぉ。逃げられたか。しかし、今回の失敗でハムスター教授もさぞかしお怒りになるだろう。早速報告しなければ♡
ナンデ君-----なんだか、途中で魔神が出てきちゃったから気が抜けちゃうよね。
イラガマン-----そうだな。もうすぐクラスのみんなと合流だから、この先は何もないだろうな。というか、みんなはあんなに遠くにいるのか?
ナンデ君-----何言ってるんだよ。カメラばっかり見てるからそんなことになるんだ。目で見たらもっと近いよ。
イラガマン-----ホントだ。
(ここから中盤は冬休みの宿題リポート参照:その1、その2。)
イラガマン-----なんか冬って感じだね。
ナンデ君-----冬の夕日がボクを呼ぶって感じだね。
イラガマン-----どうして?
ナンデ君-----こういう時には「なんで?!」って気持ちになる人が大勢いるからね。
イラガマン-----キミはなんで、キミはなんで、戦い続けるのか、命をかけて...。
イラガマン-----一筋に、一筋に、無敵の男。いらg...
ナンデ君-----ちょっと、それただの替え歌じゃないか。
イラガマン-----なんだ、バレてるのか。でも「なんで?!」って気持ちにはなったでしょ?
ナンデ君-----ボクがなっても意味がないんだよ。
イラガマン-----そうなのか。それよりも...
イラガマン-----ちょっと、見てよ!オレって足長げぇ!
ナンデ君-----くだらないことはどうでも良いよ。それに、それってボクに対する皮肉なの?
イラガマン-----アッと、失礼。そういうことではないんだけど。ここに立ったらキミだって足長さんだよ。
ナンデ君-----そんなことよりも、そろそろお腹空いたよ。
イラガマン-----そんなことを言ってもなあ。まだバスは30分以上来ないよ。ちょっと先まで歩くか。
ナンデ君とイラガマンはこのとき知るよしもなかったのだが、江奈のバス停からバス停二つほど頑張って歩いて剱崎までくるとバスの本数が増える、という豆知識なのである。なぜなら剱崎で折り返すバスがあるからだ!
イラガマン-----アッ!燃料みっけ!
ナンデ君-----アッ!ここにも!
イラガマン-----ちょうど良いや。バスが来るまでここで遅すぎる昼食だ。
ナンデ君-----そうしよう!それじゃあ...
イラガマンとナンデ君-----イッタダッキマース!
日暮れも近づいた時間のあまりにも遅い昼食であったが、時間がない中で色んなところを回る遠足に昼食の予定は含まれていないのである。
いつか時間をかけて優雅な遠足が出来るその日まで、ナンデ君とイラガマンの戦いは続く!
頑張れナンデ君!負けるなイラガマン!
(おしまい)
コメントする